オウンドメディア(企業ブログ)を運営している担当者の中には、「質の高い記事をどうやって作るのか?」「更新が滞らないようにするにはどうしたらいいのか?」という悩みを持っている方もいるのではないでしょうか。
実は私たち「キーマケのブログ」編集部も、運営をおこなう中で記事の「質」を落とさずに、いかにして「量」を担保し続けるか、という観点で試行錯誤をしてきました。そして現在では、読者の方から、「記事がわかりやすい」と言っていただけることが多くあります。
今回は「キーマケのブログ」の執筆や編集に携わるメンバーへのインタビューを通じて、記事作成の裏側を紹介します。
「キーマケのブログ」は、広告運用コンサルタントや社内のマーケターなど社員が執筆しているブログです。そして、編集チームが記事公開までのプロセス管理やサポートをしています。
具体的な記事公開までの流れとして、以下の8つのプロセスがあり、1記事あたり約2ヶ月の期間で記事を公開しています。
このプロセスの最大のメリットは、執筆者と編集者の役割が明確になる点です。
執筆者はアウトプットの質を高めることに専念でき、編集部はプロセス管理によって公開までのスケジュールが明確になりました。公開する記事の量の安定化に繋がりました。
質の高い記事を継続して公開し続けるには、運営プロセスを整理するだけでなく、関わるメンバーが「良い記事とは何か」という共通の認識を持つことが大切です。「キーマケのブログ」では、記事の品質を担保するため、立ち上げ当初から制作に関わる全員が守るべき記事の品質ガイドラインを定めています。
以下が社内で共有されているガイドラインです。Google が提唱しているコンテンツの質の考え方である「検索品質評価ガイドライン」を一部引用して作成しています。
品質基準に沿って記事を執筆することで、わかりやすさが実際に担保されているのです。過去に専門的な内容なのに分かりやすいといったお声をいただくこともあります。
参考:有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成 | Google 検索セントラル
ここからは、「キーマケのブログ」に関わる執筆者、編集者それぞれが実践している制作プロセスを紹介していきます。
まずは、すべての記事制作の起点となる「テーマ選定」のポイントから見ていきましょう。
オウンドメディア運営で多くの担当者が「ネタ切れ」や「他社コンテンツとの差別化」に困った経験があるのではないでしょうか。
この課題を乗り越え、質の高い記事を生み出す秘訣は、「一次情報」からテーマをみつけることです。
「キーマケのブログ」では、運用コンサルタントが直面した悩みや経験をテーマの起点に置きます。ネタ切れを防げるほか、そこに執筆者が経験したエピソードが含まれるため独自の切り口になります。
テーマを選定する際に、執筆者がどのように選んでいるのか具体例を紹介します。
キーマケのブログでは、特に有効だった2つのパターンがあります。
それが、「現場のプロが感じる専門的な気づき」と「顧客や社内から繰り返し聞かれる質問」です。広告運用コンサルタントの志村さんは、実務からテーマの着想を得て記事を執筆しました。
私自身が P-MAX キャンペーンを設定する際、「意図しない配信になりそうだな」や「通常のキャンペーンとここが違うな」など、気を付けるポイントが多いなと感じていました。
テーマ選定会議でこうした話をしたところ「記事にするとよさそうだ」と背中を押してもらえたため、このテーマで執筆しました。
こうしたプロならではの視点は、たとえ検索する人が少ないテーマでも、読者の悩みに応える価値のあるコンテンツとなります。
▼経験、実体験からテーマを選んだ記事はこちら
そのP-MAX、設定は完璧?運用者が見落としがちな5つの落とし穴を紹介|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング
P-MAX には、ほかのキャンペーンと仕様が違う部分、いわゆる設定の「落とし穴」があり、成果が悪化する要因になっているケースがあります。この記事では、P-MAX の設定でミスが出やすい5つの「落とし穴」と、その対策を解説します。
