ブロード配信とは?リマケ・興味関心ターゲティングよりも成果がでた事例から7つのコツを紹介

広告運用において、Google 広告や Facebook 広告などが推奨する設定は2019年から大きく様変わりしており、機械学習を上手く活用することが重要になってきています。

今回は機械学習をフルに活用した広告配信手法「ブロード配信」をご紹介します。

ブロード配信とは

この記事で指すブロード配信とは、性別・年齢・地域の3つだけをターゲティングして広告配信する手法と定義します。英語圏では、Broad Targeting(ブロードターゲティング)とも呼ばれます。

従来、成果を出すために必須だった、リマーケティングリストや類似オーディエンス、興味関心などをまったく設定しないのが特徴です。

ブロード配信が台頭してきた背景には、各媒体のアルゴリズム強化や大量のユーザーデータの蓄積があり、王道パターンであったターゲットを絞り込むような配信方法は、もはやパフォーマンスの悪化を招くことさえあります。

単品通販のブロード配信実績

ターゲティング リーチ数 表示回数 Click CTR Click単価 消化金額 CV CVR CV単価
リマーケティング 7,568 32,841 591 1.80% ¥53 ¥31,556 37 6.27% ¥853
興味関心 188,031 260,479 3,340 1.28% ¥44 ¥146,765 76 2.28% ¥1,931
ブロード配信 97,808 132,985 1,475 1.11% ¥34 ¥50,412 22 1.49% ¥2,291
横スクロールで詳細表示

コンバージョン単価はやや高いものの、全体のコンバージョン数の16.30%を獲得することができています。

詳細に入る前に、ブロード配信には似たような言葉が多いため、当記事での扱いを整理しておきます。

名称 年齢 性別 地域 リマーケティング
リスト
類似
オーディエンス
興味関心など
ブロード配信
ノンターゲティング
デモグラ
ターゲティング
横スクロールで詳細表示
◎:設定する、△:設定しても良い、-:設定しない

ブロード配信のデメリットとメリット

ここからは、ブロード配信のデメリットとメリットをそれぞれ2つ説明します。

デメリット1:クリック率が低い

Google 広告などのクリック課金方式の配信であれば、クリック率が低くなっても費用がかからないので特筆すべき問題ではありません。

しかし、Facebook 広告のようなインプレッション課金方式の場合は、クリック率が悪くなると連動してクリック単価も高騰(悪化)するので意識すべきデメリットであると言えます。

具体的には、リマーケティングに比べ、30%から40%ほどクリック率は低下します。クリック率は悪化したとしても、多くのユーザーにリーチできるのでクリック数が不足するということにはなりません。

デメリット2:コンバージョン率が低い

確度の高いユーザーに絞り込んでいるわけではないので、クリック率と同様に、コンバージョン率も低くなる傾向にあります。

リマーケティングと比較すると、ブロード配信のコンバージョン率は4分の1ぐらいです。コンバージョン率が低くなると心配なのは、コンバージョン単価(CPA、顧客獲得単価)の悪化ですが、実際はそこまで心配いりません。

後述しますが、ブロード配信ではクリック単価が低くなるため、コンバージョン率が悪化しても採算があってしまうことが多いのです。

メリット1:リーチを最大化できる

年齢と性別と地域、この3つ以外では絞り込みをしないため、今までアプローチできていなかった層に広告を表示することができます。

たとえば、リマーケティングでは自社サイトに訪問したユーザーにしか広告を表示できません。興味関心ターゲティングも、指定した興味関心以外には配信されないので、想定していなかったお宝ユーザー層を取りこぼすことになってしまいます。

実際にあった例としては、化粧品通販で、インテリアに興味関心あるユーザーのパフォーマンスが良いことがありました。風が吹けば桶屋が儲かる的なことを想像するのは現実的ではないので、ブロード配信でカバーしましょう。

メリット2:クリック単価が低い

運用型広告では、ターゲットを緩めれば緩めるほど、クリック単価が下がります。ブロード配信も同様で、性別や年齢、地域を絞らなければ絞らないほどクリック単価は下がるのです。

具体的には、クリック単価は2円から30円のあいだで推移することが多いです。インプレッション課金方式の Facebook 広告だと少し上がって、クリック単価は10円から50円になる傾向にあります。

商品やサービスにおける向き不向き

商品やサービスというレベルで、ブロード配信には向いているものとあまり向いていないものがあります。

向いているものだとコンバージョン単価がそこまで高くならず、向いていないものだとコンバージョン単価はやや高騰する傾向にあります。

以下の項目で、自社の商品・サービスが向いているのか確認してみてください。

向いている 向いていない
to B or to C to C to B
ターゲットの総人口 多い 少ない
興味関心
ターゲティング
成果が出るもの 成果が出ないもの

