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ベテランが教える、クライアントワークが苦手だと思う人が心がけたい3つのこと

「広告運用者」というと、「パソコンの前に張り付いて管理画面で数値を追い、システムと格闘する人」のようなイメージをもつ方もいるのではないでしょうか。

もしかしたら昔はそうだったかもしれません。しかし、この業界で長年過ごしていると、今や広告運用者は「Web 集客の御用聞き」になっていると言っても過言ではないように思います。

単純に広告運用をやっていればいいというわけではなく、広告から遷移するランディングページはもちろん、マーケティング戦略をも理解していないと、広告運用者の仕事は務まらなくなってきています。

全てに対応できるスキルは持ってないものの、広告運用者として15年以上も続けることができたのは、長きにわたってクライアントさんと良い関係を構築できたからだと思っています。もちろん、クライアントさんに助けられたことも数多くあります。

今回の記事では、15年以上広告運用者としてクライアントワークをおこなう上で、心がけてきたポイントと意識してきたことを3つずつお伝えします。

記事内で伝える内容は、本当に当たり前のことですが「クライアントワークが苦手」と感じている人にこそ、意識して取り組んでもらいたい内容です。参考になれば嬉しいです。

クライアントワークを通して、信頼関係を構築することが成果への近道

コミュニケーションが苦手で人前で話すのが苦手だったり、説明することに慣れてなかったりすると、緊張して自分が伝えたいことの3割も話せないなんてこともあるかと思います。

しかし、お客様から依頼を受けた仕事である「クライアントワーク」で成果を上げるためには、信頼関係を築き、お客様しか持っていない情報を教えてもらうことがポイントです。

運用担当者は広告運用のプロで、クライアントさんはクライアントさんのビジネスのプロです。両方のプロが強力なタッグを組んだ(広告とビジネスがかけあわさった)ときに、初めて競合に対抗できます。広告運用者がいくら管理画面上で工夫をしたところで大きな成果は生み出せないのです。

競合に大きな差をつけるためには、お客様のビジネスついて理解を深める必要があります。業界や商品、サービス、お客様が抱えている課題などの背景や前提条件も含めて理解しなければいけません。そのために、お客様からさまざまな情報をいただく必要があります。

いただいた情報から広告戦略や広告クリエイティブ、遷移先のランディングページなどを考えることで、お客様独自のポイントや業界内での強みをアピールできます。

では、クライアントワークを通して、信頼関係を築くために必要なことは何でしょうか?

信頼関係を築くために強く意識している3つのこと

長年、広告運用者としてクライアントワークをおこなっている私が信頼関係を築くために意識していることは3つあります。これ以外にもいろいろなことを考えてきましたが、結局のところ以下の3つに集約されます。

  1. お客様は利害関係者ではなく「パートナー」
  2. 「好き」の感情で接する
  3. 知らない自分を認め、知る努力を怠らない

1. お客様は利害関係者ではなく「パートナー」

お金をもらってクライアントワークをする以上、運用者とお客様は利害関係で結ばれます。しかし、指示通りに動いたり、契約通りに動いたりするだけでは伸びるものも伸びません。

なので、広告運用者とお客様は対等な関係であり、互いに共通の目標にむかって動くべきなのです。そのため利害関係者ではなく、パートナーとして互いに情報を共有し、広告の施策に落とし込みます。

もちろん、お客様と意見がぶつかることも当然あります。最終決定権はお客様にありますが、事勿れ主義に陥って言われるがままの作業をおこなうのではなく、広告運用のプロとして、さまざまな情報から「良い」と考えられる提案をすべきです。これもある種、信頼関係を築くポイントです。

お客様の商品やサービスを使う顧客(=エンドユーザー)は、ビジネスの観点では素人です。そのため、同じ素人目線で意見を言える広告運用者は、お客様にとって価値ある情報を提供できる可能性があります。

なので、遠慮せずに思ったことや感じたことをお客様へ伝え、もっと良くする方法を一緒に考えるといいでしょう。もちろん、遠慮はしなくていいのですが、相手のことを考えて行動する「配慮」は必要です。

運用手数料に見合う価値の提供のため(=広告運用者本来の価値を提供するため)には、お客様の言いなりになるのではなく、「パートナー」になる必要があります。

当然ですが、「私をパートナーとして扱ってください」とお客様にお願いして「パートナー」になれるものではありません。クライアントワークを通じて、少しずつ信頼を獲得し、「パートナー」として認めていただく流れが一般的です。

