社名変更や ZOZO の買収、LINE との経営統合など、2019年末に何かと話題になったヤフーですが、広告商品でもここ1年程で急速にアップデートを進めています。
この記事では、Yahoo! 広告(旧 Yahoo! プロモーション広告、Yahoo! プレミアム広告)の2019年から2020年にかけての主要なアップデート情報をまとめています。
把握・対応が漏れているアップデートがないかどうか、今後実装が予定されているアップデート情報とあわせて確認しておきましょう。検索広告とディスプレイ広告に分けて説明していきます。
検索:実装済み
検索:実装予定
2020年10月頃:検索レスポンシブ広告
拡大テキスト広告の文字数増加に続き、Google 広告ですでに実装されているレスポンシブ検索広告のようなプロダクトもリリース予定の模様
ディスプレイ:実装済み
検索広告
まずは検索広告からご紹介します。ディスプレイ広告に比べると、検索広告の大きなアップデートはまだこれからといった印象です。
ただし、すでに実装済みのアップデートも対応が遅れれば機会損失につながるものも多いため要チェックです。
拡張クイックリンク
2019年10月16日に拡張クイックリンクが実装され、クリックリンクオプションに説明文を追加できるようになりました。
クイックリンクオプションとは、広告タイトル部分のリンク先とは異なる URL へのリンクを検索広告の下部に最大6件追加できる機能 です。Google 広告におけるサイトリンク表示オプションに該当します。
画像引用元:クイックリンクオプションに「説明文」を追加して運用改善|Yahoo! 公式ラーニングポータル
説明文を追加することで、広告内に盛り込むことのできる訴求ポイントが増えるだけでなく、画面占有率が上がることでクリック率が上がり、その結果、広告の品質の向上し、広告費の削減につながる可能性もあります。
動的検索連動型広告の機能追加
2020年4月14日より、動的検索連動型広告でより柔軟な配信設定が可能になりました。動的検索連動型広告とは、あらかじめ設定した URL を元に、その URL のコンテンツと関連性の高い検索キーワードに対してタイトルを自動生成して配信される広告です。
アップデート以前は、配信の対象とする URL リスト(ページフィード)を作成することでページを指定する必要がありましたが、アップデートによりリストを作成することなく配信することが可能になりました。
具体的には、「ドメイン全体」という設定を使用してサイトドメインを指定することで、ドメイン配下のすべてのページが自動でクロールされるようになりました。
また「ドメイン全体とページフィードを併用」という設定も用意されており、両者の設定を併用することも可能となっています。
指定方法
詳細
ページフェードのみの利用
配信対象の URL リスト を入稿
【NEW】ドメイン全体
ドメイン全体を指定することで、配下のページすべてがクロール対象
【NEW】ドメイン全体とページフィードを併用
ドメイン全体の配下ページすべてをクロール対象にするとともに、確実に配信したい URL リストを入稿
※2020年7月時点で「ドメイン全体」「ドメイン全体とページフィードを併用」は試験提供中という扱いになっています。
広告文内で使用可能な記号の追加
2020年4月22日より、検索広告において隅付きかっこ【 】が使用可能になりました。広告文に使用できる記号には制限があり、墨付きかっこ【】は使用できない記号のひとつだったのですが、この制限が緩和された形になります。
画像引用元:検索広告において【 】隅付きかっこ が使用可能になりました!|Yahoo! 公式ラーニングポータル
弊社のブログでもクリック率を19%改善した事例を詳しく解説しているので、是非参考にしてみください。
拡大テキスト広告の文字数増加
2016年11月の実装以降、長らくその形式を維持してきた拡大テキスト広告に「タイトル3」と「説明文2」が追加可能になりました。
説明文の文字数も従来の80文字から90文字に増加しました。2018年8月頃に Google 広告において同様の変更があって以来、両者の制限文字数が異なることで多くの広告運用者が苦渋を味わっていました。
Google 広告を配信している場合は対応しやすく、他のアップデートに比べてすぐに対応する広告が多いことが予想されるため、機会損失を生まないよう準備をしておきましょう。
項目
アップデート前
アップデート後
タイトル1
30文字以内
30文字以内
タイトル2
30文字以内
30文字以内
タイトル3
-
30文字以内
説明文1
80文字以内
90文字以内
説明文2
-
90文字以内
なお、Google 広告同様、タイトル3と説明文2は表示されない場合もあります。公式からの案内にも『タイトル2、3と説明文2は、画面の幅に応じて省略表示(「…」に置き換え)される場合があります。』と明記されています。
