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広告の成果をつなぐ「クリック ID」とは?コンバージョン率低下の原因と今すぐできる対策

広告運用に18年以上携わり、2008年からキーワードマーケティングに在籍している小島です。

「最近、コンバージョン率が下がっている気がして、入札やランディングページ、クリエイティブなど、いろいろ原因を調べている。でも、どれも決定打がない。それなのに、管理画面のコンバージョン率がじわじわと低下している。」そんな状況は広告運用担当者にとっては大きなストレスを感じますよね。

でもまず、これだけは最初にお伝えします。「この状況、あなたの運用が良くないから、ではない」可能性があります

競合や市場の変化ではなく、「コンバージョン計測の精度そのものが落ちている」ことが原因かもしれません。その中心にあるのが、クリック ID(gclid など)の欠損です。

この記事では、クリック ID とは何かを押さえたうえで、なぜ欠損が起きているのか、広告運用担当者としてどう確認し、どう対策していくかを整理します。

競合でも市場でもない、コンバージョン率低下の原因とは?

そもそもコンバージョン率が下がる原因として、まず思い浮かぶのは「競合の動き」と「市場の変化」です。

この2つの原因については、ある程度経験がある運用担当者であれば、原因を特定し、ある程度対策を立てていけるでしょう。

競合の動き新規の競合が広告出稿し始めた
既存の競合がクリエイティブを変えてきた
競合のランディングページが変わった
競合の入札が強化された
市場の変化市場が一時的に停滞している
コンバージョン率が下がる原因の具体例

しかしここ10年、これら「競合や市場由来」以外の原因が影響力を増してきています。

それは「コンバージョン計測の精度の低下」です。実際には広告経由で売れたり、来店したりのコンバージョンが発生しているのに、それを計測できないことで広告管理画面上のコンバージョン数が実際より少なく計測され、結果コンバージョン率が低くなるという現象です。

広告の成果をつなぐ「クリック ID」とは?

まずは今回のメインテーマである「クリック ID」について、簡単におさらいしましょう。

クリック ID とは、一言で言うと宅配便の「伝票番号」のようなものです。「このユーザーがどの広告をクリックして来たか」を正確に記録や追跡をするための仕組みとして機能しています。

例えば、Google 広告の管理画面で自動タグ設定を有効にすると、広告がクリックされたときにリンク先の URL へ 「gclid(Google Click Identifier)」というパラメータが自動的に付加されます。 

広告のランディングページが https://example.com/ の場合、ユーザーが広告をクリックすると実際に飛ぶ URL は以下のようになり、この ?gclid=ABC_123 が「クリック ID」です。

Google 広告の管理画面や Google アナリティクスなどでは、この URL に自動的に付加された gclid の情報から、ユーザーのサイト訪問につながった Google 広告のキーワードや、そのキーワードが属しているキャンペーン、およびそのクリック単価を把握できるようになります。

また、その情報をもとに Google 広告の AI が学習をし、自動入札が正常に機能するようになります。つまり gclid こそが、現在の Google 広告計測システムと自動入札を根底で支える、非常に重要な役割を担っているのです。

【一覧】媒体別のクリック ID の種類

なお、この記事では Google のクリック ID である gclid を中心に話を進めていますが、ほかの広告媒体でも同様にクリック ID を使用しています。

以下は主な媒体でのクリック ID の名称です。媒体ごとに付与されるパラメータの名称(URLの「?」の後ろにつく文字列)が異なるため、自分が運用している媒体のクリック ID がどれなのかをここで整理しておきましょう。

  • Google 広告 → gclid
  • Yahoo! 広告 → yclid
  • Meta 広告 → fbclid
  • Microsoft 広告 → msclkid
  • Tiktok 広告 → ttclid

なぜ今、クリック ID が消されているのか?

先ほど紹介したようにクリック ID は広告計測において必須とも言えますが、「クリック ID が削除される」という事象もあります。その背景には、Apple 社がユーザーのプライバシー保護を目的とした、トラッキング規制の歴史があります。

今回は、以下の3つの軸に分けて、なぜクリック ID が消されているのか整理していきます。

  • ITP(Cookie 規制)の導入が、コンバージョン計測の精度を低下させた
  • Apple の「次の一手」。今度はクリック ID を狙い撃ちに
  • iOS 26の普及が、問題を「現実のもの」にした

ITP(Cookie 規制)の導入が、コンバージョン計測の精度を低下させた

コンバージョン計測の精度が低下した問題の原因は、Apple 社がユーザーのプライバシー保護を目的に2017年から Safari に搭載した ITP(Intelligent Tracking Prevention)です。

それまでの広告は、ユーザーがサイトを訪問したときにブラウザへ「Cookie(クッキー)」という小さなデータを保存し、後から「このユーザーはあの広告を見た人だ」と特定することでコンバージョンを計測してきました。「先週この商品ページを見たユーザー」に追いかけるようにリマーケティング広告を出せるのも、この Cookie の仕組みによるものです。

