近年、縦型動画のプラットフォームが台頭し、それに伴って縦型動画広告の市場も急激に成長しています。そこで、縦型動画や縦型画像の広告配信を検討している方も多いのではないでしょうか。
縦型動画や縦型画像広告は、クリエイティブがフルスクリーンで表示されるという性質上、広告クリエイティブとほかの要素の重なりが発生しやすいです。場合によっては、広告で伝えたいテキストやイメージがほかの要素で隠れてしまい、きちんと見せられないこともあります。
そのため、縦型動画や縦型画像の広告では、見切れたり他要素で隠れたりしない領域、つまりセーフゾーンを意識したクリエイティブ作りが重要です。
この記事では、TikTok 広告と YouTube ショート広告、Meta 広告(Instagram ストーリーズ広告、Facebook リール広告)、LINE 広告、X(旧 Twitter)広告さらに Pinterest 広告など、各媒体の主要な縦型広告のセーフゾーンと、その仕様について解説します。縦型動画や縦型画像の広告の配信を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
Web 広告のクリエイティブにおける「セーフゾーン」とは、以下の画像の右側のように、広告が表示される際に、見切れたりテキストなどと重なったりせず、確実に表示される領域のことです。
Web 広告では、広告媒体の仕様によって、画像や動画が広告表示される際に端が見切れてしまう場合があります。また、SNS 広告では、アイコンやユーザー名、説明文などのプラットフォームの UI 要素が画像や動画の上に重なる形で表示されることで、画像や動画の一部が隠れてしまうことがよくあります。
このような見切れやほかの要素との重なりがなく、ユーザーにクリアに見せられる領域をセーフゾーンと言います。
セーフゾーンと同じ意味で「セーフティゾーン」や「セーフエリア」という言葉も使われます。また、「セーフゾーン」という言葉の定義は、「確実に表示される領域]だけではなく、「見切れや重なりが想定されるため空けておくべき領域」という意味で使われる場合もあります。
この記事では、セーフゾーンという言葉を「確実に表示される領域」という意味で使用します。
クリエイティブの見切れやほかの要素との重なりが起こると、重要なメッセージがユーザーに伝わらないことがあるかもしれません。それだけでなく、ユーザーに雑な印象や不信感を与え、ブランドイメージの低下につながる可能性もあります。
せっかくお金をかけて広告を配信しているのに、広告によって逆にイメージが悪くなるなんてことは避けたい事態です。広告クリエイティブを作成する前に、配信予定の媒体のセーフゾーンはしっかりと確認しておきましょう。
プラットフォームや広告フォーマットによってセーフゾーンは異なります。詳しくは以下で解説していきますが、基本的には画面中央エリアがセーフゾーンである場合が多いです。
縦型の広告枠は、広告クリエイティブが画面いっぱいに表示されるというメリットはあるものの、意図せずにほかの要素と重なってしまうと、縦型動画のメリットを存分に発揮できないと感じませんか?ここでは TikTok や YouTube など媒体別に縦型動画や縦型画像の主要な広告枠のセーフゾーンについて解説します。
セーフゾーンで成果を上げるために工夫できるポイントについて、各媒体の項目の中でまとめていますので活用してみてください。
また、縦型動画広告に関する情報は、こちらの記事も併せてご確認ください。
▼縦型動画広告に関する情報を詳しく解説
これだけで分かる縦型動画広告 これまでの動画広告との違いや成功事例、作成のコツも紹介|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング
この記事では、なぜ今、縦型動画広告が重要なのかをはじめ、成果に繋げるための具体的なクリエイティブ作成のポイントなどを具体的に解説します。
縦型動画と言えば、まず TikTok を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。TikTok とは、ByteDance 社が運営するショートムービー共有プラットフォームです。TikTok の縦型動画広告は、通常の動画コンテンツの間に挟まれる形で、フルスクリーンの縦型広告として配信されます。
TikTok 広告で使える縦型動画の仕様は以下の通りです。
