LINE 広告は2016年のリリースから目を見張るスピードでアップデートを重ね、ターゲティングの精度向上・種類の追加・配信面の増加・管理画面の UI 改良など、どんどん進化しています。2022年3月14日には、詳細ターゲティングに新しいセグメントが28個追加されました。
配信を最近開始した人や配信を検討中の人もいるかと思います。今回は、そんな LINE 広告のターゲティングについて解説します。
各ターゲティングが有効な商材や条件も説明します。これから LINE 広告を始めたい人や、リマケでしか配信できていなくて他のターゲティングに拡大したいという人は、ぜひ参考にしてみてください。
LINE 広告とは、LINE が提供する運用型広告プラットフォームで、LINE のトークリスト、LINE NEWS、タイムライン、LINE BLOG などの LINE アプリ内の広告枠や、LINE の提携アプリの広告枠に配信できます。
LINE 広告の特徴は、何といってもユーザー数の多さです。LINE の⽉間アクティブユーザー数は9,200万人と、他の SNS と比べても圧倒的に多くなっています。
また、SNS の中でも LINE しか利用していない(=LINE でしかリーチできないユーザー)も多くいるため、コンバージョンを飛躍的に伸ばしていくために重要な広告媒体の1つとなっています。
参考:【公式】LINE広告|LINE for Business
リリース当時から絶えず新しいターゲティングが次々を追加している LINE。最新のターゲティングを把握したい方や、どのようなシーンで活用できるターゲティングかイメージするのが難しい方もいるかと思います。以下の表で LINE 広告で使用できるターゲティング方法を一覧化しました。
ターゲティング名 | 詳細 |
---|---|
オーディエンス配信 | ・ウェブトラフィックオーディエンス ・モバイルアプリオーディエンス ・DFA/AAID アップロード ・電話番号アップロード ・メールアドレスアップロード ・LINE 公式アカウントの友だちオーディエンス ・動画視聴オーディエンス ・画像クリックオーディエンス |
類似配信 | ー |
オーディエンスセグメント配信 | ・地域 ・年齢 ・性別 ・OS ・詳細ターゲティング(興味、構造、属性) |
アプリのエンゲージメント配信 | ー |
クロスターゲティング | ー |
オーディエンス配信とは、サイトの訪問履歴、LINE の友だち、LINE に登録している電話番号などのユーザーのデータを使用して、特定のユーザーに広告配信するターゲティングです。
コンバージョン計測やサイト訪問履歴を計測できる LINE Tag のトラッキング情報をもとに、サイトで何らかのアクションを起こした人や訪問した人のオーディエンスリストを作成してターゲティングできます。サイトでのアクションには、サイト内購入やボタンクリック、電話番号タップなどがあります。
特定のページを訪れたユーザーに向けて広告を配信したり、重要なアクションのボタンをクリックしたユーザーに広告を配信したりすると効果的に活用できます。
たとえば、カートページに到達したものの購入完了ページまで到達していないユーザーや、店舗の場所を表示するための Google マップボタンをクリックしたユーザーなど、コンバージョン確度の高いオーディエンスを作成することで、効率的なコンバージョン獲得が見込めます。
また資料請求をしたユーザーのオーディエンスを作成し、そのオーディエンスにだけ割引価格を表示した広告を配信することで、商品やサービスの購入を促すこともできます。
アプリを開いた人やアプリ内で購入した人、EC アプリでカート追加のアクションをおこなった人、ゲームアプリでチュートリアルを完了した人など、アプリ内で発生したイベントに基づいてオーディエンスを作成してターゲティングできます。
アプリインストール後一定期間アプリを開いていないユーザーに対して、再度利用を促すことで、アプリのユニークユーザー数を増加させる施策として活用できます。
また、アパレル系などの EC アプリで商品を購入したユーザーのオーディエンスを作成し、別の商品を広告で表示することで追加購入を促すことができます。
IDFA/AAID データをもとにオーディエンスを作成してターゲティングできます。IDFA/AAID とは携帯端末の広告識別子のことで、IDFA は iOS 端末の広告識別子を、AAID 広告識別子は AndroidOS の端末の広告識別子を指しています。IDFA/AAID データをアップロードすると、そのデータと一致するユーザーに対して広告配信ができます。
