広告運用や SEO の世界でよく聞く言葉「CTR」。言葉の意味や計算方法はもちろん、公表されている Google、Facebook 広告の平均 CTR をあわせて紹介いたします。
これさえ読めば、人前で話せるくらい CTR の知識が付き、理解が深まること間違いなしの内容です。ぜひご覧ください。
CTR(クリック率)とは
CTR とは、Click Through Rate の略語で、ユーザーに表示された回数(インプレッション数)のうち、ユーザーがクリックした回数の割合を計算したものです。
クリックスルー率やクリック率とも呼ばれ、広告運用や SEO の分野で多く用いられています。
CTR の計算方法
CTR は以下の計算式で算出することができます。
CTR(%)=クリック数÷広告の表示回数(インプレッション数)×100
例)クリック数が10回、広告の表示回数が1000回だった場合
10÷1000=1% となります。CTR が分かるとその広告の流入に対する成果を測ることができます。
広告がクリックされ、流入したとしても、コンバージョンの成果はランディングページの質も関係してくるので、区別して成果を捉える必要があります。
SEO 観点での CTR
SEO における CTR は主に検索結果の表示順位によって異なります。より上位掲載されているウェブサイトの方が高い CTR になります。以下は 掲載順位と平均 CTR をまとめた表になります。
検索順位 |
デスクトップ |
モバイル |
1位 |
35.07% |
32.78% |
2位 |
17.06% |
17.73% |
3位 |
10.56% |
11.77% |
4位 |
7.16% |
8.38% |
5位 |
5.1%% |
8.4% |
6位 |
3.75% |
4.85% |
7位 |
3.39% |
2.79% |
8位 |
2.15% |
2.49% |
9位 |
1.72% |
1.86% |
10位 |
1.42% |
1.43% |
参考:GOOGLE ORGANIC CTR HISTORY(International)|Advanced WEB RANKING(2020年3月データ)
1位表示されるとモバイル(携帯)、デスクトップ(パソコン)ともに、検索の約32%以上がクリックするという結果がでています。一方で4位以下になると10%を下回り、検索順位が10位に近づくにつれクリック率が減少しています。
広告運用観点での CTR
広告運用の観点での CTR は、検索されるキーワード、検索媒体・デバイス、地域、広告が表示される位置、広告テキストなどによって異なります。
SEO 観点で重要といった上位表示は、広告運用の観点でも同様です。もちろん、商品やサービスのジャンルによっても CTR に差はでてきます。
広告媒体のCTR(クリック率)平均値
ここからは、Google のデスクトップ、モバイル別の平均 CTR と Facebook の平均 CTR を表にしてまとめました。各媒体で広告を出稿する際には参考してみてください。
業種 |
Google(デスクトップ)
リスティング広告 平均 CTR |
Google(デスクトップ)
ディスプレイ広告 平均 CTR |
擁護団体 |
4.41% |
0.59% |
自動車 |
4.00% |
0.60% |
B to B |
2.41% |
0.46% |
カスタマーサービス |
6.05% |
0.72% |
e コマース |
2.69% |
0.51% |
教育 |
3.78% |
0.53% |
求人 |
2.42% |
0.59% |
金融・保険 |
2.91% |
0.52% |
健康・保険 |
3.27% |
0.59% |
家庭用品 |
2.33% |
0.49% |
産業サービス |
2.61% |
0.50% |
法律 |
2.93% |
0.59% |
不動産 |
3.71% |
1.08% |
技術 |
2.09% |
0.39% |
旅行・観光 |
4.68% |
0.47% |
データ参照元:Word Stream|Google Ads Benchmarks for YOUR Industry [Updated!]
