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AI検索からのサイト流入推移は?GA4で2024年のデータを総ざらいしてみた

広告運用に18年以上携わり、2008年からキーワードマーケティングに在籍している小島です。

これまでに「AI 検索とは?Perplexity や Genspark、SearchGPT らは検索と広告運用をどう変えるか」という記事を執筆しており、個人的にも  Perplexity(パープレキシティ)など AI 検索をガンガン使っています。

AI検索とは?PerplexityやGenspark、SearchGPTらは検索と広告運用をどう変えるか|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング

AI 検索とは、Perplexity(パープレキシティ)や Genspark(ジェンスパーク)に代表される、生成 AI を使った検索サービスのことです。

ただ、周りを見てみても AI 検索を日常で使っている人をあまり見かけず、「あれ?使っているのは私だけなのかな?」と疑問に思っていました。

そこで、この記事では AI 検索が現状どの程度普及しているのかを知るために、GA4を用いて各種検索 AI (Chat GPT・Perplexity・Gemini・Copilot・felo)からのサイト流入数を調べた結果を紹介します。

また、この記事では Google の新しい検索機能「AI による概要」が広告に及ぼす影響についても独自に調査した結果を載せているので、あわせてご覧ください。

AI 検索の利用度を検証する背景

冒頭で紹介した AI 検索に関する記事を書いたのは2024年10月末。そのころは Felo がリリースされたばかりで、まだ ChatGPT Search がリリースされていない状況でした。その当時、OpenAI の AI 検索機能は「Search GPT」 と呼ばれており、まだ一部のユーザーだけが使えるプロトタイプでした。

しかし、現在は Google の「Gemini」 が「Deep Research」機能(※)で、検索に関する機能を充実させています。さらに Chat GPT で有名な OpenAI も、同名の「Deep Research」という機能を2025年2月3日にリリースして話題になっています。

このように、現在は有名なところはほぼ全て検索機能が実装されている状態です。

※ 参考:Try Deep Research and our new experimental model in Gemini, your AI assistant | Google

検索エンジンのパイオニアであり、さらに検索エンジンからの広告費収入が多い Google ですら、Gemini に検索機能を付け、またその検索結果に「AI による概要(AI Overviews)」を実装している点などから、AI 検索全体の需要・利用度は伸びていると推測されます。ただ、これはあくまで定性的な推測ですので、実際に計測できる数値で定量的に見ていく必要があります。

とは言え、ネット全体での AI 検索の利用度を調べるための資料などは現時点では見つからなかったため、今回は Google アナリティクス4(以下:GA4)を用いて各 AI 検索からキーワードマーケティングのサイトへの流入数の推移を調査することにしました。

▼GA4の概要と詳細はこちらから

【画像で解説】Googleアナリティクス4の設定方法。広告運用者であれば最低限知っておきたいこと|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング

2020年10月に生まれ変わったGoogleアナリティクス。通称GAは、Googleが提供する無料のWebサイト解析ツールとして多くの方が使用しています。広告運用者でも最低限知っておきたいことや基本的な設定方法を画像つきで解説したので、入門編として記事を読んでもらえたら幸いです。基本的な設定や使い方を理解したら、応用として自分の欲しいデータを見れるように設定をカスタマイズしていきましょう。

検証に GA4を使った理由

GA4を使って検証をおこなう背景に「一般的に、検索の参照元を調べたいときには GA4(Google Analytics 4)で調べることが多い風潮があるから」というのがあります。

一つのサイトだけのデータなので偏りがある可能性もありますが、手前味噌ながらそこそこの流入数があることや期間比較であれば何らかの傾向は見ることができるのではと思った次第です。

ただし、あくまで「サイトへの流入数」なので、AI 検索が使われた回数と等しくないことに注意する必要があります。というのも、AI 検索からサイトへの流入は、AI 検索で検索されたうえで、ファクトチェックなどの目的で四角枠箇所のようなリンクをクリックした場合のみだからです。