既存のアプリ利用者のデータをもとにオーディエンスを作成し、モバイルアプリオーディエンスと同じように別商品の追加購入を狙ったり、類似オーディエンスを作成して顧客と類似するユーザーへコンバージョンを拡大することができます。
このオーディエンスは、特に電話番号・メールアドレスなどの顧客情報を収集できない商材で既存顧客の類似ターゲティングをおこないたい場合に有効です。
Google や Yahoo!、Facebook などの広告媒体では、電話番号やメールアドレスなどの顧客データをもとに既存顧客の類似ターゲティングをすることができます。
しかしゲームアプリの広告などは、アプリのインストールのために電話番号やメールアドレスを入力する必要がないので、これらの顧客情報を集めることができません。代わりに、アプリをダウンロードしたユーザーの IDFA/AAID データを使うことで、既存顧客の類似ターゲティングを配信することができます。
電話番号をもとにオーディエンスを作成してターゲティングできます。電話番号をアップロードすると、その電話番号と LINE に登録している電話番号が一致するユーザーに対して広告配信ができます。
既存顧客の電話番号をもとにオーディエンスを作成して、別商品の追加購入を狙ったり、類似ユーザーに配信してコンバージョンを拡大することができます。IDFA/AAID のデータを所有していない場合には、電話番号アップロードがおすすめです。
主に BtoC の商材で顧客の電話番号データを収集できている状況で、既存顧客の類似ターゲティングをおこないたい場合に有効です。
電話番号データをもとに、既存顧客の類似ターゲティングを配信することができます。このオーディエンス配信は、アップロードした電話番号と、ユーザーが LINE に登録している電話番号を照合して、一致するユーザーや類似するユーザーに広告配信をおこなうものなので、個人携帯の電話番号をアップロードすると効果的です。
法人用の電話番号を LINE 登録に使うユーザーは少ないので、法人用の電話番号だと配信対象のユーザーが少なくなったり、類似配信の精度が低くなる可能性があります。
メールアドレスをもとにオーディエンスを作成してターゲティングできます。メールアドレスをアップロードすると、そのメールアドレスと LINE に登録しているメールアドレスが一致するユーザーに対して広告配信ができます。
既存顧客のメールアドレスをもとにオーディエンスを作成して、別商品の追加購入を狙ったり類似ユーザーに配信してコンバージョンを拡大することができます。
メールアドレスアップロードは、顧客の連絡先としてメールアドレスしか所有していない状況で、既存顧客の類似ターゲティングをおこないたい場合に有効です。
例えば、資料請求をしたユーザーのメールアドレスデータをもとにオーディエンスを作成して商品購入を促したり、既存顧客の類似ターゲティングを配信する時に活用することができます。
ただし、LINE アプリはメールアドレスの登録は必須ではないので、電話番号アップロードよりもデータの一致率が低くなり、対象ユーザーが少なくなる可能性があります。
LINE 広告アカウントに紐づいている LINE 公式アカウント友だち登録されている情報をもとに、オーディエンスを作成してターゲティングできます。
公式アカウントと友だちになっているユーザーはもちろん、公式アカウントをブロック中のユーザーを指定して広告を配信できます。
アカウントの友だちの類似オーディエンスを作成することで、顧客と類似するユーザーをターゲティングし、コンバージョンを拡大することができます。既に多くの友だちを獲得している場合に有効です。
例えば、アパレルショップのLINE公式アカウントが、「友だち追加で500円 OFF クーポンをプレゼント!」というキャンペーンをおこなったことで、1,000人の友だちを獲得できたとします。
友だちの類似配信をおこなうことで、アパレルショップの商品に興味を持っているユーザーに類似するユーザー、つまり「商品を買ってくれる可能性が高いユーザー」に対して広告配信することができます。
また、公式アカウントをブロック中のユーザーへは通常のメッセージは送れないので、友だちオーディエンスを活用して、セール情報や期間限定キャンペーンの広告を配信することで、再購入などを促すことができます。
LINE 広告で配信している動画を視聴した人のオーディエンスを作成してターゲティングできます。オーディエンスを作成するには、対象の動画を選択し、動画の再生率を指定します。動画の再生率は以下から選ぶことができます。