しかし、ITP はこの Cookie を検出し、保存期間を大幅に短縮、または完全にブロックすることで、広告トラッキングの精度を段階的に低下させてきました。

この ITP(Cookie 規制)への対抗策として Google などが本格的に導入したのが、Cookie が使えなくても、URL 自体に伝票番号を持たせれば計測ができる「URL にクリック ID(gclid)を付与する」という手法です。

Apple の次の一手。今度はクリック ID を狙い撃ちに

しかし Apple は、この URL へのクリック ID(gclid) の付与に対しても、「プライバシー侵害」として問題視し始めます。「Cookie が使えないなら、URLに書き込めばいい」という広告業界の対抗策を、さらに封じにかかったのです。

それが「Link Tracking Protection(リンクトラッキング保護)」です。gclid をはじめとする追跡用パラメータを URL から自動的に削除するこの機能が、iOS 26でさらに強化・拡大され始めているのです。

ここまでの流れを整理すると、こうなります。

時期 Appleの動き 広告業界の対応
2017年〜 ITP 導入。
Cookie によるトラッキングを規制
2019年〜 ITP 2.2。
1st Party Cookie の保存期間を1日に短縮
Google が gclid による URL 計測を導入
2025年〜 Link Tracking Protectionを強化。
gclid を URL から削除し始める
(対応が求められている)

Cookie 規制→ gclid で対抗→ gclid も規制という「いたちごっこ」が、今まさに新たな局面を迎えているのです。

iOS 26の普及が、問題を「現実のもの」にした

この Link Tracking Protection による影響が無視できなくなってきた背景に、iPhone の iOS 26の急速な普及があります。

リリース当初こそ Liquid Glass という UI 刷新への戸惑いからか、iOS 26は異例の低い普及率で推移していました。しかし、2026年1月後半から急激に普及が進み、2026年2月時点のApple公式データでは全iPhoneの66%に到達しています。

影響を受けるユーザー数が急速に拡大したことで、これまで「ほんの一部の話」だった計測精度の低下が、アカウント全体の数字を動かすレベルになってきました。

ただ、フォームやカートなどの通常のコンバージョンタグによるコンバージョン計測では「単に本当にコンバージョンが減少している」ことと見分けがつかないと思います。これら通常のコンバージョン計測では、実際にユーザーが見ている URL を見る機会がなく、クリック ID が消されている状況は分からないためです。

小島

なぜ私が「クリック ID が削除される例がある」と気づいたかというと、オフラインコンバージョンを導入しているクライアントがいくつかあり、そのデータ内でクリック ID が欠損しているものが散見されるようになったためです。

特に2026年の2月前後から目立つようになったため、「2月前後に何が起こったのか」をいろいろ調べたことで、この LTP(Link Tracking Protection)に辿り着きました。

iPhoneなら全部消滅する?クリック ID が削除される2つの要因

ここまでのお話だと「iPhone では全部消えるの?」と思うかもしれませんが、現時点(2026年4月)ではそうではありません。

ただし、Apple が開発者向けに公開している先行テスト版「Safari Technology Preview」では、通常の標準ブラウジングモードでも gclid が削除されることがすでに確認されています。

Safari Technology Preview で実装されたものが数ヶ月後に一般ユーザー向けのSafariに搭載されるケースが多く、一般的な通常ブラウジングでも gclid が消える未来は、もはや「いつ来るか」の問題として備えておく必要があります。

以下、削除が発生する場面を2つのケースに分けて整理します。

  1. デフォルトで削除される
  2. ユーザーが手動で設定した場合に削除される

1. デフォルトで削除されるケース(すでに影響あり)

以下の場面では、現在すでに gclid が自動的に削除されています。

  • Safari のプライベートブラウズモード(iPhone の「シークレットモード」)
  • Apple Mail アプリ内のリンク(メールマガジンのリンクなど)
  • Apple Messages アプリ内のリンク(iMessage で共有されたリンクなど)
  • Instagram などのアプリの Safari インアプリブラウザでリンクを開いた場合

最後の「Safari インアプリブラウザ」について補足します。iPhone で Instagram や Facebook を使っているとき、広告をタップするとアプリの中にブラウザが開き、そのままランディングページが表示されます。これが「Safari インアプリブラウザ」です。

これらのケースでは、すでに現在でも gclid が削除されています。 SNS 広告を運用している方にとって、これは今すぐ影響が出る問題です。

2. ユーザーが手動で設定した場合に削除される

ユーザーが Safari の設定から「Advanced Tracking and Fingerprinting Protection」を「すべてのブラウジング」に手動で有効化した場合、クリック ID は削除されます。

具体的には、iPhone の「設定」から「Safari → 詳細 → トラッキングとフィンガープリントの高度な保護」を「すべてのブラウジング」にオンにすることで適用されます。現状のデフォルトではオフなので、一般ユーザー全員に影響するわけではありませんが、プライバシー意識の高いユーザーの間ではこの設定は一般化しつつあります。

