Google Merchant Center を用いたショッピング広告の運用では、商品のフィードの改善が重要です。フィード内容を広告担当者だけで自由に変更できない場合、補助フィードやフィードのルールを活用すると、多くの商品データを一度に編集することができます。
この記事では、Google ビジネスプロフィールのゴールドプロダクトエキスパートである長谷川翔一さんが、ヘルプを見ただけでは操作方法が分かりにくい補助フィードやフィードのルールの活用方法を、実際の管理画面の画像を用いてとにかく分かりやすく紹介します。
100件以上の Google ショッピング広告を担当し、Google Merchant Center のデータフィードのアレンジによる成果改善を数多く実現。
目次
Google Merchant Center は、EC サイトのショップ情報や商品情報、送料などを登録/管理できるツールです。Google Merchant Center に情報を登録すると、Google ショッピング広告を配信できるようになります。
Google Merchant Center に商品データを登録すると、ショッピング広告や無料リスティングを配信するための商品情報のデータソース「メインフィード」が作成されます。
これから「Google Merchant Center」を始める方は、以下の関連記事をご覧ください。
▼Google Merchant Center の記事はこちら
Google Merchant Centerとは?できることや開設・商品登録方法も紹介|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング
ショッピング広告に必要な Google Merchant Center の基礎と設定方法を解説します。2020年にリリースされた Google の無料リスティングへの掲載も Merchant Center の設定が必須になるので、この記事を参考にしてみてください!
Google Merchant Center の商品情報を編集する方法は、以下の3つです。
以下はそれぞれの編集方法について、メリットとデメリット、活用できるポイントを表にまとめたものです。
編集方法 | メリット | デメリット | 活用シーン |
---|---|---|---|
直接編集 | ・確実かつ簡単に変更 できる | ・作業に手間がかかる ・直接編集した商品の 情報は、フィードの ルールや補助フィー ドへの変更を受け付 けなくなる | ・少ない件数の不承認 の画像を差し替える ・少ない件数の固有商 品 ID(GTINなど) を追加する |
フィードのルール | ・一つのルール設定で 一括変更できる ・編集する内容の管理 や調整が楽 ・新しく商品が追加 されても自動で適用 される | ・商品ごとの細かな 設定が難しい ・商品情報に法則性が ない場合に活用 しにくい ・自動で適用されて しまう | ・すべての商品やジャ ンルごとに、固有の キーワードを商品 タイトルに挿入また は修正する ・商品カテゴリの修正 や追加 |
補助フィード | ・一つのファイルで 一括変更できる ・フィードのルールよ り操作がシンプル ・商品一つ一つに固有 の値を一括で変更 できる | ・個別のファイルを 作成する手間が かかる ・商品が追加されるた びにファイルの 登録や変更が必要 | ・多数の不承認画像を まとめて差し替える ・多数の固有商品 ID をまとめて登録する ・多数の商品タイトル に、個別の修正を 加える |
1、2件のデータを手軽に細かく設定するときにおすすめなのが直接編集、多数の件数を一括で変更するときにおすすめなのがフィードのルールです。補助フィードは直接編集とフィードのルールの中間にあたります。
Google Merchant Centerの管理画面が、新しいバージョンの「Google Merchant Center Next」になっている場合、フィードのルールと補助フィードを使用できません(2024年6月時点)。
従来のGoogle Merchant Center と 新しいGoogle Merchant Center Next は、どちらか片方しか利用できません。フィードのルールや補助フィードを今すぐに利用したい場合は、従来の Google Merchant Center に切り替える必要があります。
Google Merchant Center Next を従来の Google Merchant Center に切り替える方法は こちら をご確認ください。ただし一度切り替えると、再び Google Merchant Center Next にアップグレードはできないので注意しましょう。
UPDATE
2024年6月、Google Merchant Center Next における補助フィード、フィードのルールと似た機能のヘルプが公開されました。今後 Merchant Center Next でも補助フィードやフィードのルールと似た機能を利用できる可能性があります。
参考:Set up your attribute rules | Google Merchant Center
参考:Set up custom data source matching | Google Merchant Center
