建設業界、特に解体工事の一括見積もりサービスで事業を展開する株式会社アールアンドエーブレインズ様。同社と弊社キーワードマーケティングとのお付き合いは、15年近くに及びます。
コロナ禍で競合が激化し広告のパフォーマンスが低迷する中、ある施策をきっかけにV字回復を達成。今回は、マーケティングの中心を担う中野様、市川様、そして弊社の運用担当者である志村を交え、長年にわたるパートナーシップの理由と、成功の裏側にあった取り組みについて詳しく伺いました。
※本インタビューは25年9月に実施しました。以下は取材当時の内容です。
事業と役割分担について

―― まず、御社の事業内容について教えてください。
中野様
解体工事希望者に対し、独自の厳格な審査を通過した優良解体業者を紹介するマッチングサイトを運営しています。無料での一括見積もりに加え、補助金申請サポート、業者へのお断り代行、工事完了保証まで無償で提供しています。また、自治体と連携し、空き家の活用や売却等を支援する相談窓口事業も行っています。
―― お二人の部署やチーム内での役割についても聞かせていただけますか。
中野様
私は、理事・運営責任者として、事業全体の運営を取りまとめています。
市川様
私は、マーケティング部のマネージャーとして、広告のみに限らずオウンドメディアの運営やコンテンツの制作、またお客様にお送りするステップメールなどのマーケティング業務全体を担当しています。
運用代行を依頼いただくまでの背景

―― キーワードマーケティングに運用代行を依頼いただく前、どのような体制でデジタルマーケティングに取り組んでいらっしゃいましたか。
中野様
キーワードマーケティングさんに運用代行を依頼する以前は、弊社の代表である鈴木が、Webサイトの構築から広告出稿、ランディングページ(LP)の作成まで、デジタルマーケティングに関する全ての業務を一手に引き受けていました。当時はまだ社内にマーケティング専門の部署はなく、代表自身が先行者として様々な情報収集や試行錯誤を繰り返していましたね。
市川様
私が担当するようになったのは後ほどですが、その頃は今よりもはるかに広告運用が手動での作業が多く、キーワード一つ一つに対して細かな設定が必要だったと聞いています。代表一人でその膨大な作業を回していくのは、相当な労力だったと思います。
―― そのような状況の中で、キーワードマーケティングに運用代行を依頼いただくことになった具体的な経緯を教えていただけますか?
中野様
はい。当時、代表の鈴木がキーワードマーケティングの前会長である滝井さんの著書を拝見したり、セミナーに参加したりする中で、その専門知識とキーワード広告に関する深い洞察に強く惹かれたと聞いています。滝井さんはまさにキーワードマーケティングの先駆者として業界で広く知られており、その知見と実績に対する信頼が非常に厚かったんです。
代表自身も「信頼できる方に任せたい」という強い思いがあり、それがキーワードマーケティングさんに運用代行を依頼する決定打となりました。当初は私たちも細かい部分までは把握できていなかったのですが、数ある代理店の中からキーワードマーケティングさんを選んだのは、その専門性と信頼性が決め手だったと認識しています。
―― その後、中野様や市川様が広告運用に携わるようになったのはいつ頃からでしょうか?
中野様
キーワードマーケティングさんとの取り組みが始まって数年後、代表の鈴木が他の事業で多忙になり、マーケティング業務に手が回らなくなってきました。そこで「マーケティング部門を立ち上げたい」という構想が持ち上がり、私がまず広告関連業務を引き継ぐことになったのが2011年頃です。当時は、すでにキーワードマーケティングさんへの運用代行自体はお願いしている状況で、私はその連携や基本的な管理業務を担当しました。
市川様
私はその約2年後、2014年頃に中野から広告運用を含むWebマーケティング全般を引き継ぎました。中野が担当していたのが主に広告運用の確認や管理だったのに対し、私はマーケティング部門の立ち上げから関わり、Web周りの戦略を根本から見直す役割を担うことになりました。実質的に、本格的なマーケティング部が発足したのは私の代からと言えるかもしれません。
運用中の取り組みについて

―― 市川様が担当されてから現在まで、キーワードマーケティングの運用担当者である志村との連絡頻度や情報共有はどのように行われていますか?
市川様
志村さんに担当いただく少し前から、現在の週次報告の体制が確立されました。毎週、運用状況のご報告をいただくとともに、「このような状況だと思います」という志村さんなりの仮説や考察も添えてくださるので、現状を深く理解するのに役立っています。突発的な動きや何かイレギュラーな事態が発生した際には、すぐに連絡をいただけるので、非常にきめ細やかな情報共有ができていると感じています。
―― 志村さんは、報告の際に工夫されていることはありますか?
志村
はい。数字のフォーマットは確立していますが、特に意識しているのは「数字が悪い時」の報告です。なぜ見込みよりも低くなったのか、競合の動きはどう影響しているのかなど、お客様が最も心配されるであろう点、気になるであろう点を先回りしてご説明するよう心がけています。根拠に基づいた説明をすることで、不安の解消に繋がればと考えています。
広告運用における調整
―― 競合との状況や地域ごとの特性を踏まえた様々な施策や取り組みがあったかと思いますが、特に印象に残っている施策や、課題に感じた点などがあればお聞かせください。
市川様
最もインパクトが大きかったのは、2023年4月〜5月頃の自動入札の再導入です。実は2020年のコロナ禍以降、特に2021年あたりから、私たちの業界も大きく変化しました。リアルでの顧客接点が減少したことで、他のサービスや事業者もWeb集客に力を入れ始め、広告の競合が爆発的に増加したんです。その結果、広告のパフォーマンスが著しく悪化し、かなり低迷していた時期に志村さんが担当として入ってくださいました。
地域ごとの対策

