普段みなさんは Instagram で何をよく見ていますか?私の場合、友達のフィード投稿を見たり、何かあるかなと思いながら発見タブを眺めたりすることもありますが、断然ストーリーを流し見している時間が多いです。
Instagram を開く=ストーリーを見ると言っても過言ではなく、ついつい見いってしまい、動画の場合は特にスキップせずに指を止め、見てしまいます。
最近では、一般ユーザーだけでなく企業も Instagram のストーリーやフィードで動画投稿をしていて、動画を見始めてから企業の広告だったと気づくこともあります。同じような経験をした方もいるのではないでしょうか。
このように SNS の中でも特にビジュアルでの訴求が強い Instagram では、静止画だけではなく、動画のクリエイティブを取り入れる企業も増えてきました。
そこでこの記事では、Instagram の動画広告にはどのような種類や特徴があるか、動画クリエイティブの作成のポイントをまとめました。自社サービスで Instagram 動画広告を検討中であったり、広告運用者としてお客様への提案の際に役立ててもらえればと思います。
Instagram 動画広告は静止画広告の配置と同様に、以下の4つの配置で広告を配信することができます。
配置によって表示のされ方が異なるので、その点も含め解説していきます。
Instagram アプリを開いた時に表示される、フィード内(タイムライン)に配置される広告がフィード広告です。
自分がフォローしているユーザーの投稿と同じ形式で表示されるので、ユーザーがフォローしているアカウントの投稿に合っていれば、Instagram の世界観に自然と馴染んだ広告をだすことができます。
広告が配置される頻度について公開はされていませんが、3投稿から5投稿くらいに1回の頻度で広告が表示される場合が多いです。
ユーザーからすると、フィード投稿はスクロールで次々に見ていくものなので、スクロールする手を止めるような、動きのある動画が良いでしょう。
例えば、自分がなんとなくフィード投稿を見ているときに、画面いっぱいに動きがある動画があれば、「お!」と興味を持って見てしまうのではないでしょうか?広告の作成時は、そんなイメージの動画を準備すると良いかもしれません。クリエイティブの作成ポイントは、後ほど詳しく解説いたします。
フィードの上部にある24時間で消えるストーリーズの再生中に配信される、縦型の画像・動画広告です。フィード広告と同様に、フォローしているアカウントのストーリーズに表示されます。通常のストリーズと異なり広告の場合は24時間経っても消えません。
広告は、ストーリーズを見始めてから、1投稿後に表示、その後は3投稿から4投稿に1回の頻度で表示されるようです。タイミングによっては、広告が2回連続で表示されることもあります。
また最大の特徴としては、縦型のフルスクリーンで表示されることです。フルスクリーンのため、アピールしたい商品やサービス、テキストをダイナミックに見せることができます。
日本におけるストーリーズのデイリーアクティブユーザーは、利用者のうち70%以上が利用する機能というデータも Facebook 公式が発表しているので、より見てもらえる配置であると考えられます。
ストーリーズでは、長さが15秒以下の動画広告が再生されるようになっていて、10秒以上の動画の場合、ユーザーに合わせて1~3枚のストーリーに分割されます。
この分割は機械学習にもとづいて、ユーザーごとに最適な数が適用されます。そのため、必ず何枚のカードに分割されるという基準はなく、1枚から3枚いずれかに分割される仕様です。例えば、14秒の動画の場合は1枚で表示される場合もあるということです。
Instagram のストーリーズの動画広告では、動画が表示された後に、「続きを見る」というオプションが自動表示され、これをタップすることで動画の続きを見ることができます。
この「続きを見る」は、動画が分割された際に自動的に表示されるもので、「詳しくはこちら」「購入する」といったコールトゥアクションと別のものです。また、画像を使ったストーリーズ広告では「続きを見る」という表示はなく、自動で次のストーリーズに移ります。
発見タブは検索と同じページにあり、検索やユーザーの興味関心に基づいた投稿が表示されます。発見タブ広告は、一覧に表示されるわけではなく、写真や動画をクリックして閲覧している際の投稿の間に表示されます。