業種 |
Google(モバイル)
リスティング広告 平均 CTR |
Google(モバイル)
ディスプレイ広告 平均 CTR |
芸術・インターネット |
5.01% |
0.84% |
自動車サービス・修理 |
3.76% |
0.36% |
業務サービス |
3.60% |
0.55% |
家電 |
3.70% |
0.60% |
建設 |
3.52% |
0.50% |
教育 |
4.45% |
0.48% |
金融 |
4.57% |
0.53% |
美容室 |
5.00% |
0.93% |
ヘルスケア |
3.79% |
0.51% |
家庭用品 |
3.50% |
0.76% |
インターネット・通信 |
3.05% |
0.57% |
法律 |
3.48% |
0.64% |
コンサルティング |
3.99% |
0.54% |
製造業 |
4.13% |
0.53% |
非営利団体 |
4.09% |
0.70% |
小売り |
4.25% |
0.57% |
交通手段 |
4.54% |
0.59% |
旅行・観光 |
5.36% |
0.61% |
データ参照元:Word Stream|Google Ads Mobile Benchmarks for YOUR Industry
業種 |
Facebook 広告 平均 CTR |
美容・フィットネス |
1.02% |
産業 |
0.89% |
金融 |
0.58% |
食品・飲料 |
1.20% |
趣味・余暇 |
0.93% |
家庭用品 |
0.71% |
インターネット・通信 |
0.68% |
職業・教育 |
0.55% |
ニュース |
1.05% |
社会活動 |
0.85% |
ペット・動物 |
1.68% |
不動産 |
0.98% |
科学 |
0.45% |
データ参照元:Word Stream|Facebook Ad Benchmarks for YOUR Industry [2019]
広告媒体や業種、モバイルとデスクトップによっても差がでてきます。また、媒体ごとに何を持ってインプレッションになるのかなども異なります。
自社のサービス内容によって、目標とすべき CTR は変わってくるので、総合的なコストを加味した目標設計が必要です。
CTR(クリック率)改善のための7つチェックポイント
ここまで、広告の CTR について簡単に説明させていただきました。
では実際に広告を配信した時に平均 CTR よりも下回っている場合や、目標値との乖離が大きい場合はどうすればいいのでしょうか。そんな時に見直すべき改善方法を7つに絞ってお伝えします。
1.キーワードは適切か
ここで説明するキーワードには2種類あります。1つは広告の管理画面で設定するキーワード、もう1つは、配信する広告テキストに含めるキーワードのことです。
リスティング広告の配信で設定しているキーワードは、ターゲットに対して漠然としていないか、検索クエリに対して自社の商品・サービスやランディングページでの訴求ポイントと本当にマッチしているかを確認することが重要です。
キーワードが適切でない場合、広告の品質が下がり、広告が表示されてもクリックされなくなり、結果として CTR が下がってしまいます。
広告の管理画面で設定するキーワードは、キーワードプランナーで関連度を見たり、キーワードのマッチタイプが部分一致になっていないかをみてみましょう。
部分一致であった場合、自分が意図していない検索クエリでの広告配信がされ、余計なコストをかけている場合があります。必要に応じて全く関係のないキーワードに関しては除外設定をおこなう必要もあります。
また、広告テキストに含めるキーワードについては、実際に検索されているキーワードが入っているか、検索したキーワードに関係のあるキーワードで広告テキストが構成されているかを確認しましょう。
広告テキストのキーワードについて悩んだら、ユーザーニーズの理解、ユーザー視点で考えてみると良いでしょう。
ユーザーが何を求めているか、どんな広告テキストなら魅力的で広告をクリックしたくなるのかを考えて作成しましょう。
2.ターゲット設定は適切か
キーワードの設定や広告テキストが改善できたら、次はターゲットをみていきましょう。ターゲットは、地域、年齢、性別の設定によって分けることが可能です。
想定していない、ターゲット範囲外の方に広告の表示があると、クリック率が下がるのは必然です。男性用の髭剃りの広告に女性がターゲット条件で入っているなどがないようにしましょう。
地域設定も自社サービスの対象となる範囲外の地域で広告の配信をしてしまうと、ユーザーはその広告からサービスを受けられないと判断し、クリックされなくなってしまいます。
3.訴求ポイントは合っているか
キーワード、ターゲットが適切に設定できたら、次に見るべきなのは訴求ポイントがユーザーの求めているものと合致しているかです。訴求ポイントとは、検索しているユーザーが抱えている不安・不満を指します。
まだ使用したことがない商品・サービスの購入を検討している場合は、「本当にこれでいいのだろうか」「購入後、他の魅力的な商品を見つけてしまったたどうしよう」などの不安があります。
