カーナビのリーディングカンパニーとして、長年にわたり移動の快適性と楽しさを追求してきたパイオニア株式会社。同社のソフトウェア開発を担うモビリティサービスカンパニーは、ハードウェアの枠を超えた新たな価値提供を目指し、スマートフォンアプリの開発にも注力しています。
その一つが、同社のカーナビ技術を凝縮したカーナビアプリ「COCCHi(コッチ)」。そして今回、新たな挑戦として市場に投入されたのが、バイク専用ナビアプリ「MOTTO GO(モットゴー)」です。
カーナビゲーションの世界で「カロッツェリア」ブランドで絶大な信頼を誇るパイオニア株式会社。同社が新たに挑むのは、バイク向けナビアプリ市場。しかしそこには、有料ナビアプリ市場のシェアをほぼ100%占める、圧倒的な競合が存在していました。
今回は、この困難なプロジェクトを推進するパイオニア株式会社 モビリティサービスカンパニーの辰己様にインタビューを実施しました。目標に対し、弊社キーワードマーケティング(以下、KWM)の運用担当者・吉田がどのように向き合い、いかにして「事業の当事者」としてコミットしていったのかご紹介します。
※本インタビューは25年6月に実施しました。以下は取材当時の内容です。
なぜKWMだったのか?「当事者意識」が築いた揺るぎない信頼

―― まず、弊社に広告運用を依頼いただいた背景をお聞かせください。
辰己様
すべての始まりは、先行してローンチしたカーナビアプリ「COCCHi」の支援をお願いしたことでした。当時、アプリマーケティングの肝となる計測ツール「AppsFlyer」を深く理解し、広告運用に活用できている代理店は多くありませんでした。その点、KWMさんは専門知識と運用体制が整っており、経験豊富な吉田さんをアサインしてくれたのが大きな決め手でした。
「COCCHi」のプロジェクトでは、吉田さんの働きぶりに驚かされました。我々のやりたい世界観を汲み取り、人手が足りない部分を常に先回りして「これどうですか?」と提案してくれる。年末のタイトなスケジュールにも「根性で」やり切ってくれたり(笑)。まるで「本当に社員の一人」のように、同じプレッシャーを感じながら事業の成功にコミットしてくれたんです。
この圧倒的な当事者意識とスピード感から得られた絶大な信頼があったからこそ、「MOTTO GO」という新たな挑戦でも、迷わずKWMさんにお声がけしました。
「正面から戦わない」シェア100%の市場に挑むための戦略

―― 「MOTTO GO」のプロジェクト開始時、どのような市場分析と戦略を立てましたか?
辰己様
「MOTTO GO」が挑むバイク市場は、「COCCHi」の自動車市場とは全く異なりました。バイク市場ではパイオニアのブランド認知は低く、「パイオニアさんですか、カーナビの方を頑張ってください」と言われるほど(笑)。何より、有料ナビアプリ市場には、ユーザーの支持を完全に集めた「一強」と呼べるサービスが存在し、そのシェアはほぼ100%でした。
真正面から機能や価格で戦っても消耗戦になる。そこで我々は「戦わない戦略」を選びました。競合のヘビーユーザーを奪うのではなく、徹底的に『ワクワク感』をユーザーが体験できるコンセプトを打ち立て、差別化されたポジショニングを取ることにしました。つまり、「バイクに乗るときの『ワクワク感』を味わいたい」という多くのライダーが潜在的に持つ想いに応えることで、新しい価値をライダーに届け、結果としてMOTTO GOというサービスをライダーの選択肢の一つに加えていただくことを戦略の軸にしました。
この戦略をKWMさんに話したとき、吉田さんは単なる運用者として聞くのではなく、瞬時に事業戦略を理解し、「そのワクワク感を伝えるためには、たとえば、ツーリングに興味があるユーザーセグメントには、バイク系のインフルエンサーさんが、実際にMOTTO GOを使ってツーリングを楽しんでいる動画でアプローチしましょう」と、ユーザー視点に立った具体的なプランニングを提案してくれました。この戦略と運用を高いレベルで両立できるパートナーシップが、プロジェクトの成功に不可欠でした。
「時は来た」――勝負の1ヶ月、高速PDCAが目標達成を導いた

―― 2024年11月に大規模なプロモーションを実施されました。その背景には何が?
辰己様
バイクには特有のシーズナリティ(季節性)があり、寒くなる12月〜2月は利用者が激減します。つまり、春のバイクシーズンに向けてユーザーを獲得するには、11月が最後の勝負のタイミングでした。
8月から10月にかけて吉田さんが徹底的にテスト配信を繰り返し、高精度なターゲットセグメントを特定。インフルエンサー動画という「武器」も揃い、満を持して「今しかない」と、11月に予算を集中投下することを決断しました。
当時の緊迫感は相当なもので、吉田さんとは2、3日に1回はミーティングを実施し、日予算の段階的な引き上げを判断していました。日々の予算を10万円単位で引き上げるような状況で、当然CPA(顧客獲得単価)高騰のリスクと隣り合わせです。しかし、吉田さんはどんな急な依頼にも「待ってました」というスタンスで即応してくれました。問題が起きても、すぐに要因の仮説と打ち手を先回りして共有してくれる。そのおかげで、我々も常に冷静な判断を下し、高速でPDCAを回し続けることができました。結果として、困難な市場環境の中で目標ダウンロード数を達成することができたのです。
事業成功の鍵は「誰が担当するか」。パートナーへの評価と未来への期待

―― 最後に、弊社や担当者への評価と、今後の期待についてお聞かせください。
辰己様
これまでの経験から断言できるのは、事業の成功は「誰が担当してくれるか」で決まる、ということです。その点、吉田さんは最高のパートナーです。彼はいい意味で「広告オタク」で、常に最新情報を学び、課題解決に向けて一緒に成長していける存在です。無理な目標に対しても決して「NO」と言わず、「どうすればできるか」を共に考えてくれる。その姿勢に、これまで何度も助けられました。
KWMさんは、私たちの事業を自分事として捉え、同じ熱量で走ってくれる、かけがえのない存在です。「MOTTO GO」を通じて、バイクが持つ本来のワクワク感を一人でも多くのユーザーに届けるため、これからも最高のパートナーとして、よろしくお願いします。
―― 本日はありがとうございました!