発見タブ広告は、Instagramフィードと同じように、利用者が発見タブで写真や動画をクリックして閲覧しているときに表示されます。発見タブのグリッドやトピックチャンネルに広告が表示されることはありません。
引用元:Instagram発見タブの広告について|FACEBOOK for Business
発見タブはユーザーが受動的に情報や投稿を探しているので、潜在的なニーズに刺さるような広告であれば効果を得やすいかもしれません。
リールはホーム画面や検索画面と並んでいるタブから閲覧することができ、最大30秒のショート動画を表示させることができます。広告表示の頻度は公開されておらず、規則性もないようでした。
リールの広告は、縦型のフルスクリーンで表示され、オーガニック投稿したリールの間に広告が表示されます。
ストーリーズと異なるのは、フォローしているアカウント以外の動画も表示される点や、TikTok のように「いいね」やコメントなどのリアクションを付けられる点が挙げられます。
Instagram 広告の費用は Facebook 広告の課金形式と同様で、基本的にはインプレッション課金と呼ばれる CPM(Cost Per Mille)を採用しています。
ただ、キャンペーンによっては他の課金形式をとることもあるので目的に合わせて選択しましょう。Instagram 動画広告の課金形態は4種類に分類されます。
課金方式 | 詳細 | キャンペーンの目的 |
---|---|---|
CPM(Cost Per Mille) | ・インプレッション1,000件ごとにかかる平均コストを計算 ・1つのキャンペーンの合計消化金額/インプレッション数×1,000 | ・ブランドの認知度アップ ・リーチ ・トラフィック ・エンゲージメント ・アプリのインストール ・動画の再生数アップ ・リード獲得 ・メッセージ ・コンバージョン |
CPC(Cost Per Click) | ・広告を1クリックしたときにかかる平均コストを計算 ・1つのキャンペーンの合計消化額/クリック数 | ・トラフィック ・エンゲージメント ・アプリのインストール |
CPI(Cost Per Install) | ・アプリのインストール1件を獲得するための平均コストを計算 ・1つのキャンペーンの合計消化額/インストール数 | ・アプリのインストール |
ThruPlay | ・動画が最後まで、または15秒以上再生された回数に対してかかるコストを計算 ・15秒以下の場合は再生が完了した時点でカウント、15秒より長い動画の場合、動画が15秒以上(ユニーク)再生された時点でカウント ※クレジットロールやフェードアウトに差しかかると動画を見るのを止める人が多いため、動画は97%まで再生された時点で最後まで再生されたとみなされる | ・動画の再生数アップ |
それでは、いったいどのような動画クリエイティブを作れば良いのでしょうか。動画を作る際に押さえるべきポイントをまとめました。
Instagram を使用するユーザーは、一瞬でそのコンテンツをそのまま見るか、次のコンテンツを見るか判断しています。特にストーリーズはその傾向が顕著になります。
動画を見始めてからあまり動きが無く、気分が盛り上がるような場面もないシーンが続くようであれば、面白くない動画と判断して他の面白そうなコンテンツを探したくなりますよね。なので、動画では1秒にも満たない1シーン目でユーザーの興味を惹きつけなければなりません。
以下は、toB 向けのサービスのクリエイティブ A と B の配信結果の「冒頭3秒の再生数の割合」を比較したものです。「冒頭3秒の再生数の割合」は、全ての動画再生数のうち何%が3秒以上再生されたかを計算したものです。
クリエイティブ A、B 共にターゲティング方法は同じもの、配置は Instagram でできる全ての配置で配信しています。
クリエイティブ A は、商品やサービスを表すイラストを描く様子を早送りで流しているもの、クリエイティブ B は、商品やサービスをイメージ画像やテキストをスライドショーで流すものを配信しました。
クリエイティブ種類 | 冒頭3秒の再生数の割合 |
---|---|
クリエイティブ A | 約25% |
