CRM(顧客関係管理)とは?マーケティングにおける役割とツール選定のポイント
Search Console を開いて自社サイトの表示回数とクリック数を確認する作業は、多くの Web マーケターにとってこれまで変わらないルーティンだったと思います。
ただ最近、その数字を見ながら「なんとなく下がっている気がするけれど、これは AI の影響なのか」と手が止まった経験はないでしょうか。上司やクライアントから「AI 検索でうちはどう見えている?」と聞かれて、うまく説明できなかった方もいるかもしれません。
この記事では、無料で使える3つのツールを使って「AI 検索経由で自社サイトがどう見られているのか」を実際に調べた結果を紹介します。
Web マーケティングの成果に関して変化を感じたとき、始めに Google アナリティクス4(以下、GA4)を開く方が多いと思います。
ただ「AI 検索の影響を確認する」という目的においては、GA4には限界があります。その理由は、GA4が「サイトに来た人」しか記録できないからです。
AI による概要や AI モード、ChatGPT のような生成 AI の回答画面では、ユーザーは回答を読んだ時点で疑問が解消され、サイトに遷移しないケースが多くあります。いわゆる「ゼロクリック検索」です。
この「表示されたが、クリックされなかった」状態は、GA4上では何も起きていないのと同じ扱いになります。つまり、AI の回答で自社が引用(サイテーション)されていても、GA4では捉えられません。
秋元
現時点で、AI 経由の見え方を無料で確認できる主なツールは以下の3つです。それぞれ「どこの AI を見ているのか」が違うため、役割の違いを最初に押さえておくと活用に迷いません。
| ツール | 提供元 | 主に反映される領域 |
|---|---|---|
|
Search Console
「生成 AI パフォーマンスレポート」 | ||
|
Webmaster Tools
「AI パフォーマンス」 | Microsoft | |
|
Clarity
「AI Visibility」 | Microsoft |
国内の検索エンジンシェアは Google がほとんど占めていることもあり、これまで Search Console を主に利用している企業も多いと思います。本記事では Search Console の生成 AI 機能を軸に紹介し、他のツールとの比較や活用について解説します。
秋元
Search Console に追加された生成 AI 機能は、「生成 AI パフォーマンスレポート」という名称で、2026年6月3日に公式発表されました。
ざっくりいえば、これまで「通常の検索結果」としてひとまとめに集計されていた表示回数とクリック数のうち、生成 AI による回答画面での見え方を切り出して確認できる機能です。
Search Console を開き、左側にあるメニューの「検索結果」配下にある「生成 AI」をクリックすると確認できます。

生成 AI パフォーマンスレポートで確認できるデータは、生成 AI によって「自社サイトのどのページが、どれくらい、どこで表示されたか」です。具体的に確認できる項目は、以下の通りです。
画面上部には期間指定とフィルタ機能もあるため、例えば「過去28日間における、サービスページのみに絞ったデータ」なども確認可能です。また、比較機能を活用して、前年との差や他のページとのパフォーマンスの違いも並べて確認できます。
秋元
生成 AI による表示回数は確認できる一方、クリック数やクエリ、AI 回答内での引用文そのもの、引用された位置、競合との比較などはこの機能で確認できません。
| 確認できる | |
| 確認できない |
Search Console では従来からある「検索結果」という検索パフォーマンスを確認できる画面があります。
ここからは、キーワードマーケティングのサイトの実データを用いて、従来からある「検索結果」と「生成 AI パフォーマンスレポート」でどういった違いがあるのか解説します。
前提として、2つのタブでは確認できる項目が異なります。そのため、純粋に比較できるデータではありません。
秋元
また、「AI でどのような聞かれ方をしているのか」が、多くの方が最も知りたい部分だと思いますが、現時点ではクエリ(プロンプトも含む)は確認できません。どのような検索をされているかは、表示されたページの内容から推測するしかありません。
それぞれのタブで確認できる項目は以下の通りです。
| 項目 | 検索結果 | 生成 AI パフォーマンスレポート |
|---|---|---|
| 表示回数 | ◯ | ◯ |
| クリック数 | ◯ | ✕ |
| クリック率 | ◯(平均) | ✕ |
| 平均掲載順位 | ◯(平均) | ✕ |
| クエリ別 | ◯ | ✕ |
| ページ別 | ◯ | ◯ |
| 国別 | ◯ | ◯ |
| デバイス別 | ◯ | ◯ |
| 期間別の粒度 | 週別 | 日別 |
| 期間指定 | ◯ | ◯ |
| 検索タイプのフィルタ | ◯ | ✕ |
| データの遡り | 16ヶ月 | 2026年5月18日以降のみ |
2つのタブで確認できる項目に違いがある点を踏まえて、以下の2点で比較します。
秋元
それぞれのタブで表示回数が多かった上位20ページを並べてみます。

