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今までのGoogle検索キャンペーンと何が違う?AI Maxの4つの機能と設定方法、配信結果を解説

広告運用に18年以上携わり、2008年からキーワードマーケティングに在籍している小島です。

2025年5月下旬からベータ版として展開された AI Max for Search campaigns(以下、AI Max)。広告運用者であれば、一度は聞いたことがあるかと思います。

2025年8月時点でもベータ版であることや、リリース当初の P-Max キャンペーンのような「運用担当者がコントロールしにくい」イメージがあるからか、利用しているという声はあまり聞きません。しかし私が使ってみたところ、この機能は現状でも非常に有益であるうえに、非常に将来性も高い機能ではと感じました。

今回は AI Max の機能や設定方法に加え、「AI と検索の未来」に関する私の考えも紹介します。

AI Max(AI Max for Search campaigns)とは?

「AI Max」こと AI Max for Search campaigns は、Google 広告の検索キャンペーンにワンクリックで追加できる AI機能です。

キーワードのターゲティングとクリエイティブの最適化が統合されており、Google 広告の AI がリアルタイムに配信と広告文・最終ページ URL を最適化して成果を伸ばす仕組みとなっています。

この AI Max ですが、「運用担当者がコントロールできる部分が少なく、またレポートされるデータも少ないブラックボックス的な機能なのでは」と思っている運用担当者が多いように感じます。リリース当初の PーMAX キャンペーンの評判のようだと言えば、分かる方もいるのではないでしょうか。

名前が似ているため誤解している方が多いと思いますが、そもそも「AI Max」は検索キャンペーンに付いた機能の一つであり、PーMAX のようにキャンペーンのタイプではありません。そのため、ディスプレイネットワークなど検索結果画面以外に広告が表示されるようなことはありません。

4つの機能があり、それぞれオン・オフ可能

AI Max には以下のような機能があり、それぞれオン・オフも可能です。さらに検索キャンペーンの一機能ですので、除外キーワードなどのコントロール手法はそのまま使うことができます。

  • 検索語句とのマッチング
  • アセットの最適化(テキストのカスタマイズ、最終ページ URL の拡張)
  • 関心のある地域
  • ブランドコントロール機能

そして配信結果のデータについても、ベータ版の現在でもしっかりレポートとして表示することができます。

このように、AI Max は従来の検索キャンペーンではカバーできない部分に広告表示を拡張できるうえに、それを運用担当者がコントロールでき、また結果の詳細をレポートで把握できるのです。

それでは、ここから AI Max の具体的な機能について、AI Max に関する Google 広告ヘルプをもとに「拡張」と「コントロール」に分けて紹介します。

より検索意図に沿った広告表示の「拡張」に関する新機能

まずは広告表示の「拡張」に関する機能です。ここではこの2つについて紹介します。

  • 検索語句とのマッチング
  • アセットの最適化(テキストのカスタマイズ、最終ページ URL の拡張)

なお、拡張といっても、あくまで「検索結果画面に限った拡張」になります。あらかじめご留意ください。

検索語句とのマッチング

AI Max で強化される「検索語句マッチング機能」は、AI が検索ユーザーの検索意図を理解して広告を表示する仕組みです。

さらに「キーワードレス技術」により、広告主が登録していない検索語句であっても、AI が関連性が高いと判断すれば広告が表示されます。つまり、これまでキーワードに依存していた広告配信が、AI の文脈理解によって大きく拡張されるのです。

例えば「花壇の DIY 方法」という検索に対して、「花壇」や「DIY」などのキーワードを登録していなくても、DIY 用品を扱うホームセンターの広告が表示される、といったことが可能になります。「検索ユーザーの質問やニーズを AI が汲み取り、最適な広告をマッチングする」という、まさに AI が台頭してきた現在ならではの機能なのです。

この検索語句とのマッチング機能は、広告グループごとにオン・オフの設定が可能です。

アセットの最適化

キャンペーンの設定にある「アセットの最適化」は、「テキストのカスタマイズ」(旧称: 自動作成アセット)と「最終ページ URL の拡張」を管理できます。

テキストのカスタマイズ

「テキストのカスタマイズ」は、サイトのランディングページの内容や既存の広告テキストなどを元に、AI が広告のタイトルや説明文を自動生成する機能です。

この生成は、検索ユーザーの検索語句に合わせてリアルタイムに作成・変更されるため、より検索意図にマッチした訴求が可能になります。

例えばユーザーが「夏用の軽量ジャケット」と検索した際、在庫にある商品の特徴を踏まえて「夏でも快適!軽量ジャケット新作」のような検索意図にあった広告タイトルを AI が生成する、といった具合です。

