動画広告と言えば、YouTube 動画の最初に出てくる5秒の短い広告を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。ユーザーとして YouTube を利用していると少し厄介と感じるものもしばしば。
しかし、YouTube は 他の動画プラットホームに比べ、ユーザー数が格段に多く利用者層も幅広いため、動画広告を配信するのであれば YouTube 広告を一番に考えるべきです。
今回の記事では YouTube 広告の基本となる、広告フォーマットや課金方式、ターゲティング方法、広告配信するための設定方法までをキャプチャを用いて解説します。
これを読めば YouTube 広告がしっかりと理解できる内容になっているので是非ご覧ください。
動画広告市場とYouTube 利用者数率の増加
近年、右肩上がりな動画広告市場。YouTube や TikTok といったプラットホームの伸びもありますが、広告配信面の増加や広告フォーマットの種類も増え、動画広告のクリエイティブ作成のハードルが下がったことも要因としてあります。
以下は2019年12月にサイバーエージェントが発表した、動画広告の市場調査のデータです。2018年の過去のデータから2023年にかけて予想データもあり、今後も伸びてくる市場であると捉えられます。
画像引用元:2019年国内動画広告の市場調査を実施|株式会社サイバーエージェント
動画広告市場の中でも最も注目したいプラットホームは、ユーザーの利用率が高い YouTube です。総務省が2019年に発表した、平成30度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書によると、YouTube の利用率は全世代平均で75.7%となっています。
各世代別に見ると、10代は圧倒的な91.5%という数値になっています。さらに20代から50代をみても70%以上の利用率を保っており、60代でも40.5%が利用しているとのデータがあります。
参考:平成30度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書|総務省
このような背景から今後ますます動画広告、中でも YouTube 広告は、ユーザーへ対して身近になっていくと考えられます。YouTube 広告を始めるにあたって理解しておきたい基本事項を次から紹介していきます。
YouTube 広告には、他の広告媒体と同様に目的やキャンペーン(広告フォーマット)、課金方式、ターゲティング方法があります。YouTube 広告独自のものもあるので、詳しくご説明いたします。
YouTube 広告の目標は6種類
YouTube 広告におけるキャンペーンの目標は全部で6種類あります。キャンペーンの目標を指定せずに広告を作成することもできます。目標を設定することで、それにあったおすすめのキャンペーンが表示され選択することができます。
YouTube 広告のキャンペーンの目標
キャンペーンとキャンペーンのサブタイプ
目的を選んだら次に選択するのは、キャンペーンとキャンペーンのサブタイプです。名称が似ていますが、全く別のものなので注意が必要です。
キャンペーン
キャンペーンは広告フォーマットのことを指します。キャンペーンは全部で7種類あり、キャンペーンを設定することで広告の掲載先や利用できる設定が異なっていきます。
Google 広告のキャンペーン
キャンペーンのサブタイプ
キャンペーンを選ぶことで選択肢は変わってきますが、ここでは YouTube 広告の話をメインにしているので、キャンペーンで動画を選択したときに選ぶことができるサブタイプについて詳しく説明いたします。
YouTube 広告のキャンペーンのサブタイプ
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課金方式
次に広告フォーマット毎の課金方式をみていきます。広告フォーマットとキャンペーンのサブタイプは同じ名称のものもあるので、注意が必要です。広告フォーマットとは、動画広告における表示のされ方のことです。以下に広告フォーマットと課金方式を表にしてまとめました。
|
広告フォーマット |
課金方式 |
広告枠 |
認知 |
バンパー広告 |
CPM |
YouTube広告およびGoogle 動画パートナー |
TrueViewリーチ |
スキップ不可のインストリーム広告 |
アウトストリーム動画広告 |
vCPM |
マストヘッド |
CPD/CPM |
YouTube |
比較検討 |
TrueViewインストリーム |
CPV/ブランドリフトの最大化 |
YouTube広告および Google 動画パートナー |
TrueViewディスカバリー |
クリック課金 |
Youtube |
行動 |
TrueViewアクション |
CPA とコンバージョン数の最大化 |
YouTube 広告および Google 動画パートナー |
- CPM(Cost Per Mille):広告の1,000インプレッションごとに課金される方式
- vCPM(viewable Cost Per Mille):ユーザーが視認可能になった広告(※1)を1インプレッションとし、その状態で1,000インプレッションあった場合に課金される方式
- CPD(Cost Per Day):日数ベースでカウントし課金される方式
- CPV(Coet Per View):広告視聴1回ごとに課金される方式