自社の商品・サービスが to Cか

どちらかというと、to C の商材の方が成果が出しやすい傾向にあります。

ただ、to B だったら無理、to C だったら成功間違いなしということでもないので、残り2項目も併せてチェックしてみてください。

ターゲットの総人口が多いか

ブロード配信では、ほぼすべてのユーザーにリーチできます。

したがって、衣食住に纏わる商品のように、万人がターゲットになり得るものであれば、ブロード配信で他ターゲティングと同等のコンバージョン単価でコンバージョン数が増やせるでしょう。

以下は、目標を ROAS(Return On Advertising Spend:広告経由での売上)においている EC サイトでの配信実績です。この時、ブロード配信のターゲットは25歳から54歳の男女で、対象地域は日本全国としました。

ターゲティング リーチ数 表示回数 Click CTR Click単価 消化金額 CV CVR CV単価 売上 ROAS
リマーケティング 4,103 9,136 193 2.11% ¥58 ¥11,156 15 7.77% ¥744 ¥71,250 638.67%
興味関心 68,819 77,747 1,180 1.52% ¥17 ¥19,696 25 2.12% ¥788 ¥113,770 577.63%
ブロード配信 119,516 134,047 2,053 1.53% ¥17 ¥35,202 89 4.34% ¥396 ¥369,675 1050.15%
横スクロールで詳細表示

興味関心ターゲティングで成果が出ているか

ブロード配信は、配信時こそ性別・年齢・地域の3つしか設定していませんが、配信開始後はアルゴリズムが機械学習を行い、最適化をかけていきます。

属性や興味関心などのターゲティングで広告のパフォーマンスが左右されるもの、つまりユーザーの傾向が出やすい商品・サービスのほうが、機械学習が進みやすく、結果として成果が出しやすくなります。

反対に、商品やサービスの特性上、属性や興味関心系のターゲティングで成果が出しにくい、もしくはそもそもターゲティングができない場合は、ブロード配信でもコンバージョン数があまり増えず、コンバージョン単価も高くなる可能性が高いでしょう。

以上3点のチェック項目を挙げましたが、媒体のアルゴリズムも日々進化しており、不向きとなっていてもコンバージョン単価がやや高くなるだけで、リーチやクリックの大量獲得はできるのでチャレンジする価値はあるかもしれません。

ブロード配信を始めるなら Facebook 広告がおすすめ

2020年7月現在、ブロード配信するのであれば Google 広告や Yahoo! 広告よりも Facebook 広告のほうが成果が出しやすいです。なぜ Facebook 広告なのか、その理由は3つあります。

  1. リーチできるユーザー数が多い
  2. 豊富かつ詳細なユーザーデータを持っている
  3. サービス利用にはログインが必須

1.リーチできるユーザー数が多い

ブロード配信ではとにかく多くのユーザーにリーチしたいので、媒体が抱えるアクティブユーザー数が重要になります。

引用:2020年2月開催|Facebook 社セミナースライド

前提として Facebook 広告は、一般的には Facebook だけでなく、Facebook 社のファミリーアプリである Instagram や Messenger 、パートナー企業の配信面 Audience Network を含みます。

したがって、Facebook 広告であれば、幅広いユーザーに広告配信することができます。その他、ユーザーの属性において性別や年齢が多様なのも Facebook 広告の強みです。

2.豊富かつ詳細なユーザーデータを持っている

先述の通り、ブロード配信ではパフォーマンスの良いものと悪いものを学習することが重要です。

したがって、学習材料である、ユーザーの人となりがわかるデータは重要となります。

この点において、Facebook 社はデータの質と量において他の媒体よりも一歩先をいってると感じられます。

以下は、Facebook 社が広告配信時に使っているデータをまとめたものです。

興味関心 ビジネス・業界 買い物・ファッション ニュース・エンターテイメント 旅行、スポット、イベント
テクノロジー 趣味・アクティビティ 職員・飲料品
家族と交際関係 教育 ライフスタイルと文化 その他
広告主とビジネス あなたがアクションを実行したウェブサイト/アプリ/ストア 利用したことがある広告主 クリックした広告の広告主 非表示にした広告主
基本データ 交際ステータス 勤務先 役職・職業 学歴
広告設定 パートナーからのデータに基づく広告 Facebookグループ企業の製品でのアクティビティを基に、それ以外の場所に表示される広告

興味関心

興味関心は、Facebook ページや広告でのエンゲージメントに基づく情報です。Facebook だけでなく Instagram の情報も合算されるので、興味関心の情報量は Google 等に比べて豊富かつ詳細なものとなっています。