まずは、補助フィードのデータの作り方と設定手順を解説します。
補助フィードを作成する際は、スプレッドシートや CSV ファイルで更新したい商品情報をまとめたデータを作成する必要があります。
アップロードするデータは、データ更新の頻度によって形式を選びましょう。データ更新が1回だけで完結する場合は CSV ファイルを、「毎月、商品タイトルの先頭に入れるキーワードを変える」など、定期的に内容を更新したい場合はスプレッドシートを使うと便利です。
ただし、スプレッドシートは連携したファイルを定期的に参照し続けるため、連携ファイルの破棄やおかしな変更を加えないように注意しましょう。
以下は、 ID が「123」のものと「1246」の商品について、タイトル(title)と商品説明(description)を変更し、商品ブランド(brand)を追加した場合のデータの見本です。ID 以外の情報は、更新したいもののみ記載すれば問題ありません。
id | title | description | brand |
---|---|---|---|
123 | テディベア | 黄色のテディベア | KWM Bear |
1246 | ブレンダー | 12段階の速度調節機能付きミキサー(黒) | KWM kitchen |
データを作成する際のポイントは2つに分けられます。
1つ目は ID 属性の値を正確に記載することです。データフィードの更新は ID を目印に実行されるため、ID がないとデータの更新ができなくなります。また、ID は大文字と小文字が区別されるため、メインフィードの ID と正確に一致するように記載しましょう。
2つ目は補助フィードの見出し(1行目)を、正確な属性名で記載することです。更新する属性の見出しは、定められた属性の名称と正確に一致している必要があります。属性名が分からない場合はこちらをご覧ください。
※2024年6月に、ID 以外の属性を目印にした補助ルールの機能「カスタムフィード照合」のヘルプページが公開されました。実際の管理画面ではまだ確認できていませんが、今後ブランドなどの他の属性を目印に補助フィードを利用できる可能性があります。
商品情報の更新や編集が完了したら、補助フィードを設定します。
1. Google Merchant Center にログインし、画面左のメニューバーで「商品」の配下にある「フィード」をクリックしましょう。
2. 以下の画面に切り替わったら、下部の「補助フィード」欄にある「補助フィードを追加」をクリックします。
3. 補助フィード名をつけて、以下の3種類から補助フィードのデータ形式を選択しましょう。
アップロードの場合は、「フィードファイル名」箇所にファイル名を入力して「ファイルを今すぐアップロードする」を選択し、「ここにファイルをドロップ」で作ったファイルをアップロードします。
4. 最後に、補助フィードを適用するメインフィードを選択すれば完了です。
続いて、フィードのルールの設定手順を紹介します。
フィードのルールは「データソース」と「修正」の2つを設定でき、両方使うこともあります。新しくデータを追加したり、別の属性データや処理前のデータを利用したりするときは「データソース」を、情報の一部追加や修正は「修正」を用いると便利です。
今回は、設定手順の後で、具体的なルール設定例も紹介します。
1. Google Merchant Center にログインし、左メニューの「商品」配下にある「フィード」を選択します。
2. フィードのルールを設定したいメインフィードを選択すると画面が切り替わるので、「フィードのルール」タブを選択しましょう。
3. 画面中部の青い「+」ボタンをクリックし、ルールを設定したい属性を追加します。1属性につき1つまでしかルールは作成できないので注意が必要です。すでにルール作成済みであれば、既存のルールをクリックすると編集できるようになります。
データソースを新たに取得する場合は画面左の「ソースを追加」を選択しましょう。取得方法には条件を設定する方法と、以下の画像にある「次に設定」と「取得」、「最新の値を使用」の3種類の演算子から1つを指定する方法があります。
以下の表は、3種類の演算子について、それぞれの機能をまとめたものです。
演算子の種類 | 演算子の機能 |
---|---|
次に設定 | メインフィードや補助フィードから取り込んだ値や、特定のキーワードをオリジナルの値として自由に組み合わせて、属性データを設定する |
取得 | 単語が当てはまった場合、その当てはまった値を属性データに使用する |
最新の値を使用 | 価格と在庫状況に関連する属性の場合に利用できる |
新たに修正のルールを追加する場合は、画面左の「修正を追加」をクリックします。
クリックすると以下のような画面に遷移するので、条件や修正演算子を使って、属性データを変更しましょう。「先頭に追加」や「検索と置換」といった修正演算子を用いると、タイトルの特定の語句を追加/変更したり、商品データの仕様に合わせてデータを修正したりできます。
以下の表は、よく用いられる修正演算子の一例をまとめたものです。
演算子の種類 | 演算子の機能 | 使用ケース例 |
---|---|---|
先頭に追加 | タイトルの先頭に任意のキーワードを追加 | タイトルの先頭に「母の日ギフト」を追加 |