項目 | 仕様 |
---|---|
アスペクト比 | 9:16 |
解像度 | 540×960ピクセル以上 |
長さ | 最長10分 |
ファイル形式 | MP4、MOV、MPEG、3GP、AVI |
ファイルサイズ | 500MB 以下 |
TikTok 広告のセーフゾーンは以下の図のように決められています。左の画像だと色がついていない白い領域がセーフゾーンです。
TikTok の視聴画面では赤色の部分にプロフィール情報や「いいね」「コメント」ボタンが、画面の下部にはキャプション(説明文)などが常に表示されています。TikTok 広告の動画では、特にこの部分に重要な要素が重ならないように注意しましょう。動画に字幕などを入れる際もセーフゾーンを意識して、画面の中央あたりに配置するのがおすすめです。
TikTok 広告のクリエイティブ編集画面では、広告を登録する際に、広告の表示イメージを確認できるようになっています。重要な要素がセーフゾーンに収まっているか確認したいときに便利ですので、ぜひ活用してください。
YouTube の縦型広告で代表的なのは、YouTube ショート広告です。YouTube ショートとは、YouTube が提供する最大60秒の短い縦型動画を投稿と閲覧ができる機能です。YouTube ショート広告は、通常のショート動画コンテンツの間に挟まれる形で、フルスクリーンの縦型広告として配信されます。
YouTube ショート広告で使える縦型動画の仕様は以下の通りです。
項目 | 仕様 |
---|---|
アスペクト比 | 9:16(2:3も許容される) |
解像度 | 1080×1920ピクセル(720 × 1,280px も許容される) |
長さ | 推奨は6秒〜60秒 |
ファイル形式 | 推奨はMPG(MPEG-2 または MPEG-4) |
ファイルサイズ | 256GB |
YouTube の公式ヘルプでは、YouTube ショートにフォーカスしたセーフゾーンは公開されていません。YouTube のすべての動画広告共通のセーフゾーンは以下の図のように決められています。
YouTube ショートの実際の広告枠を確認すると、画面の下部にアカウント名と説明文が、右側にリアクションアイコンが表示されます。YouTube ショートの広告動画では、特にこの部分に重要な要素が重ならないように注意するとよいでしょう。
Meta 広告の縦型広告で代表的なのは、Instagram のストーリーズ広告と Facebookのリール広告です。
ストーリーズとは、24時間限定で写真や動画を投稿できる機能です。フィード投稿とは異なり、スライドショー形式で表示され、投稿は24時間後に自動的に削除されます。
リールとは、最大90秒までの短い動画を投稿・共有できる機能です。YouTube ショートや TikTok と同じように、下にスライドすることで次の動画に移動します。
ストーリーズ広告とリール広告は、通常のコンテンツの間に挟まれる形で、フルスクリーンの縦型広告として配信されます。
ストーリーズ広告、リール広告で使える縦型動画の仕様は以下の通りです。
項目 | 仕様 |
---|---|
アスペクト比 | 9:16 |
解像度 | 1,440×2,560ピクセル |
長さ | ストーリーズは1秒から2分、リールは0秒から15分 |
ファイル形式 | MP4, MOV |
ファイルサイズ | 最大4GB |
ストーリーズ広告、リール広告のセーフゾーンは以下の図のように決められています。黄色いエリア以外がセーフゾーンです。
ストーリーズ広告とリール広告では、画面の上下にプロフィール情報や広告テキスト、CTA (コールトゥアクション)ボタンなどの UI 要素が重なって表示されます。上部から約14%、下部から約20%の領域にはテキストや重要な要素を配置しないように注意しましょう。
Meta 広告マネージャで広告を登録する際に、クリエイティブ編集画面で「セーフゾーンのガードレール」をオンに切り替えると、セーフゾーンの領域を確認できます。表示される黄色いエリア以外がセーフゾーンです。広告を登録する際は必ず確認しておきましょう。
LINE 広告では、LINE VOOM に縦型の動画広告を配信できます。LINE VOOM とは、LINE アプリ内のショート縦型動画を中心とした動画プラットフォームです。LINE VOOM の広告は、通常のコンテンツの間に挟まれる形で、フルスクリーンの縦型広告として配信されます。
