運用型広告

CPAを必要以上に高騰させずにCVをどう増やす?成果につながる広告運用の10の施策

広告運用においては KPI として CPA(顧客獲得単価)を設定し、いかに費用対効果がよくコンバージョン(CV)を獲得するかを考えながら運用することが一般的です。

ただし、CPA を良くしたり維持したりしながら CV を増やすとなると広告予算を限りなく抑え、費用対効果の高い配信先にのみ絞るといった、過度に効率重視の運用になり CV 数もあまり増えない恐れがあります。

しかし、広告費用を抑えることが目的化してしまうと、目指すべき成長を妨げてしまうこともあります。本記事では、CPA を必要以上に高騰させずに広告費を増やし、CV 数の増加にもつながった施策をご紹介します。

CPA を必要以上に高騰させずに CV 数を伸ばすための大切な考え方

CPA を必要以上に高騰させずに CV 数を伸ばすためには、「無駄」と「機会損失」という考え方が重要になります。それぞれ詳しく解説します。

無駄を削減しつつ、機会損失を防いで運用することで、CPA を維持しつつ CV を増やすことができるので、しっかりと確認して運用してみましょう。

無駄とは

キーワードマーケティングにおいて広告運用における「無駄」とは、CV 見込みの低い、または関連性のないユーザーや配信面に広告が配信されている状態を指します。

例えば CV 獲得の可能性が低い領域に広告費を使ってしまうと、当然ながら費用対効果が悪化し、CPA の上昇につながってしまいます。

このような「無駄」は、広告管理画面のデータを分析することで発見できます。定期的に配信状況を確認し、獲得効率の悪い箇所がないか確認してみましょう。

機会損失とは

一方で「機会損失」とは、CV の見込みがあるのにもかかわらず、そのユーザーや面に対して広告を配信できていない状況のことを指します。そのため CV を獲得できる領域を発見することで、CV 数の底上げを狙えます。

ただ、無駄とは異なり、機会損失は管理画面などのデータから直接把握することが難しく、発見するにはクライアントとの密なコミュニケーションや工夫、仮説が必要です。

成功の鍵は、「無駄の削減」と「機会損失の防止」の両立

ここまでは「無駄」と「機会損失」の意義を紹介しましたが、冒頭でもお伝えした通り、無駄を削減するだけでは CPA は良化するものの全体の CV 数は減少してしまうこともあります。

逆に、機会損失を防ぐだけでは、今までよりも多少費用対効果の悪い箇所にも配信する必要があり、CV 数が増加しても CPA が高騰してしまうので、「無駄の削減」と「機会損失の防止」同時進行で運用をしましょう

無駄の削減と機会損失を防止する10の施策

それではここから「無駄の削減」と「機会損失の防止」という観点に分けて、効果的な施策を紹介します。

施策を検討する際に注意したいのは、現在の運用状況によって無駄と機会損失どちらの施策を注力すべきかです。以下に CPA 達成状況に応じた施策の注力方針をまとめているので、現在の運用状況とこれから紹介する施策を照らし合わせてみてください。

  • CPA を達成できていない→まずは無駄を減らす施策をメインに実施する
  • CPA を大幅に達成できている→まずは機会損失を防ぐ施策をメインで実施する
  • CPA をギリギリで達成できている→両側面の施策を同時並行で実施する

無駄を削減する① 検索語句を精査する

リスティング広告において、実際に広告が表示された検索語句を確認することは非常に重要です。サービスに合ったキーワードを登録していても、キーワードの拡張性により関連性の低い検索語句に配信されてしまうことがあるためです。

特に、昨今のリスティング広告ではこの拡張性がさらに広がっている傾向です。最も拡張性の高いマッチタイプである「インテントマッチ」はもちろん、「フレーズ一致」や「完全一致」でさえ、「類似パターン」として本来意図していない検索語句に配信されているケースが確認されています。

そのため、「フレーズ一致だけで配信しているから大丈夫」と安心するのではなく、必ず検索語句レポートを確認し、関連性の低い語句に関しては除外登録をしましょう

確認するタイミングは、配信を開始したばかりなのであれば日次で、広告の成果がある程度安定した場合でも2週間に1度は検索語句を確認することがおすすめです。

▼除外登録のコツについてはこちら

【効率化ナレッジ】除外キーワード選定で決めておくと良いこと|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング

