
デマンドジェネレーションや P-MAX など、YouTube へ配信できる広告媒体の拡大により、動画クリエイティブの重要性はますます高まっています。
しかし、静止画に比べて制作のハードルが高く、外注コストや社内リソースの問題から後回しにされがちではないでしょうか。
そんな中、Google 広告に「アセットスタジオ」という動画作成機能が追加されました。本記事では、このアセットスタジオの使い方や特徴を、実際の制作事例を交えてご紹介します。
目次
アセットスタジオは、Google 広告の管理画面上で動画や画像などのクリエイティブを制作・編集できるツールです。アセットの制作や編集、管理をはじめ、動画や画像の作成、各広告で使用しているアセットの一覧での確認ができます。
2025年10月現在は「アセットスタジオ」という名称で提供されていますが、以前は「アセットライブラリ」という名称で展開されていました。

画像やロゴ、動画内のテキストさえ用意しておけば、 Google 広告の管理画面上で動画制作から YouTube へのアップロードまで、すべて無料でできるのが特徴です。クリエイティブ制作の経験がない人でも、簡単に動画を作れる点が魅力です。
実際にアセットスタジオを使って作成した動画がこちらです。
今回の制作にあたって用意した素材は、たったこれだけです。
これらの素材をもとに、実際の制作手順を3ステップでご紹介します。
まずは Google 広告管理画面の左側にある「ツール」を選択し、出てきた項目から「アセット スタジオ」を選択しましょう。

アセットスタジオを開いたら、画面左側にある「動画を制作または編集する」内にある「動画を作成する」をクリックしましょう。

「動画を作成する」をクリックすると、以下のようにテンプレート一覧が表示されます。ここで、作りたい動画の方向性や商材に合うテンプレートを選択しましょう。

各テンプレートでは、使用できる素材数(画像・テキストなど)があらかじめ決まっています。素材数は増減できないため、例えば使用できる画像が少ない場合は、画像枚数が少ないテンプレートを選ぶのがおすすめです。

テンプレートを決めたら「テンプレートを使用」をクリックし、動画編集画面へ進みます。
「テンプレートを使用する」ボタンを押すと、動画編集画面に移動します。ここで画像やテキストを設定し、動画の内容を組み立てていきます。
使用できる画像のサイズや文字数、表示タイミングはテンプレートごとに自動で決まっているため、指示に沿って素材を入力していくだけで OK です。
各シーンごとに入力項目が用意されているので、左側の入力欄で画像やテキストを設定しながら、中央のプレビューで仕上がりを確認できます。

また、動画編集画面の右側にあるツールバーでは、背景色・フォント・BGM を設定できます。
背景色は自由に変更できますが、どの部分に反映されるかはテンプレートによって異なるため、細かなデザイン調整は難しい場合があります。フォントや BGM は Google 広告が用意した素材を利用する形になります。

すべての素材を設定し終えたら、プレビューで全体の流れを確認しましょう。問題がなければ、そのまま YouTube へのアップロードに進みます。
すべての素材を設定し、背景やフォント、BGM の調整が完了したら、中央のプレビューで最終的な仕上がりを確認します。問題がなければ、画面左下の「アップロードに進む」をクリックしましょう。
作成した動画は、Google 広告の管理画面からそのまま YouTube に直接アップロードできます。
アップロード先は選択可能で、自社チャンネルの権限がない場合は「動画広告ストレージ チャンネル(YouTube により自動作成)」を選べば OK です。このチャンネルにアップロードされた動画は限定公開となり、URL を知っている人のみが視聴できます。
他人に見られる心配はなく、関係者に共有したい場合は動画の URL を送るだけで確認してもらえます。

ここまで制作するためかかった時間はおおよそ10分ほどです。短時間で、無料でこのような動画を制作できるのがアセットスタジオの強みといえるでしょう。
アセットスタジオには動画を作成する機能に加えて、以下のように既存の動画を編集できる機能もあります。
ここからは、それぞれの機能について簡単にご紹介します。
既存の動画を広告用に短くしたい場合は、「動画をトリミングする」の機能が便利です。
利用するには、まずアセットスタジオのメニューから「動画をトリミングする」を選択します。

画面が切り替わったらトリミングしたい動画の YouTube の URL を入力するか、アセットスタジオで作成した動画を選択しましょう。
動画を読み込むと、トリミング後の長さを選択できます。