このアセット最適化機能はキャンペーンごとにオフ切り替えが可能です。

最終ページ URL の拡張

一方「最終ページ URL の拡張」は、広告のランディングページをサイト内のページの中から AI が自動で選んでくれる機能です。

通常、ランディングページの URL は広告ごとに設定します。しかし、AI Max ではサイト内の複数ページを自動的に候補に入れ、検索ユーザーの使う検索語句や推定される検索意図に最も合致したページに誘導してくれます。

例えば「夏用ジャケット」を検索したユーザーには「夏向け商品一覧」ページに飛ばす、といった柔軟な対応が可能です。その際、広告のタイトルや説明文も選ばれたページの内容に合わせて自動的に最適化されるので、広告から遷移したユーザーに一貫した体験を提供できます。

なお、使いたくないページがある場合には、URL 除外で外すことも可能です。また、この機能もキャンペーンごとにオフにできます。

新しく可能になった「コントロール」に関する新機能

AI Max には、より細かく検索広告運用を制御するための新機能も含まれています。具体的には以下の2つの機能です。

  • 関心のある地域
  • ブランドコントロール機能

関心のある地域

「関心のある地域」は、地域ターゲティングを強化する機能です。

これは広告グループ単位で設定でき、検索ユーザーがある特定の地域に関する検索をしている場合、その地域に合わせた広告配信ができるというものです。仮に検索ユーザーが別の地域にいたとしても広告が表示されます。

例えば旅行代理店が「北海道 ツアー」で検索している東京在住ユーザーに対し、北海道向けのツアー広告を表示するといったことが容易になります。従来の地域ターゲティング設定を補完して、検索ユーザーの「場所に関する意図」まで AI が汲み取って配信できるようになっているのです。

ブランドコントロール機能

ブランドコントロール機能ではキャンペーン単位または広告グループ単位で、ブランドの登録・除外を設定できます

「特定のブランドと関連付けて広告を出したい」場合、そのブランド名を登録することで、AI がそのブランドを検知して広告を表示させやすくします。

一方ブランド名の除外は、競合やネガティブな要素のあるブランドなど「特定のブランドと一緒に表示されたくない」場合に設定します。

設定すると、AIがそのブランドに関する検索では広告を出さないように動きます。これにより、自社ブランドイメージの保護や競合固有名詞対策も可能になるのです。

このように、AI Max は自動化が進んでいるとはいえ、ブランドセーフティなど広告主が懸念するポイントには配慮できる設計となっています。

AI Max の導入により、レポート機能もアップデート

自動化ツールに付きものの「ブラックボックス」感を緩和すべく、AI Maxではレポートの機能もアップデートされています。

AI Max で検索語句とのマッチング機能を使用した場合、拡張された結果どんな検索語句で広告が表示されたかを知りたいところです。

検索語句のレポートでは、このマッチング機能で表示された検索語句に対して「AI Max」というマッチタイプで表示されます。「ソース」という表示項目を追加すれば、「ランディングページと、URL の登録」といったように、何をソースとしてこの検索語句で広告を表示したか分かります

また、これらマッチング機能で表示された検索語句も除外キーワード登録することができますので、「コンバージョンしない検索語句だ」と判断した場合は除外することで以降広告が表示されないように設定できます。

検索語句以外にも、自動で作成されたアセットやランディングページについてもレポートされるため、どんなアセット・ランディングページが効果的だったかも確認できます。このように、AI Max は決して「ブラックボックス」な機能ではないのです。

