Google や Yahoo! の検索広告はもちろん、最近では Twitter や Facebook、Instagram といった SNS 広告 も活用している企業が増えてきています。
しかし、自社の商品・サービスや広告の配信タイミングを理解し使用しないことには効果的ではありません。
今回は SNS 広告の中でも10代から20代のユーザーが比較的多く集まる Instagram 広告について、特徴や費用など詳しく解説していきます。
また、初めての方でも広告配信ができるように広告管理画面のキャプチャとともに設定方法も紹介します。
Instagram 広告とは?
Instagram 広告(通称:インスタ広告)は写真共有 SNS であるInstagram で配信される広告です。現在、Instagram の MAU(Monthly Active User=月間アクティブユーザー数)は、3,300万人を超え、年々増加してきています。
Instagram 広告は、Facebook 広告と同じプラットフォームから配信することができ、高精度なターゲティング技術によって企業の魅力をより身近な存在として伝えることができるのが特徴的 です。
これは Facebook の優れたアルゴリズムや膨大なユーザー情報だけでなく、 Instagram 社のミッション「大切な人や大好きなことと、あなたを近づける」が根幹にあるからでしょう。
Instagram のユーザー層について
10代から20代は Instagram の利用率が60%前後になっているのはイメージ通りかと思います。しかし30代では44.0%、40代でも35.8%の利用率になっていて、それほど世代間の差はないのではないかとも捉えられます。
画像引用元:平成30年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書|総務省情報通信政策研究所
メインであるユーザー層の18歳から29歳は、3年前の2017年の他メディアとの接触時間を比較した時に201%も Instagram を使用する時間が増えたというデータもあります。
このことから分かるように Instagram というプラットホームがより身近で日常生活に欠かせないものになってきているのがわかります。
画像引用元:#IGDAYTOKYO2019 日本でInstagramが愛される理由|Instagram 公式サイト
ここからは Twitter や Facebook と異なるプラットホームである Instagram で配信できる広告について詳しく説明していきます。
Instagram 広告の配信面は3つ
Instagram 広告は3つの配信面が用意されています。各配信面の特徴や表示のされ方について順番に説明していきます。
ストーリーズ
フィード
発見タブ
1.ストーリーズ
Instagram のトップページにあるストーリーズの再生中に出てくる広告枠です。ユーザーは、フォローしているアカウントのストーリーを3回再生したら、1アカウントのストーリーズ広告が表示されるようになっています。
ただし、フォローしてるユーザーが4つ以上のストーリーをあげている場合は、そのアカウントのストーリーを見終わってから広告が表示されます。
ストーリーズ広告と遷移先のランディングページ
ストーリーズ広告は、リアルタイム性のあるものを伝えたい時に使用すると良い でしょう。以下はストーリーズへの投稿とフィード投稿で、コンテンツに対して人は何を重視するのかをイギリス、アメリカ、ブラジル、インドネシアで調査したものです。
画像引用元:Instagramのストーリーズとフィード: イメージと使われ方の違い|Instagram 公式サイト
日本の場合も例外ではなく、自分の興味のあるイベントやお気に入りの有名人のタイムリーな情報を求めている場合が多いと考えられるので、ストーリーズではそういった訴求をする広告が合うと言えるでしょう。
▼ストーリーズ広告の詳細はコチラ
【画像で解説】Instagramストーリーズ広告の出し方と128%クリック率を改善した事例からわかった3つの注意点|株式会社キーワードマーケティング
Instagram ストーリーズ広告の設定・配信方法を画像付きで分かりやすく解説します。クリック率を128%改善した事例から分かった広告配信時に必ず気をつけておきたい3つの注意点もご紹介いたします。これを見ればインスタのストーリーズ広告はバッチリ。
2.フィード
自分がフォローしているアカウントが投稿した写真を下へスクロールすることで出てくるのがフィード広告です。
カルーセル形式のフィード広告と遷移先アプリダウンロード画面
ユーザーはフィード上で新しい商品の発見など情報収集の目的で使用することが多いため、タイミングを選ばず知ってほしいものを紹介するときに、フィード広告を使うのが効果的 です。
参考:How Do People Perceive and Use Instagram Stories and Feed?