「動画を生成」ボタンを押すと、内容に合わせて自動的に数パターンのトリミング案が作成されます。作成された各パターンは実際に再生して確認できるだけでなく、必要に応じて細部の調整も可能です。
完成した動画は YouTube にアップロードできるため、自分以外の人に確認してもらう際にも便利ですよ。

動画にナレーションをつけたい場合は「ボイスオーバーを追加する」機能が便利です。
利用するには、まずアセットスタジオで「ボイスオーバーを追加する」を選択します。

既存の動画にナレーションをつけるか、ナレーション付きの動画を新しく作るかを選びましょう。
今回は、既存の動画にナレーションをつける方法をご紹介します。まず、「ナレーションを追加して既存の動画をさらに充実させる」のラジオボタンにチェックを入れ、続行をクリックします。

ナレーション編集画面では、音声の言語、性別、ボリューム、速度などを細かく設定できます。ナレーションはテキストで入力した内容が合成音声で出力されます。

動画内のどのタイミングでナレーションを流すかも指定することができます。シークバーで位置を調整できるため、プレビューを見ながら最適なタイミングを探しましょう。

この機能を使って、実際に作成したナレーション音声は以下の通りです。若干イントネーションが不自然に感じるかもしれませんが、それでもナレーションとしては機能しています。
アセットスタジオは誰でも手軽に動画を作れる反面、実際に使ってみると「思ったより自由に調整できない」「フォントが合わない」と感じる場面もあります。使ってみる前に、次の4点を押さえておくとよいでしょう。
画像やテキストの配置、アニメーションの動き、動画の長さなどはテンプレートごとに決まっており、要素を増減したり細かく位置を調整したりすることはできません。そのため、「目的に合うテンプレートを最初に選ぶ」ことが仕上がりを左右します。
テンプレートによっては日本語フォントが対応しておらず、自動的に英字フォントに置き換えられることがあります。見た目の印象が大きく変わる場合もあるので、動画を作る前に「日本語対応テンプレート」かどうかを確認しておくと安心です。
テキスト入力欄において、意図した位置で改行したり、縦幅を微調整したりすることができません。長いテキストを入れるとレイアウトが崩れやすいので、短いフレーズを心がけましょう。
自動生成される合成音声は便利ですが、イントネーションや抑揚が不自然に感じる場合があります。高いクオリティが求められる動画では参考用や仮ナレーションとして利用し、最終的には人の声に差し替えるのがおすすめです。
動画を制作する手段はいくつかありますが、今回は社内にデザイナーがいない場合でも利用しやすい3つの方法を比較してみます。
| 項目 | アセットスタジオ | デザインツール(Canva など) | 制作会社へ外注 |
|---|---|---|---|
| 費用 | 無料 | 基本無料(有料プランあり) | 10万円〜 |
| 制作スピード | 10分~20分 | 1時間~ | 1週間~ |
| クオリティ | テンプレートに沿った定型的な仕上がり | 自由度は高いが、動画の場面切り替えやエフェクトには多少の制限あり | プロ品質の仕上がり |
| 必要なスキル | 不要 | ある程度のデザインや構成のセンスが必要 | デザインスキルは不要だが、構成を考えるスキルや具体的なフィードバック力が求められる |
| 向いているケース | 費用をかけず、最小工数で動画広告を試したいとき | オリジナリティがある動画を低コストで作りたいとき | 高い表現力やブランド性を重視した動画を作りたいとき |
アセットスタジオは、他の方法と比べて「費用」と「スピード」の面で圧倒的に優れています。
一方で、テンプレートベースのためデザインの自由度は低く、細部までこだわりたい場合は Canva などのツールや制作会社への外注が適しています。それぞれの方法には強みと限界があるため、目的に応じて選択することが重要です。
Canva で動画を制作する方法については下記のブログで紹介しています。
SNSから広告まで!Canva動画の作り方とクオリティUPするTipsを紹介|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング
Canva は画像編集だけでなく、動画の制作も可能です。今回は動画を作ったことがない方に向けて、Canva を活用した動画の作り方や操作方法、制作時のポイントをご紹介します。
アセットスタジオは短時間で費用をかけずに動画を作成できますが、その分動画のクオリティやカスタマイズには難があります。
一方で、以下のようなシーンに当てはまる場合は特に活用しやすいツールです。
デザインツールほどの自由度はありませんが、広告として十分使用できる品質の動画を短時間で作成できます。
Google が提唱する動画広告の4つの原則(ABCD)に沿った動画構成になっており、一定の効果が見込める仕上がりです。
そのため、費用を抑えつつスピード重視で配信したいケースに最適です。
本格的に予算をかけて動画制作をするべきか迷っている場合、アセットスタジオはテスト配信用の動画を作るのにぴったりです。
無料で手軽に制作できるため、一旦アセットスタジオで作成した動画を配信することで、動画クリエイティブの有用性を判断する材料になります。
クライアントへの提案や社内共有の際、動画のイメージを言葉だけで説明するのは難しいものです。アセットスタジオで簡易的な動画を作成すれば、構成やトーンを視覚的に伝えることができます。時間をかけずに動画を作れるため、スピード感を持った提案が可能です。
アセットスタジオは簡単に動画を作れる一方で、テンプレートの制約があるため「どう作るか」を意識するだけで仕上がりが大きく変わります。下記の点を考慮して作るとよいでしょう。
いきなり動画編集画面を開くのではなく、まず「何を伝える動画にしたいのか」を整理しておくことが大切です。
アセットスタジオではテンプレート構成が固定されているため、後から「別の訴求を入れたい」と思っても調整が難しい場合があります。動画を作る前に、「どのような目的で作るのか」「誰に何を伝えたいのか」「どんな順番で訴求するか」を整理しておきましょう。
事前に構成を整理しておくことで、素材やテンプレートの方向性が自然と定まり、作業全体がスムーズに進みます。
商材や動画の目的と合わないテンプレートを選んでしまうと、せっかく動画を作っても仕上がりに違和感がでてしまいます。例えば、ジュエリーなどのラグジュアリーで洗練されたイメージがある商材に対し、ポップなテンプレートを選定してしまうと、ブランドの世界観が損なわれる可能性もあります。
そのため、テンプレートを選ぶときは、商材のトンマナや想定している構成イメージとマッチするかを意識しましょう。
アセットスタジオでは、テキストの改行位置を指定することができません。そのため、スペースの入れ方でバランスを整えるのがポイントです。基本的にテキストはテンプレートの種類により、左寄せや中央揃えで表示されますが、改行の位置によっては違和感のある見せ方になります。
まず、調整をおこなった例が以下です。

