広告にはさまざまなターゲティング方法があり、LINE 広告も例外ではありません。例えば興味関心にもとづくターゲティングは、LINE 広告をはじめどの広告媒体でも使用する頻度が高いかと思います。
しかし、興味関心にもとづくターゲティングは、広告媒体側で用意されたカテゴリの中からしか選べず、「興味関心を持っているユーザー」の定義も広告媒体次第です。
多様な商品やサービスがある中で、自社の商品やサービスにぴったり合う興味関心のカテゴリがないということもあります。この場合、どのようにターゲティングを設定すべきかは難しい問題です。
LINE 広告の類似オーディエンスは、すでに顧客になっているユーザーなど、自社商品・サービスに興味関心が非常に高いユーザーのデータをもとにして、確度の高いターゲティングが可能です。そのため、広告運用の経験が浅い方にも挑戦しやすいターゲティング方法です。
そんな広告運用初心者の方でも成果を出しやすい、類似オーディエンスについて紹介します。
類似オーディエンスリストとは、作成したオーディエンスリストをもとに、そのリストに含まれるオーディエンス(ユーザー)と類似すると判断されたオーディエンスに配信できるターゲティングです。類似度は1%から15%まであり、1%刻みで選択できます。また、類似度を自動にして配信することもでき、自動にした場合は広告のパフォーマンスによってターゲットの類似度が変わります。
類似度は1%に近いほど類似度が高いユーザーで、成果に繋がる可能性が高くなりますが、ターゲットになるユーザー数が少なくなります。
一方、類似度が15%に近いほど類似度が低くなるため、成果への繋がりやすさは下がりますが、多くのユーザーをターゲットにできます。まずは1%から始めてみて、十分に成果が出るようになったらパーセンテージを上げてターゲットユーザー数を増やしていくのがよいでしょう。
1つの広告アカウントで類似オーディエンスを作成できる件数は最大10件です。1度に10件の類似オーディエンスを使用することは少ないかもしれませんが、類似度ごとに細かく分割して類似オーディエンスを作成する場合などには注意が必要です。
類似オーディエンスを作成してから、その類似オーディエンスが使用できるようになるまでに時間がかかります。最長で24時間かかる場合もあるため、類似オーディエンスの配信を予定しているときは早めに類似オーディエンスを作成しておきましょう。
また、作成してから180日以上経過し、かつ180日間インプレッションが発生していない類似オーディエンスは期限切れとなり使用できなくなる点にも注意しましょう。
そもそも LINE 広告のオーディエンスとは、サイトの訪問履歴、LINE の友だち、LINE に登録している電話番号などのユーザーのデータを使用して、特定のユーザーをターゲットできる機能です。
類似オーディエンスの作成には、まずはデータソース(類似オーディエンスのもとになるデータ)となるオーディエンスの作成が必要です。他のターゲティング(年齢や性別、興味関心などのデータを使用したターゲティングなど)は LINE 広告が保持しているデータを使用しますが、オーディエンス配信は広告主側が保持している、または収集できるデータを使用してターゲティングできることが特長です。
LINE 広告のオーディエンスは次の種類があります。
オーディエンス | 詳細 |
---|---|
ウェブトラフィックオーディエンス | コンバージョン計測やサイト訪問履歴を計測できる LINE Tag のトラッキング情報をもとに、サイトで何らかのアクションを起こした人や訪問した人にターゲティング |
モバイルアプリオーディエンス | アプリを開いた人やアプリ内で購入した人など、アプリ内で発生したイベントにもとづいたターゲティング |
IDFA /AAID アップロード | IDFA /AAID (携帯端末の広告識別子。IDFA は iOS 端末、AAID は AndroidOS の端末の広告識別子)データをアップロードして、そのデータと一致するユーザーにターゲティング |
電話番号アップロード | 電話番号をアップロードすると、その電話番号と LINE に登録している電話番号が一致するユーザーにターゲティング |
メールアドレスアップロード | メールアドレスをアップロードすると、そのメールアドレスと LINE に登録しているメールアドレスが一致するユーザーにターゲティング |
LINE 公式アカウントの友だちオーディエンス | LINE 広告アカウントと紐づいた LINE 公式アカウントの友だち登録情報をもとにターゲティング |
動画視聴オーディエンス | LINE 広告で配信している動画を視聴したユーザーにターゲティング |