3.発見タブ
最後に紹介するのは発見タブ内に配信される広告です。先程紹介したフィード広告と見た目は変わりません。
しかし、発見タブは他の掲載面と異なり、ユーザーが能動的に情報を求めて開いている画面なので、ニーズに合った広告を配信することができれば効果が出やすい と考えられます。
発見タブ内の広告と遷移先のランディングページ
また発見タブは、ユーザーごとに表示内容がパーソナライズド(一人ひとりの趣味嗜好に合わせて調整)されています。したがって一人ひとりの興味・関心に基づいた広告が配信がポイントになってきます。
ここまで紹介した3つの配信面を簡単にまとめると以下のようになります。
掲載面
特徴
例
ストーリーズ
リアルタイム性のあるものを伝える広告
イベントやセミナー、期間限定の商品やサービスの宣伝など
フィード
タイミングが関係なく必要な商品やサービスを訴求する広告
日常生活で使用するものや、自社のブランディングに繋がるようなもの
発見タブ
ユーザーに対して新しい発見を与えることのできる商品やサービスを紹介するような広告
興味・関心を意識した新商品やサービスの宣伝など
広告フォーマットは4つから選択可能
広告のフォーマットは4つから選ぶことができます。以下は実際に表示されている広告と広告フォーマットを表にまとめたものです。
広告フォーマット
詳細
画像
・1枚の画像(正方形、縦型、横型)と2,200文字以内のテキストのみで作成した広告
・「詳しくはこちら」「申し込む」「ダウンロード」「登録する」などユーザーの行動を促すコールトゥアクションの設定が可能になっている
動画
・正方形もしくは横型の60秒以内の動画と2,200文字以内のテキストで作成した広告
・画像広告同様、コールトゥアクションの設定が可能で、画像だけでは伝えることのできない動きを伝えたい商品やサービスで用いるとより効果的
カルーセル
・最大10枚のの画像もしくは動画を組み合わせた広告で、画像・動画広告同様に2,200文字以内のテキストも使用可
・画像や動画にそれぞれ異なるリンクを設定できるので、複数商品の紹介をする場合に効果的
・同じ商品やサービスの紹介する場合にも、画角を変えることで複数の訴求ポイントをユーザーへ提供することができる
ストーリーズ
・画像もしくは動画を用いた広告
・画像の場合は5秒の表示で、190文字以内でのみテキストを入れることが可能、一方で動画の場合は、1動画15秒以内のもので、テキストは動画内に組み込まない限り追加できない
・日本では、DAU(Daily Active User)のうち70%がストーリーズを使用しているので、ユーザーへのアプローチの機会が多いと考えられる
参考:#IGDAYTOKYO2019 日本でInstagramが愛される理由|Instagram 公式サイト
2つのターゲティング方法で個人にあった広告配信が可能に!