最後に追加 | タイトルの最後に任意のキーワードを追加 | タイトルの最後に「ブラック」を追加 |
検索と置換 | タイトル内の任意のキーワードを検索し、別のキーワードに置き換えたり削除したりできる | タイトル内の「送料無料」を削除 |
標準化 | 性別や状態、年齢層などの決められた値だけを設定したり、置き換えたりできる | 「性別」を選択し、タイトルのデータソースから取り込んだ「レディース」という値を「女性」に置換 |
4. フィードのルールを設定すると、画面の右側にルール適用後の結果が表示されるので、結果を見ながらルールを調整しましょう。右上の虫眼鏡マークに ID を入れると、特定の商品の反映結果を見ることもできます。
5. フィードのルールの設定が終わったら、右上の「下書きとして保存」をクリックしましょう。「適用」を押さない限り、ルールは下書き状態のままです。
6. 「変更をテスト」をクリックすると、実際にフィードのルールが適用される前に、適用結果や適用数、変更後の承認状態を事前にチェックできます。大規模な修正をする際には、必ずテストしておきましょう。
7. 「フィードのルール」の一覧画面に戻り、「適用」をクリックすれば、設定したルールが適用されます。保存したルールはまとめて適用されるので、一つずつ適用したい場合は、その都度保存と適用を繰り返しましょう。
続いて、具体的なシーン別のフィードのルールの設定例を紹介します。
いずれも先ほど紹介したフィードのルールの設定方法を応用することで設定できるため、ぜひ試してみてください。
フィードのルールを使うことで、タイトルや商品説明に広告向きの特定のキーワードを追加したり、ブランド属性にブランド名を追加したりできます。
今回は「タイトルに特定のキーワードを追加する」方法を紹介します。タイトル以外の属性で編集をおこなう場合は、手順1で選ぶ属性を変えてください。
1. フィードのルールの設定画面にある「+」ボタンをクリックして「タイトル」属性を選択します。
2. フィードのルールの「修正を追加」から「先頭に追加」を選択しましょう。
3. 「入力または選択」欄に、追加したい値(キーワード)を入力して適用させれば、変更が反映されます。追加する値の前後に半角スペースや【】を入れておくと、追加時に不自然なデータになりにくくなります。
特定のキーワードを追加する際に条件を設定すると、条件を満たすデータだけに修正を適用できます。
「条件」のプルダウンから条件の対象データを選択し、左から2番目のメニューで「次を含む」や「次と等しくない」などの条件を選択しましょう。一番右のメニューで条件を入力することで、フィードのルールを適用する商品を絞り込めます。
タイトルに入っていると不承認になるテキスト(「送料無料」など)を削除したり、検索ユーザー向けの表現に書き換えたりする場合にも、フィードのルールを利用できます。
1. フィードのルールの設定画面で、修正したい属性を選択します。
2. 「修正」の「修正を追加」を選択します。
3. 「検索と置換」を選択し、「検索」に変更する対象の元テキストを、「次に置換」に変更したいテキストを入力します。
4. 入力した内容に誤りがないことを確認して「OK」を押しましょう。
5. 右側のテスト結果で正しく設定できているか確認し、「下書きとして保存」をクリックします。最後にフィードのルールを適用させれば完了です。
Google 商品カテゴリは、ショッピング広告の成果改善にもつながる重要な属性です。誤った値を設定していると広告が不承認になる場合もあるため、フィードのルールを用いて適切な値に修正しましょう。
1. フィードのルールの設定画面を開き、「+」ボタンをクリックして「Google 商品カテゴリ」を選択します。
2. データソースの「ソースを追加」を選択し、「ソースを編集」の条件で「入力または選択」をクリックして「タイトル」を選びましょう。
3. 「次を含む」の横の「入力または選択」欄に絞り込み条件のキーワードを入力したら、「次に設定」の下の「入力または選択」をクリックし、変更後の Google 商品カテゴリの値を入力します。
4. 商品カテゴリを設定したら「OK」を押し、右側のテスト結果で正しく修正できているか確認しましょう。「下書きとして保存」をクリック後、フィードのルールを適用させれば完了です。
Google 商品カテゴリは、Google によって定義されたカテゴリ ID もしくはテキストしか利用できません。また、各商品につき1つのカテゴリしか設定できない点にも注意が必要です。
Google 商品カテゴリの一覧は Excel 版とテキストファイル版があり、いずれもこちらのページからダウンロードできます。事前に一覧データをダウンロードして、近いカテゴリを見つけておきましょう。
他の属性データを使ってデータを修正することもできます。複数の値を一度に修正する場合は、利用してみましょう。
今回はタイトルのデータを抽出、修正して商品カテゴリを追加してみます。
1. フィードのルールの設定画面を開き、「+」ボタンをクリックして「入力または選択」の処理済みの属性の入力欄で、対象の属性を選択します。
2. データソースの「ソースを追加」を選択したら「ソースを編集」で「取得」を選びます。タイトルや説明文など抽出するソースを選択し、テキストボックスで取得する単語を登録しましょう。
