Meta 広告を運用していると「いろいろ試しているのに、なぜか成果が改善しない」や「新しい広告セットを追加しても、成果が悪いままクリエイティブが配信され続けている」と悩んだことはないでしょうか?
この原因の一つは「オーディエンスの重複」かもしれません。私自身も、定期的におこなっている Meta マーケティングプロとの電話相談で、オーディエンスの重複について指摘されることが最近かなり増えました。
Meta 広告では、広告セット間で同じユーザーにリーチしてしまう「オーディエンスの重複」が発生すると、過去の実績が良かった広告が選ばれます。そのため配信効率が悪くなったり、なかなか成果が改善しなかったりする場合があるのです。
今回は、Meta 広告のオーディエンスの重複の概要から確認方法、解決方法まで詳しく解説します。
Meta 広告のオーディエンスの重複とは、オーディエンスリスト同士、または広告セット同士でタ年齢や性別、地域、興味関心、行動などターゲットが被っている状態です。どのくらい被っているかの度合いは、「オーディエンスの重複率」と呼ばれています。
Meta 広告におけるオーディエンスの重複は、なぜ発生するのでしょうか?その発生要因は大きく分けて4つあります。
似たようなターゲティング設定をしていると自然と重複率も高くなります。
例として「コンバージョンしたユーザー」の類似オーディエンスと、「フォームまで到達したユーザー」の類似オーディエンスを考えてみましょう。コンバージョンしたユーザーは全員フォームまで到達しているはずなので、これらの類似オーディエンスのソースはほとんど変わりません。
つまりほとんど変わらないソースを持つ類似オーディエンスもまたほとんど同じになるので、重複率も高くなります。
興味関心ターゲティングの成果検証をしようと、1つの広告セットに1つの興味関心を設定して、複数の広告セットで配信していたとしましょう。
▼設定例:興味関心ターゲティングを広告セット1件につき1件設定
商材:高級車
広告セット1:「高級車」に関する興味関心
広告セット2:「年収1,000万円以上」の興味関心
広告セット3:「経営者」の興味関心
この設定を見てみると「高級車」に興味があるユーザーは年収1,000万円以上の高収入で経営者が多いと考えられるのではないでしょうか?このことから、近いターゲットの広告セットをそれぞれで設定していると重複率は高くなることも分かると思います。
あるカスタムオーディエンスと、それをソースにした類似オーディエンスは重複率が高くなる傾向があります。
これらを同時に配信するときは、類似オーディエンス側の広告セットでカスタムオーディエンスを除外しておくのがいいでしょう。
配信開始当初は重複率が低かった広告セットも、配信が進んで最適化が進むにつれて重複率が高くなるケースがあります。
これは、異なる広告セットで同じ商材を宣伝している場合に見られます。各広告セットでの機械学習が進むにつれて、コンバージョンしやすいと考えられるユーザーが似通ってしまうのです。
すると、徐々に重複率が上がってくるという現象が発生し、放置しておくとだんだん成果が悪化していくという結果になってしまいます。
オーディエンスの重複率が高い状態のまま放置していると広告成果にさまざまな悪影響を及ぼします。
オーディエンスの重複が発生したとき、アカウント内から配信される広告として選ばれるのは、過去最もパフォーマンスが良かったものです。
つまり、オーディエンスの重複が発生し続けている間はずっと同じ広告セットから同じ広告が配信され続けることになります。このような状態が続くと配信テストの機会を失い、広告成果は一定の水準から突き抜けにくくなってしまいます。
オーディエンスの重複が発生しているとずっと同じ広告が配信されるため、一定程度クリックやコンバージョンを稼ぐとやがてクリック単価が上昇したり、コンバージョン率が低下したりしていきます。
コンバージョン1件獲得するためにかかる費用は徐々に増え、CPA が上昇します。同様に、売り上げを計測している場合は、同じ売り上げを獲得するのに使用するコストが上がるため、ROAS が低下するということになります。
先ほど紹介した悪影響が起こらないためにも、オーディエンスの重複が発生しているか、発生している場合は重複率を確認しましょう。ここではオーディエンスリストごとに確認する方法と広告セットごとに確認する方法を紹介するので、ぜひ確認してみてください。
オーディエンスリストごとの重複率は広告マネージャーから確認できます。まず、広告マネージャーの左側メニューから「オーディエンス」を選択します。