続いて、お客さまや社内の後輩メンバーから「繰り返し聞かれる質問」からテーマを選んだ例です。一見して、実務担当者からしたら基本的な内容に感じるかもしれません。しかし、「何度も聞かれる」ということは、それだけ多くの人が疑問に感じているということでもあります。
マーケティング部の執筆メンバーである秋元さんは、この視点を重視しています。
「コンバージョンアクション」の記事を執筆したのは、実際に「コンバージョンアクションってなに?」や「どう設定するの?」とお客さまや社内メンバーから聞かれることが多かったからです。
実際、お客さまへの説明で使うこともあるので、広告に詳しくない人にも寄り添うように執筆しました。
▼クライアントやメンバーから繰り返し聞かれたことをもとにした記事はこちら
Google広告のコンバージョンアクションとは?管理画面での設定方法からトラブル解決策まで解説|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング
Google 広告における「コンバージョン」と「コンバージョンアクション」それぞれの概要や設定例、よくあるトラブルやその解消方法について解説します。
アウトライン作成は、記事の構成を事前に固める重要なプロセスです。単に見出し形式で章立てを決めるだけでなく「誰の」「どんな悩みを」「どのように解決するのか」を明確にし、記事全体の骨子を作ります。
具体的には、以下のキャプチャ画像のように執筆者が専用のスプレッドシートにアウトラインを作成して編集部に提出します。
アウトラインが完成したら、編集部が具体的なアドバイスや切り口のフィードバックをおこないます。
この段階のポイントは「完成形を求めすぎない」ことです。執筆者には、完成度の高さよりも早めにアウトラインを提出してもらうことを重視してもらっています。
記事の修正をなるべく減らせるように、見出しの部分を埋めておいて、編集部からフィードバックをもらってから執筆するようにしています。
執筆者の志村さんは、アウトラインを作る際に編集部からのフィードバックを前提にまずはアウトラインを作成していると話していました。
原稿を書き始める前から方針のすり合わせができるため、記事公開までのプロセスがスムーズになる効果があります。
アウトラインが完了したら次は記事の執筆です。「キーマケのブログ」では、記事の品質を高めるために、「リサーチ」と「表現の工夫」を重視して執筆しています。
特定の広告媒体を扱う記事であれば、まずは公式ヘルプを確認します。機能のアップデートや仕様変更は頻繁に発生するため、公式の情報源から最新かつ正確な情報を得ることが基本です。
また、公式ヘルプで「わかりづらい」と感じる点は、読者も同様に感じる可能性が高い点です。こうしたところも視野に入れることが、よりわかりやすい表現を考えるきっかけにもなっています。
公式ヘルプをもとにリサーチした段階で、執筆者自身の疑問点が解消されないときは、媒体に直接問い合わせ、機能の詳細や技術的な仕様まで確認することで記事の専門性と信頼性を高めています。
記事を執筆しているのが運用コンサルタントであるからこそ、気を付けているのが専門用語です。
運用コンサルタントが使いがちな専門用語を、読者が完全に理解しているわけではありません。どれだけ内容が良くても「難しそう」と思われてしまっては、読者も遠ざかってしまいます。
こうした知識量のギャップを埋めるカギとなるのが、誰が読んでも確実に理解できる表現です。具体的な工夫としては、以下のものが挙げられます。
まず、専門用語や業界特有の略語には「CPA(顧客獲得単価)」のように、かならず説明を加えます。執筆者の瀬畑さんは次のように話してくれました。
自分がわかっているつもりの前提条件が抜けていないか、読んでみてわかりにくいところがないか、ズレていないか読者視点に立って念のため確認しています。
また、広告の設定方法の手順など、日常の業務で慣れている作業については、実際の管理画面で手順を再現し、抜け漏れがないかの確認もおこなっています。
設定手順は必ず一度なぞるようにしています。深掘りしたほうがいい箇所や抜け漏れも発見できるのでより丁寧な記事に仕上げることができます。
読者が迷う点はないか、説明に抜け漏れがないかを確認する作業も欠かせません。こうした丁寧な確認作業が、読者が迷わず実践できる実用性の高い記事につながるのです。