3. 修正を追加して、商品カテゴリをより正確な値に修正したら「OK」を押しましょう。
4. テスト結果を確認して「下書きとして保存」をクリック後、フィードのルールを適用させれば完了です。
性別属性や年齢層、状態は決められた値があり、ショップ側で自由に設定できません。
これらの値を間違えて登録してしまうと不承認になってしまったり、正しいターゲティングの妨げになってしまうので、修正する必要があります。
性別属性や年齢層は、共通の方法で修正できます。ここでは商品タイトルに「スカート」がある場合、性別属性を修正する方法を紹介します。
1. 該当するフィードでフィードのルールの設定画面を開き「+」ボタンをクリックします。「入力または選択」の「処理済みの属性」を選択しましょう。
2. プルダウンが表示されるので「性別」を選択します。
3. 以下のような画面が表示されるので、データソースの「ソースを追加」をクリックします。
4. 「ソースを編集」の下にある「条件」をクリックし、「入力または選択」のプルダウンから「タイトル」を選びます。
5. 「次を含む」の横の「入力または選択」欄に、絞り込み条件のキーワード(今回は「スカート」)を入力します。
6. 「次に設定」を選択後、配下に表示される「値を追加」をクリックし、値(今回は「女性」)を選択しましょう。
7. 「OK」をクリックし、右側のテスト結果を見て、正しく変換されるか確認します。
8. 設定が完了したら「下書きとして保存」をクリックして、フィードのルール一覧の画面に戻ります。テストを実施後「適用」をクリックすれば、設定は完了です。
年齢層属性を修正する際も、前述の性別属性を修正する方法と同様の方法で修正が可能です。
例えば、商品説明に「キッズ」が含まれる商品の年齢層属性を「子供」に修正する場合は、「入力または選択」の処理済みの属性の入力欄で「年齢層」を選択し、以下のような条件を設定して修正をおこないます。
・選択する項目名:description(=商品説明属性)
・「入力または選択」欄に入力する絞り込み条件のキーワード:キッズ
・「値を追加」箇所で選択する値:子供
年齢層は Google によって以下のルールが決められているため、商材によって最も適した値を登録してください。
年齢層属性 | 該当する年齢 |
---|---|
新生児 [newborn] | 生後0~3か月。 多くの場合、新生児サイズは月齢(0~3)または「新生児」と いう値で識別される。 |
乳児 [infant] | 生後3〜12か月。 多くの場合、乳児サイズは月齢(3~12)で識別される。 |
幼児 [toddler] | 1〜5歳。 多くの場合、幼児サイズは月齢(12~24)または年齢(1~5)で識別される。 |
子供 [kids] | 5~13歳。 多くの場合、子供サイズは年齢(5〜13)で識別される。 |
大人 [adult] | 通常は13歳以上。 この年齢グループに当てはまるサイズの商品は、すべて大人または13歳以上の子供に合うように製造されたものとなる。 |
最後に、データフィード上の商品情報を編集する際に注意すべき点を3つ紹介します。設定時のトラブルを防ぐためにも、よく読んで理解しておきましょう。
フィードの編集方法には優先順位があり、フィードのルールや補助フィードよりも、フィードの直接編集が優先されます。そのため、直接編集で変更した商品タイトルを後からフィードのルールで変更しようとしても、その商品タイトルだけ変更を受け付けなくなります。
商品情報をフィードのルールや補助フィードを用いて変更する際は、直接編集したものが作業対象に含まれていないかを確認しておくのがよいでしょう。
フィードのルールの適用対象を「処理済みの情報」にした場合、補助フィードで登録した情報をフィードのルールが書き換えてしまうことがあります。
意図しない変更が加えられる危険性もあるため、フィードのルールを用いて商品情報を更新する場合は、ルールの適用対象を確認したうえで作業することをおすすめします。
Google Merchant Center の自動更新を有効にしていると、ウェブサイトの最新の情報にあわせて、商品データの価格や在庫状況などが更新されることがあります。
意図した商品データが表示されていない場合、こちらを参考に商品の個別ページを確認してください。
補助フィードやフィードのルールを活用すると、無料リスティングやショッピング広告のスムーズな運用に役立ちます。
今回は比較的簡単なフィードのルールの活用方法を紹介しましたが、より高度な工夫もできます。関連記事では、その他の活用方法も紹介しているので、併せて読んで理解を深めましょう。
Google Merchant Centerの「フィードのルール」とは?活用と設定方法を紹介|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング
Google 広告のフィードのルールとは、エラーの解決や、情報量を増やすために使用し、Google Merchant Center に送信されたフィード情報を広告主が定めた任意のデータ仕様(商品データ仕様)に変換する機能です。「フィードのルール」を設定するだけで、情報の追加や修正ができ、Merchant Center 内で完結します。
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