画像クリックオーディエンス | LINE 広告で配信している広告画像をクリックしたユーザーをターゲティングできる |
類似オーディエンスの配信には、オーディエンスの準備から広告グループへの設定が必要です。ここからは具体的な設定方法を解説します。
サイト内に設置すると、アクセスしたユーザーのデータを収集できる LINE Tag は、ウェブサイトトラフィックオーディエンスの作成に必要です。
その他のオーディエンスには必須ではありませんが、 LINE Tagは本来、広告のコンバージョン計測に欠かせないため、LINE Tag を設置せずに LINE 広告を配信するケースはめったにありません。万が一、まだ LINE Tag を設置していない方は最初に設置を完了させましょう。
すでに LINE Tag の設置が完了している場合は、このステップは不要です。
LINE Tag は広告管理画面のメニュー内の「トラッキング(LINE Tag)」から設定します。
「LINE Tag による計測」の表記の下にある「ベースコード」が、今回必要になる LINE Tag です。このコードをコピーして、ウェブサイトの head 内に設置します。Google Tag Manager などのツールを代用する場合でも、サイト内でタグが作動するか確認しましょう。
ベースコードの下に「コンバージョンコード」がありますが、これはコンバージョン計測のためのコードです。今回のオーディエンス作成には使用しないため、コンバージョンコードの解説は割愛します。
類似オーディエンスを作成する前に、データソースとなるオーディエンスを作成します。
まず LINE 広告管理画面のメニューから共有ライブラリにある「オーディエンス」をクリックします。
オーディエンス一覧の画面に移ったら、緑色の「オーディエンス作成」ボタンをクリックします。オーディエンスのカテゴリ一覧が表示されたら、作成したいオーディエンスを選択します。
作成したオーディエンスはオーディエンス一覧に表示されます。右端の項目に利用可否が表示されていて、ステータスが「利用可能」になったら配信を開始できます。この項目が「準備中」になっているオーディエンスは、まだデータが十分に蓄積されていないため、配信できません。
ステータスが「準備中」のオーディエンスでも広告グループへの設定はできますが、実際の配信はできません。気をつけましょう。
オーディエンスが作成できたら、次に類似オーディエンスを作成します。オーディエンス作成の手順と同じように LINE 広告管理画面のメニューから共有ライブラリにある「オーディエンス」をクリックしてオーディエンス一覧の画面を開きます。「オーディエンス作成」ボタンを押して表示されたカテゴリの中から「類似オーディエンス」を選択します。
類似オーディエンス作成画面に移ったら、「オーディエンスソース」の項目で使用するオーディエンスの選択とオーディエンスサイズ(類似度)の設定をします。
オーディエンスサイズは、手動か自動を選択します。手動の場合は、1%から15%の間で類似度を設定します。最後に「保存」ボタンを押したら完了です。
作成した類似オーディエンスを使用して広告を配信するには、広告グループの設定で「ターゲット設定」の「オーディエンス」で、使用する類似オーディエンスを指定するだけです。
類似オーディエンスにはさまざまな活用方法がありますが、中でも特に成果が出しやすいものや活用しやすいケースを紹介します。
広告を経由してサイト上でコンバージョンしたユーザーデータを用いて、類似オーディエンスを作成できます。多くの場合、商品購入やお問い合わせなどのコンバージョンが完了した際にサンクスページが表示されます。サンクスページに至ったユーザーのデータをもとにして、コンバージョンしたユーザーと同様の属性や興味関心を持っているユーザーをターゲティングできます。
まずはウェブトラフィックオーディエンスを使用して、コンバージョンに至ったユーザー(商品購入完了ページに訪れたユーザー)のオーディエンスを作成しましょう。「特定のページにアクセスした人」の設定で URL の条件を指定します。
例えば、商品の購入がコンバージョンで、購入完了したユーザーが、 「http://○○○.com/complete」のURL で設定されたページに到達する仕組みだとします。
この場合、ページ URL に「complete」が含まれているページにアクセスしたユーザーを条件としてオーディエンスを作成すると、コンバージョンに至ったユーザーだけのオーディエンスができます。このオーディエンスをソースとして類似オーディエンスを作成しましょう。