基本的なユーザー情報(性別や年齢、地域、興味・関心情報)の他に、Instagram 広告は、Facebook 広告と同様に2つのターゲティング方法を選ぶことができます。1つずつその特徴を解説していきます。
カスタムオーディエンス
類似オーディエンス
1.カスタムオーディエンス
カスタムオーディエンスでは、自社が保有しているユーザーデータもしくは Facebook が持っているユーザーデータを用いてターゲティングすることが可能です。
自社のデータを使用する場合、お客様の電話番号やメールアドレスをまとめたカスタマーリストとオンラインもしくはオフラインのアクティビティデータを準備する必要があります。
アクティビティデータには、オンラインの場合は Web サイトの訪問データ、アプリアクティビティと呼ばれるアプリ起動データがあり、オフラインには店舗への電話や来店情報などがあります。
Facebook のデータを使用する場合は、Facebook もしくは Instagram で何らかの接点をもっているユーザーへアプローチすることができます。データには以下のようなものがあります。
動画:Facebook もしくは Instagram で動画を再生した人
リード獲得フォーム:Facebook もしくは Instagram で自分のリード獲得フォームを開いた人、入力した人
インスタントエクスペリエンス:Facebook もしくは Instagram でインスタントエクスペリエンスを開いた人
Instagram:Instagram で広告やプロフィールにアクセスしたり、なにかアクションを実行した人
イベント:Facebook 上のイベントで参加、興味があるといったアクションをおこしている人
Facebook ページ:Facebook ページをフォローしているもしくは何かアクションをおこしている人
2.類似オーディエンス
類似オーディエンスとは、カスタムオーディエンスのリストに入っているユーザーと似ているユーザーへリーチできるターゲティング方法です。
既存のカスタムオーディエンスリストをもとに使用することができます。類似度を1%から10%で設定でき、小さい値にすればするほど類似度の高いユーザーへアプローチすることになります。
Instagram 広告の課金方式
Instagram 広告の費用は Facebook 広告の課金形式と同様で、基本的にはインプレッション課金と呼ばれるCPM(Cost Per Mille)を採用しています。キャンペーンによっては他の課金形式を取っているので以下の表にまとめました。
目的
キャンペーン
課金方式
認知
ブランド認知度アップ
CPM
リーチ
CPM
検討
トラフィック
CPM / CPC
アプリインストール
CPM / CPC
動画再生数アップ
CPM / ThruPlay ※1
リード獲得
CPM
投稿へのエンゲージメント
CPM
メッセージ
CPM
コンバージョン
コンバージョン
CPM
カタログ販売
CPM / CPC
来店数の増加
CPM
※1.ThruPlay とは、動画の再生完了数もしくは15秒以上の再生により料金が発生する課金方式です。
広告に用いた動画が15秒以下だった場合は、動画が最後まで再生された場合に課金され、15秒以上ある動画の場合は15秒以上再生されたら課金の対象になります。
誰でもできる Instagram 広告の配信方法
ここからはキャプチャを用いて Instagram 広告の配信方法を説明していきます。
1.Facebook ページの作成
こちらのページから Facebook ページを作成します。ページの名前、カテゴリは必須項目になっていて、説明は任意項目となっています。あとから変更することができます。
ページ作成画面
2.Facebook ビジネスマネージャアカウントの作成
Facebook ビジネスマネージャのアカウントはこちら のページから作成することができます。必要な情報は、ビジネスおよびアカウントの名前(会社名)と名前(氏名)、メールアドレスの3つです。
3.Facebook ページの追加
次にビジネス設定から Facebook ページの追加をおこないます。
ビジネスマネージャ画面右上のビジネス設定
画面左の Facebook ページから「ページを追加」を選択
先ほど作成した Facebook ページの URL を入力し、ページを選択した後に追加すると、承認されます。
Facebook ページの URL を入力
承認
4.Instagram アカウントとの連携
次に、Instagram のアカウントと Facebook のページを連携させます。Instagram のマイページから設定、アカウント、リンク済みのアカウント、Facebook をクリックします。
