Google 広告の新たなキャンペーンタイプとして注目を集めているデマンドジェネレーションキャンペーン。「聞いたことはあるけど、いまいちよく分からない・・・」「P-MAX と何が違うの?」「どう活用すれば成果が出るの?」そんな疑問をお持ちではありませんか?
今回は、デマンドジェネレーションキャンペーンの基本的な仕組みから P-MAX との違いを詳しく解説します。
記事の後半では、デマンドジェネレーションに関するよくある質問とその回答を紹介します。あわせてご確認いただき、活用のヒントとしてお役立てください。
※本記事は、3/18に開催したセミナー「混同しやすいP-MAXキャンペーンとの違いも解説 デマンドジェネレーションキャンペーン徹底解説セミナー」の内容を読みやすく文章化したものです。
目次
まず、以下の3つを軸にデマンドジェネレーションキャンペーンの特徴を紹介します。
デマンドジェネレーションキャンペーンの最大の特徴と言えるのがその配信面です。
YouTube や Discover、Gmail といった Google が提供する独自の配信面に広告を掲載できる点が、デマンドジェネレーションキャンペーンの大きな特徴です。また2025年3月のアップデートにより、GDN(Google ディスプレイネットワーク)も配信面として追加されました。
一般的な Google ディスプレイネットワーク(GDN)では、さまざまなウェブサイトに広告が表示されるため、中には品質の低いサイトに掲載され、ユーザーからの信頼感を損うほか、コンバージョンにつながりにくいケースも発生します。こうした配信面を除外するには、追加の設定作業が必要となります。
一方、デマンドジェネレーションキャンペーンでは、Google 独自の信頼性の高い配信面に絞って広告を配信できるため、ブランドイメージを重視する企業にとって重要なメリットと言えるでしょう。
デバイスや地域などの基本的な設定に加え、デマンドジェネレーションキャンペーンではキーワードや URL を指定し、それらに関心のあるユーザーをターゲティングできる「カスタムセグメント」を活用できます。
特にデマンドジェネレーションキャンペーンではキーワードを指定することで、そのキーワードで過去に検索したユーザーに広告配信ができます。
すでに配信している検索広告でリーチできる範囲が限られている場合や、より高い購買意欲を持つユーザー層にアプローチしたい場合などに、カスタムセグメントを活用することで、コンバージョンする可能性の高いユーザーに絞って配信できる可能性があります。
デマンドジェネレーションキャンペーンで使える広告フォーマットは、主にこの3つです。
フォーマット | 特徴 | 注意点 |
---|---|---|
シングルイメージ 広告 |
最もシンプルな形式で、 画像1枚を使用して訴求 |
YouTube のインストリーム 広告には配信されない |
カルーセル広告 |
2枚から10枚の画像を設定。 ユーザーがスワイプして閲覧 できる形式 |
YouTube のインストリーム 広告や YouTube ショートには配信されない |
動画広告 |
静止画よりも情報量が多く、 音や動きを活用した訴求ができる |
Gmail に配信されない |
このように、フォーマットによって配信面が異なる場合があります。だからこそ、まずは複数のフォーマットをテストしてみて、自社の商材やサービスに合った、成果の出るフォーマットを探していくことが効果的です。
最初から「画像だけ」「動画だけ」と限定せず、成果に応じて最適なフォーマットを見極めていきましょう。
デマンドジェネレーションキャンペーンを導入するメリットとして、特に重要な4点をご紹介します。
先ほど紹介したように、YouTube や Gmail などGoogle 独自の信頼性の高い配信面に広告を掲載できる点がデマンドジェネレーションキャンペーンの大きな強みです。
ディスプレイ広告のように品質の低いサイトへ配信されるリスクが低く、ブランドイメージを守りながら広告運用が可能となります。また、プレースメント除外などの細かな設定も不要で、運用の負荷も軽減されます。
近年、サードパーティークッキーの規制強化により、ターゲティング精度の維持が課題となっています。
デマンドジェネレーションキャンペーンでは、Google アカウントが保有する検索履歴やサイト閲覧情報などのファーストパーティーデータを活用することで、クッキーに依存せずに高精度なターゲティングを実現できます。
Google 広告では2023年8月以降、デマンドジェネレーションキャンペーン以外のキャンペーンでは類似セグメントが利用できなくなりましたが、デマンドジェネレーションキャンペーンでは引き続き類似セグメントが設定できます。
類似セグメントとは、既存顧客リストなどを Google にアップロードし、その顧客と似た特徴を持つ新規ユーザーに広告を配信できるターゲティング手法です。
既存顧客に近い属性のユーザーに効率よくアプローチできるため、新規獲得を目指すうえで有効な手段です。