- ブランドリフトの最大化:Google の機械学習と継続的なブランド効果測定に基づいて、購入の検討につながる可能性が高いユーザーに対して配信する方式
- CPA とコンバージョン数の最大化:指定の予算を消化しつつ、最大限のコンバージョンが得られるように、入札価格を自動調整する方式
※1.ユーザーが視認可能になった広告とは、 2秒以上にわたって 50% 以上の範囲が表示された広告を指します。
参考:視認性とアクティブ ビュー レポートの指標について|Google 広告ヘルプ
ターゲティング方法
ターゲティング方法は基本的には他の Google 広告と同様です。選択できるものを表にしてまとめたので設定の際の参考にしてみてください。
ターゲティング方法 |
詳細 |
地域(国、都道府県、市区町村、その他) |
- |
年齢 (18-24,25-34,35-44,45-54,55-64,65-,不明) |
- |
性別(男性、女性、その他) |
- |
パソコン、モバイル、タブレット、テレビ画面 |
GDN のテレビ画面は、Chromecast やゲーム機などを指す。 |
世帯年収 |
- |
アフィニティ |
既存リストより選択。 ※1 |
カスタムアフィニティ |
キーワードや URL を入力。 |
購買志向の高いオーディエンス |
既存リストより選択。※2 |
カスタムインテントオーディエンス |
キーワードや URL を入力。 |
リマーケティング |
サイト内での行動をもとにする。 |
類似ユーザー |
既存顧客に興味・関心が似ているユーザーを対象とする。 |
トピックターゲット |
既存リストより選択。※3 |
キーワードによるコンテンツターゲット |
キーワードに関連のあるコンテンツへ自動的に配信。 |
手動プレースメント |
広告配信するサイト、広告枠を指定。 |
※1.既存リスト詳細:スポーツ、フード、エンターテイメント、美容、旅行、買い物好きなど
※2.アパレル、不動産、家電、旅行、求人など全19種類
※3.エンターテインメント、インターネット、ショッピング、スポーツなど全832種類
購買志向の高いオーディエンス一覧、アフィニティ一覧、トピック一覧についてはこちらの記事からホワイトペーパーをダウンロードすることができます。ぜひご活用ください。
YouTube 独自の方法として、YouTube アカウントと広告アカウントとの連携(リンク)があります。連携すると、チャンネルにアクセスした人の操作(いいね等)をした人へ広告を配信することができます。また広告を見た後におこなった操作に関する分析情報を得ることもできます。
YouTube 広告の掲載の設定方法
ここからは YouTube 広告の基本的な設定方法を、管理画面のキャプチャを用いて説明します。
Google 広告管理画面の新しいキャンペーンの作成から目標、キャンペーン、キャンペーンのサブタイプを選択します。キャンペーンのサブタイプに関してはキャンペーンの設定次第で他の項目も選ぶことができますが、ここでは「目標を設定せずにキャンペーンを作成する」を選び説明いたします。
新しいキャンペーンを作成
目標とキャンペーンを設定
キャンペーンのサブタイプを設定
入札戦略は、上限広告視聴単価もしくは目標インプレッション単価などから選ぶことができます。キャンペーンによって選べる項目は異なります。予算は、キャンペーン合計もしくは日別での設定になります。キャンペーンの合計を選ぶ場合は、日程の終了日を定める必要があります。
入札戦略、予算、期間、配信面の設定
必要に応じて、その他の設定からデバイスや広告のスケジュール(曜日や時間帯の指定)をしましょう。B to B の商材の場合は土日祝日は、配信設定をオフにするなどを検討しても良いでしょう。
その他の設定
次に広告グループの設定です。広告グループではユーザーの属性からキーワードやトピックなどを設定します。
ユーザー層の設定
オーディエンスの設定
キーワードの設定では配信する動画広告にあうキーワードを入力する他に、競合サイトの URL を入力し、そこから参考となるキーワードを抽出する方法があります。
キーワードの設定
キーワードとトピック、プレースメントでターゲットの絞り込みをおこないます。YouTube 動画やチャンネルでもプレースメントを設定することができます。
トピックの設定
プレースメント、入札単価の設定
最後に動画の設定をおこないます。動画は事前に YouTube 上にアップロードしておく必要があります。広告の管理画面で動画の URL やタイトルで検索すると選択肢にでてきます。
動画を選択した後に、広告のフォーマットと遷移先の URL、URL の表示を設定します。右側にはモバイル版とデスクトップ版(パソコンでの見え方)がプレビューとして表示されます。問題なければ、キャンペーンの作成をクリック。
配信動画の設定
目標や入札戦略など間違いがなければ、キャンペーンに進むをクリックすると、キャンペーンは有効化されます。
確認画面
以上で YouTube 広告の配信設定が完了しました。
YouTube 広告はこれでバッチリ
動画広告の代名詞 YouTube 広告ですが、まだまだ馴染み薄いのが正直なところです。自社の目標とあえば使用しても良いかと思います。
ただし、動画広告のために一から動画の撮影や編集を始めるとなるとトータルコストを考えた時にあまりオススメできないのが実際のところです。なので、現在動画作成の素材となるものが手元にあり、検索広告やディスプレイ広告などを運用していても、予算的に余裕があったり、新しいことにチャレンジしてみたかったりする場合は是非ともご検討していただきたく思います。