リスティング広告を始めたばかりだと横文字ばかりで覚えるのが大変ですよね。また文字からなんとなくの意味を推測できればいいのですが、すべてがそうではありません。
今回は「インプレッション」について定義の確認から、KPI としての使い方までを解説します。
インプレッションとは、広告が何回表示されたかの回数のことを指します。Yahoo! 広告では「インプレッション」、Google 広告では「表示回数」と広告管理画面上で表記されています。
検索広告の場合、Google 広告では「広告プレビューと診断ツール」を、Yahoo! 広告では「広告プレビューツール」を使うことで、広告がどのように表示されているか、そもそも表示されていないのかを確認することができます。
Google と Yahoo! どちらもプレビューツールを用いて広告を確認すれば、インプレッションのカウントはされません。そのため、インプレッション(表示回数)やクリック率などのデータに影響を与えることなく、配信されている広告を確認できます。
インプレッションのデータを使う際の注意点として押さえておきたいのは、インプレッションとは表示された回数であり、ユーザーが広告を目にした回数ではないということです。
例えば、広告が一部しか表示されていなかったり、ページをスクロールしないと見えない位置に表示されていたりしても、インプレッションとしてカウントされてしまいます。
インプレッションと似た用語に、ビューアブルインプレッションがあります。これはユーザーの目に見える範囲に表示されたインプレッションを意味します。Google では「視認範囲の表示回数」、Yahoo! では「ビューアブルインプレッション数」という表記で用いられています。媒体ごとにカウント方法は若干異なります。
ビューアブルインプレッションであれば、実際に見られた回数に近しい数値を知ることができます。以下の図では、インプレッションは3回となりますが、広告面積が50%以上表示されている広告は「広告1」しかないので、ビューアブルインプレッションは1回とカウントされます。
ビューアブルインプレッションとは?各媒体の定義を正しく理解し、分析と改善提案に活用しよう
ビューアブルインプレッションとは、ディスプレイ広告の表示回数に関する指標で、ユーザーの目に見える範囲に表示されたインプレッションを意味します。GoogleとYahoo!での定義の違い、確認方法、活用方法までをわかりやすくまとめました。
インプレッションの定義が分かったところで、どのような流れで広告が掲載されるのか(=表示されるのか)を説明します。
検索広告でもディスプレイ広告でも、広告枠がある場合、広告を表示させるためのオークションがおこなわれます。広告枠はユーザビリティの観点から存在しないケースもあります。
検索広告であれば、検索結果画面に広告が出なかったり、Web サイトのディスプレイ広告であれば、ページの管理者が広告枠を設けていなかったりします。
広告の掲載が決まるオークションの勝ち負けは、いくら払うのかという入札価格だけで単純に決定されません。オークションの勝敗を決めるのは「広告ランク」という非公開の複雑な指標です。広告ランクは、Google 公式ヘルプで、以下のように説明されています。
広告ランクは入札単価、オークション時の広告の品質(推定クリック率、広告の関連性、ランディング ページの利便性など)、広告ランクの下限値、オークションにおける競争力、ユーザーが検索に至った背景(ユーザーの所在地、デバイス、検索時間、検索語句の性質、ページに表示されるその他の広告と検索結果、その他のユーザー シグナルと属性)、および広告表示オプションなどの広告フォーマットの見込み効果を使って算出します。
引用元:広告ランク|Google 広告ヘルプ
検索広告はキーワードに応じてターゲティングされます。例えば、安価な PC を製造するメーカーが検索広告を出す場合、コンバージョン獲得を狙って「安い PC」という検索語句で広告を表示させることが考えられます。
ディスプレイ広告ではユーザーの属性や興味関心、ページの傾向などに応じてターゲティングされます。Google 広告で、自分にどのような傾向があるかは、広告のカスタマイズから確認することができます。
僕の場合、「広告、マーケティング」や「社員数:小規模雇用者」となっているので、個人の情報が的確に反映されていそうです。これらの情報をもとにマーケティング関連 BtoB サービスの広告が表示されたりするかもしれません。みなさんも自分がどのようなターゲティング設定になっているか見てみると面白いかもしれませんね。
インプレッションシェアとは、広告の表示機会があったオークションのうち、オークションに勝って実際に広告を表示できた割合です。0%から100%で表現され、「IS」と略されることもあります。