LINE VOOM の広告で使える縦型動画の仕様は以下の通りです。
項目 | 仕様 |
---|---|
アスペクト比 | 9:16 |
解像度 | 最大1080×1920ピクセル、最小:135×240ピクセル |
長さ | 5秒から10分 |
ファイル形式 | MP4, MOV |
ファイルサイズ | 1GB 以内 |
LINE VOOM のセーフゾーンは以下の図のように決められています。青いエリアがセーフゾーンです。
LINE VOOM のセーフゾーンは、端末の大きさによって変動します。どの端末でもセーフゾーンに収まるように、できるだけセーフゾーンの中央部分に重要な要素を配置するのがおすすめです。
また、LINE VOOM の「フォロー中」のタブでは、ユーザーが動画をタップするまでは3:4の大きさで表示され、9:16の動画の上下は省略されます。上下が省略される場合もセーフゾーンの領域は表示されますが、もし上下が省略されることで意図しない見え方になってしまう場合は注意が必要です。
LINE 広告の広告登録画面でも、広告の表示イメージを確認できるようになっています。ただし、このプレビューでは画面上部の UI は表示されないので、動画の上部にテキストが配置されていないかなどは自身でしっかりと確認しましょう。
X(旧Twitter)では、バーティカルビデオ広告という縦型動画広告を配信できます。バーティカルビデオ広告は、主に X(旧Twitter)のビデオタブに配信され、通常のコンテンツの間に挟まれる形で表示されます。
X(旧Twitter) バーティカルビデオ広告で使える縦型動画の仕様は以下の通りです。
項目 | 仕様 |
---|---|
アスペクト比 | 9:16 |
解像度 | 最大1080 x 1920、最小720 x 1280 |
長さ | 15秒推奨、最大2分20秒 |
ファイル形式 | MP4, MOV |
ファイルサイズ | 1GB 以内 |
バーティカルビデオ広告のセーフゾーンは以下の図のように決められています。黄色い枠がセーフゾーンです。
バーティカルビデオ広告では、主に画面の下部にアカウント名やアイコン、説明文、CTA などの UI 要素が重なって表示されます。バーティカルビデオ広告は、上部には UI 要素がほとんどなく、下部に集中しているので、動画の下部に字幕などを置かないように注意しましょう。
Pinterest アドでも縦型の広告を配信できます。Pinterest とは、画像や動画をコレクションとして保存し、自分の好きなことやこれからやってみたいことのアイデアを発見や保存、整理できる SNS です。
Pinterest アドの縦型広告は、ホームフィードや検索タブでほかの投稿と同じ場所に表示されます。動画広告の場合は、投稿の拡大ボタンをタップすると動画がフルスクリーンで表示されます。
Pinterest アドの縦型広告で使える動画の仕様は以下の通りです。
項目 | 仕様 |
---|---|
アスペクト比 | 9:16 |
解像度 | 1080×1920ピクセル |
長さ | 4秒から15分(6秒から15秒を推奨) |
ファイル形式 | MP4, MOV |
ファイルサイズ | 最大2GB |
Pinterest アドのフィード表示時の UI 表示エリアは以下の通りです。
フルスクリーン表示時については、すべての縦型広告のセーフゾーンを網羅した公式資料はありませんでしたが、一部の広告タイプでは、以下のエリアを避けた領域がセーフゾーンと説明されています。このセーフゾーンを守っておけば問題なさそうです。
縦型広告枠のセーフゾーンは媒体ごとに少しずつ異なるので、同じクリエイティブを複数の媒体で配信するときは、各媒体のセーフゾーンを守れているか確認することが重要です。
どの媒体でも中央エリアはセーフゾーンになっているので、商品やモデル、キャッチコピーなど、広告の核となる要素は、画面中央の見やすい位置に配置することをおすすめします。
広告事業部 マネージャー
2015年4月に新卒として入社。2019年にマネージャーに昇格。広告運用の仕事をメインに、現在はサイト改善提案やブログ執筆にも力を入れている。数値をもとにしたサイト改善提案が得意。趣味は動画を見ること、ゲームをすること。
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