AI 検索「Perplexity」の結果画面。四角枠箇所をクリックするとサイト流入が発生する

実際は AI 検索を使用しても、毎回このソースの部分までクリックしているユーザーは少ないと考えられるため、実際に AI 検索で検索された回数はサイト流入数よりかなり多いと考えられます

GA4で AI 検索からの流入を見る方法

結果を発表していく前に、まずは GA4 で AI 検索からの流入を見ていく方法を紹介します。

まずは、GA4のホーム画面の左メニューから「レポート」を選択し、表示されるメニューから「集客」→「ユーザー獲得」をクリックしましょう。

表示されたリスト上部のプルダウンをクリックし「ユーザーの最初の参照元 / メディア」を選択します。

あとは調べたい期間を設定したり、メディアをフィルタしたりして必要なデータを表示させれば OK です。

GA4 管理画面 2024年12月1日から12月31日、「perplexity」でフィルタした画像

いざ検証!各 AI 検索からの流入推移

それでは、ここまでに紹介した方法で、2024年の各 AI 検索からキーワードマーケティングのサイトへの流入数の推移を検証していきましょう。

今回見ていく AI 検索は以下の通りです。

  • Chat GPT(チャット GPT)系
  • Perplexity(パープレキシティ)
  • Gemini(ジェミニ)
  • Copilot(コパイロット)
  • felo(フェロー)

なお、検索 AI のうち「Genspark」については、残念ながら2024年の流入はなかったようです。意図的に Cookie を排除したりしているのかとも思いましたが、Genspark のサイトには Google タグマネージャーもインストールされているようですので、その可能性は薄いと思います。

全体に共通する特徴

基本的に各検索 AI からの流入は、ほとんどブログ記事への流入になっていました

これは当然と言えば当然なのですが、各検索 AI で表示された内容に対して、根拠となるページのリンクから流入してくるため、おのずと技術的な内容のブログ記事への流入ばかりになっています。

また、通常の Google 検索からの流入と比較して、平均滞在時間は長めになることが多い傾向もありました。これは、検索 AI からわざわざリンクを辿って内容を確認しに来ていることから、ユーザーがしっかりと内容を見ているためではないかと考えられます。

Chat GPT(チャット GPT)系

まずは、昨年11月に OpenAI から有料ユーザー向けにリリースされた「Chat GPT Search」を含む、Chat GPT 系の結果です。

2024年1月1日から12月31日までの期間で、「Chat GPT」系でフィルタした GA4の画面

こちらは、11月に Chat GPT Search が有料ユーザーにリリースされてから流入数が伸びています。12月には無料ユーザーにも Search が展開された影響か、そこでもまた伸びています。

なお、「chat.openai.com」は過去に使用されていたドメインらしく、現在では通常の「chatgpt.com」にリダイレクトされています。Search がリリースされて以降、順調に流入数は増えている傾向から、今後もサイト流入数や利用者数は伸び続けるのではないでしょうか。

Perplexity(パープレキシティ)

続いては、2022年にリリースされた検索 AI・Perplexity の結果です。

2024年1月1日から12月31日までの期間で、「perplexity」でフィルタした GA4の画面

こちらは7月以降、Perplexity が話題になり始めたと同時に、多少の波はあるものの順調に伸びていっています

なお、ChatGPT もそうですが、チャネルグループが(not set)とあるデータは、おそらくそれぞれの AI 検索がクローラーのようなボットを巡回させているのでは、と推測しています。

Tips:「クローラー」とは?
インターネット上にあるWebサイト上の文書や画像を定期的に巡回(クローリング)して複製、解析し、データベース化(インデックス)するためのプログラムのこと。

クローラー とは 意味/解説/説明 【Crawler】|Web 担当者 Forum

Gemini(ジェミニ)

Google が開発した検索 AI・Gemini(ジェミニ)は、数はかなり少ないものの、夏以降に AI 検索が話題になってからは一定数のサイト流入が発生しています