2.「好き」の感情で接する

では、どうすればクライアントさんに「パートナー」として認めていただけるのでしょうか。

寝る間を削って勉強をし、運用担当者としての知識や技術を高めればいいのでしょうか。もちろん勉強も重要ですが、それだけでは足りません。

私が重要だと思うのは、自分がお客様に対してどれだけ愛情を注げるかです。お客様はもちろん、商品やサービス、その先の顧客に対して「好き」という感情で接することが重要なのです。青臭い表現ですが、今の私にはこれ以外の言葉が見つかりません。

恋愛もそうですが、「好き」という感情は相手に伝わりますよね。「好き」になることで、自分の言動が変わり、それが相手にも届くのだと思います。

クライアントワークでも同じです。お客様のことが好きだと、メールの内容や定例会の細かな所作といったことでさえ変わります。「好き」を起点にした行動の変化なので、「解約されないために下手に出る」といった卑屈さはありません。何より自分の中にそういった卑屈さは一切ありません。

お客様を「好き」になる方法は、人それぞれです。自分なりの方法で「好き」になりましょう。私の場合、運用のお話を頂いた時点で、クライアントさんの会社やビジネスについてとにかく検索します。また、クライアントさんの担当者さんが分かっている場合は、その方についても SNS などを含め徹底的に調べあげます。もはやストーカー状態です。

そうすることで、相手を深く知ることができ、自然と感情に変化が生まれ、お客様のことや商品、サービスが気になり、一緒に頑張ろうという気持ちになってきます。「幸せになりたければ、まず笑顔でいましょう」と同じ理屈です。

実際、自分を嫌っている人には近づきたくないですよね。ましてや「パートナー」などにはなれません。相手の感情をコントロールすることは不可能なので、まずは自分からお客様のことを好きになって、信用してもらうしかないのです。

3. 知らない自分を認め、知る努力を怠らない

お客様を「好き」になり、「パートナー」として認められてからも気は抜けません。

次々と新しいメニューが出てくる広告運用の世界で、全てに精通するのは非常に難しいです。また、広告運用担当者は広告についてだけではなく、Web マーケティングについて広く知っているだろうとお客様から期待されることが多いです。

これらのプレッシャーを感じている運用担当者も多いと思います。しかし、広告や Web マーケティング周辺のことについて、「自分は全てに精通している」と思わない方が身のためです。

まずは、自分が知らないことがあると認め、気持ちを楽にしましょう。お客様の前で「それ、知っています」と虚勢を張る必要がなくなります。知らないことは「知りません、勉強不足で申し訳ありません。今から調べてみます」でいいのです。

ただし、「知りません」と言った後は、全力でその件について調べなければなりません。常日頃から広告やその周辺のこと、一見広告とは関係ないことでも、好奇心のアンテナを常に張っておくことが重要です。

クライアントさんの会社のことや、関係する市場のこと、また扱っている商品・サービスのことについて日々知る努力をしましょう。最初は何も分からなくて当然です。知らないことをしっかりと認めて、勉強すればいいのです。わからなければ、その道のプロであるクライアントさんに聞けばいいのです。

10年以上意識してやってきた3つのこと

ここからは、運用担当者になって以来、私が欠かさずにおこなってきた3つのことを紹介します。意識を変えたら、次は行動にも変化を加えましょう。

  1. 連絡(特に返信)はすぐに
  2. ミスの報告と気持ちの切り替えは早く
  3. 解約を恐れず、お客様のために何ができるかだけを考えて動く

しかし、人間誰しも「絶対」はありません。お客様に行動で示しても、うまくいかないこともあります。ただし経験上、その失敗から学び次の行動に繋げたことで、結果的に信頼に繋がったと自負しています。ぜひ参考にしてみてください。

1. 連絡(特に返信)はすぐに

折り返しの電話やメール、チャットなどの返信はできる限り早く返します。明確な答えがなくても、最低24時間以内に返信をしましょう。

どうしても簡単に返事ができない内容でも、「精査いたしますので、明日までお待ちください」などの返信をしましょう。お客様は不安に思ったり、必要に駆られて連絡をしたりするものです。次に自分が取るアクションと返事の期限を必ず決めて、返信をすることが重要です。