タイトル2も省略される可能性があるため、省略された場合にどのように表示されるかをしっかりと確認しておく必要があるでしょう。
今後、検索レスポンシブ広告というプロダクトもリリース予定のようです。おそらく、Google 広告でいうところのレスポンシブ検索広告のように、複数のアセットが最適な組み合わせで配信されるような広告と思われます。
参考:【検索広告】拡大テキスト広告機能改善のお知らせ|Yahoo! 広告
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告については、すでにYahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)から、Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)への移行という大きなアップデートが実装済みです。今後追加される機能にも期待が高まります。
PC ブランドパネル枠の開放
もう1年以上前になってしまいますが、2019年5月20日にPCブランドパネル(静止画)の最低入札価格が撤廃されたことで、少額の予算でも成果を出しやすくなりました。
これにより、PC 版 Yahoo!トップページの一番目立つ枠へ配信することに対するハードルが大きく下がりました。詳しくは弊社ブログ記事をご確認ください。
Yahoo!トップに広告が出せる「ブランドパネル広告」とは?掲載時のポイントとCVが2.6倍になった事例を紹介|株式会社キーワードマーケティング
Yahoo! PCブランドパネル広告(通称:ブラパネ)とは、「PC 版の Yahoo!トップページの一番目立つ広告枠に配信できる広告」です。 Yahoo!のトップページにある広告掲載枠で配信され、ファーストビューの大きい箇所に静止画・動画・動的ディスプレイを配信することができます。
動画広告タップ時の動作変更
2019年11月27日に動画広告をタップした際の動作が変更されました。
従来、タップ時の動作は動画の全画面表示でしたが、変更後は画面上部で動画が再生され、下部にランディングページ(アプリの場合はインストールページ)が表示されるようになりました。
ワンタップで動画だけでなくランディングページが同時に表示されるようになったことで、動画を見たユーザーが次のアクションに移る可能性が向上しました。
なお、リリース当初はスマートフォン版 Yahoo! JAPAN アプリのみが対象となっていましたが、順次他の面にも拡大していくとのことで、2020年8月4日にはスマートフォン(ウェブ)に対しても同様の仕様変更が実施されています。
画像引用元:【YDN】動画再生画面の表示形式一部変更のお知らせ(2019年11月27日実装分)|Yahoo! 広告
Yahoo! 広告ディスプレイ広告(運用型)
Yahoo! JAPAN の各種広告プロダクトについては「Yahoo!広告」への一本化が進められており、そのリニューアルの第一弾として、「Yahoo!ディスプレイアドネットワーク」を継承する「Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)」を2019年11月頃から一部アカウントに対し順次提供を開始していました。
そして、2020年7月にはすべてのアカウントでディスプレイ広告の利用が可能となりました。
画像引用元:広告・サービスをリニューアルし、 2020年度にかけて名称を順次「Yahoo!広告」に変更
リニューアルポイントとして、以下のの3つを掲げています。
広告プロダクトのシンプル化
広告管理ツールのリニューアル
配信アルゴリズムの刷新
1. 広告プロダクトのシンプル化
従来では、純広告(枠買い広告)も含めると、以下のような分類になっていました。
運用型広告
Yahoo! ディスプレイアドネットワーク(YDN)
Yahoo! コンテンツディスカバリー(2019年9月末にサービス終了)
予約型広告
Yahoo! プレミアム広告
Yahoo! プレミアムDSP
しかし、これからは上記の広告ソリューションが以下のようなシンプルな分類になり分かりやすくなりました。
Yahoo! 広告 ディスプレイ広告(運用型)
Yahoo! 広告 ディスプレイ広告(予約型)
画像引用元:Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)スタートガイド 詳細資料
2. 広告管理ツールのリニューアル
管理画面が大幅にリニューアルされて便利になりました。旧管理画面に適応してしまっていた方にとっては、新画面に慣れるのに少々時間はかかりそうですが、慣れてしまえば旧管理画面よりも操作性の向上や分析のしやすさなどメリットは大きいです。