自社の顧客のメールアドレスをもとにオーディエンスを作成して、その類似オーディエンスを使用して配信する方法がメールアドレス類似オーディエンスです。すでに顧客になったユーザーのデータをもとにして同様の属性や興味関心を持っているユーザーをターゲティングできるため、新規ユーザーの中でも成果に繋がる見込みの高いユーザーに広告を配信できます。
メールアドレスを LINE 広告管理画面にアップロードしてオーディエンスを作成します。メールアドレスのアップロードは CSV または TXT ファイルでアップロード可能です。このオーディエンスをソースとして類似オーディエンスを作成しましょう。
また、アップロードするメールアドレスには半角スペースや「,」(カンマ)、「+」(プラス)などの特殊記号が使えません。
使用不可の記号が1つでも含まれているとファイルはアップロードできないので注意しましょう。特に気を付けたいのは「@」(全角のアットマーク)です。半角のアットマークはもちろん問題ありませんが全角は特殊記号扱いです。一見、判別しにくいため、エラーが出たら Excel の検索機能などを活用するとよいでしょう。
アップロードしたファイルにエラーがあった場合は、エラーの詳細を CSV ファイルでダウンロードできます。ファイルの中身を確認してください。
LINE 広告の配信には LINE 公式アカウントと広告アカウントを紐づけます。その LINE 公式アカウントを友だち登録しているユーザーのオーディエンスを作成して、その類似オーディエンスをもとに配信する方法が友だち類似オーディエンスです。
LINE 公式アカウントを友だち追加しているユーザーは、自社の商品やサービスに強い興味を持っている可能性が高いです。そのユーザーのデータをもとにした類似オーディエンスのため、新規ユーザーの中でも特に興味を持ってもらえる可能性が高いユーザーに広告を配信できます。
おすすめの活用方法は、LINE 広告の機能のひとつである「友だち追加広告」と一緒に配信することです。友だち追加広告は、LINE 公式アカウントの友だち追加を促して友だちの獲得数を増加させることを目的に配信する広告です。
材料になるデータの友だち(母数)が増えなければ、類似オーディエンスで配信できるユーザーも増えにくく、成果に繋がるユーザーの数も減少してしまい、やがて徐々に広告成果が悪くなってしまう可能性があります。しかし、友だち追加広告の配信で継続的に友だちが増える仕組みをあらかじめ作っておくと、友だち類似オーディエンスで配信できるユーザーも継続的に更新できます。
また、LINE 公式アカウントの友だちは LINE 上で収集できるデータのため、顧客メールアドレスが使用できない場合や、ウェブサイトにアクセスしたユーザーのデータの蓄積が少ない状況でも活用しやすいオーディエンスです。
LINE 広告で動画形式の広告配信の場合に活用できる類似オーディエンスです。広告で配信した動画を視聴したユーザーのデータをもとに類似オーディエンスを作成できます。
配信する広告を活用したオーディエンスは動画視聴オーディエンスの他に、広告画像をクリックしたユーザーのデータを使用した「画像クリックオーディエンス」もあります。しかし、動画視聴オーディエンスのメリットは、「動画を3秒以上再生したユーザー」や「95%以上再生したユーザー」、「最後まで再生したユーザー」などの細かい条件指定ができる点です。
長時間動画を再生したユーザーは、間違ってクリックしたユーザーや再生したものの興味がなく途中離脱したユーザーは含まれにくいと考えられます。従って、興味が強いユーザーのデータをもとに類似オーディエンスを作成できます。
まだ接触したことのないユーザーへの広告配信を考えたとき、「しっかりと成果に繋がりやすいユーザーに届けられるか」は大きな課題です。リマーケティングのように、過去にサイトへの訪問歴があるユーザーは確度が高い反面、配信し続けていくといずれどこかで頭打ちになってしまうこともあります。
類似オーディエンスを使用すると、すでに顧客になっているユーザーのデータを活用しつつ、未接触のユーザーに広告を配信できます。新しいユーザーでかつ、確度の高いユーザーをターゲットにできるため、成果が出やすいターゲティング方法です。
今回紹介した以外にも類似オーディエンスの活用方法はあるので、まずは LINE 広告管理画面を見て、どんなオーディエンスが活用できそうか探してみてください。
編集部
モットーは、分かりにくいを分かりやすく。Web広告の知識に長けた編集陣が、リスティング広告やSNS広告などの運用型広告の最新情報、Webマーケティングのノウハウを分かりやすく解説します。
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