2025年3月に Yahoo! ディスプレイ広告でオーディエンスリスト機能「高度なセグメント」に URL を登録できる機能が追加されました。
URL 登録機能が実装されたことを機に高度なセグメントについて詳しく調べてみたものの、公式の説明だけでは「何ができて、どう活かせるのか」のイメージをつかみにくく、まだ実装していない方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、URL 登録機能もあわせて高度なセグメントについて詳しく解説します。実際の挙動や設定時の注意点も紹介していますので、高度なセグメントを活用した提案やテスト運用のヒントを得たい方は、ぜひ最後までご覧ください。
高度なセグメントとは、Yahoo! ユーザーの検索キーワードや訪問 URL をもとに、Yahoo! 広告のオーディエンスリストを作る機能です。
リストは登録したキーワードだけでなく、機械学習で関連性の高いキーワードまで拡張されて作られます。以前まであった特定のキーワードで検索したユーザーをターゲティングする「サーチキーワードターゲティング」の進化版ともいえるでしょう。
高度なセグメントのリストはキーワード指定と今回新たに追加された URL 指定の2種類が存在します。
従来のサーチキーワードターゲティングでは、Yahoo! 側で用意された特定のワードしか選択できませんでした。
しかし「キーワード指定」を使うと任意のフリーワードでリスト内容を指定し、入力したワード自体を Yahoo! 上で検索したユーザーだけでなく、該当のワードと検索行動の類似性が高いユーザーが機械学習を用いてリストに加えられます。
自由度が高いターゲティング手法ではある一方で、機械学習による拡張性も高くなっているため、ターゲットを絞り込みたい場合は、注意が必要です。
2025年3月18日(火)に追加された URL の追加機能では URL を指定すると、Yahoo! JAPAN の検索結果から指定した URL とその下層ページを訪問したユーザーがリストに加えられます。
そのため、検索キーワードやカテゴリのような間接的なターゲティングよりももっと直接的なターゲティングが実現できます。キーワード指定の高度なセグメントと違い、URL 指定に拡張機能がないのもこのためと考えられます。
以下の表は「https://example.com/」を登録した場合、訪問したユーザーがリストに蓄積されるかどうかをまとめました。
訪問した URL | リストに蓄積されるか |
---|---|
https://example.com/aaaa | ○ |
https://example.com/aaaa/bbbb | ○ |
https://xyz.example.com/ | × |
URL 指定はキーワード指定の場合と違って拡張性はないため、リーチしたいユーザーがよく見ているサイトがはっきりわかっている場合や、特定のサイトを見ているユーザーを決め打ちでターゲティングしたい場合に最適です。
URL 指定は、2025年3月にリリースされたばかりということもあり、実際の動きや成果のイメージがしづらく、使用するか迷われた方も多いのではないでしょうか?ここでは、そんな新機能の上手な使い方を紹介します。
例えば「転職を検討している20代向けの転職サイトの広告を出したい」と仮定して、サーチキーワードターゲティングと URL 指定を使った場合どうなるのかまとめました。
ターゲティング | 仕様 | 使用した結果 |
---|---|---|
サーチキーワード ターゲティング |
以下のようなキーワードに頼る ・転職 ・第二新卒求人 |
リーチの粒度が粗くなる |
URL 指定 |
以下のサイトを見ている ユーザーに絞って配信できる ・第二新卒向け転職サイト ・20代の転職体験談 |
より明確な意図を持ったユーザーにアプローチできる |
このようにサーチキーワードターゲティングだと、キーワードのみに頼ることになるので、「今すぐ転職したい層」と「なんとなく情報収集中の層」が混在しており、リーチの粒度が粗くなってしまいます。
しかし、URL 指定を使えば、実際に「第二新卒向け転職サイト」「20代の転職体験談」などを閲覧しているユーザーに絞って配信ができるようになるため、より明確な意図を持ったユーザーにアプローチしたい場合におすすめです。
URL 指定の高度なセグメントを使おうと思った場合、実際にどんな URL を指定すればいいのでしょうか?具体的には以下の3つがユーザーにリーチしやすいのでおすすめです。
今回はやや BtoC 寄りの活用方法を紹介しますが、BtoB 広告でも URL 指定は効果的です。業界の専門メディアや業界ポータルサイトの URL を指定することで、特定の業界従事者へのアプローチもできるので、商材に応じてぜひ試してみてください。
まず第一にイメージしたいのは、競合比較ユーザーをターゲティングする場合です。
検索広告で同じキーワードでの広告配信を奪い合っている競合他社や実際に顧客が流出してしまっている他社がはっきりしていると、競合の企業のランディングページやサービスページを指定することにより競合と比較しているユーザーにアプローチできます。
次に、商品レビューや価格比較サイトを指定することも検討してみましょう。大抵の場合、ユーザーは商品を購入する前にレビューや比較サイトなどの第三者の評価から情報を得ようとします。
そのため、URL 指定をする際にも自社の特定の商品や他社の類似商品のレビューサイト、価格比較サイトの URL を指定すれば、購入直前フェーズの購買意向が強いユーザーをターゲティングできます。
また、自社が運営しているオウンドメディアや記事広告を URL 指定に使うこともできます。
たとえば、記事タイアップ経由で興味を持った層に向けて、ブランドイメージをアピールしている広告から商品についてアピールしている広告へとフェーズをずらして配信することで、Yahoo! 広告上でも LINE や SNS のようなステップ配信が実現できます。
ここからはキーワードマーケティングで実際に高度なセグメントを使った配信事例を紹介します。
