2023年6月、Google 広告のアトリビューションモデルのうち「ファースト クリック」と「線形」、「減衰」、「接点ベース」の4つのサポートが終了しました。今後使用できるのは「ラストクリック」と「データドリブン」の2つです。
それに伴い、サポート終了になるアトリビューションモデルを使用している場合は、2023年9月から順次データドリブンに自動で移行されます。
この記事ではサポート終了の内容や細かなスケジュール、対応すべきことを紹介します。
アトリビューションとは、ユーザーがコンバージョンを達成するまでにたどった複数の要素に対し、各要素に貢献度を割り当てることを指します。
コンバージョンに至るまでには、さまざまな検索キーワードでの流入や、ディスプレイ広告などの Web 広告からの流入が寄与していることがあります。ラストクリックだけでなく、これらの経路も評価に入れるのがアトリビューションの基本的な考え方です。
一口にアトリビューションといっても、どの経路に貢献度の重みを付けるかによってさまざまなモデルが存在します。
アトリビューションの各モデルの特徴を分かりやすく解説した記事もあるので、詳しく知りたい方は「アトリビューションモデルとは?各モデルの特徴と迷ったときの選び方をわかりやすく解説」をご覧ください。
今回のアップデートにより、上記のアトリビューションモデルのうちファースト クリック、線形、減衰、接点ベースの4つのモデルの新規設定ができなくなりました。今後選択できるのは、ラストクリックとデータドリブンの2つのみです。
サポートが終了する4つのモデルを使用している場合は、2023年9月からデータドリブンに自動で移行されます。ラストクリックを使用したい場合は、手動でラストクリックを選択しましょう。
サポート終了の背景には、アトリビューションモデルの利用状況があります。6種類あるアトリビューションモデルのうち、データドリブンが最も多く使われていたのに対し、ほかのモデルの使用割合は3%以下でほとんど使われていませんでした。
データドリブン以外のアトリビューションモデルの使用率が低かったのには、大きく2つの要因が考えられます。一つは Google がデータドリブンの使用を推奨していること、もう一つはどのアトリビューションモデルを選べばよいか分かりにくく、自動的に貢献度を割り振ってくれるデータドリブンを選ぶ人が多かったことです。
以下は、4種類のアトリビューションモデルのサポート終了と自動移行の時期を表にまとめたものです。この表を見ると、一部のアカウントでアトリビューションモデルの移行が既に始まっていることが分かります。
サポート終了と自動移行に伴ってするべきことについては、次の章で紹介します。
月 | 内容 |
---|---|
2023年6月 | 以下のアトリビューションモデルの新規選択ができなくなる ・ファースト クリック ・線形 ・減衰 ・接点ベース 新規で選択できるのは以下の2つ ・ラストクリック ・データドリブン |
2023年9月 | サポート終了する4種類のモデルを使用していた場合は、データドリブンに自動で移行される |
ここからは、4種類のアトリビューションモデルのサポート終了に伴っておこなうべきことを紹介します。
サポート終了後、アトリビューションモデルがデータドリブンに自動で移行される際に、広告パフォーマンスに影響が出る可能性があります。どのような影響が出る可能性があるかをあらかじめ把握して、適切な対応ができるよう備えておきましょう。
サポートが終了するアトリビューションモデルを使用していて、かつ自動入札で「目標コンバージョン単価」か「目標広告費用対効果」を選択している場合は特に注意が必要です。アトリビューションモデルが切り替わった際に、広告パフォーマンスに影響が出る可能性があります。
これは、アトリビューションモデルの変更により貢献度の割り振られ方が変わることで、広告キャンペーンの CPA が変動し、配信の拡大、縮小などの調整が加えられる可能性があるためです。特に CPA の差が大きいものについては、広告の配信量に影響が出る可能性があります。
各アトリビューションモデルでどの程度 CPA に違いが出るかは、広告管理画面の「モデル比較レポート」で確認することができます。ただし、今回のアトリビューションモデルのサポート終了に伴い、Google 広告管理画面の「モデル比較レポート」も削除されるため、既に確認できなくなっている場合もあります。
アトリビューションモデルが切り替わる前にデータドリブンでの CPA を確認し、目標コンバージョン単価の値を調整したうえで、手動でアトリビューションモデルを切り替えておくと安心です。
実際の管理画面を見ながら「モデル比較」の方法を説明します。まずは、Google 広告管理画面の上部にある「ツールと設定」から「アトリビューション」を選択しましょう。
アトリビューション画面を開いたら画面左側の「モデル比較」を選択し、比較したいアトリビューションモデルを選択します。ここでは、比較元としてラストクリック、比較対象としてデータドリブンを選択した場合を考えます。
以下の図のように、比較したい2つのアトリビューションモデルを選択すると、それぞれのコンバージョン数やコンバージョン値を確認できます。
今回のケースで確認してみると、データドリブンに変更すると CPA が下がることが分かりました。また、CPA が下がることに伴って、広告配信量が増えることも予測できました。
このように、あらかじめデータドリブンでの CPA を確認しておき、目標コンバージョン単価の値を調整したうえで、手動でアトリビューションモデルを切り替えておくとよいでしょう。
既にデータドリブンに移行されてしまった場合は、移行前と移行後の期間の CPA を比較して、変化があった箇所で適切な目標コンバージョン単価を設定することをおすすめします。
今後、アトリビューションモデルのデフォルトはデータドリブンになります。ラストクリックからデータドリブンへの変更を検討している方や、初めてアトリビューションモデルを使用する方は、コンバージョン数が小数で表示される点を理解しておきましょう。
データドリブンモデルを使用すると、コンバージョンまでの経路に貢献度を割り振るため、コンバージョン数が小数で表示されることがあります。実際の購入数や申し込み件数は整数なので、いきなり小数で表示されると違和感を感じるかもしれません。
コンバージョン数を複数あるコンバージョン経路に割り振った結果、コンバージョン数が小数で表示されることもあると、あらかじめ認識しておきましょう。
また、コンバージョン数が1より小さい場合、CPA が使用した広告費よりも大きくなることもありますが、これは計算上そうなっているだけで実際に使われた金額ではありません。この点についても、事前に理解しておきましょう。
今後、Google のアトリビューションモデルで選べるものは、ラストクリックかデータドリブンの2つに絞られます。どちらを選ぶべきか迷うこともあるかと思いますが、特別な理由がない場合はデータドリブンを選ぶことをおすすめします。
一方、現在ラストクリックを使用していて変更後の悪化リスクが心配である場合や、弊社のような運用代理店で、クライアントにアトリビューションモデルの概念を理解してもらえそうにないといった場合は、ラストクリックを使用しましょう。
今回は Google 広告の4つのアトリビューションモデルのサポート終了について、その概要とサポート終了に伴って対応すべきことを紹介しました。
サポートが終了するアトリビューションモデルを使用している方は、パフォーマンスの変化をしっかり確認し、移行に備えましょう。今回初めてアトリビューションモデルを使用する方は、どのような変化があるのか、仕様をしっかり理解しておきましょう。
広告事業部 シニアマネージャー
2012年に入社。現在は広告運用チームのマネージャーとして広告運用や研修などをメインに行っている。BtoBからBtoCまで、幅広い業種のお客様の広告運用を担当。趣味はゲーム、アニメ鑑賞、数学系Youtuberの動画をみて問題を解くこと。
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