広告配信の足を引っ張っている余分な検索クエリ排除し、効率的な配信にするための方法をまとめました。作業を効率化するためのスプレッドシートや、具体的な方法までわかりやすくまとめました。

無駄を削減する② 広告文を変更する

広告文は、一般的にクリック率を高めることを目的として設定されます。クリック率の高い広告は媒体側からも良い広告として評価されるため、基本的には有効な取り組みです。

一方で、誰にでもクリックされる広告文だとしても問題があります。リスティング広告はクリックされた段階で広告費が発生する「クリック課金」方式であることを前提に、広告文を考えてみましょう。

今回は広告文を考える際のポイントを2つ紹介します。

  1. ターゲットを明確にする
  2. ユーザーのニーズを意識する

1.ターゲットを明確にする

例えば法人向けの商品を販売している場合、その商品を求めていなかったり、関連性の低かったりする個人のユーザーが広告をクリックすると、無駄な広告費が発生してしまうことになります。

こうした無駄なクリックを防ぐために、広告の見出しには「法人向け」といったターゲットにあわせたテキストを入れておくことをおすすめします。

2.ユーザーのニーズを意識する

また、ユーザーの属性だけでなく、ユーザーのニーズも意識した広告文を作成することも重要です。

例えば高級オフィス家具の広告を配信する場合、キーワードとしては「オフィス家具」を登録することが多いと思います。ただし、「オフィス家具」と検索するユーザーの中には、価格を重視するユーザー、品質を重視するユーザーなどさまざまです。

高級オフィス家具の場合、価格を重視するユーザーが流入したとしても購入などの CV が発生する可能性は低いことが想定されます。そのため、広告の見出しにユーザーのニーズに合った「法人向け高級オフィス家具」と設定しておくと、以下のような結果が現れます。

  • 法人のユーザーに広告が見られる
  • 品質を重視するユーザーからクリックされる
  • 安さを求めているユーザーからのクリックをある程度防ぐことができる

このように、広告文を作成する際には汎用的なものだけでなく、CV に結びつく可能性の低いユーザーのクリックを防ぐことができるような広告文になっているかという視点も持ちながら設計すると、無駄の削減に直結します。

▼広告文の考え方についてはこちらでも紹介

成果の出る広告には守るべき掟がある!ステップ式で作る広告テキストの考え方|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング

ステップ式で広告文を作るポイントとして、①調査、②セグメント分け・ターゲットの決定、③ターゲットのニーズを定義、④ニーズをメッセージへ変換、⑤各種媒体への出し分けがあります。セグメントとターゲット選定は広告テキスト以外にも活用できる基本です。記事を読んで考え方を習得してみてください。

無駄を削減する③ ターゲティングを変更する

広告文と同様に、ターゲティングの見直しも無駄を削減するうえで重要なポイントです。リスティング広告におけるターゲティングとは主に配信キーワードになりますが、それに加えて配信されている属性やデバイス、日時についても確認してみましょう。

たとえば、以下のようなケースでは、成果につながりにくい層への配信を除外することで、効率の改善が期待できます。

商材の特徴ターゲティングの設定方法
男性向け女性への配信を除外
企業向け10代から20代前半への配信を除外
ターゲティングの設定方法例 ※Google 検索広告のみ設定できる

ただし、ターゲティングに関しては最初からしぼった状態で配信してしまうと、今度は機会損失が発生してしまう可能性があります。

まずは広めに配信をし、その結果を見ながら成果の出ていない属性や時間帯を段階的に除外し無駄を削減していくことをおすすめします。

無駄を削減する④ 過度な入札を抑える

広告を上位表示させるために、過度に入札を強化していないか確認しましょう。入札を強化するほど検索広告は上位表示されるようになります。しかし、広告の掲載順位と CV 率は必ずしも比例しません。

よって、「入札を大きく強化して広告の掲載順位を1位にしたが、CV 率の上昇はわずかだった。そのため、入札を引き上げた分 CPA が高騰した」ということも起こりえます。