一方で、類似の商品・サービスを一度以上使ったことがある場合は、「前回買ったものは自分の欲しい機能ががなかった」や「もう少し価格が安かったらいいのに」といった不満を抱えている可能性が高いです。
こういった不安や不満を広告テキストで取り除いてあげることがユーザーのクリックを促すことに繋がります。
それでは、不満や不安を知るためにはどうすればいいのでしょうか。弊社では広告運用者が広告配信を考えていお客様へヒアリングはもちろんのこと、自分自身で実際に商品・サービスを使用したり、既に使用しているメンバーへ一次情報のヒアリングをおこなっています。
企業の広告運用者の方であれば、エンドユーザーへの直接のヒアリングやアンケート調査をおこなってみるといいでしょう。そこで重要なのは、誘導するような質問を避け、回答しやすいフォーマットにすることが大切です。
また、ヒアリングやアンケートは工数がかかるので、すぐに情報を得たい場合は、Yahoo! 知恵袋や教えて goo などのプラットフォームを用いると良いでしょう。この2つのサイトに掲載されている質問を一気にみることができる、関連キーワード取得ツールもおすすめです。
実際に「リスティング 代理店」といれて検索をかけてみると、以下のような結果になっています。このようなニッチなキーワードの組み合わせでも、そのキーワードを含んだ質問は多くあり、ユーザーの不安や不満のポイントをみることができます。
関連キーワード取得ツール「リスティング 代理店」検索結果
そこで見えてきた不安や不満に沿った広告テキストを作成することで CTR が高い広告テキストに一歩近づくことができるでしょう。
4.具体的な数字、データがあり納得感があるか
前述した不安や不満の要素が明確にできたら、次にやるべきはそれを具体的な表現に落とし込むことです。
例えば、信頼をユーザーに伝えたいときに「業界 No.1 の実績」だけでは何が一番なのか漠然としていて分かりづらいですが、「100業種以上の運用実績あり!」という謳い文句であれば、よりリアリティがあって伝わりやすい表現になります。
このようにユーザーの不安と不満を解消することができる客観的な数値や実績をいれることもポイントになってきます。
検索クエリから、その裏にはユーザーのどういった意図があるのか、なにが納得してもらえる要素としてあるのかを考えてみましょう。
広告テキストでは検索してくれたユーザーに対して、説得するのではなく、納得してもらえるかを考えるのが大切です。
5.購買決定要因を明確にしているか
購買決定要因とは、購入をするか決めるポイントを指します。「この商品を買うとき、これが満たされなかったら(わからなかったら)買わないだろう」という要素のことです。
これは、検索しているユーザーや企業が提供する商品・サービスによって異なりますが、ある程度のグループ分けはできます。以下は弊社で用いている購買決定要因を各商品・サービスカテゴリ別で表にしてまとめたものの一部です。
横スクロールで詳細表示
比較的どのカテゴリにも当てはまるのは、サービス提供可能地域、商品であれば店舗などの場所的な要素です。また、急な要望があるようなサービス(鍵の紛失や水道トラブル)などは24時間対応可能かなどが購買決定要因になっています。
この購買決定要因も、ユーザーが検索した時に具体的にどういった状況にいるのか、何を示してあげれば満足するのかを考えて、広告テキストを考えると良いでしょう。
6.広告表示オプションは追加されているか
広告表示オプションは、Google 広告、Yahoo! 広告にそれぞれありますが、その種類は異なります。以下は2つの広告媒体におけるオプションになります。
横スクロールで詳細表示
※1.2020年1月以降使用不可。
オプションを追加することで、広告テキストだけでは伝えられなかったメリットを訴求できる上、広告が表示された時の範囲も大きくなり、より目に止まりやすくなります。
Google と Yahoo! に共通してある、広告の下に他のリンクを貼ることができる、サイトリンクオプションもしくはクイックリンクオプションは、ユーザーへより細かい情報を伝えることができるので設定をおすすめします。
もちろんこの設定で関係のないリンク先を設定することのないようにしましょう。あくまで、広告テキストの補助として使うことができることを理解した上での設定が必要です。
7.遷移先のランディングページは検索クエリとマッチしているか
最後にお伝えするのが、ランディングページについてです。
検索結果には直接の関係ありませんが、このランディングページが検索クエリや広告テキストとマッチしていない場合、離脱に繋がり広告の質は低く評価されてしまいます。
広告の質が低くなると、表示回数の減少にも繋がるので適切なランディングページを用意しておきましょう。
CTR をあげることができても遷移先のランディングページで着実にコンバージョンが生まれないと元も子もないので、最終的な結果を見据えた CTR の改善に励んでいきましょう。
CTR(クリック率)はこれで完璧
CTR 入門編として、解説してきましたが少しでもお役に立てたでしょうか。CTR という単語1つでもここまで奥深く、改善方法も様々です。
広告運用者であれば、CTR という指標は基本中の基本だとは思いますが、まずはこの記事で土台となる知識をつけられたと思ってくれましたら幸いです。