マイページ > 設定 > アカウントを選択
リンク先のアカウント > Facebook を選択
Facebook のログインを求められるので続ける、〇〇としてログインをクリックすると連携が完了します。
Facebook ログインをおこない連携する
5.Facebook 広告アカウントの作成
再び Facebook 広告マネージャのページから、広告アカウントを作成します。新しい広告アカウントの作成から、任意の広告アカウント名、通貨、時間帯、支払い方法を入力し、完了です。
ここまでで広告配信のためのアカウントの準備ができました。ここからは広告クリエイティブの作成や入稿方法についてを説明します。
6.広告の入稿
Facebook 広告マネージャの設定画面から、キャンペーンの設定をおこないます。左上のハンバーガーメニュー内の広告マネージャを選択します。
広告キャンペーンの中にある、+作成から新しいキャンペーンを作成します。
7.キャンペーンの作成
新しいキャンペーンは、認知や検討、コンバージョンの3つの段階の中から、さらに商品やサービスにあったものを選択します。
キャンペーンの選択
ここではトラフィック(ウェブサイトやアプリ、Facebook イベントなとどのリンクへの流入を増やすためのキャンペーン)を選びます。
キャンペーンの種類
その他に選べるキャンペーンは以下のようなものがあります。各キャンペーンについて簡単な説明とともに表にまとめたので参考にしてみてください。
横スクロールで詳細表示
キャンペーンを選んでからはキャンペーン名と詳細情報、予算などを決めていきます。予算は一日の予算もしくは通算予算から選ぶことができます。
キャンペーンの詳細設定
キャンペーンの予算設定
8.広告セットの作成
キャンペーンの基本的な情報を入力し終わったら、広告セットと呼ばれるターゲティング方法(オーディエンス)や配置の設定をおこないます。
キャンペーンでトラフィックを選択したので、ウェブサイトやアプリ、Messenger、WhatsApp のうち流入を増やしたいものを選択します。
Traffic のうち流入を増やしたいものを選択
その下部にある予算と掲載期間では、広告を配信する日程と予算を選択します。
予算と掲載期間の選択
オーディエンスの選択
オーディエンスは先ほど説明したユーザーの基本的な情報と「カスタムオーディエンス」もしくは「類似オーディエンス」を選ぶ必要があります。
オーディエンスの選択
配置の設定
配置では自動配置と手動配置があります。今回は Instagram でのみの配信を想定して、Instagram 以外のチェックは外しています。
配置の設定画面
配置と最適化
配置と最適化では以下の項目を選ぶことができます。目的にあったものを選んでください。
広告配信への最適化
詳細
ランディングページビュー
Web サイトやインスタントエクスペリエンスを読み込む可能性の高い人に広告を配信
リンクのクリック
広告をクリックする可能性の高い人へ広告を配信
インプレッション数
ターゲット層に含まれる人にできるだけ広告を配信
デイリーユニークリーチ
ターゲット層へ1日1回まで広告を配信
9.新規広告(クリエイティブ)の設定
広告名と広告に表示する名前、instagram のアカウントを選択します。
広告の設定では、広告フォーマット(形式)を選びます。この時にインスタントエクスペリエンスを追加することができます。
※インスタントエクスペリエンスとは、ユーザーが広告をタップするとフルスクリーンの専用画面が立ち上がり、画面サイズを目一杯使ったリッチな広告配信手法です。
インスタントエクスペリエンスにはテンプレートもあるので、自社の商品・サービスにあったものを選ぶことができます。
インスタントエクスペリエンスの選択
広告の設定の次にクリエイティブの設定をおこないます。広告配信するメディア(画像や動画)とリンク先、コールトゥアクションで表示する文言を選びます。
画面右側にプレビューが表示されるので、ユーザーへの見え方を確認してみましょう。
広告作成時にみれるプレビュー画面
10.支払い方法の設定
最後に支払い方法を選択、必要な情報を入力して公開するをクリック。そうすると審査中になるので、あとは審査の結果を待つのみです。
支払い方法を選択
Instagram 広告で個人に合わせた広告を!
商品やサービスの魅力を効果的にユーザーへ伝えることができる Instagram 広告。一人ひとりの趣味嗜好に合わせて調整される発見タブやストーリー、フィードに馴染む広告を用いて、お客様へアプローチをかけてみてはいかがでしょうか。
中でも Instagram の特徴でもある縦長の画像や動画を用いたダイナミックなストーリーズ広告は、最近注目度が高まっているので興味があれば是非お試しください。