1位掲載に必要な入札額が高いなら、あえて2位掲載に留まっておき、CPA の良化を狙うという手法もあるので今の入札額が適切なものか、確認しましょう。

機会損失を防ぐ① キーワードの精査

CV を獲得できる可能性があるのにもかかわらず、広告が配信されていないキーワードがないかを見直すことは、新たな獲得機会を広げるうえで重要です。キーワードの探し方としては以下の2つが主に挙げられます。

  1. 検索語句の確認
  2. ユーザーの検索行動を理解する

1.検索語句の確認

キーワードの拡張により、本来の意図とは異なる検索語句で CV を獲得することがあります。その語句を新たにキーワードとして登録することで、CV 数の増加が見込めます。一方で、その語句をキーワード登録することでさらに拡張されて広告が配信されるため、関連性の低い語句に配信される可能性があることに注意しましょう。

2.ユーザーの検索行動を理解する

検索語句に表示されなくても、ユーザーの検索行動を想像することで、新しいキーワードを発掘できることがあります。特にニッチな商材の場合、このアプローチが有効です。

例えば、消毒液を扱っているが「アルコール」というキーワードで広告を配信していたとします。しかし一部のユーザーは「アルコール=お酒」と連想してしまう可能性があるため、「消毒液」という語句で検索するケースも考えられます。

そういったユーザーを取りこぼさないためにも、「消毒液」と誰でもイメージしやすいようなキーワードを登録しておき、広告文にも適切に盛り込んでおくことが重要です。

▼キーワードの選び方はこちらでも解説

【弊社の新人研修を公開】リスティング広告のキーワードの選び方(基礎編)|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング

広告運用代理店が、新人研修で教える「リスティング広告のキーワード選定方法」をお伝えします。リスティング広告を配信したいけど、どんなキーワードを選べばいいかわからない方にとって必ず手助けになる内容になっています。選定方法は、順を追ってやれば誰でもできるので、まずはこの記事を参考にキーワード選定をおこなってみてはいかがでしょうか。

機会損失を防ぐ② 除外キーワードの精査

現在設定されている除外キーワードについても、定期的に見直しをしましょう。

特に、すでに運用されているアカウントを引き継いだ場合には、CV につながる可能性のある語句が除外されていないかチェックすることをおすすめします。

機会損失を防ぐ施策③ 自動入札の導入

現在、キャンペーンで手動入札を使用している場合、自動入札への切り替えもおすすめです。

自動入札は、ユーザーの属性や行動履歴、デバイス、時間帯など、さまざまな情報を元に、コンバージョン(CV)の見込みが高いと判断された場合に自動で入札価格を調整する戦略です。

手動入札だと、CV につながる可能性の高いユーザーに広告が表示されないことがあります。また競合が自動入札を利用している場合、効果的なユーザーを競合に奪われ、機会損失につながるリスクもあります。そのため、自動入札の導入は、こうした機会損失を防ぐうえで有効な手段です。

ただし、競争が激しく、もともとクリック単価が高い商材の場合、自動入札に変更することで入札価格が予想以上に上昇する可能性があるので注意が必要です。

▼自動入札を使うポイントはこちらで解説

Web広告の自動入札で悩んでいる方へ 手動入札との違いや使い分け、成果に繋がる3つのヒントを解説|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング

自動入札とは、キャンペーンの目的・入札戦略に応じて自動的に最適な価格で入札をおこなう機能です。入札戦略にはクリック数を最大化させるものや、コンバージョン数を最大化させるもの、上位の掲載位置を目指すものなどがあります。

機会損失を防ぐ④ マッチタイプの拡張

キーワードのマッチタイプを完全一致、もしくはフレーズ一致で登録している場合は、インテントマッチでの登録も検討してみましょう。インテントマッチを導入することで、これまでリーチできていなかった CV につながる新しいキーワードを発掘できる可能性があります。

かつては、インテントマッチによりまったく関連性のない語句にまで広告が配信されてしまうケースもありました。しかし近年では、媒体側の機械学習の精度も向上しており、インテントマッチで成果が出るようになっています。

さらに、インテントマッチでは、ユーザーの検索語句だけでなく過去の検索やランディングページの内容などの「シグナル」と呼ばれる情報も考慮されたうえで配信がおこなわれます。その結果、完全一致やフレーズ一致よりも成果が出るケースも確認されており、導入を検討する価値は十分にあるといえるでしょう。