広告主とビジネス

広告主とビジネスは、興味関心のようなざっくりとしたカテゴリではなく、具体的なウェブサイトやアプリ、Facebook ページ、Instagram アカウントの情報になります。Facebook と連携しているアプリにどのようなものがあるのかといった情報も含まれます。

基本データ

基本データは、家族関係や恋愛状況、経歴に関する情報です。わざわざこういった情報を自己申告で設定するのは Facebook だけではないかと思います。

広告設定

広告設定は、Facebook 社が提供するファミリーアプリやパートナーの製品で行われたアクティビティ情報です。

ちなみに、自分のアカウントに実際にどういったデータが蓄積されているのかは、Facebook のプライバシーから Facebook 広告管理、広告表示の設定より確認することができます。

私個人アカウントの「ビジネス・業界」のデータを一部公開します。

筆者の Facebook 広告表示の設定の一部

仕事に関わるものはもちろん、趣味でチェックしているファッションブランド、そのほか最近プロポーズしたことなども反映されています(照)。

すべて正しくマッチしているとは言えませんが、7割から9割ぐらいは合っている印象です。この細かなレベルで外れていないのはすごいことです。

ちなみに Google では、アカウントに追加された個人情報や Google のサービスを利用している広告主から提供されるデータ、興味関心データなどがあります。

自分のアカウントでどのようなデータが使われているかは、Google アカウントのプライバシー診断から広告の関連性を高める、広告設定を管理というページに飛ぶことで確認できます。

筆者の Google 広告設定の一部

以上が私のデータです。Google と Facebook でビジネスに興味があるという点は共通ですが、Google ではビジネスサービス、Facebook ではデジタルマーケティングや検索エンジン最適化となっていて、Facebook の方がより詳細なものになっていることがわかります。

また、私が女性向け商品を扱っていることもあるので仕方ないのですが、Google では女性と判別されてしまっています。

誤解のないように補足すると、Google 社も多くのサービスを無償で提供し、十分なデータを持っているはずですが、それを上回る個人に関する情報を Facebook 社は持っていて、緻密なパーソナライズがされているのです。

3.サービス利用にはログインが必須

Facebook や Instagram はサービスログインが必須なので、ユーザー情報を使うことができます。

対して、Google や Yahoo! ではログイン不要で使えるサービスも多いため、ユーザー情報をもっていても、それを活用することができないことがあります。

そのため、ユーザー情報を最も活用することができる Facebook 広告でのブロード配信は精度も高くオススメです。

Facebook広告のブロード配信の設定方法と成果を出すコツ

では、Facebook 広告でブロード配信をするときに、どのような設定にすればいいのでしょうか。成果を出すためのコツとあわせてご説明します。

十分な予算を設定する

機械学習が進むように、ある程度の配信量を確保する必要があります。広告セット単位で1週間に50件のコンバージョンが発生する余裕のある予算設定をしましょう。 

引用:2020年2月開催|Facebook 社セミナースライド

ただ、実際はコンバージョンが20件から30件でも問題なく配信できることもあるので、予算が少なくても、まずはテストをしてみることをおすすめします。

成果指標をきちんと計測する

機械学習において特に重要なのは成果指標であるコンバージョンのデータです。成果指標を計測することで、成果地点でのパフォーマンスを最大化するように配信が最適化されていきます。

もし成果指標を計測しないと、アルゴリズムは成果を学習することができないため、いつまでたってもパフォーマンスが良くなりません。

設定方法をまとめた記事もありますので、併せて参考にしてみてください。

【2020年最新版】GTMを使った、Google、Yahoo!、Facebook、LINEの広告コンバージョン計測方法|株式会社キーワードマーケティング

主要なインターネット広告媒体のコンバージョン計測タグをGoogleタグマネージャー(以下「GTM」と呼びます)を使って設定する方法を説明します。 また、各媒体の最新のコンバージョン計測タグの全体像をまとめていますので、新入社員以外の方も活用していただければと思います。

入札価格は他ターゲティングと同額でOK

既に Facebook 広告を配信しているのであれば、他ターゲティングの設定金額と同額から始めてみるのがおすすめです。

ブロード配信でも他ターゲティングと同単価でコンバージョン数を増やせる可能性があるためです。

Facebook 広告をはじめて配信するのであれば、まずは他広告媒体のコンバージョン単価や、希望のコンバージョン単価を設定しましょう。

まずは、理想とする単価でどこまでコンバージョン数を増やせるのかを確認します。

その後、配信開始してから2日から3日しても、広告が全然表示されないのであれば、入札価格を引き上げて様子を見ましょう。

「絞り込む」ではなく「除外する」の発想でターゲティングする

ブロード配信では性別・年齢・地域の3点のみを設定しますが、この考え方にもコツがあります。

原則すべて配信されるようにして、絶対にコンバージョンしないものだけを仕方なく配信対象から外しましょう。具体的な例を以下に挙げます。

NG OK
性別 女性を中心に売れているので、男性には配信しない 女性用下着なので、男性には配信しない
年齢 若年層にはあまり認知されていないから、配信しない 会社員向けなので、21歳以下には配信しない
地域 東京都で特に人気があるから、他エリアは配信しない 離島には配送できない商品なので、沖縄などは配信しない