2024年1月1日から12月31日までの期間で、「gemini」でフィルタした GA4の画面

Google AI Studio からの流入もあるのではと思ったのですか、こちらは計測はされていないようでした。

なお、同じ Google の「AI による概要」については、GA4上で「google / organic」に含まれてしまうようで計測はできませんでした。ただ、「AI による概要」については後ほどもう少し掘り下げます。

Copilot(コパイロット)

Microsoft 社が2023年にリリースした AI 検索機能・Copilot(コパイロット)も、先ほどの Gemini と同様に数は少ないものの、流入自体は一定数ありました

2024年1月1日から12月31日までの期間で、「copilot」でフィルタした GA4の画面

ただ、Gemini やそのほかの AI 検索と異なり、10月の途中から流入がゼロになっている点が不思議です。

この点について、いろいろと調べてみましたが理由は分かりませんでした。ただ、Copilot のチャットは現在も「copilot.microsoft.com」で運用されているようなので、Office に Copilot 機能がついた時点で Office からの流入になったのか、もしくは Bing の流入に含まれるようになったのかもしれません。

 Felo(フェロー)

最後に紹介するのは、2024年9月に発表された日本発の AI 検索・ Felo(フェロー)の結果です。

2024年1月1日から12月31日までの期間で、「felo」でフィルタした GA4の画面

Felo は9月11日に発表されてから10月終盤までの期間では、流入を確認できませんでした。

ただ、12月に入ってから流入数が爆発的に増えている点を考えると、今後順調に流入が増加していく可能性はあるでしょう。

GA4における各 AI 検索の「参照元/メディア」のまとめ

ここまでに、各 AI 検索の流入数の検証結果を紹介してきましたが、おそらく読者の中には自身でも期間を変えるなどして検証してみたいという方もいるのではないでしょうか。

そこで、以下にそれぞれの検証で用いた「参照元 / メディア」と「デフォルトチャネル」を一覧で紹介します。ぜひご自身で調べてみる際に参考にしてみてください。

検証した検索 AI 参照元 / メディア デフォルトチャネル
Chat GPT(チャット GPT)系 「chat」を含む Referal
Perplexity(パープレキシティ) 「perplexity」を含む Referal
Gemini(ジェミニ) 「gemini」を含む Referal
Copilot(コパイロット) 「copilot」を含む Referal
felo(フェロー) 「felo」を含む Referal
※情報は2025年1月現在のものです。

独自調査で考える「AI による概要」が検索結果に与える影響

ここまで各種検索 AI からのサイト流入を GA4で見てきましたが、唯一ブラックボックスとなっていたのが Google の「AI による概要」です。

というのも、GA4 上では「AI による概要」の結果はすべて「google / organic」に含まれてしまうようで、「AI による概要」からの流入数だけを切り分けて確認できないのです。

ただ「AI による概要」が表示される検索結果画面をみると、ファーストビューのほとんどが「AI による概要」や 「関連する質問」などの情報で埋まっています

このことから、「AI による概要」がリリースされたのち、特に1位や2位表示されているサイトへの流入数は減少しているのではと考えられます。

そこで、「AI による概要」が表示されるキーワードで1位表示が多く、かつ順位が安定しているサイトのデータをもとに、「AI による概要」が検索結果に与える影響についても調査してみました。

ただし、調査対象としての条件を満たすデータが手元に一つしかなかったため、そのサイトだけでの調査となる点をあらかじめご了承ください。

「AI による概要」の登場で進む、クリック率と掲載順位の低下

「AI による概要」が正式にリリースされたのは2024年8月16日なので、今回はその前後2週間、「7月31日から8月15日」と「8月17日から8月30日」という期間で比較しました。