AI Max の具体的な設定方法

AI Max の設定は簡単です。

まずは AI Max をオンにしたいキャンペーンの設定画面を開きます。

Google 広告管理画面:キャンペーン

表示された「設定」画面で、少し下にスクロールします。すると「検索キャンペーン向けの AI Max」というセクションが表示されます。

ここの「AI Max でキャンペーンを最適化する」の左側のスイッチを「オン」にします。

Google 広告管理画面:キャンペーン > キャンペーン設定

キャンペーンの設定状況によっては、以下のようなメッセージが表示される場合がありますが、このときは「有効にする」をクリックしましょう。

Google 広告管理画面:キャンペーン > キャンペーン設定 > AI Max でキャンペーンを最適化する

なお、基本的に後でオフにした場合でも設定は保持されているようですが、完全に元に戻す可能性がある場合には、あらかじめキャンペーンを複製して AI Max をオンにすることをおすすめします

「アセットの最適化」と「ブランド」機能はキャンペーン単位で設定できる

次に各機能のオン・オフを見ていきます。

「AI Max でキャンペーンを最適化する」の下に「アセットの最適化」というセクションがあるので、「テキストのカスタマイズ」と「最終ページ URL」のそれぞれでオン・オフを設定できるため、オンにしたい機能にチェックを入れます。

Google 広告管理画面:キャンペーン > キャンペーン設定 > アセットの最適化

最終ページ URL の機能をオンにした場合で、「この URL のページはランディングページとして使用したくない」という URL がある場合は「URL の除外を追加」をクリックして設定します。

Google 広告管理画面:キャンペーン > キャンペーン設定 > アセットの最適化

表示される画面で、ランディングページとして使用したくないページの URL を登録します。URL を一つずつ入力・追加したうえで、「保存」をクリックしましょう。

Google 広告管理画面:キャンペーン > キャンペーン設定 > アセットの最適化 > URL の除外を追加

「テキストのカスタマイズ」と「最終ページ URL」で設定が完了したら、右下の「保存」をクリックして設定を保存します。

Google 広告管理画面:キャンペーン > キャンペーン設定 > アセットの最適化

「アセットの最適化」の下には「ブランド」セクションがあります。これはキャンペーン単位のブランドコントロールに関する項目です。ここで登録・除外したい「ブランドリスト」を追加し、「保存」をクリックしましょう。

Google 広告管理画面:キャンペーン > キャンペーン設定 > ブランド

なお、ブランドリストについては、以下の記事の後半、「3.ブランド除外」に説明がありますので、分からない方はご参照ください。

P-MAXでキャンペーンごとにキーワード除外が可能に!設定方法と除外キーワードの選び方を解説|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング

P-MAX キャンペーンは最近では以前よりもデータの透明性が改善され、検索語句レポートなど一部の情報が確認できるようになっています。今回はP-MAX キャンペーン「除外キーワード」にフォーカスし解説しています。

「関心のある地域」など広告グループ単位から設定できる機能も

「関心のある地域」機能は、広告グループ単位で設定します。

まず、設定したい広告グループの設定画面を開きます。

Google 広告管理画面:広告グループ > 広告グループ設定

開いた設定画面で少し下にスクロールすると「AI Max の広告グループ設定」というセクションがあります。その中の「関心対象地域」に設定したい地域の名称を入力して「保存」をクリックすると、関心のある地域を設定できます。

Google 広告管理画面:広告グループ > 広告グループ設定 > AI Max の広告グループ設定 > 関心対象地域

なお、この「AI Max の広告グループ設定」セクションでは、広告グループ単位の「検索語句のマッチング」、「ブランドの登録」、「URL(最終ページ URL)」も設定可能です。

ただし、広告グループ単位での「ブランドの登録」と「URL」はいずれも除外はできず、登録のみとなります。

AI Max のテスト結果から分かる「向き不向き」の存在

最後に、短期間ではありますが AI Max をテスト運用してみたので、その結果や所感を共有します。

以下は Google のテスト機能を使用して、通常の検索キャンペーンとそのキャンペーンをコピーして AI Max をオンにしたキャンペーンで比較したものです。

なお、今回は AI Max をオンにしたキャンペーンは「テキストのカスタマイズ」のみをオンにして配信しました。「最終 URL」の拡張機能は使用しておらず、ブランドコントロールや関心のある地域の機能も使っていません。

AI Max 表示回数 クリック数 広告費 コンバージョン数
オフ 6,510 670 51,630 40
オン 6,950 660 56,880 39

結果、AI Max オフの方がオンの方より表示回数は下回ったものの、それ以外の指標で微妙にオンの方を上回る結果に終わりました

実はもともと設定や広告アセットを作り込んで散々テストして改善したキャンペーンで試したので「AI Max をオンにした途端に強烈に成果が出たらどうしよう」と変な不安を抱いていました。それはなかったので、個人的には胸を撫で下ろしています。