しかし、お客様からの質問や緊急対応の連絡はいつやってくるか分かりません。そのため、自分のキャパの4分の1は普段から空けておくようにすると、心にも時間にも余裕がうまれ落ち着いた対応ができます。

2. ミスの報告と気持ちの切り替えは早く

人間誰しもミスするときもあります。ミスをゼロにすることは永遠に不可能です。広告運用は細かい作業の連続で、ダブルチェックをしてもミスが起こることもあります。だからといってミスしていいというわけではありませんが、現実的にどうしてもミスが発生することもあるでしょう。

ミスが発生した場合は、当然ですが遅滞なく、包み隠さずお客様に報告しましょう。

ミスを報告し謝罪をした上で、「そこからどうフォローできるか」、また「今後発生しないためにどのような対策をとるか」でその後の関係性が決まります。むしろ信頼関係が高まる場合もあります。

ミスをしたら逃げたくなる気持ちは分かります。しかし、その「逃げたい気持ち」をできるだけ早く解消するために取るべき行動は、「誠実な対応」一択です。

1人で抱え込み、悩んだまま仕事をしていると、その後のフォロー・対策にまで尾をひきます。最悪の場合、他のお客様の仕事にも影響が出てしまいます。そのため、「お客様への報告」も「気持ちの切り替え」も素早くおこないましょう。

気持ちを切り替える方法は人それぞれです。私の場合は、趣味の楽器演奏に没頭すると気持ちを切り替えられます。

小さい頃から両親に言われ続けたことがあります。「ミスは仕方ないけれど、問題はその後。ミスした後にどんな行動をするかがその人の価値となる。」難しいことですが、今でも常に心に留めている言葉です。

3. 解約を恐れず、お客様のために何ができるかだけを考えて動く

クライアントワークをおこなっていると「解約」もあります。お客様と向き合っているので、「解約」ほど痛い現実はありません。

解約の理由が、お客様の会社の体制や方針変更、事業規模の縮小、市場の変化の場合は、広告運用者側ではどうすることもできません。残念な気持ちはありますが、お客様のためを思って理解することに努めましょう。一方で、自身のスキル不足なら現実を受け入れ、知識や技術を身に付けるしか解決方法はありません。

広告運用はもちろん、それ以外の部分でもお客様のためになることをするのが信頼関係の構築に繋がります。自分が手を動かせない領域でも、お客様にとって有益な情報であれば、臆せず共有しましょう。お客様と一緒に考えることで、解決策が見えてくるかもしれません。

違う角度で商品やサービスを見直したり、環境変化に合わせたサイトの変更だったりなど、広告の域を超えた施策で乗り切ることができるかもしれないのです。

また、「提案したけれどスルーされたから、そのままにする」は運用担当者としての責任放棄だと私は考えます。場合によっては、「あなたの仕事の範疇を超えた僭越な意見だ」とお叱りを受けることもあります。それでも少しでもお客様に貢献できるのなら、愚直に考え続け、調査し、提案し続けることが大切だと思っています。

視野を広げれば、解決策は何かしらあるはずです。そのために日頃のクライアントワークで作り上げるお客様との信頼関係が重要なのです。

スルーされたりお叱りを受けたりすると辛く感じるときもあるでしょう。しかし、あなたのことを全否定されたわけではないのです。前を向きましょう。

クライアントワークは苦しまず、楽しむもの。

お互いの相性や置かれている状況によって、クライアントワークは上手くいくこともいかないこともあります。

なので、どうしても前に進まないときは、上長に相談して担当を続けるのか、変えてもらうのかを検討して頂いた方がいいと思います。これはあなたもお客様も、どちらが悪いというわけではないのです。

プロフェッショナル同士がベストのパフォーマンスをしなければ戦えない世界です。違和感を感じながら勝てる世界ではないため、結果あなたもお客様も不幸になります。クライアントワークは、お客様と一緒に同じ目標に走り続け、苦楽を共にし、楽しむものです。

あまり自分を追い込み過ぎずに。ワクワククライアントワークを楽しんでください。

記事を書いた人

小島 元
小島 元

広告運用 コンサルタント

慶應義塾大学経済学部卒業。2008年からキーワードマーケティングに在籍、 以降10年以上、広告運用に携わる。離脱率の低さに定評があり2008年から 運用を続けているクライアントも多い。趣味は音楽、楽器演奏。依頼を受けて プロのバックを務めることもある。愛知県犬山市出身。

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