主な便利機能
2期間の実績を比較可能に(前年同月比などの確認しやすさ向上)
グラフが追加されたことで数値の推移が視覚的に把握可能に
統計情報画面から直接実績データをダウンロード可能に(従来は要レポート生成)
キャンペーン作成から広告作成まで1画面で完結(従来は要画面遷移)
画像・動画ファイルを広告作成画面から入稿可能に(従来は要別途アップロード)
3. 配信アルゴリズムの刷新
Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)では、キャンペーン目的の設定が必須となっており、指定した目的に合わせて配信が最適化されるようになりました。
これにより、従来は一律でクリック数(動画の場合は課金再生数)を最大化するように配信されていましたが、キャンペーン目的に沿ったアクション数(コンバージョン数など)を最大化するように配信することが可能となりました。
画像引用元:Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)スタートガイド 詳細資料
動画広告の課金方式変更
リニューアルに伴い、動画広告の課金方式にも変更がありました。これまで動画が10秒再生されたタイミングで課金されていましたが、キャンペーン目的によって課金タイミングが異なる仕様となり、キャンペーン目的をコンバージョンにした場合は、クリックされたタイミングでの課金となりました。
つまり動画が10秒以上再生されたとしても、クリックされなければ費用が発生しないことになります。これにより、先述の「動画広告タップ時の動作変更」とあわせて、コンバージョンを獲得するための動画広告配信を積極的に実施できるようになりました。
参考:【ディスプレイ広告】動画視聴課金方式のキャンペーン予算、入札価格に設定可能な金額範囲の変更|Yahoo! 広告
オーディエンスカテゴリーの実装
ターゲティングについても変更があり、インタレストカテゴリーが廃止され、代わりにオーディエンスカテゴリーが新たに実装されました。
特定のカテゴリーに興味・関心を持ったユーザーに対して配信できるターゲティング機能であるという点では変わりないものの、オーディエンスカテゴリーには2つの「カテゴリータイプ」があり、「興味関心」グループと「購買意向」グループに分かれます。
これにより、特定のカテゴリーに興味関心を示しているユーザーに幅広くアプローチする場合は興味関心、より商品・サービスの購入に近くコンバージョンにつながりやすいユーザーにアプローチする場合は購買意向というように使い分けが可能になりました。
興味関心 :特定の商品・サービスに興味関心を持っているユーザーに対して広告を配信。潜在層へのアプローチや認知向上にマッチしたカテゴリータイプ。Google広告におけるアフィニティに該当。
購買意向 :商品を検索したりカートに追加するなど購入を検討しているユーザーや旅行や結婚などのイベントを計画しているユーザーに広告を配信。顕在層へのアプローチにマッチしたカテゴリータイプ。Google広告におけるインテントに該当。
画像引用元:Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)スタートガイド 詳細資料
オーディエンスカテゴリーの追加(属性・ライフイベント)
2020年9月1日(※予定日のため変更の可能性あり)より、オーディエンスカテゴリーとして設定可能な項目に「属性・ライフイベント」が追加されます。
具体的には、家族構成や学歴、世帯年収といった性別・年齢以外の属性や、結婚や就職・転職、引越しといった頻度の少ないライフイベントを検討しているユーザー層へのアプローチが可能になります。カテゴリータイプの分割に続き、Google 広告で使用可能なターゲティングのカバー率が更に向上することになります。
なお、オーディエンスカテゴリーとして設定可能になるのは9月1日以降ですが、オーディエンスカテゴリーごとのレポートで実績値を確認することは8月3日から可能となっています。
参考:【ディスプレイ広告】ディスプレイ広告(運用型) オーディエンスカテゴリーターゲティング 機能追加のお知らせ|Yahoo! 広告
画像引用元:Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)スタートガイド 詳細資料
今一度 Yahoo!広告の運用状況の見直しを
以上、ご紹介してきたように、Yahoo!広告は大小のアップデートを多数進めており、今後も予定されているだけでもアップデートがいくつもあります。まずは機会損失のないよう、実装済みのアップデートをしっかり活用できているかを確認しましょう。
さらに、今後実装が確定されているアップデートに向けて準備を進めておき、より大きな恩恵を受けられるようにしておきましょう。