▼マッチタイプの選び方はこちらでも解説

マッチタイプとは?悩んだときに参考にしたい目的別の使い分け方を紹介|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング

2021年6,7月にGoogle、Yahoo!どちらのも媒体で廃止になった絞り込み部分一致以外の3つのマッチタイプを丁寧に解説しました!登録キーワードと配信される語句の例も記載したので設定迷ったら参考にしてみてください。

機会損失を防ぐ⑤ 媒体の追加

リスティング広告において、Google 広告のみで配信している場合は、Yahoo! 広告、Microsoft 広告といった媒体の配信も検討しましょう。

検索広告は Google が機械学習の精度に優れており、最初に配信することが一般的です。しかし、Google 以外の媒体で広告を配信していないことは見込みのあるユーザーとの接点を自ら狭めてしまうことになり、結果的に機会損失につながります。

それぞれの媒体で向き不向きもありますが、基本的に Google 広告だけでなく、成果も見つつ Yahoo! 広告、Microsoft 広告など他の媒体から配信すると、機会損失を防いで成果を最大化できます

▼Google 広告や Yahoo! 広告、Microsoft 広告それぞれの特徴やおすすめシーンを解説

代表的な3種類のリスティング広告を紹介!特徴や配信するために必要なこと、ポイントを解説|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング

リスティング広告で代表的なのは Google 広告、Yahoo! 検索広告、Microsoft 広告 の3つです。 これらの広告の最も大きな違いは配信面です。配信面が異なるため、広告を配信することで配信ボリュームや成果に違いが出ます。

機会損失を防ぐ⑥ ランディングページ(LP)の改善

広告とは直接関係ないように思えるかもしれませんが、LPの改善は機会損失を防ぐうえで非常に重要な要素です。

前述のような施策を通じて確度の高いユーザーを流入させることができたとしても、遷移先の LP が適切に設計されていない状態では、ユーザーが途中で離脱してしまいます。これも広告効果を十分に発揮できないという意味で、一種の機会損失と言えるでしょう。

LP はコンバージョン率(CV 率)に直結します。現在の LP の内容や構成に何かしらの課題がある場合には、早めに見直すことをおすすめします。

▼ランディングページの改善についてはこちらで解説

LP改善を10の要素に分解!LPOの基本と実践方法を現役運用者が解説|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング

LPO の基本となる考え方をはじめ、実際にキーワードマーケティングがおこなった3つのLPO事例、10個の構成要素から見る LPO の具体例を紹介

どちらを実践する?「無駄の削減」と「機会損失を防止する」

ここまで無駄の削減と機会損失を防止する10の施策を紹介しました。施策が複数あり、どれを選んで実践すればいいか迷うかもしれません。

無駄の削減と機会損失を防ぐのをどちらにした方が良いか迷ったら、記事の前半で紹介した CPA 達成状況に応じた施策の注力方針と、ここまで紹介した施策を照らし合わせてみてください。

  • CPA を達成できていない→まずは無駄を減らす施策をメインに実施する
  • CPA を大幅に達成できている→まずは機会損失を防ぐ施策をメインで実施する
  • CPA をギリギリで達成できている→両側面の施策を同時並行で実施する

CPA を必要以上に高騰させずに売上を拡大させよう

目標とする CPA を高騰させずに、CV 数を増加させることは、結果として企業の売上を拡大させることにつながります。

効率のみを追い求めるのではなく、機会損失にも目を向け、バランスの取れた運用を心がけることが重要です。

今回ご紹介した施策は、どれもすぐに実践できるものばかりです。ぜひ自社の状況に合わせて積極的に取り入れ、広告効果の最大化を目指してみてください。

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「わかりにくいこと」を「わかりやすく」をモットーに、すべての記事を実際に広告運用に関わるメンバー自身が執筆しています。ぜひ無料のメールマガジンに登録して更新情報を見逃さないようにしてください!

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記事を書いた人

古川 雄大
古川 雄大

広告運用 コンサルタント

2021 年入社。大学では理工学部に所属し、制御工学を専攻。また、陸上競技部(短距離走)で活動。キーワードマーケティング入社後、広告事業部に配属される。趣味は海外ドラマ鑑賞と小説を読むこと。おしゃれなカフェや居酒屋に行くことが好き。

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