テーマとアウトラインが決まり、書くことが明確になったにも関わらず筆が進まないといったケースが過去にありました。執筆者が一度は通るこの悩みは「一度で完璧な文章を書こうとしている」のが原因かもしれません。
そこで意識したいのが「まず書き始めること」と「編集部に相談すること」です。
執筆者の志村さんは、筆が進まないときは以下のように進めています。
調整しながら書いているとかえって読みにくくなり、執筆が進まないこともあります。読みやすさは一旦おいてまず文章を書き、すべて書き終えた後にに調整しています。
また、どう書くべきか悩んでしまう場合には「編集部メンバーに相談すること」を実践している執筆者もいます。
違いを言語化しにくい「顕在層と潜在層」 について書くとき、編集部と言葉の表現や図説について話し合いながら執筆を進めていきました。公開後上位表示をされることが多かったので、こだわりながら進めてよかったです。
秋元さんは、表現に自信がない場合や引用したい資料が合っているかわからない場合だけでなく、図説を入れたい場合なども編集部に相談しているそうです。
顕在層と潜在層の違いを解説。それぞれに効くアプローチ方法と2つに分けて考える必要性とは?|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング
顕在層と潜在層の違いは、ニーズが明確になっているか、そうでないかで分けられます。潜在層は、客観的/主観的問わず、悩みや課題がありながらも、今すぐに解決する必要性を感じておらず、解決に向けて行動を起こしていないユーザー、潜在層は、客観的/主観的問わず、悩みや課題がありながらも、今すぐに解決する必要性を感じておらず、解決に向けて行動を起こしていないユーザーを指します。
編集部の役割は、執筆者の専門的な原稿を読者の視点で編集し、記事としての価値を高めることです。そのため、読者視点と執筆者の強みを引き出すフィードバックを重視し、編集をおこなっています。
記事の信頼性を担保するため、内容や引用元のファクトチェック、専門用語の表現調整、論理構成の確認などをおこないます。
執筆者側での対応が必要な箇所にはコメントを入れたりもしています。コメントの使い方は人それぞれですが、中にはポジティブフィードバックをいれる編集者もいます。
修正や追記のコメントに関しては、以下の参考画像をご覧ください。
そのうえでさらに記事の質を高めるために、執筆者と編集者で1対1のフィードバックの機会を設けています。改善点だけでなく、切り口の独自性や事例の具体性といった原稿の優れた点を伝えることで、執筆者の強みを引き出しモチベーションを保つことを意識しています。
編集部では、原稿の編集や執筆者へのフィードバックのほかに、読者の方に伝わりやすく、読んでみたいと感じてもらえるような工夫もしています。それが、ブログ一覧や記事のトップに表示されるタイトル付けとアイキャッチ画像制作です。
タイトルは、初稿が完成したタイミングで執筆者の意図をくみ取りながらアイデアを出したり、編集者という第三者の視点から新たなアイデアを出して作ることもあります。
アイキャッチ画像に関しては、ブログのトップページや SNS のタイムラインで見かけたときに、思わずクリックしたくなるものを作るのが目的です。そのため、外部のデザインパートナーと協力して各要素を調整して、作り上げています。
今回は、執筆者へのヒアリングを通して「キーマケのブログ」の記事制作の裏側を紹介しました。
まず、記事の質を支えているのは、執筆者である運用コンサルタントが一次情報を大切にしている点です。執筆者たちは普段の業務と並行しながら、現場の実践的な気づきを読者に届けるためにテーマ選びから取り組んでいます。
そして、品質を保ちながら「キーマケのブログ」としての発信量を担保しているのが編集部です。フィードバックやタイトル作成を通して、記事の価値を高めることを、日々意識しています。
このように、キーマケのブログでは「質」と「量」を両輪で回しながらオウンドメディアを運営しています。この記事で紹介した運営体制や記事制作の工夫が、同じような課題を感じている方にとってヒントになれば幸いです。
編集部
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