―― 自動入札の再導入に際し、地域ごとの対策や工夫はありましたか?
志村
はい、そこは特に慎重に進めました。以前に自動入札でうまくいかなかった経緯があったため、再提案のハードルが高いことは承知していました。そこで、まず「前回なぜうまくいかなかったのか、今回はどう改善するのか」という点を具体的にご説明し、お客様の不安を払拭することに注力しました。
また、段階的な導入を提案しました。例えば、当初はコンバージョン数やインパクトの大きい東京以外のエリアから導入を開始し、成果を確認しながら徐々に東京にも広げていくという形です。地域ごとに競合状況も目標CPAも異なるため、それぞれの状況に合わせた入札調整や予算配分を行いました。これにより、リスクを最小限に抑えつつ、効果を最大化できると考えました。
市川様
地域ごとの調整で言うと、キーワードマーケティングさんの方でも弊社の事情を汲んでくださっています。問い合わせ件数だけでなく、弊社が成約に繋げられる確率も地域によって異なるため、例えば一都三県のような主要都市では、より多くの広告費を投下できるよう調整をお願いしています。キーワードマーケティングさんは、そうした弊社の事業状況も考慮して、きめ細かく対応してくださるので助かっています。
広告カスタマイザの活用
―― 地域ごとのきめ細やかな調整について、志村さんの方で具体的に行っていることはありますか?
志村
はい、技術的な側面で言えば、広告カスタマイザの活用があります。以前は地域名を広告文に直接入れる形で対応していましたが、現在は広告カスタマイザという機能を用いて、ユーザーが検索した語句に合わせて、より関連性の高い地域名や情報を動的に広告文に表示できるようにしています。これにより、ユーザーにとってよりパーソナライズされた広告文が配信され、広告の関連性とクリック率の向上に繋がっています。
また、各地域の目標CPA(顧客獲得単価)を考慮した入札調整はもちろんのこと、競合の出現状況も常に監視しています。例えば、ある地域で成果が伸び悩んでいる場合は「今、こういう競合が出てきているので、ここに対抗策を打ちましょう」と提案したり、逆に「今はCPAが高騰してしまうので、少し抑えめにいきましょう」といった具体的なアドバイスを地域ごとの状況に合わせて行っています。

―― 広告文の変更やその他の施策で、CPC(クリック単価)など指標に大きな変動があった施策はありますか?
市川様
詳細なCPCの変動まで細かく追いきれていない部分はありますが、自動入札と広告カスタマイザの導入、そして志村さんが提案してくれた広告文の改善によって、全体のパフォーマンスが劇的に向上したのは間違いありません。特にコロナ禍で競合が増え、CPAが悪化していた状況から、一気にコンバージョンが増加し、目標を達成できたのは、まさにこれらの施策が複合的に作用した結果だと認識しています。
中野様
そうですね、特に代表の鈴木が以前から重視していたランディングページの改善やSEO対策に時間を割けるようになったのも、キーワードマーケティングさんに広告運用を安心して任せられたからこそです。広告から流入したユーザーの体験を最大化することで、CPCだけでなく、全体の顧客獲得効率が向上していると感じています。
これまでの弊社に対する総評

―― 長年にわたるお付き合いの中で、運用担当の志村への評価をお聞かせいただけますか?
市川様
志村さんには、僕らが広告運用で低迷していた時期に担当として入っていただきました。第一印象は「おとなしい方だな」と感じたので、「ガツガツいかないと厳しい広告運用を改善できるのかな?」と、正直なところ不安に思ったこともありました。これは勝手な見た目の判断で申し訳ないのですが(笑)。しかし、日々のやり取りやご報告の内容を通じて、その印象は完全に払拭されました。
志村さんは、定量的なデータはもちろん、その背景にある定性的な分析もきちんと提示してくれます。さらに、メリットだけでなくデメリットやリスクも隠さずに伝えた上で、それに対する具体的な対策までセットで提案してくれるんです。僕らがお願いしたことに対しても、すぐにできること、時間がかかることなどを明確に答えてくれる。そして、私たちの専門的な業界知識をごまかさずに「ここは分かりませんでした」と正直に伝えてくれる姿勢を見ていると、本当に真面目に、私たちの事業のことを考えてやってくれているんだなと伝わってきます。点数をつけるのは難しいですが、心から信頼していますし、本当にありがたい存在です。