まず、両方のタブに登場したページは20ページ中9ページで約半分は共通していました。しかし、順位はかなり入れ替わっていることも分かりました。
通常検索で10位だった Search Console が AI では3位、通常検索で14位だった Google Discover が4位に上がっていました。

一方、通常検索で2位だった NotebookLM は5位まで下がっています。

また、通常検索の上位20ページのうちの7ページは、AI 側の上位20ページには入っていませんでした。
秋元
通常検索でも1位のページは突出していますが、2位以下にも一定のボリュームがあります。一方 AI タブでは、1位の Google AI モードだけで上位20ページ合計表示回数の4分の3を占めていました。

AI の回答画面では、そもそも参照されるページ数が絞られます。通常の検索結果が10本のリンクを並べるのに対し、AI は回答を組み立てるために必要な数ページだけを引くような仕組みです。その構造の違いが、そのまま表示回数の分布に出ていると考えます。
秋元
AI 側にだけ登場したページは、大きく2つに分かれます。1つは以下のような「マーケティング用語の解説記事」です。
もう1つは以下のような広告メニューや配信手法の解説記事でした。
秋元
一方、通常検索側にだけ表示されたページは以下の通りです。管理画面の操作手順を扱った記事がほぼ全てを占めていました。
これらのデータから、AI に拾われやすいのは答えが文章で完結する「定義・概念」型の記事、AI に拾われにくいのは画面を見ながら手を動かす必要がある「操作手順」型の記事という傾向が読み取れます。
秋元
AI タブではクリック数が確認できないため、「AI 検索でどれだけクリックされたか」は、この機能だけでは分かりません。
ただ、通常検索タブにはページ別のクリック数があるため、同じページについて「AI でどれだけ表示されたか」と「通常検索でどれだけクリックされたか」を並べることで「AI で表示されているページほどクリック率が低いのではないか」という仮説を検証できます。
ここで、両方のタブに登場した9ページについて、通常検索の表示回数に対して AI の表示回数がどれくらいの割合か(以降、AI 比率と記載)を出してデータを比較しました。
秋元
以下は AI 比率の高い順に、通常検索側のクリック数とクリック率を並べたものです。

まず、AI 比率そのものにかなりの幅があります。最も高い Search Console が81.9%、最も低い NotebookLM が5.3%でした。
同じサイトの記事でも、AI での表示のされ方はページごとにまったく異なるということなので、サイト全体で「AI の影響は◯%」とまとめて語れるものではないといえます。

次に、AI に多く表示されているページほどクリックされなくなっているのかという検証についてですが、結果として相関はないようでした。
確かにクリック率が低いページもありますが、AI 比率42%の Google Discover はクリック率1.10%、さらに AI 比率41%の X 認証バッジは7.88%となっており低い数値ではありません。

逆に、AI 比率が最も低い NotebookLM のクリック率は0.22%で、特に高くはありません。

このデータを踏まえると、AI に表示されているかどうかで、クリックのされ方が決まっているわけではなさそうです。
ここまでは Search Console の AI 機能におけるデータを紹介しましたが、Webmaster Tools、Clarity でも AI 検索での見え方を調べられます。
秋元
以下では、各ツールで実際にどんなデータが出たのかを確認しながら、その違いがどこから生まれているのかを考えていきます。
Webmaster Tools は、Microsoft が無料で提供しているサイト管理者向けのツールです。Search Console と同じように、検索パフォーマンスやサイトインデックスの状況などを管理、確認できます。
AI 検索に関するレポート機能は「AI パフォーマンス」で、自社サイトが Microsoft や Copilot、Bing の AI 回答でどれくらい引用・参照されているかを確認できます。