クリエイティブ B | 約20% |
クリエイティブ A の方が再生数の割合が良い結果になりました。これは1シーン目でユーザーの気持ちを惹きつけられたことが理由かと思われます。
動画広告のパフォーマンスは、冒頭部分が見られているかを確認する必要がります。管理画面の項目にある「動画の3秒再生数」から数値を見ましょう。
Instagram を使うユーザーはモバイル環境で多く利用しており、使用場所はさまざまです。
音声を出せない環境においてもユーザーに商品・サービスの魅力が伝わるようにしなければなりません。普段、通勤や通学の電車の中や家にいるときでさえ、音声なしで投稿や広告を見る機会があると思います。
無音でもメッセージが伝わるようにするには、ナレーションの言葉をテキストとしても表示させたり、商品の使用方法を実際に披露して見せたりすることが挙げられます。
実際の使用方法やシーンを映した内容と字幕を合わせて表示させた動画を配信した結果、クリエイティブの形式が正方形のものでも、長方形のものでも、冒頭3秒の再生数の割合が高くなったの例が以下のものです。
toC 向けの美容家電をノンターゲティングで Instagram 動画広告を配信しました。無音でもテロップとともに使用の様子を写した結果、「冒頭3秒の再生数の割合」も高い数値になったのだと考えられます。
クリエイティブ形式 | 冒頭3秒の再生数の割合 |
---|---|
クリエイティブ C(長方形) | 約30% |
クリエイティブ D(正方形) | 約40% |
もちろん静止画にはない魅力の1つのため、音や挿入歌にこだわることも重要です。ただ、メッセージや訴求が伝わらないと意味がありません。ユーザーがすぐに理解できるように、無音でもメッセージが伝わるクリエイティブを作成しましょう。
仕様により120秒以内の動画でないと広告配信することはできません。まずは既存の動画が120秒を超えるものであれば、短く編集してから使いましょう。
Instagram ストーリーズでは、45秒から先は「このまま見る」をタップして画面遷移してもらう必要があります。したがって、120秒が入稿時の上限ではあるものの、15秒以内で収まるように編集することをオススメします。
ストーリーズでは、画面上部の約14%(250ピクセル)の範囲に Instagram アカウントのアイコンや名前が表示され、下部の約14%には「詳しくはこちら」などのアクションボタンが表示されます。
したがって、上下の約14%(250ピクセル)に重要なテキストやロゴなどを配置してしまうと、被って見えなくなるため注意しましょう。
各配信面における入稿規定(デザインの推奨と技術要件)は以下の通りです。
項目 | フィード | ストーリーズ | 発見タブ | リール |
---|---|---|---|---|
ファイルタイプ(推奨) | MP 4、MOV または GIF | MP 4、MOV または GIF | MP 4、MOV または GIF | MP 4、MOV |
アスペクト比(推奨) | 4:5 | 9:16 | 4:5 | 9:16 |
解像度(推奨) | 1,080 x 1,080ピクセル以上 | 1,080 x 1,080ピクセル以上 | 1,080 x 1,080ピクセル以上 | 500 x 888ピクセル以上 |
メインテキスト(推奨) | 125文字以内 | 125文字以内 | 125文字以内 | 72文字以内 |
最大ハッシュタグ数(推奨) | 30 | – | – | – |
動画の長さ | 1秒~60分 | 1秒~60分 | 1秒~60分 | 0秒~30秒 |
最大ファイルサイズ | 250 MB | 250 MB | 250 MB | 4 GB |
最小幅 | 500ピクセル | 500ピクセル | 500ピクセル | – |
アスペクト比の比率許容誤差 | 1% | 1% | 1% | – |
実際に動画広告の設定についてですが、基本となるアカウント作成と Facebook ページとの紐付けは完了している前提で説明をしていきます。5つのステップを踏むことで広告の配信ができます。Instagram 動画広告の配信を考えている方は、参考にしてみてください。
