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YouTubeのブランドリフト調査とは?最低限必要な費用や設定方法、実施前に確認しておきたい注意点まとめ

YouTube は世界的に最も使用されている動画サービスの1つです。Google の親会社アルファベット社の2022年4月から6月期の決算によると、その広告売上は73億4000万ドル(約1兆48億円)にものぼり、年々伸び続けています。

参考:Alphabet Announces Second Quarter 2022 Results

Google 広告を運用されている方であれば、認知施策のために YouTube 広告を「検討している」または「実施した」という方も多いのではないでしょうか。

一方で、検索広告やバナー広告と比較して、動画を使った広告はクリックが獲得しにくく、成果の判断が難しい配信メニューです。特にコンバージョン目的ではなく、認知拡大などブランディング目的であれば、より KPI 設定が難しいかもしれません。

しかし、そんな中で動画キャンペーンの広告の効果測定方法として、Google 広告が用意しているものの1つにブランドリフト調査があります。YouTube を見ていると出てくる広告枠に出てきたアンケートがブランドリフト調査です。今回は、そのブランドリフト調査の概要と設定方法を紹介します。

ブランドリフト調査とは

ブランドリフトとは、ブランディングや認知向上を目的とした広告の成果指標の1つです。その広告に「接触したユーザー」と「接触していないユーザー」とに分け、認知度や好感度、購買意欲にどれくらい差があるかで判断します。YouTube 広告におけるブランドリフト調査は、広告枠に表示される短いアンケートです。

ツールと設定  > 測定 > ブランド効果測定 > + >ブランドリフト調査の作成

ブランドリフト調査の目的

ブランドリフト調査は、Google 広告の動画キャンペーンの成果を測る目的で実施されます。特定の期間で配信をおこなう YouTube 広告が、認知度の向上や購買意欲の向上などユーザーの態度変容にどれくらい影響があったかを計測できます。

その結果として動画のクリエイティブやターゲティングごとの成果を分析し、次のキャンペーンに向けて改善をおこなうことができます。

ブランドリフト調査の要件

ブランドリフト調査の配信設定をおこなう前に、調査に必要な項目を確認しましょう。

ブランドリフト調査をおこなう広告キャンペーン

YouTube のブランドリフト調査は Google 広告で動画広告を配信していることが前提になります。そのため動画キャンペーンやクリエイティブは事前に準備する必要があります。

またターゲティングは、リーチを出すために一定以上の配信量が必要なので、広めに設定することをオススメします。

ブランドリフト調査をおこなう際に必要費用

動画キャンペーン以外に、ブランドリフト調査をおこなうための特別な費用はかかりませんが、正確な調査のためには一定の広告配信・広告予算が必要です。

ブランドリフト調査の実施には、質問1つの場合、最小でも10日間で15,000 USD(日本円で180万円から200万円)が必要と Google は提示しています。つまり、日に20万円前後になります。

また、この基準を超えていてかつ必要な回答数を集めることができたら、調査は1日で終了することもあります。大きな予算が動く施策なので、事前の承認や設定内容の確認は、より綿密にしましょう。

参考:ブランド効果測定を設定する|Google 広告 ヘルプ

ブランドリフトの調査項目

ブランドリフト調査では以下の調査ができます。下に向かうほど、ブランドリフトの検出が難しくなります。また、広告想起率と認知度は複数選択が可能です。

  • 広告想起率(最近動画広告を見たことがあるのはどれ?)
  • 認知度(次のうち知っているものはどれ?)
  • 比較検討(次のうち使用を検討したいものはどれ?)
  • 好意度(次のうち良い印象を持っているものはどれ?)
  • 購入意向(次のうち1つしか使用できないとしたら第一候補はどれ?)

実施する動画キャンペーンに求める効果を再確認しながら、調査項目の選定をしましょう。「まずはブランドリフト調査を実施してみたい」というニーズであれば、検出が簡単な広告想起率や認知度からはじめましょう。

ブランドリフトの設定方法

ブランドリフト調査をする際は、Google 広告の担当者に連絡をして機能を開放してもらう必要があります。機能の開放には、およそ1週間程度かかります。ブランドリフト調査の話が出たら早めに連絡しましょう。ここでは、機能開放以降の設定方法を紹介します。

機能開放をすると、右上の「ツールと設定」の中の「測定」の項目内 に「ブランド効果測定」が追加されます。

ツールと設定  > 測定 > ブランド効果測定

次に「ブランド効果測定」から、「+」をクリックし、「新しい商品またはブランド」を選択します。

商品名またはブランド名を任意に設定し、今回対象とするキャンペーンを選択します。このとき、選択するキャンペーンは「配信中」または「配信前」で、ステータスが「停止」でないものにしましょう。

停止のキャンペーンを選択すると、調査が「無効」のステータスになります。対象のキャンペーンが正常に配信されていても、調査が動作しない可能性があります。

ツールと設定  > 測定 > ブランド効果測定 > +

この「新しい商品またはブランド」の中に調査を追加します。最初に調査の名前を設定します。

後で調査を追加することもあるため、開始日を設定しておくと良いでしょう。アンケートの言語を設定したら、準備したアンケートを追加します。

質問項目を作成する際に、アプリやブランド、サービスなど商品またはブランドタイプは、業種ごとに質問項目が用意されています。合致するものがあれば使用しましょう。

ツールと設定  > 測定 > ブランド効果測定 > + > アンケートの質問

ここまでの内容を保存したら、ブランドリフト調査の設定は完了です。ブランド効果測定のステータスが「無効」になっていないか、もう一度確認しましょう。

ブランドリフト調査の運用方法

ブランドリフト調査の設定が完了したら運用開始です。ステータスが「無効」になっていないか、正常に動いているかを確認しましょう。

Google 広告管理画面

予算が不足していたりターゲティングが狭いと、ステータスが「無効」になり、広告は配信されていてもブランドリフト調査が動かないこともあります。この場合は動画キャンペーン設定の修正が必要です。

