
広告運用に18年以上携わり、2008年からキーワードマーケティングに在籍している小島です。
先日、平均クリック単価の上昇についての記事を書きました。キーワードマーケティング内のデータでは2025年の1年間で平均して1.5倍程度クリック単価が上昇していることが分かり、広告運用を担当されている方であれば、同様の感覚と悩みをお持ちではないでしょうか。
一方で、同じ調査の中で「クリック単価が上昇していないキャンペーン」も存在しました。その多くに共通していたのが、「個別クリック単価(手動入札)」の活用です。
今回の記事では、この「個別クリック単価」に焦点を当て、そのメリットやリスク、そして具体的な設定手順について詳しく解説します。
※ 本記事の主旨について
Google広告で「個別クリック単価制」を選択する際、管理画面では「掲載結果が低下する可能性がある」という警告が表示されます。本記事は、あくまでクリック単価高騰への対抗策の一つとして「考え方とノウハウ」を提示するものです。導入にあたっては、リスクを十分に考慮した上で慎重にご判断ください。
▼平均クリック単価の上昇についての記事はこちらから
上昇し続けるクリック単価にどう向き合う?広告運用歴18年の視点から、2020年以降の変化をデータで整理|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング
2023年から2025年にかけて「クリック単価がどんどん高くなっている」と感じていませんか?キーワードマーケティング内のデータをもとに現状を確認しつつ、上昇し続けるクリック単価にどう向き合うか紹介します。
現在主流となっている「コンバージョン数の最大化」や「目標コンバージョン単価」といった自動入札は、基本的に「獲得できる可能性があるなら、入札単価を引き上げる」という流れで動きます。
これはコンバージョン数を最大化するうえでは非常に合理的です。AI が膨大なシグナルを分析し、「このユーザーは購入に至る可能性が高い」と判断すれば、競合他社に勝つために入札額を引き上げ、掲載順位を上げていきます。
競合他社も同じアルゴリズムを使っている場合、AI 同士が入札額を釣り上げ合う構造になり、結果としてクリック単価のインフレーションが発生します。上限を決める主体がいない以上、CPC は理論上、青天井で上昇する可能性があります。競合のいないでの広告出稿が稀な現状では、これがクリック単価高騰の原因の一つといえます。

このようなクリック単価の高騰に対し、個別クリック単価はコストの防波堤として機能します。最大のメリットは、上限クリック単価を明示的に固定できる点です。AI が「このユーザーはコンバージョンしそうだ」と判断しても、設定額を超える入札は発生しません。
つまり、過熱するオークションからあえて離脱し、「自社が許容できる適正価格でしかクリックを買わない」という明確な意思表示をおこなうことと同義です。
冒頭でも紹介した通り、各広告媒体では自動入札が推奨されており、個別クリック単価はあまり推奨されていないです。実際に導入される際は、注意点やメリットをリスクと影響を配慮しつつ、導入するかご判断ください。
まずはなぜ個別クリック単価が非推奨なのか、使用する際の3つの注意点から読み解いていきましょう。
入札単価を下げれば、オークションでの勝率は当然下がり、広告の掲載順位が下がったり、表示そのものがされなかったりします。
問題は「誰に対して広告が表示されなくなるか」です。
自動入札は、成約率が高いユーザーに対して優先的に高値で入札を行います。個別クリック単価では入札額が一律のため、こうした入札調整ができません。その結果、購買意欲の高いユーザーの面は競合に奪われ、自社には成約率の低いユーザーばかりが流れてくるという「逆選別」が起こりかねません。

インプレッションシェアが50%程度ある場合は問題ありませんが、予算が少なくシェアが10%未満になるようなケースでは、確度の低いユーザーにばかり広告が表示されることで、コンバージョン率が一気に低下するリスクがあります。
結果として、クリック単価を半額に下げることに成功しても、コンバージョン率がそれ以上(例えば3分の1)に低下してしまえば、最終的な CPA はかえって悪化します。
「安さ」だけを追求する個別クリック単価は非常に危険だということは押さえておくべきポイントです。
入札単価を感覚で決めてはいけません。「なんとなく100円」ではなく、ビジネスの損益分岐点から計算式を使いつつ、論理的に算出する必要があります。
▼上限クリック単価の計算式
目標 CPA × 想定 CVR = 上限クリック単価
例えば、目標 CPA が5,000円で、想定される Web サイトのコンバージョン率(CVR)が2%だと仮定します。この場合、「5,000円 × 0.02 = 100円」となります。つまり、クリック単価100円が赤字にならないギリギリのラインです。
まずはこの金額を上限として設定し、実際の配信結果を見ながら微調整をおこないます。もし利益を確保したいのであれば、ここからさらに20%引いた「80円」で入稿するなど、バッファを持たせるのも有効です。
ただし、この計算は現在の CVR が維持される前提です。前述のとおり、逆選別によってCVR が急落するリスクがあるため、算出した上限クリック単価を「安全な数字」と思い込まないことが重要です。
個別クリック単価は「設定して終わり」ではなく、数値を見ながら続けるかやめるかを判断し続ける入札戦略です。
逆選別のリスクがある以上、個別クリック単価に変更したあとはコンバージョン率の推移をしっかりチェックする必要があります。特にインプレッションシェアが低い状態では、確度の低いクリックばかりが集まり、CVR が急落する場合があります。
CPC を下げた分以上にCVR が落ちてCPA が悪化しているようであれば、自動入札に戻す判断も避けられません。
コスト防衛の観点から個別クリック単価を採用するメリットは、大きく分けて2つあります。
ここでは、この二つのメリットについて深掘りしていきます。
ビジネスにおいて、利益を確保するためには「売上を上げる」か「原価を下げる」かの二択しかありません。広告運用において CPA(コンバージョン獲得単価)は結果としての指標ですが、その構成要素であるクリック単価は、いわば仕入れの「原価」に当たります。
自動入札では目標CPA を設定できますが、その過程で発生するクリック単価はブラックボックスになりがちです。検索語句をチェックしていると、強烈に高いクリック単価の検索語句があったり、効果の薄い語句に広告費が流れていたりするケースもあります。
一方、個別クリック単価であれば、「この検索語句には100円までしか出さない」と原価を固定できます。利益率が厳しいビジネスや、予算が限られている中小規模のアカウントにおいて、クリック単価の管理は利益管理そのものです。