これまで、YouTube ショートに広告を配信できるキャンペーンは、動画アクションキャンペーンやアプリキャンペーン、P-MAX など一部のキャンペーンに限られていました。
また YouTube ショートへの配信を「アプリがないから無理・・・」「P-MAX は自動すぎてコントロールが難しいから不安・・・」といった理由で、ためらっていた方もいるかもしれません。
デマンドジェネレーションキャンペーンなら、こうした制約を気にせず YouTube ショートへの広告配信ができ、商材やサービスを問わず、ショート動画を視聴するユーザー層にも幅広くアプローチできます。
デマンドジェネレーションキャンペーンは、toC と toB のいずれの商材でも効果的に活用できます。キーワードマーケティングでの配信事例をいくつかご紹介します。
これは、toC 向けの商材でリード獲得を目指してデマンドジェネレーションキャンペーンとディスプレイキャンペーンを同時に配信した事例です。
キャンペーンの種類 | 広告費 | CV | CPA |
---|---|---|---|
デマンドジェネレーション | ¥250,000 | 200 | ¥1,250 |
ディスプレイ | ¥300,000 | 90 | ¥3,333 |
デマンドジェネレーションキャンペーンはディスプレイ広告よりも広告費が少ないにもかかわらず、CV 数は2倍以上、CPA も低く抑えられる結果となりました。検索行動に基づいたターゲティングや、信頼感のある配信面が効果を発揮した結果だと考えられます。
続いて、toB 向けの商材で資料請求の件数増加を狙った事例です。デマンドジェネレーションキャンペーンとディスプレイキャンペーンを同時配信しました。
キャンペーンの種類 | 広告費 | CV | CPA |
---|---|---|---|
デマンドジェネレーション | ¥350,000 | 10 | ¥35,000 |
ディスプレイ | ¥200,000 | 5 | ¥40,000 |
広告費はデマンドジェネレーションキャンペーンの方が高かったものの、CV 数 と CPA ともに良好な結果となりました。
特に注目すべき点は、資料請求で獲得したリードの質が非常に高く、その後の相談に至った割合も高かったことです。これは、配信面の品質の違いが影響していると考えられます。
ディスプレイ広告の場合、質の悪いサイトからの誤クリックなどによって CV の質が下がるリスクがある一方、デマンドジェネレーションキャンペーンはこうしたリスクが低く、質の高いリードにつながりやすいといえます。
デマンドジェネレーションキャンペーンは、基本的に PC よりもスマートフォンへの配信量が多く、表示回数や広告費がスマ-トフォンに偏る傾向があります。
ただし、toB 商材の場合、商談や問い合わせにつながるのは PC 経由であるケースが多く、スマートフォンに偏りすぎると成果が見えにくい状況になることもあります。
先ほどの toB 商材の事例では、もともと1つのキャンペーンでスマートフォンと PC の両方に配信していたものを「スマートフォン専用」「PC 専用」の2つに分割し、PC キャンペーンにも十分な予算を配分することで、PC 経由の配信量を確保しました。
その結果、PC からの成果もしっかりと得られるようになりました。デマンドジェネレーションキャンペーンは配信面だけ見ると「toB には向いていないのではないか?」と思う方もいるかもしれませんが、このようにデバイスの配信をコントロールしたり、リードの質まで含めて評価したりすれば、十分に活用できる可能性があります。
デマンドジェネレーションキャンペーンとよく比較されるのが、P-MAX(パフォーマンス最大化キャンペーン)です。どちらも幅広い配信面を使えるイメージがありますが、大きな違いがあります。
P-MAX は、入札、ターゲティング、配信先がキャンペーンの目標に合わせて自動で設定される、自動化が進んだキャンペーンです。デマンドジェネレーションキャンペーンと P-MAX の主な違いは、配信先、オーディエンス設定、そしてレポート機能にあります。
機能 | デマンドジェネレーション キャンペーン |
P-MAX キャンペーン |
---|---|---|
入札戦略 |
|
|
配信先 |
|
(YouTube ショートを含む) |
オーディエンス | 指定できる |
指定できない ※オーディエンスシグナルの 設定は可能 |
レポート | クリエイティブ単位のレポートの確認ができる | どのクリエイティブでコンバージョンしたかなど確認できない |
配信のコントロールやクリエイティブの検証を重視する場合はデマンドジェネレーションキャンペーン、運用負荷を抑えて効率よく成果を出したい場合は P-MAX の活用が適しています。自社の状況や目標に合わせてどちらを選ぶか、あるいは両方試してみるかを検討してみてはいかがでしょうか。
▼P-MAXキャンペーンについてはこちらで解説!