確認できる項目は以下の4つです。
Search Console よりも Webmaster Tools の方が見られる項目は多いですが、指標がそもそも異なる点もあり純粋な比較はできないので注意が必要です。
Webmaster Tools の「AI パフォーマンス」レポートによると、2026年5月18日から8月17日までの期間における引用回数は82,198回でした。
秋元
こうしたケースについて、考えられる理由は2つあります。
1つ目は、カウントしているものが異なる点です。Search Console の「表示回数」は AI の回答画面に表示された回数ですが、Bing の「Citations」は AI が回答を生成するために引用した回数なので、そもそも比較できません。
2つ目は、検索エンジンのシェアの差です。国内の検索利用の大半は Google が占めているため、Bing 経由の母数はそれだけ小さくなります。つまり、単純に数の比較で評価はできません。
Bing では、Search Console にはない検索語句(Grounding Queries)データを取得できますが、これはユーザーが実際に検索した言葉ではありません。
秋元
実際、データの中にはユーザーが検索したとは思えない語句が混ざっていました。

つまり、この画面から「ユーザーが AI にどう質問しているか」は読み取れません。分かるのは、AI が自社の記事を探しに来たときにどんな言葉で探していたかというところまでです。
ただ、これでも意味のある情報だと捉えられます。確認できた427件のうち「とは」を含む語句は125件でしたが、引用回数で見るとこの125件が全体の半分以上を占めていました。
| 語句種別 | 件数(件) | 引用回数(回) | 構成比(%) |
|---|---|---|---|
| 「とは」含む | 125 | 23,507 | 53.2 |
| 「とは」含まない | 302 | 20,655 | 46.8 |
秋元
Search Console の AI タブで1位(218万回表示)だった Google AI モードは、Bing での引用回数順では34位(285回引用)でした。Search Console の記事にいたっては、Bing のデータには1件も出てきません。

逆に、Bing で上位の KBF、CVR、CPM といった記事は、Search Console の AI タブの上位20位に入っていませんでした。
Google と Bing では、インデックスしている情報も回答を組み立てる仕組みも別なので、そういった観点から「AI に強いコンテンツ」がひとつに決まるわけではなく、AI ごとに評価が異なると考えたほうがよいといえます。
秋元
Clarity は、Web サイトへの訪問者がどのようにサイトを利用しているかを分析するための、Microsoft が提供する無料の行動分析ツールです。
ヒートマップやセッションの録画機能などが使用でき、ユーザーのクリックやスクロール、滞在時間などを視覚的に把握できます。
▼Clarity について詳しく知りたい方はこちら
いまさら聞けないMicrosoft Clarityの使い方!最新機能やサイト改善の実践例を紹介|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング
Microsoft Clarity は Microsoft が無料で提供しているヒートマップツールです。これまでのアップデートで追加された機能を含め、Clarity でできることを詳しく紹介します。
AI に関する機能は「AI Visibility」といって、AI アシスタントや AI 検索の裏側で、自社サイトがどのように発見され、利用されているかを確認できます。
Clarity には大きく分けて2つの機能があります。一つは Web サイトを巡回する AI ボット(クローラー)を追跡・分析する「Bot Activity」です。
そしてもう一つが、AI が生成した回答の情報源として、自社サイトのコンテンツがどれくらい引用(参照)されたかをダッシュボードで確認できる「Citations(引用ダッシュボード)」です。