インプレッションをあとどれぐらい増やせるかの判断材料として使える指標です。例えば、インプレッションシェアが50%の場合、単純計算でいくと表示回数2倍まで増やせます。インプレッションシェアが90%であれば、既にオークションではよく勝って広告が表示されているため、ほぼ表示回数を増やすことはできないでしょう。
ちなみに、インプレッションシェアには3つのバリエーションがあり、ただ広告が表示された回数について知る(インプレッションシェア)だけでなく、自然検索よりも上に表示された回数がわかる「ページ上部のインプレッションシェア」や、ページの一番上に表示された回数で算出する「ページ最上部のインプレッションシェア」もあります。
インプレッションは、認知目的であれば中間 KPI として設定することがあるかもしれませんが、コンバージョン獲得目的で使用することは稀です。なぜなら表示回数が増えても、それに伴ってコンバージョン数が増えないことが多いからです。
コンバージョンしそうなユーザーに対して広告の表示回数を増やすことができるのであれば、コンバージョン数がそれに伴って増えることが期待できますが、ほとんどの場合は、比較的コンバージョンしなさそうなユーザーにも配信を広げることになるため、コンバージョンが連動しないのです。したがって、インプレッションを KPI として設定すべきかは慎重に考えたほうがいいでしょう。
商品購入やお問い合わせなどのコンバージョンを成果指標としている場合は、とりあえずインプレッションを中間 KPI にすれば良いのかというと、そうではありません。インプレッション増加が、コンバージョンに繋がるかを改めて検討しましょう。
コンバージョンに繋がるのであればインプレッションも改善すべきですが、あまりコンバージョンに繋がらないのであれば他の改善に注力しましょう。
インプレッションが同一でも、クリック率が上がればクリック数は増え、それに伴いコンバージョン数も増えます。もしくは、コンバージョン率が上がれば、表示回数やクリック数が同じでも、コンバージョン数は増えます。
もしかすると表示回数を増やすよりも、クリック率やコンバージョン率を上げたほうが、低コストかつ最短最大のインパクトになるかもしれません。
先述の通り、インプレッションを増やすことが重視されることはあまりありません。しかし、それでもインプレッションを増やしたいときには、以下を参考にアクションを考えてみてください。
検索広告であれば、キーワードを追加で登録したり、マッチタイプを部分一致などに広げると良いでしょう。また、デバイスや地域を絞り込んでいる場合には、そちらを解除することで参加できるオークションが増えます。
予算設定が低すぎる場合、Google 広告キャンペーンのステータスが「予算による制限」となり、配信が制限されている可能性が高いです。予算設定を引き上げることで、参加できるオークションが増えて、表示回数もきちんと増えてくることが期待できます。
オークションで負けてしまい、広告が表示されないことを防ぐため、広告ランクを上げられないか検討しましょう。例えば、Google 広告では以下の3つを改善することで、広告ランクの改善が期待できるとされています。
・広告の推定クリック率: 広告の過去のクリック数や表示回数など(広告の掲載順位や広告表示オプション、過去にクリックされた広告の目立ちやすさに影響した可能性のあるその他のフォーマットなどの要因によっても調節されます)。
引用元:広告の掲載順位とランクの仕組み|Google 広告ヘルプ
・広告と検索の関連性: 広告とユーザーの検索内容との関連性
・ランディング ページの品質: ページの関連性、情報の透明性、操作性
特に広告表示オプションなどは無料で、かつ比較的簡単に導入できるので、まだの方は導入してみましょう。
インプレッションは表示回数というシンプルな指標でありながら、計測されないものもあったりとややこしいですが、この記事でしっかりと理解できたと思います。広告運用においてはインプレッションを目標にすることはあまりないですが、必要に応じて中間 KPI として設定することで成果を良化させていきましょう。
広告事業部 マネージャー
2016年4月に新卒入社。入社10カ月で代表滝井直属の広告運用チームに異動。 入札調整や広告文作成から、サイト改善提案まで代表から直接指導を受ける。 toB/toC比率は半々で、アプリ広告も担当。特に好きな媒体はFacebook広告。 海外旅行が好きで、アメリカ横断経験あり。趣味は服映画ヨガアート猫もろもろ。
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