コスト構造を AI 任せにせず、自分でコントロールすると、経営的な観点からも大きな安心感につながります。「原価を固定する」という製造業のような発想を、広告運用にも持ち込むことができるのです。
ただ、クリック単価を下げるということは、原則として掲載順位は下がり、逆に CPA が高騰するリスクもあります。この点はのちほど紹介しますが、少なくとも「クリック単価をコントロールできる」という点は、自動入札にはないメリットです。
競争の激しいビッグキーワードや、繁忙期では、自動入札同士が競り合い、クリック単価が数千円に達することも珍しくありません。
ここで個別クリック単価を使い、あえて相場の半額程度で単価を固定する「低空飛行戦略」が有効になります。当然、掲載順位は、1ページ目の下部、あるいは2ページ目以降に落ちることもあるでしょう。
しかし、広告運用は順位を競うゲームではなく、利益を出すゲームです。地域や時間帯などを細かく手動で設定し、競合が予算切れを起こしたタイミングや、配信の隙間、競争の緩い深夜・早朝の時間帯などを狙って、安価にクリックを拾うことができます。
もしサイトにコンバージョンを獲得する力が十分にあるのであれば、個別クリック単価は強力な選択肢で、「1位を取る必要はない、見込み客を安く集客できればいい」という割り切った戦略だと特におすすめです。
ここからは、実際にキャンペーンを個別クリック単価に切り替える手順を管理画面の画像を使いながら説明します。
入札戦略を「個別クリック単価」に変更し、その後金額の設定をするような流れで紹介していくので、個別クリック単価を使用したことがない方は参考にしてみてください。
まず、キャンペーン設定の「入札単価」から「個別クリック単価」を選択します。
キャンペーン名の右にある歯車マークをクリックし、キャンペーン設定画面を表示させます。

表示された設定画面内、「予算と入札単価の最適化」セクション、「単価設定」の右側の「∨」をクリックして中身を展開します。

「単価設定」の中身が展開されたら、「入札戦略を変更」をクリックします。

「または、入札戦略を直接選択します(非推奨)」をクリックします。

メニューを展開し、一番下に表示されている「個別クリック単価制」をクリックします。

「個別クリック単価制」に変更されたことを確認した上で、「保存」をクリックします。
保存されたら「設定」画面を「×」で閉じます。

「個別クリック単価制」になった後、ブラウザを再読み込みすると、広告グループに「デフォルトの上限クリック単価」、キーワードに「上限クリック単価」の列が表示されます。
ここに上限となるクリック単価を入力します。なお、上限クリック単価はキーワード単位で入力したものが広告グループ単位より優先されます。


かつては「個別クリック単価制」での入札しかありませんでした。キーワードごとに広告文を考えたり、時間帯なども調整したり。毎日管理画面とにらめっこしながら、色々なことを考えて運用していたものです。
そんな時代から運用していた私ですが、現在は基本的に自動入札を使用しています。個人がどれだけ調査や分析しても、Google などの媒体が持っているデータ量には敵わないですし、競合も強烈に増加していますので、媒体が持っているデータを利用しない手はありません。
ただ、個別クリック単価という選択肢は今でも健在だとも思っています。使えるものは全て使っていかなければ競合に打ち勝っていくことはできないため、単純に「自動入札がベスト」とか「個別クリック単価にして問題解決」といった解答はないと思います。
問題解決のために、どんな手段を適用して広告運用をしていくか。結果的に広告運用担当者の仕事は増えることになりますが、どんな手段があるのかを網羅的に知った上で、その手段の取捨選択を行っていくことが肝要だと感じています。
広告運用 コンサルタント
慶應義塾大学経済学部卒業。2008年からキーワードマーケティングに在籍、 以降10年以上、広告運用に携わる。離脱率の低さに定評があり2008年から 運用を続けているクライアントも多い。趣味は音楽、楽器演奏。依頼を受けて プロのバックを務めることもある。愛知県犬山市出身。
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