従来のマーケティングに慣れている方だと、NG 例のように効率の良いところに絞り込んで配信したくなりがちですが、これはブロード配信ではやってはいけません。

人間が絞り込んでしまうと、せっかくの機械学習での最適化を邪魔することになってしまいます。仕方ないものだけ除外するという発想で設定してみてください。

なお、コンバージョンユーザーなどの極一部のユーザー除外はあまり影響がないので、必要に応じて設定しても良いでしょう。

プラットフォームやデバイスは限定しない

Facebook 広告では、Facebook だけでなく Instagram や Messenger、Audience Network という4つのプラットフォームに同時に広告配信することができます。

各プラットフォームを広告セットで分けて配信するのではなく、自動配置にしてまとめて配信しましょう。

こうすることで、より効率的な、より機会損失のない広告配信ができるようになります。デバイスについても同様にまとめてあげるのがベストです。

広告クリエイティブは特定の人を想像して作る

ブロード配信では多くのユーザーを配信対象としますが、広告クリエイティブ単位ではきちんとターゲットを設定します。

ブロード配信だからといって、いろいろ詰め込みすぎたものを作らないように注意しましょう。特定の人を想像して広告クリエイティブを作ることが大切です。

いろんな人に刺さるようにと全部のニーズをひとつのクリエイティブでカバーしようとすれば、漏れなく誰にも刺さらないクリエイティブになってしまいます。

したがって、エンドユーザーに不安や不満、期待などをヒアリングして、いくつかにフォーカスしたクリエイティブを作っていくようにします。

この尖った広告クリエイティブを3個から5個作って、並行して配信されるように設定しましょう。ただし、年齢や性別、地域を限定するような表現は使いすぎないようにしてください。

配信開始後は我慢が必要

配信が開始したら、機械学習がリセットされないように、とりあえず2,3日は手を加えないことをおすすめします。

最初は特にコンバージョンがつかなかったり、予算消化が早かったり、コンバージョン単価が高くなったりしがちですが、徐々に落ち着いてくるので我慢しましょう。

具体的に以下の項目は、情報収集期間がリセットされてしまうので、変更をおこなってはいけません。

優れた運用担当者ほどつい手を加えたくなりますが、ここではジッと我慢することが仕事です。

変更をおこなってはいけない項目

  • キャンペーン
    • 予算
    • 入札価格
    • 入札戦略
  • 広告セット
    • ターゲティング
    • 予算
    • 入札価格
    • 入札戦略
    • 最適化イベント
    • 新しいクリエイティブの追加
    • 7日を超える一時停止
  • 広告
    • 全ての変更
引用:2020年2月開催|Facebook 社セミナースライド

ブロード配信は媒体の努力があって成り立っている

ブロード配信は機能的には新しいものではなく、従来から実施すること自体はできました。しかし、成果が出なかったのであまり使用されることがありませんでした。

そんなブロード配信で成果が出せるようになった背景には、アルゴリズム強化はもちろんですが、ユーザーデータが大量に溜まってきたこともあります。

こう聞くと、エンドユーザーのプライバシーを侵すことで媒体と広告主が得をしている印象ですが、実際はそうではありません。媒体各社は、エンドユーザーの方々へきちんと配慮をしています。

たとえば、今回ご紹介した Facebook 社でいうと、記事の途中で挙げた広告表示の設定で、溜めて欲しくないデータがあれば停止できるようになっています。

媒体はユーザーのデータを溜めることができ、私たちはそのデータを使った広告配信をして成果を出すことができるのです。したがって、誰かの不便の上に便利が成り立っているわけではないので、ブロード配信はこれからも成長してくると私は考えています。

メールアドレスをご登録いただきますと、ブログの更新情報などをお届けいたします。

メールアドレスをご登録いただきますと、ブログの更新情報などをお届けいたします。
「わかりにくいこと」を「わかりやすく」をモットーに、すべての記事を実際に広告運用に関わるメンバー自身が執筆しています。ぜひ無料のメールマガジンに登録して更新情報を見逃さないようにしてください!

メールマガジンの登録はこちら

この記事を書いた人

瀬畑 輝

瀬畑 輝

広告運用 コンサルタント

こんな記事も読まれています

pagetop