すると、過去に作ったことのあるオーディエンスリストが一覧で表示されるので、重複率を比較したいリストにチェックを入れます。
この状態で左上の「…」をクリックし、「オーディエンスの重複を表示」をクリックしてください。
表示される「オーディエンスの重複」という項目のうち「比較オーディエンス」を見てみると、オーディエンスリスト同士で重複している人数と重複率を確認できます。
興味関心ターゲティングはリストにできないため、オーディエンスリストでの重複確認ではなく、広告セット間で重複しているかを確認しなければなりません。
残念ながら、広告セット間の重複率を広告マネージャー上で確認する方法はありません。しかし、Meta 社側ではこの重複率を確認するシステムが用意されているため、問い合わせると確認できるようになります。一部のアカウントでは、広告マネージャーを開くと以下のような電話相談のポップアップが表示されます。
ここから、Meta マーケティングプロにアカウントの運用状況の相談を依頼できるのですが、その中で広告セットごとの重複率も測定してもらえます。このポップアップが出てこないアカウントについては、公式のヘルプから問い合わせましょう。
オーディエンスの重複率は、10%以下であればほぼ問題ありません。しかし10%から30%の間の値だと、広告セット間での競争が発生しやすくなるので注意しましょう。
また重複率が30%以上の場合は、入札競争による CPM の高騰や広告配信の最適化の分散が起こり、成果が悪化する可能性が高まります。
重複率が高いと感じた場合は、次で紹介するオーディエンスの整理や統合、除外設定を活用し、配信の最適化を進めましょう。
オーディエンスの重複を防ぐ方法は以下の3つです。
これは、配信開始前のアカウント構築のときに意識してほしいポイントです。広告セットを分けるときは意図をもって明確にターゲットを分けることを意識してください。
以下の2つのケースを参考に、ターゲットの枠を大きくとらえながらアカウント構築をおこないましょう。
▼ケース①:興味関心ターゲティングを設定するとき
NG:興味関心を一つ一つ別のグループにする
OK:興味関心ターゲティングの広告セットとして1つにまとめる
▼ケース②:リマーケティングリストを設定するとき
NG:リマーケティングリストをリーセンシーごとに分ける
OK:リマーケティング広告セットとして1つにまとめる
また、このようにターゲティングを分けてみてもユーザーに刺さる訴求が違うのであれば、広告セットごとに広告クリエイティブを変えるのもおすすめです。
配信中にオーディエンスの重複率が高くなっているのであれば、1つの広告セットにまとめてしまうのも1つの手段です。
興味関心と類似ターゲティングといった一見別の手法のターゲティングでも重複率が高い場合、広告セットを集約することで最適化もより進み、成果も良くなっていく可能性があります。
広告セット間でオーディエンスが重複しているのであれば、重複している部分だけ除外しておくと互いに独立した広告セットになります。
例えば、オーディエンスが重複している広告セットが2つある場合の除外方法は、以下の通りです。
▼オーディエンスの除外方法(例)
【前提】
広告セット1でリマーケティングリスト、広告セット2で類似オーディエンスリストを設定している
【除外方法】
広告セット1で類似オーディエンスリスト、広告セット2でリマーケティングリストを除外する。
こうすることで2つの広告セット間で重複が発生しなくなります。
冒頭でもお話ししましたが、私自身も定期的な Meta マーケティングプロとの電話相談で、オーディエンスの重複を指摘される機会が最近かなり増えました。Meta 社側もこの指標を意識しているのだと感じています。
その背景には、動画クリエイティブの推奨による CPM の高騰が1つの要因としてあげられるのではないかと考えています。CPM の高騰でベースの単価が上がれば新規参入のハードルも高くなりますし、すでに広告運用しているアカウントの成果も上がりにくくなります。
今回紹介したような対策を実践して、長期的に安定した成果を達成できるようにしていきましょう。
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広告運用 コンサルタント
2021年9月に中途入社。2019年からWebマーケティング業界に携わり、toB/toC問わず様々なサービス、商材の広告運用を担当。好きな広告媒体はGoogle広告。趣味は映画鑑賞、お笑い、深夜ラジオ。映画のサブスクを契約しすぎている。
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