まず、Facebook ページ と Instagram アカウントを連携させます。Instagram のマイページから設定、アカウント、リンク済みのアカウント、Facebook をクリックします。
Facebook のログインを求められるので「続ける」、「〇〇としてログイン」をクリックすると連携が完了します。
次に、Facebook 広告マネージャーの設定画面からキャンペーンの設定をおこないます。左上のハンバーガーメニュー内の広告マネージャを選択します。
広告キャンペーンの中にある、「+作成」から新しいキャンペーンを作成します。
新しいキャンペーンは、認知や検討、コンバージョンの3つの段階の中から、商品やサービスに合ったものを選択します。
キャンペーンの目的と詳細は以下のようになっています。
目的 | キャンペーンの目的 | 詳細 |
---|---|---|
認知 | ブランド認知度アップ | 広告の記憶が残る見込みが最も高い人に広告を表示 |
リーチ | できるだけ多くの人に広告を配信 | |
トラフィック | Web サイト、アプリ、Facebook イベントなどへのリンク先に誘導 | |
エンゲージメント | ページへの「いいね!」やイベントへの参加、リアクションの投稿を増やす | |
アプリのインストール | アプリのダウンロードを促し、アプリへのアクションの見込みが高い人に広告を表示 | |
動画の再生数アップ | 動画広告を表示 | |
リード獲得 | ビジネスやブランドのリード獲得 | |
メッセージ | 見た人が Messenger や Instagram ダイレクトメッセージでアクションを実行できる広告を表示 | |
コンバージョン | Web サイト、アプリ、Messenger などでの購入・支払い情報の追加といった重要なアクションを実行する見込みが最も高い人に広告を表示 | |
コンバージョン | カタログ販売 | ターゲットオーディエンスを使用して、カタログのアイテムを含む広告を表示 |
来店数の増加 | 実店舗への来店の見込みが高い人に対し、近隣エリアにいるときに広告を表示 |
キャンペーンを選択後、キャンペーン名と詳細情報、予算などを決めていきます。予算は1日の予算、もしくは通算予算から選ぶことができます。
キャンペーンの基本設定後、広告セットにおいてターゲティング方法(オーディエンス)や配置の設定をおこないます。
下部にある予算と期間では、広告を配信する日程と予算を選択します。
オーディエンスはユーザーの属性、「カスタムオーディエンス」もしくは「類似オーディエンス」を選ぶ必要があります。
配置では自動配置と手動配置のどちらかを選びます。自動配置は、配信できるものすべてに配置します。今回は Instagram でのみの配信のため、手動配置を選択後に Instagram 以外のチェックは外しています。
最後の Instagram 動画広告の設定は、静止画で新規広告を作成する手順とほぼ同じです。
広告設定の際に配信するメディアを動画と選択する部分以外、リンク先やコールトゥアクションで表示させる文言を選択する手順は同様です。
広告の設定画面で、Instagram のアカウントが紐づいてることを確認し、画面右側に表示されるプレビューでユーザーへの見え方をチェックします。
ビジュアル訴求できる商品やサービスは、Instagram 動画広告と相性が良いので、認知度アップやサイト流入数の増加などが期待できます。
成果がクリエイティブに左右される部分が多いため、まずは今回の記事で紹介したポイントをおさえて配信を始めてください。
クリエイティブ作成は工数がかかるため、新規作成や動画の差し替えを素早くおこなうのは難しいかもしれません。成果を比較し、短い期間で多くのクリエイティブを試したい場合は、あらかじめ数種類の動画を作成しておくことをオススメします。特に、1シーン目を変えたクリエイティブを用意しておくと成果が比較しやすいでしょう。
Instagram で効果のでる動画広告作りの参考になれば幸いです。
マーケティング
2019年4月に新卒で入社後、研修を経て運用チームに配属。toB、toC等の案件を担当した後、セールスチームに異動となる。趣味はお笑いと観賞(研究?)と謎解き。特に好きな芸人は東京03とバナナマン。
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