秋元
Search Console と Webmaster Tools で分かるのは、AI に引用された後の結果でした。
一方で、Bot Activity で分かるのは、AI のクローラーが自社サイトに来ているかどうか、つまり「引用される手前の段階」です。特に、サイト全体のアクセスのうち AI ボットが何%を占めているかの数字は、他の2つのツールにはない指標です。
ここでは、キーワードマーケティングのデータはありませんが、他のツールで確認できたデータを応用して考えてみます。
Search Console の AI タブで3位だった記事が、Bing では1件も引用されていないという結果がありました。その他いくつかの記事でも同じことが起きていました。
このときに考えられる理由は、記事の中身が Bing の AI に評価されていないのか、そもそも Microsoft のクローラーが巡回していないのかの2つです。
秋元
クローラーが来ているのに引用されていないのであれば、記事の中身や構成に理由がありそうなので、書き方を見直しましょう。そもそもクローラーが来ていないのであれば、内部リンクやサイト構造の問題かもしれません。
このように改善の方向がまったく異なり、打つ手が変わるので、原因の切り分けができるかどうかは重要です。
Citations で確認できるのは、自社のどのページが何回引用されたか、どのようなクエリが使われたか、特定のクエリ群における全引用のうち自社ドメインが占める割合などです。
これらは Webmaster Tools の「AI パフォーマンス」で確認できる項目とかなり近いことが分かります。
秋元
同じ「AI での見え方」を測るツールでも、中身には大きな違いがあります。特定のツールだけを見て「AI の影響が増えた/減った」と判断するのは、現時点では難しいと考えたほうがよいでしょう。
秋元
そのため、どのようにツールを使い分けるかが重要です。
まず確認してみるなら、Search Console をおすすめします。検索エンジンシェアの大半を占める Google で、追加の設定も不要、開けばすぐ過去のデータが確認できます。
AI 検索の状況を月次でモニタリングするなら、ここから始めると良いでしょう。ただし現状は表示回数しか分からないため、深掘りには向いていません。
もう一歩踏み込んで調査するなら Webmaster Tools です。引用シェアや検索語句が見られるため、「なぜそのページが引用されたのか」を考える材料が多いです。
国内では母数が小さいので成果の測定にはやや不向きですが、AI がどのような言葉で自社を探しているかを知るのに利用できます。
Clarity は、サイトがクローラーに巡回されていないのかを確認できるため、引用されていない記事が中身の問題なのかそもそも巡回されていないのかなど、原因を切り分けて考えるのに向いています。
秋元
3つのツールに共通していえるのは、どのツールも明確に成果を測る数字は持っていないということです。
Search Console にあるのは「表示回数」のみ。Webmaster Tools は「引用回数」と「引用シェア」がありますが、検索エンジンのシェアを加味するとこれだけで方針を決めるのはリスクがあります。
Clarity も、クローラーの巡回や引用の状況は分かっても、そこから成果につながったかまでは追えません。
ただ、どのツールにも共通してページ別のデータはあるため、AI に拾われている記事とそうでない記事を並べられます。
秋元
現段階で、AI 機能で確認できる数字を KPI に置くのはまだ早いと考えています。ツール間で定義がそろっていないこと、そして AI 側の仕組みが変わり続けており、数字が動いた理由を切り分けられないことが理由です。
一方で、観測指標としての価値はあると考えます。「AI ではどの記事が拾われているのか」や、「通常の検索と何が違うのか」については、今の時点でしか取れない初期のデータでもあるからです。
社内やクライアントへの共有としては、「AI 経由の成果はまだ目標値にできないが、モニタリングは始めており、こういう傾向が見えている」と説明できる状態を作るのが現実的な着地点ではないでしょうか。
最後に、この記事で押さえておきたいポイントを改めて紹介します。
特に、3点目が最初の一歩になります。AI 検索の影響を社内で議論すると、やはり他社との比較をしないと自社の現在地が分からないのではないかという着地になりがちです。
秋元
この記事で紹介した中でも、Search Console の生成 AI 機能は、既に Search Console を使用していれば追加の設定は不要です。データが溜まっていれば、今日から確認できます。
まずは Search Console を開いて、通常検索と AI で表示されているページとの違いや共通点があるか見比べてみてください。それだけでも「自社のコンテンツは AI にどう見られているのか」の理解が進むはずです。
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