動画広告は、動画の視聴は多く発生するものの、動画をクリックするユーザーは多くないため、動画に興味を持ったユーザーにウェブトラフィックオーディエンスで再アプローチするのが難しいという課題があります。
そのような場合は、動画視聴オーディエンスを使用することで、動画をクリックしていない(=サイトに訪問していない)が、動画に興味を持ってくれたユーザーに対して広告を配信できます。
例えば、BtoB 向けツールの機能を紹介する動画広告を配信している場合、その動画を50%以上再生した人のオーディエンスを作成して、無料お試しキャンペーンの広告を配信することで、ツールのダウンロード数を増やす施策として活用できます。
キャンペーン ID を指定して、そのキャンペーンで使用されている画像をクリックした人のオーディエンスを作成してターゲティングできます。しかし、画像クリックオーディエンスはキャンペーン単位でしか指定できないので、画像1枚を選び出して、その画像をクリックした人だけをターゲティングすることはできません。
画像クリックオーディエンスは、LINE 社がクリックした人のデータを保有しているため、ウェブトラフィックオーディエンスの代替機能として有効です。
現在は ITP の影響で、ウェブトラフィックオーディエンスでは iOS ユーザーへのリーチが難しくなってきています。そのため、ユーザーへより確実にリーチする画像クリックオーディエンスの活用を検討しても良いでしょう。
サイト流入ではなく画像クリックを蓄積条件とすることで、ITP の影響をほとんど受けないリマーケティングリストとして活用することができます。
ただし、サイト流入ではなく LINE 広告の画像クリックを起点としているので、一般的なリマーケティングと違い他の経路(他媒体や自然検索)からサイト流入したユーザーなどは対象にすることができないので注意が必要です。
類似配信機能では、ソースオーディエンス(上記で説明したオーディエンスリストのいずれか)に類似したユーザーを LINE 内で新たに自動で探して配信します。
類似オーディエンスのサイズは1%から15%、もしくは「⾃動」から選択可能です。このパーセンテージは、似ている度合いではなく、オーディエンスのサイズを表しています。サイズとはリストに含まれるユーザー数を指しています。
母数は LINE の全アクティブユーザーなので、仮に100%なら LINE の全ユーザー9,200万人を対象としたリストとなります。15%のリストなら、9,200万人の中で似ている上位15%の約1,380万人を対象としたリストです。
パーセンテージが低いほど類似度が⾼くなりアクションの確度は⾼まりますが、オーディエンスサイズは⼩さくなり、リーチできる⼈数が限られます。
逆にパーセンテージが高いほど類似度が低くなりアクションの確度は下がりますが、オーディエンスサイズは⼤きくなり、配信⺟数が増えます。
LINE 公式アカウントの友だちのリストや、購入完了ページに到達したユーザーのリストをソースオーディエンスにすることで、既存顧客と似た属性・傾向を持つユーザーに広告配信し、新規層からのコンバージョンを拡大することができます。
例えば、40代男性向けのアパレル EC の広告アカウントで、購入完了ページに到達したユーザーのリストをソースオーディエンスにすることで、40代男性でファッションに興味があるユーザーに対して広告配信することができます。
オーディエンスセグメント配信では、年齢や性別、地域、興味関⼼などでターゲティングをして広告配信できます。各ユーザーの年齢や性別、興味関心は、「みなし属性」と購買経験を参考に設定されています。
「みなし属性」とは、LINE ファミリーサービスにおいて、LINE ユーザーが登録した性別、年代、エリア情報とユーザーの⾏動履歴、 LINE 内コンテンツの閲覧傾向や LINE 内の広告接触情報をもとにセグメントを分類したものです。設定できるターゲティングの詳細は以下の通りです。
都道府県・市区町村を指定して配信・除外の設定をすることができます。範囲の指定方法で「半径を指定」を選ぶと、検索窓で指定した地域や地図上で指定した特定の地点から、半径1km から50km の範囲を対象とすることも可能です。また、配信対象は以下の5種類から選ぶことができます。
興味関心や直近の行動をもとにターゲティングをして広告の配信や除外ができます。
興味・関心セグメントでは、特定のカテゴリに興味関心を持っているユーザーをターゲティングできます。カテゴリの一覧は以下の通りです。