しかし、テスト期間が20日程度という短期間だったため、もう少し長く計測すれば「AI Max オン」の方が成果が出る可能性もあります。

現時点での AI Max は、ビジネスによって向き不向きがありそう

今回のテストを通じて、一つ分かったことがあります。それは AI Max が効果を出しやすいビジネスと、そうでないビジネスがあるという点です。

AI Max に限らず、Google の想定している「ビジネス」は「スケールしてなんぼ」という前提があるように感じます。もちろんビジネスをスケールさせることは重要なのですが、あるジャンルの、さらにニッチな部分に特化したスモールビジネスの場合は、時に Google の推奨する設定そのままだと問題が発生する可能性があります。

例えば「コナコーヒー専門の喫茶店」の場合、インテントマッチでキーワードを登録すると「コナコーヒー」でも拡張して、同じコーヒー豆の種類である「キリマンジャロ」などにも広告が出ます。「喫茶店」を登録した場合は、紅茶の「ダージリン」などにも広告表示されるでしょう。

もちろん、表示させる広告で興味のない方にはクリックさせない、という手もあるとは思います。また「ブルーマウンテン」と検索している人に広告とランディングページで「コナコーヒーでもいいかも」と考えをスイッチさせることも可能かもしれません。でも、基本的にそれらのやり方は非効率で、スモールビジネスには合わない場合が多いです。

また、場合によっては、自社のビジネスの「一部だけ」にフォーカスして広告を出したい場合もあると思います。例えばスポーツ用品店で「今期はサッカーボールだけを広告を出して売っていきたい」といった場合です。この場合も拡張すると広告出稿の意図から外れてしまいます。

これらとは逆に、ビジネスを広げていきたい場合は、今回お伝えした AI Max などを積極的に使っていくべきだと思います。何かしら新しい発見があったりして、ビジネスを広げていくチャンスを掴める可能性があるからです。

どういう意図で広告を出稿するかを見極めて、ツールを取捨選択していくことが重要だと思います。

AI Max が描く検索広告の未来

そもそも AI Maxが登場した背景を考えてみると、その一番の目的は「検索行動の進歩に対して広告をアップデートする」という点にあると私は考えています。

AI Max はその名称から、AI の力を利用して広告運用を簡略化する、という文脈で語られがちです。確かに手段としてその側面はあると思いますが、そこだけに囚われていると、「ブラックボックスなのでは」と不必要な不安が先に立ってしまうことになります。

今回の記事で見てきたように、新機能は個別にコントロール可能ですし、レポート機能も AI Max の挙動をしっかり「見える化」し、非常に透明性のあるものとなっています。つまり、AI Max の手綱を握るのは運用担当者なのです。

こういった透明性を担保する実装の仕方をしているところを考えても、AI Max の目的は別のところにあると考えられます。

昨今の検索行動はどんどん進化しています。例えば Google レンズでの写真(画像)での検索であったり、音声での検索であったり。また 生成 AI チャットの台頭により、会話のような文章での検索も一般的になりつつあります。

こうした検索クエリの長文化やマルチモーダル化に対して、広告を効果的・効率的に表示することが、AI Max のメインの目的だと思うのです。

そう考えると、近い将来に現実になるであろう「AI Overview や AI モードへの広告出稿」の手段として、この AI Max は誕生したのではないでしょうか。いずれにしろ、楽しい未来があるのは間違いなさそうです。

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「わかりにくいこと」を「わかりやすく」をモットーに、すべての記事を実際に広告運用に関わるメンバー自身が執筆しています。ぜひ無料のメールマガジンに登録して更新情報を見逃さないようにしてください!

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記事を書いた人

小島 元
小島 元

広告運用 コンサルタント

慶應義塾大学経済学部卒業。2008年からキーワードマーケティングに在籍、 以降10年以上、広告運用に携わる。離脱率の低さに定評があり2008年から 運用を続けているクライアントも多い。趣味は音楽、楽器演奏。依頼を受けて プロのバックを務めることもある。愛知県犬山市出身。

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