キーワードについては、詳細は記載できませんが以下のようなものを10件用いました。

  • 医療系のキーワード
  • 自然検索順位が3位までで安定しており、かつ一定の検索ボリュームがあるもの
  • 検索結果画面に「AI による概要」が表示されているもの
  • 以下は「7月31日から8月15日」と「8月17日から8月30日」の2期間でのクリック率の変化を、クリック数が多いものから順に表にまとめたものです。

    自然検索順位が3位以下のものを外しただけのものを単純に10個並べたのですが、クリック率は全て低下していました

    キーワードクリック率掲載順位
    A17.7%→16.3%2.1位→1.9位
    B22.5%→17.1%1.1位→1.4位
    C29.5%→19.5%1位→1.2位
    D17%→14.7%1位→1.3位
    E36%→32.7%1.1位→1.2位
    F24%→18.2%1位→1.2位
    G34.2%→28.2%1位→1.2位
    H29.2%→18.8%1位→1.6位
    I23.2%→19.9%2.3位→1.7位
    J38.3%→31.8%1位→1位

    もちろん、1サイトだけの検証であること、期間がお盆休みにかかっていて検索でのユーザーの動きに変化がある可能性などもあるため、これだけで何かを言い切ることはできません。しかし、これだけ一様にクリック率の低下が見られるのは、やはり「AI による概要」が影響しているのではと私は考えています

    こういったデータは、当然 Google 側も把握しているでしょう。それでもなお「AI による概要」を進めていることから、Google 自体も AI に対して大きく力を入れていると言えるのではないでしょうか。

    実際、Google の AI 「Gemini」の性能はトップレベルを維持しています。2025年は Google もさらに AI を推し進めていくでしょう。

    各 AI 検索の流入数から見えてくる、検索行動への影響

    AI 検索全体の昨年の流入数はサイトの全流入数に対して1%にも満たないため、まだまだその影響は少ないといえます。ただ、AI 検索が知られるようになったのは夏以降であることや、AI 検索が少しずつ普及していっていることを考えると、今後影響力は大きくなっていくでしょう。

    そして何より、サイトに流入する前に AI 検索が提示した結果に納得したユーザーが多く存在している、つまりサイト流入数よりはるかに多いユーザーが利用している可能性を考えると、AI 検索を軽くみるのは危険だと考えています

    今後、「検索」の在り方が変わろうとも

    ニュースを見ていると、相変わらず生成 AI に関する内容は非常に多いです。こうもさまざまに報じられていると世界のヒトやカネが一気に流れ込んでいるような状況ですが、今回見てきたデータを見る限り、今のところ何かが一気に変わるような雰囲気ではありません。

    ただ、インターネットやスマートフォンの普及がそうだったように、あることをきっかけに世界が大きく変わることはしばしばあります。そして、我々のように広告運用をおこなう者にとっては、世の中の検索行動が大きく変われば、仕事がなくなる可能性もゼロではありません。

    実は私、スマートフォンが普及した2010年代に、広告運用という仕事を諦めようとしたことがあります。それまでの PC だけの世界と比べて、一気にコンバージョンに関するデータの信頼性が落ちてしまったためです。しかし、それを乗り切るための技術や知恵が出てきたことで、結果的には今でも運用の仕事を続けています。

    正直、世界がこの先どう変わるかは全く分かりません。しかし適切な危機感を持ってしっかりと情報を入手し知恵を付けていけば、極端な話、たとえ「広告運用」という仕事がなくなろうとも何とかなるものです。

    そのためにも、今後も今回おこなったように、データを追い続けていこうと思っています。

    お困りごとはまずはご相談ください。広告に限らず、認知やPRなど幅広い施策提案が可能です。

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    記事を書いた人

    小島 元
    小島 元

    広告運用 コンサルタント

    慶應義塾大学経済学部卒業。2008年からキーワードマーケティングに在籍、 以降10年以上、広告運用に携わる。離脱率の低さに定評があり2008年から 運用を続けているクライアントも多い。趣味は音楽、楽器演奏。依頼を受けて プロのバックを務めることもある。愛知県犬山市出身。

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