ユーザーの直近の行動をターゲティングできます。行動の一覧は以下の通りです。
ユーザーの詳細な属性をターゲティングできます。属性の一覧は以下の通りです。
クロスターゲティングとは、LINE 公式アカウントや LINE ポイント AD で取得したデータを、LINE 広告での配信に活用できる機能です。
LINE ポイント AD とは、友だち追加や動画視聴など特定の条件をクリアしたユーザーに LINE ポイントを付与できるサービスです。LINE 公式アカウントや LINE ポイント AD で特定の行動をしたユーザーに対して広告を配信できます。
LINE ポイント AD を実施したユーザーをターゲティングすることで、よりコンバージョン獲得見込みの高いユーザーに広告を配信し、コンバージョン獲得につなげることができます。
例えば、エステサロンの LINE 公式アカウントが、LINE ポイント AD でサロン紹介の動画視聴の施策を実施している場合、その動画を視聴したユーザーのオーディエンスを作成して、サロン予約を促す広告配信に活用することができます。
ここからは、目標に応じてどのターゲティングを優先的に使うべきかを解説するので、LINE 広告を始める際の参考にしてください。
コンバージョンを大幅に増やしていくことを目標にしているなら、効率よく配信拡大が狙える、既存顧客の類似配信で、オーディエンスサイズは「自動」を使いましょう。
既存顧客とは、LINE 公式アカウントの友だち、顧客の電話番号やメールアドレス、購入完了ページ到達ユーザーなどです。
この中からもっともデータが多いものを類似配信のソースオーディエンスに設定して、サイズは「自動」を選択します。「自動」とは、類似度とオーディエンスサイズを加味して、⾃動で最適なオーディエンスサイズに調整してくれる設定です。
このターゲティングを使用することで、配信対象のユーザー数を十分に確保しながら、既存顧客の類似ユーザーという獲得効率のいいユーザー層に配信し、コンバージョンの拡大を狙うことができます。
獲得単価を抑え、予算内でコンバージョン数最大化を目指す場合、まずはウェブトラフィックオーディエンス(リマーケティング)や画像クリックオーディエンスから始めましょう。
1度サイトに訪問しているユーザーや、広告画像をクリックしているユーザーは、その商品サービスに興味を持っているので、再度アプローチすることで購入してくれる可能性が高く、もっとも獲得効率のいいターゲット層です。
獲得単価を抑えつつもう少し配信を拡大したい場合や、ウェブトラフィックや画像クリックオーディエンスで配信量が少なくなってしまう場合は、既存顧客の類似配信の1%を配信してみましょう。
配信対象のユーザー数を増やしながら、LINE ユーザーの中でも最も既存顧客に類似している層に配信し、効率のいいコンバージョン拡大を狙うことができます。
店舗の来店コンバージョンを目標にしているなら、地域セグメントを活用しましょう。店舗の地点から半径5km の地域などを指定し、配信対象を「この地域に住んでいる人、この地域で働いている人」に設定することで、店舗周辺のユーザーにピンポイントで広告配信をすることができます。
さらに年齢・性別・興味関心のセグメントを合わせて設定することで、より見込みの高いユーザー層に絞って配信することも可能です。
ただし、対象地域を狭くしすぎたり、年齢・性別・興味関心のセグメントを絞り込みすぎると、配信対象のユーザーが少なくなり広告の配信量が出なくなってしまう可能性があるので注意が必要です。
LINE はユーザー数が多く、またその層も幅広いので、ターゲティングを活用してターゲット層にリーチできればコンバージョン数を大幅に増やせる見込みがある媒体です。
他の SNS 広告ではリーチしにくい高年齢層や、SNS を積極的に使用しない層にも広告を届けやすいという点も魅力です。
ターゲティングを効果的に選択できれば、他の SNS 広告媒体を大幅に上回るコンバージョン獲得を目指すことができます。また、LINE 広告は今後もターゲティングの追加やアップデートが期待されるので、リリース情報に注目していきましょう。
広告事業部 マネージャー
2015年4月に新卒として入社。2019年にマネージャーに昇格。広告運用の仕事をメインに、現在はサイト改善提案やブログ執筆にも力を入れている。数値をもとにしたサイト改善提案が得意。趣味は動画を見ること、ゲームをすること。
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