マーケティング

センスに頼らず良い広告作りをしよう!セグメント、ターゲット、ポジションを広告クリエイティブに活かす方法

マーケティングの仕事をしていると、セグメンテーションやターゲティング、あるいはペルソナやポジショニングという言葉に出会うことがあると思います。皆さんやその部下の方は、これらの言葉をきちんと理解し、使い分けることができているでしょうか。

機械学習による自動化や、広告の手法が多様になったことから、これらのマーケティングの基本となる概念の理解が必須の時代になってきています。

この記事では、なぜ今セグメント・ターゲットあるいはペルソナといったことが注目されているのか、なぜ今までは不要なケースも多かったのか、広告を作成するときにはどういった手順が必要なのかを解説をします。

セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングとは

まずはセグメンテーションとターゲティング、ポジショニングと、よく一緒に話されることの多いペルソナの言葉の定義を確認します。

商品やサービスを売るための対象を定めるといった意味では、似ている言葉かもしれませんが、混同して使ってしまうと自社がおこなう施策にズレが生じてしまうので注意が必要です。具体例を交えて解説するので、1つ1つ理解していきましょう。

セグメンテーション 

ラテン語の「SECO (分割する)」が語源のセグメンテーションは、直訳すると「分割」や「分裂」を意味します。また、分割された1つ1つをセグメントと呼びます。

マーケティング分野では、市場(マーケット)にいるさまざまな顧客および見込み顧客に対して、任意の切り口で分類してセグメント(グループ)を作ることをセグメンテーションと言います。

市場からセグメントを分け、ターゲットを決める

任意の切り口というのは、代表的には人の属性があります。属性は人口統計学的データが用いられるので、年齢や性別、住んでいる地域、職業などが挙げられます。さらには趣味嗜好や経験、知識、行動習慣などもあります。

年代東京都在住神奈川県在住埼玉県在住
10代 女性セグメント1セグメント4セグメント7
20代 女性セグメント2セグメント5セグメント8
30代 女性セグメント3セグメント6セグメント9
年代と居住地によるセグメント分け

例えば、コロナ禍に大人気となった鬼滅の刃は、少年マンガからアニメ化、映画化されて市場がとても大きくなり、数多くのセグメントを取り、マーケティング施策を進めています。

映画の興行収入が歴代1位となるということは、あらゆる世代、地域の人々に受け入れられなければできないことだからですね。

参考:「鬼滅の刃」は全ての年代でランキング上位に!全国50万人に聞いてみた!「アニメに関する調査」|株式会社モニタスのプレスリリース 

少年誌を読む10代から20代男子が最もコアなセグメントといえるでしょう。それだけでなく、美少年や可愛い女性キャラに興味を示す20代女性もセグメントとして考えられます。

それが影響し、彼ら彼女らの母親・父親世代(=40代以上)が徐々に巻き込まれます。下記のデータは、「鬼滅の刃」注目度の月次推移と年代構成を表したものです。40代が意外にもボリュームゾーンのターゲット層であることがわかります。

画像引用元:大ヒットの鍵は40代?! データで見る鬼滅・あつ森・スノスト人気|ヤフー株式会社 Corporate Blog

それよりも上の世代である50代以上のシニア層も、大正ロマンが刺さり見込み客として考えることもできます。

反対に内容をよく理解していない小学生以下の世代には、禰豆子(ねずこ)や胡蝶しのぶなどが人気となり、結果として全世代がセグメンテーションとしてできあがり、市場を形成しました。

ターゲティング

ターゲティングとは、セグメンテーションを前提として複数あるセグメントのうち、予算を使ってマーケティングをおこなう際に、どこのセグメントに絞るのかを明確に決めることです。

セグメンテーションされたセグメントは、通常何十個もでき、すべてのセグメントに広告予算を投下できないためターゲティングが必要になります。

年代東京都在住神奈川県在住埼玉県在住
10代 女性セグメント1セグメント4セグメント7
20代 女性セグメント2セグメント5セグメント8
30代 女性セグメント3セグメント6セグメント9
年代と居住地によるセグメント分けしたものの中から「セグメント2」をターゲティング

仮に鬼滅の刃とのコラボ商品としてかわいいお菓子を作るとしたら、全セグメントに売れるかもしれません。しかし、まずは1番のコアターゲットになりそうな、10歳前後のお子さんとその母親に絞って広告のイメージやメッセージをつくろうと考えます。