クリック ID が削除されることに対する確認と対策フロー

実際に今後、Safari での検索全てでクリック ID が削除されることになると、3割程度のコンバージョンが計測されなくなる可能性があります。

あくまで私が推測したものですが、「3割」というのは、iPhone の日本でのシェアが50%程度であること、iPhone ユーザーの多くは Safari を使用していることから、実際にはもっと多くのコンバージョンが計測不能になるかもしれません。

もちろん Google や Meta などもこれに対する対策をしていますが、媒体側や計測ツール側が行う対策だけでは不十分になる可能性もあります。

ここでは具体的にすぐ取り組むべき対策だけでなく、今後に向けて知っておくべき対策を3ステップで紹介します。

  1. GA4での影響確認
  2. 拡張コンバージョンの導入
  3. サーバーサイド GTM(sGTM)の導入

1.GA4での影響確認

GA4ではアカウントがすでに影響を受けているのかを確認するときにおすすめです。確認する際には GA4の「ブラウザ別・デバイス別のコンバージョン数」を確認してみてください。

Safari からのコンバージョン数がほかのブラウザと比べて極端に少ない、あるいはDirect(直接流入)が不自然に増えていれば、この記事で説明した影響が実際に出ている可能性があります。

影響が確認できたら、今から紹介する順番のように拡張コンバージョンやサーバーサイド GTM(sGTM)の導入を検討してみてください

2. 拡張コンバージョンの導入

拡張コンバージョンは、顧客のメールアドレスや電話番号をハッシュ化(元のデータから個人を特定できないよう暗号化)する仕組みで、gclid がなくてもコンバージョンを計測できます。

仕組みを簡単に説明すると、ユーザーが購入時に入力したメールアドレスなどを暗号化して Google に送ると、Google が自社のデータベースと照合し「このユーザーはあの広告をクリックした人だ」と紐付けてくれて、コンバージョンを計測するものです。

gclid という「伝票番号」がなくても、「メールアドレス」という別の識別方法で成果を計測できるため、gclid が欠損した場合の有力な補完手段となります。

以前、以下の記事を書いていますので、参考にしていただければと思います。

▼拡張コンバージョンについては以下で詳しく解説

Google広告の拡張コンバージョンとは?GTMを使った設定方法と導入メリットを徹底解説|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング

拡張コンバージョンとは、自社ウェブサイトで取得したユーザーデータをハッシュ化し、Google 広告に送信して従来の計測を補完する機能です。特徴や仕組みだけでなく、設定方法も詳しく紹介します。

また、上記の記事に記載されていない、もっと厳密な設定なども、公式ヘルプを確認しつつ不明点があれば生成 AI を活用して補足情報を得ることで対応しやすくなっているはずなので、しっかりと導入したいところです。

3. サーバーサイド GTM(sGTM)の導入

拡張コンバージョンを導入しても完璧に計測できるわけではないため、さらに高度で有力な対策となるのが「サーバーサイド GTM(sGTM)」です。

通常、Google 広告や GA4の計測タグは、ユーザーの「ブラウザ上」で動きます。そのため、Safariによってクリック ID が削除されたり、計測が制限されたりするという問題が起きてしまいます。

しかし、サーバーサイド GTM(sGTM)は、この仕組みを根本から変えます。 広告の計測データをユーザーのブラウザではなく、「自社のサーバー経由」で直接 Google に送る仕組みです。これにより、ブラウザ(Safari)の制限を完全に回避し、影響を受けずにデータを送ることができます。

広告運用担当者が単独で導入するにはハードルが高く、エンジニアとの連携が必要になるため詳細な設定方法は割愛しますが、計測精度を根本から改善できる「そういった技術がある」ということは今後のためにも知っておくべきだと思います。

先手を打つことが、最大の競争優位になる

私が広告運用を始めた当初は「管理画面の数字が100%正しい」とほぼ言えました。その後スマートフォンが台頭し、マルチデバイスの時代になり計測が複雑化し、さらにこの記事で挙げた ITP の影響などで単純に管理画面の数字が100%正しい時代は終焉した、と感じています。

しかし、数字が不透明になったからといって、あなたのマーケティングの価値が消えたわけではありません。

これからの時代、運用担当者は Web マーケティングの知識だけではなく、こうしたシステム面の知識も重要になってきます。またこれらの知識は、広告運用に留まらず、ネットを通じたビジネス全体で役に立つものでもあります。

これからも頭に入れておかない知識の範囲はどんどんと増えていくと思います。大変だとは思いますが、私もまだまだ頑張っていきますので、一緒に頑張っていきましょう。

お困りごとはまずはご相談ください。広告に限らず、認知やPRなど幅広い施策提案が可能です。

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記事を書いた人

小島 元
小島 元

広告運用 コンサルタント

慶應義塾大学経済学部卒業。2008年からキーワードマーケティングに在籍、 以降10年以上、広告運用に携わる。離脱率の低さに定評があり2008年から 運用を続けているクライアントも多い。趣味は音楽、楽器演奏。依頼を受けて プロのバックを務めることもある。愛知県犬山市出身。

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