また、ブランドリフトが検出される前に調査のステータスが終了することもあります。予算や日程に余裕がある場合は、ブランドリフト調査作成から追加をして、再度調査を動かさなければいけません。

ブランドリフト調査の注意点

ブランドリフト調査の設定そのものは、決して難しくありません。ただし、調査を正確に実施するには配信前に確認したい注意点があります。

一定以上の予算が必要

ブランドリフト調査を正確におこなうには、調査を実施するキャンペーンで、一定以上広告を露出させ、一定以上の調査回答を集める必要があります。

1つの質問で調査をおこなう場合は、10日間の最小予算額が180万円から200万円、つまり最低でも、1日の配信予算が18万円から20万円ほど必要になります。この基準を下回ると、ブランドリフト調査が配信されない、または停止します。

もちろん、検出されたブランドリフトの率が高いほど、つまり「広告配信されたグループ」と「そうでないグループ」の回答差が大きいほど、必要な回答数が少なくなり、短い期間と少ない費用でブランドリフトの検出を確認可能です。

一方で、差が少ないと、有効なデータとして判断するためにより多くの回答数が必要になり、長い期間と多くの予算を必要とします。予算が足りずに調査が中断してしまった、とならないように事前に確認して準備しましょう。

ブランドリフト調査以前のデータは反映されない

ブランドリフト調査をする以前に、動画キャンペーンをおこなっている場合もあるかと思います。キャンペーンの途中からブランドリフト調査を開始することも可能です。

ただ、「広告配信されたユーザー」と「そうでないユーザー」のグループ分けは、ブランドリフト調査が始まったタイミングでおこなわれます。ブランドリフト調査の開始以前に広告配信されたユーザーが、開始後に配信されていないグループに分類される可能性もあります。

より正確にブランドリフト調査をおこないたい場合は、キャンペーンのスタートから同時にブランドリフト調査を開始することがオススメです。

ブランドリフトが起こらないこともある

問題なく配信がおこなわれても、「ブランドリフトの検出なし」という結果になる場合があります。広告が「配信されたグループ」と「配信されなかったグループ」でアンケート結果に差がない場合、このような調査結果として表示されます。

配信をおこなったキャンペーンで、差が出なかった原因は以下が考えられます。

  • クリエイティブに原因があった
    • 配信動画に課題があり、配信した動画が印象に残らなかった
    • ユーザーに変化を与えるような内容になっていなかった
  • ターゲティングに原因があった
    • 今回の調査項目は動画配信前から高い認知度や好感度を獲得していて、差がつかなかった
  • 質問項目に原因があった
    • 設定した競合が調査項目ですでに高い数値を獲得していて、回答が偏った

予算や配信期間に余裕がある場合は、再度追加調査を実施したり、質問項目や競合の変更を検討してもいいかもしれません。

サーチリフト調査は広告主で設定できない

Google 広告ではブランドリフト調査の他に、サーチリフト調査も実施可能です。サーチリフトは、「動画広告を見たユーザー」と「そうではないユーザー」で、オーガニック検索にどれくらいの差があるかを調査できます。

ブランドリフト調査と比較すると、実際にユーザーが行動しているため、より求めている成果に近く、効果を実感しやすい調査です。

一方で、ブランディング観点ではブランドリフト調査よりも難易度が高く、必要費用も多くなると予想されます。サーチリフト調査は、ブランドリフト調査のように広告主で設定したり、調査結果の確認ができず、すべて Google 側の作業となります。

サーチリフト調査をしたい場合は、ブランドリフト調査を Google 担当者に依頼するときに一緒に相談し、調査キーワードの選定から設定してもらう必要があります。

ブランドリフト調査を実施してみよう

ブランドリフト調査の設定そのものは決して難しくありません。また、評価が難しい動画キャンペーンの成果を確認できる有効な調査です。

一方で、必要な予算が大きく、目的なく単発で調査をするだけでは、動画キャンペーンの評価以上の学びがないというリスクもあります。

ブランドリフト調査を実施したい動画キャンペーンの目的が、認知向上なのか、比較検討に乗せたいのか、それ以外なのかを明確にしましょう。

そして、目的に沿ったアンケート内容を作成しましょう。動画キャンペーンの目的がブレなければ、クリエイティブやターゲティングの PDCA に有効に機能する調査になるでしょう。

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記事を書いた人

林 ひかり
林 ひかり

広告運用 コンサルタント

2020年1月に広告運用コンサルタントとして入社。新卒で入社した不動産会社向けシステム会社で、気づいたらマーケティング担当になっていて、サイト運営や広告運用などいろいろ携わった元”なんでも屋のぼっちマーケター” 広告運用以外だとGoogleAnalyticsとZapierが好き。鈴木愛理とハロプロに支えられ、毎日楽しく広告運用してます。

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