例えば、全く改行を調整せず「デリバリーなら全国どこでも6時間以内に配送スタッフが全力で走ってお届け!」と入力すると、以下のように文章の途中で改行が入ってしまいます。

あやか
中途半端なところで改行が入ると、雑に作った印象を持たれることもあります。
テキストの切れ目で改行できるようスペースを入れて調整していきましょう!
テキストの切れ目で改行できるようスペースを入れて調整していきます。ただし、これだけでは上下のテキストのバランスが崩れて表示されてしまうため、さらに調整をおこないます。

最後に、上下のバランスとテキストの切れ目を意識しながら細かくスペースを追加すると、下記のようになります。

あやか
スペースの数や位置を少し変えるだけでも、テキストの見え方は大きく変わります。
「丁寧に作られているな」という印象にもつながるので、スペースを駆使して調整してみましょう!
ただし、テンプレートやシーンによって改行位置が変わるため、毎回この調整をおこなう必要があります。また、スペースの入れ方にも根気がいるため、ラフ案や試作段階では無理に調整せず、最終版だけ整えるくらいの感覚で十分です。
動画クリエイティブは「作るのが大変そう」「デザイナーがいないと無理」と感じて、制作に踏み切れないことも多いと思います。そんなときにおすすめなのが、今回ご紹介したアセットスタジオの動画作成機能です。
外注やデザインツールで作成した場合ほどの自由度はないものの、配信に十分使えるレベルの動画を無料で短時間で作成できます。デザインスキルや専用ソフトがなくても、素材を用意するだけで広告用の動画を完成させられるのが大きな魅力です。
まずはアセットスタジオで、動画を作成して広告を配信してみましょう。「思ったより簡単にできた」「動画のほうが広告の成果が良かった」という新しい発見があるかもしれません。
制作費やリソースが限られていても、アセットスタジオで作った動画で配信実績を作ることで、次の提案や改善にもつなげやすくなります。
動画クリエイティブを取り入れる第一歩として、アセットスタジオを活用してみてはいかがでしょうか。
広告運用 コンサルタント
2020年4月に新卒入社。5月末から広告運用事業部に配属。就職して初めてPhotoshopをさわってから、広告画像を作るのが特に好き。趣味はUSJに行くことと推しを推すこと。
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