もともとリターゲティングとサーチキーワードターゲティングで配信していましたが、3月の URL の指定機能のリリースに合わせて高度なセグメントを実装しました。追加したターゲティングのそれぞれの内容は以下のとおりです。
実装後2週間は追加のターゲティング2つに加えてもともと配信していたリターゲティングとサーチキーワードターゲティングを並行して配信していました。
ターゲティング | コンバージョン数 | コンバージョン率 | コンバージョン単価 |
---|---|---|---|
高度なセグメント (URL 指定) |
3 | 1.07% | ¥8,667 |
高度なセグメント (キーワード指定) |
0 | – | – |
サーチキーワード ターゲティング |
2 | 1.43% | ¥10,000 |
リターゲティング | 6 | 1.28% | ¥9,833 |
URL 指定の高度なセグメントでは、もともと配信していたサーチキーワードターゲティングやリターゲティングよりも低いコンバージョン単価で獲得できています。競合他社がはっきりしていたのもあり、URL 指定での効果がかなり出たと考えられます。
Yahoo! の公式では高度なセグメントはキャンペーンや広告グループ、広告単位で十分な予算を確保できるようなアカウント設計を推奨されているので、高度なセグメントを使用する際には、アカウント設計を一から再構築する必要があるようです。
高度なセグメント利用時におけるアカウント構造のポイントについては、以下のアカウント構造イメージを参考に、配信量や実績傾向、運用調整の方法に応じて柔軟に設計してください。キャンペーン、広告グループ、オーディエンスリスト、広告それぞれの単位で実績が十分確保されることが重要となります。
より最適な広告運用を目指す!オーディエンスリスト(高度なセグメント)の推奨運用手法|LINEヤフー for Business
再構築をしないまま高度なセグメントを使用すると、配信予算が成果のよい方へ寄ってしまいコンバージョンを獲得しづらくなってしまうことも考えられます。
実際に先ほど紹介した事例でも、クリック率はほかのターゲティングと同じくらいでしたが、URL 指定の高度なセグメントやサーチキーワードターゲティングと同じキャンペーンで運用していたため、コンバージョンを獲得できませんでした。
ターゲティング | コンバージョン数 | コンバージョン率 | コンバージョン単価 |
---|---|---|---|
高度なセグメント (URL 指定) | 3 | 1.07% | ¥8,667 |
高度なセグメント (キーワード指定) | 0 | – | – |
サーチキーワード ターゲティング | 2 | 1.43% | ¥10,000 |
リターゲティング | 6 | 1.28% | ¥9,833 |
そのため、高度なセグメントを使って運用したい際には、以下の画像を参考にしながら再構築しましょう。
ここでは、高度なセグメントの設定方法を紹介します。従来のサーチキーワードターゲティングと少し設定方法が異なるため、注意が必要です。
大まかな流れとして、Yahoo! ディスプレイ広告の管理画面からオーディエンスリストを選択し、高度なセグメントを選択します。その後キーワードか URL のどちらを入力するかの画面が出てくるので選択し、キーワードまたは URL を入力すると設定が完了します。
まず、高度なセグメントは従来のサーチキーワードターゲティングで使用していたサーチキーワードリストとは違い、オーディエンスターゲティングの区分になるので、管理画面上のツールからオーディエンスリストを選択します。
次に、「+オーディエンスリストを作成」の中から「高度なセグメント」を選択します。
オーディエンスリスト作成画面でターゲティング種別を選択できます。キーワード指定の場合は「キーワード」、URL 指定の場合は「URL」を選択してください。
種別の選択が完了したら、その下部ある「キーワード」の項目でキーワード(または URL)を入力し、「キーワードを追加」または「URL を追加」をクリックして「作成」を押します。
以上で高度なセグメントのオーディエンスリストは完成です。あとはほかのオーディエンスターゲティングと同じように、広告グループに設定したリストを設定すればターゲティング設定は完了です。
Yahoo! ディスプレイ広告の新機能「高度なセグメント」は、従来のサーチキーワードターゲティングの進化版という位置づけで成果拡大に期待が持てる反面、拡張性や仕様の違いなどにより運用に少しテクニックが必要でした。
また、新たに URL ターゲティング機能を使えば、競合サイトや特定メディアを閲覧しているユーザーに対してピンポイントで広告を配信できるため、比較検討層や購買意欲の高いユーザーを効率よく狙うことができます。設定もシンプルで、既存のセグメントと組み合わせて活用することでより高精度な配信設計ができるので、ぜひ試してみてください。
また、サーチキーワードターゲティングはすでに新しいリストを作成できなくなっており、2025年7月には完全に廃止されることが公式からもアナウンスされているため、以下の記事を見ながらこの機会にいち早く高度なセグメントに切り替えていきましょう。
▼サーチキーワードターゲティングの廃止についてはこちらで紹介
Yahoo!広告「サーチキーワードターゲティング」の提供が終了!オーディエンスリストの「高度なセグメント」へ移行する際の注意点や設定方法を紹介|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング
2023年11月28日(火)、Yahoo! はサーチキーワードターゲティングの提供終了と、設定済みのサーチキーワードターゲティングをオーディエンスリストターゲティングへ移行することを発表しました。
広告運用 コンサルタント
2021年9月に中途入社。2019年からWebマーケティング業界に携わり、toB/toC問わず様々なサービス、商材の広告運用を担当。好きな広告媒体はGoogle広告。趣味は映画鑑賞、お笑い、深夜ラジオ。映画のサブスクを契約しすぎている。
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