Google 広告のP-MAXキャンペーンとは?新機能や配信事例、成果を引き出すポイントを解説|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング
P-MAX キャンペーン(パフォーマンスマックスキャンペーン)とは、入札やターゲティング、配信先をキャンペーンの目標に合わせて自動で設定してくれるキャンペーンです。
ここからは、デマンドジェネレーションキャンペーンに関するアップデート情報をお伝えします。
2025年4月以降、デマンドジェネレーションキャンペーンの配信先として Google ディスプレイネットワーク(GDN)が追加されました。これまで「Google 独自の信頼できる配信面」に限定されていた特徴が変わり、一般的なディスプレイ広告が配信されるような、質の低いサイトにも表示される可能性があります。
このアップデートを受けて、運用上の注意点としては、もしブランドセーフティの観点から「Google 独自の面にしか配信されないから安心」と思ってデマンドジェネレーションキャンペーンを導入していた場合は、今後 GDN への配信をオフにする設定(チェックを外す)を検討するとよいでしょう。
また、GDN と同じ面にも配信できるようになるため、Google ディスプレイ広告とデマンドジェネレーションキャンペーンの両方で GDN のみに配信を絞って、どちらが成果が出るか比較テストしてみるのも面白そうです。
ここからは、セミナー中にいただいたご質問と、それに対する回答をまとめてご紹介します。
過去、デマンドジェネレーションキャンペーンでコンバージョン最大化で配信したところ、全く配信が出ませんでした。
コンバージョン最大化で配信する際の最低限必要な費用目安はありますか?
私の事例では2,000円から3,000円くらいの予算でも配信量は出ていました。ただし、ターゲティングが狭すぎる場合、配信が出にくくなることがあります。
配信量を増やしたい場合は、ターゲティングの拡張や、入札戦略を「クリック数最大化」などに変更することも検討してみてください。
1広告グループに何パターンくらい広告を入稿しますか?動画と静止画はグループ分けすべきですか?
1広告グループに入れるクリエイティブパターンは、4パターンから6パターンが一般的です。ただ、予算規模などにより最適な数は異なります。
動画と静止画は、同じ広告グループにまとめて配信して問題ありません。1つのグループ内で機械学習により最適化を進める設計が推奨されます。
デマンドジェネレーションの最適化はどのように進めていくことが多いですか?
デマンドジェネレーションキャンペーンに限らず、機械学習が強いキャンペーン全般に言えますが、短期間で設定を変更しすぎないことが重要です。
初期段階で成果が出なくても、すぐにクリエイティブやターゲティングを変更せず、一定期間はデータ蓄積と学習を優先する運用を心がけています。
デマンドジェネレーションキャンペーンは、Google 独自の配信面(YouTube や Discover、Gmail)に広告を配信できるキャンペーンです。さらに適切なターゲティングとクリエイティブ、そして運用コントロールを組み合わせることで、さまざまな商材で成果を高められる可能性もあります。
今回紹介した類似セグメントやカスタムセグメントの活用、デバイスコントロールなどを意識しながら運用することで、さらなる成果につなげることができるでしょう。
広告事業部 マネージャー
2021 年に新卒入社。中学生の時から理系科目が得意で、そのまま理系大学に入学。今までは「できること」を優先してきたが、仕事は「やりたいこと」を優先したいと思い、Web 広告業界を目指すことに。そろばんを習っていたことから計算が得意。趣味はゲームで、誘われたら必ずやる。
あなたの広告アカウントを無料診断します
広告アカウント診断詳細なお見積りをご希望の方はこちら
お問い合わせ支援事例などをまとめたサービス紹介資料はこちら
サービス資料のダウンロードはこちら