中野様
私はしいて点数をつけるなら、10点満点中9点です!
志村
かなり高得点ですね!ありがとうございます。
中野様
もちろん、市場状況などによる変動もあるので、今後への「伸びしろ」として1点を残しておきます(笑)。キーワードマーケティングさんのサービス全体にも満足していますが、何より担当の志村さんが素晴らしい。自動化が進む時代だからこそ、インプットしたお客様の声を広告文の改善提案に活かしてくれたり、「どうすればもっと成果を出せるか」という視点で常に考えて行動してくれているのが伝わってきます。そうした姿勢が、9点という評価に繋がっています。
―― これまでの運用内容全体を振り返って、総評をお願いします。
市川様
総じて、非常に満足しています。特に、長年の運用の中で、キーワードマーケティングさんが単なる広告運用代行業者ではなく、弊社のマーケティング全体を底上げしてくれるパートナーとして機能してくれた点が大きいです。広告運用を安心して任せられるからこそ、私たちはキーワードマーケティングさんから学んだ知識を活かしてオウンドメディアを立ち上げ、SEO対策を強化するなど、事業の成長に直結する活動に注力できました。
中野様
私も同意見です。弊社の代表がかつて一人で膨大なキーワードを手動で管理していた時代を考えると、現在の効率的かつ成果の出る運用はキーワードマーケティングさんなしでは実現できませんでした。広告運用のプロフェッショナルとして、常に市場の変化に対応し、最適な提案を続けてくれたことに感謝しています。特に、コロナ禍で厳しい状況に陥った際に、志村さんが具体的な施策でV字回復に導いてくれたことは、弊社の歴史の中でも大きな出来事として記憶されています。

―― 今後、キーワードマーケティングそして志村に期待することがあればお聞かせください。
市川様
直近では、現在ご提案いただいているLP改善プロジェクトの成功に大きく期待しています。ここがボトルネックになっていると感じているので、この改善がうまくいけば、集客の流れが大きく変わり、弊社のマーケティング戦略全体をブラッシュアップできると確信しています。 この業界は、お客様にとって「不安が多い」という側面があります。これまで私たちは「丁寧に情報を開示して信頼を得る」というスタンスでホームページを作成してきましたが、最近は「ライトで分かりやすく、でも情報量は少ない」といった競合サイトも見られます。正直なところ、どちらが今のユーザーにとって理想的なのか見えていない部分もあるので、今回のLP改善を通じて、このスタンスがどう変化していくのか、大きな足掛かりになると思っています。
中野様
私からは、これまで同様「良きパートナー」として、弊社の成果をより上げるためにはどうすべきかという視点で、分析と改善提案を継続していただきたいです。 加えて、期待する部分としては、「先を見て、動きを予測した積極的な提案」です。最近の技術進歩は目覚ましく、私たちだけで最新のトレンドを追い続けるのは正直難しいと感じています。キーワードマーケティングさんの得意分野として、いち早く情報をキャッチし、時には堅実なだけでなく、「このような新しいチャレンジはどうでしょう?」といった未来志向の提案をしていただけると嬉しいです。他社の追従ではなく、自社が先駆者となって成功事例を創出できるような、そういった攻めの姿勢も期待しています。
今後の展望とマーケティング方針

―― 最後に、アールアンドエーブレインズ様の今後のマーケティング方針、そして事業全体の展望についてお伺いできますでしょうか。
市川様
はい。弊社のマーケティングの軸は、やはり広告運用です。これが核となり、そこからSEOが派生しているような状況です。広告運用のパフォーマンスが良いと、SEOも引き上げられる相乗効果があると感じています。ですので、まずはこの広告運用の拡大を第一に考えています。
現在、弊社の一括見積もりサービスは、まだ全国で10エリア程度の展開に留まっており、残りの37都道府県では配信できていない状態です。ここを拡大できれば、広告集客の底上げが実現し、結果的にSEOの強化にも繋がると考えています。
加えて、YouTubeやSNSといった多様な媒体での露出も今後は必要不可欠だと認識しています。将来的には、以前キーワードマーケティングさんからもご提案いただいた「PR」にも力を入れ、最終的には弊社のブランド力を高めていきたいと考えています。
中野様
その通りです。私たちは「解体工事」という領域で事業を展開しているので、「解体工事といえばこのサイトを使おう」「そういえば、あのサービスがあったな」と、ユーザーに真っ先に想起してもらえるような存在になりたいと考えています。ネット上での解体工事サービスにおいて、シェアNo.1と言えるような、そういったサービスや団体になることが最終的な目標です。キーワードマーケティングさんとのパートナーシップを通じて、この目標を共に実現していきたいと考えています。
―― 本日はありがとうございました!