そこにシニアにも刺さるように大正ロマンを強く打ち出そうとすると、メッセージが複雑になって誰にも刺さらないクリエイティブができてしまったり、別のクリエイティブを作ると予算も増えてしまったりします。マーケティング予算は限りがあるので、セグメントを絞る必要があるのです。

セグメンテーションはさまざまな顧客をある切り口で分割することターゲティングはたくさんあるセグメント(グループ)の中で、限りある予算を有効に使うために特定のセグメントを選択することと覚えておくと良いでしょう。

ペルソナ

ラテン語の「persona(仮面)」が語源のペルソナは、直訳すると「表面的な人格」を意味します。

マーケティング分野でのペルソナは、商品やサービスを利用する顧客の仮想人物を具体的に1人設定する意味で使われます。セグメントやターゲティングに似たものがありますが、違いははっきりしています。

セグメント分けやターゲティングでは「20代女性」といったグルーピング条件に合致する人たち全体を指すのに対して、ペルソナは「25歳の女性、丸の内の金融機関に勤務する A 子さん。流行りには敏感で、週末は必ずお出かけし、行ったスポットを Instagram のストーリーズに投稿するのがお決まり。」などの「たった1人の具体的な人物像」を想定します。

ペルソナを作るときは、人物像を具体的にし、イメージ写真やイラストを描いて、より具体的に作成することが多いです。

広告作成をする場合、このペルソナは主にビジュアル(画像や動画)作成の一環として、マーケターやクリエイティブディレクターが、デザイナーやクリエイターに作成依頼をする際に使われることがあります。広告以外では、新規事業や新商品を開発する場合などでも使用されます。

ポジショニング

セグメントとターゲティングの話とよく一緒に出てくる言葉として、ポジショニングがあります。これはフィリップ・コトラーが提唱するマーケティングにおけるフレームワークである STP 戦略(Segmentation Targeting Positioning 戦略)がもとになっています。

STP 戦略とはセグメンテーションで市場を分析し、セグメントから顧客層であるターゲットを決め、競合と自社の位置づけを把握し、優位なポジションをとる戦略です。そのためマーケティング分野では、ポジショニングは市場での位置取りを意味します。

縦軸と横軸で4象限のポジショニングマップを用いて説明されることが多く、マップを用いることで自社といくつかある競合を比較した時に何が秀でているかを視覚的に把握することができます。

マップで整理し、競合他社にはない特徴が際立っているのなら、それを広告文やキャッチコピーに反映させていきます。

セグメンテーションやターゲティングが、再び重要視されるようになった理由

セグメンテーションやターゲティングが、再び重要視されるようになったのは以下の4つの理由があります。

  1. 画像や動画を使った広告枠の増加
  2. 広告を見る人の姿勢の変化
  3. Web マーケティングが検索以外の領域に広がっている
  4. PDCA を回す至上主義

1.画像や動画が必要な広告枠の増加

いまだ Web 広告の中では検索広告(リスティング広告)は、最も広告予算が投下されている主役の広告手法であり、セグメンテーションやターゲティングという概念がなくても成立するものでした。

しかし、近年のディスプレイ広告枠の増加、SNS 広告、動画広告の市場も拡大しており、これらは画像や動画というテキストのみで成立していた検索広告とはまったく別のイメージ訴求が必要なものです。

画像引用元:「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」|電通

取引手法別×広告種別では、運用型の検索連動型広告が全体の38.6%と最も構成比が大きく、次いで運用型のディスプレイ広告が25.7%と続いた。また運用型の「ビデオ(動画)広告」が前年比127.2%と大きく伸長し、インターネット広告媒体費全体における構成比は18.3%となった。「ディスプレイ広告」の予約型は前年比80.1%と減少した一方で、運用型は同112.1%で伸長した。

引用元:「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」|電通

検索広告に比べ、ディスプレイ広告などは、テキストでメッセージを伝えること以外に、画像や動画でイメージを訴求しなければなりません。そのため、より分かりやすく伝えるためにもセグメンテーションとターゲティングという考え方が重要になってきます。

テキストのみの広告であれば、色やデザインという概念は基本的にありません。しかし画像や動画使った広告は、色使いや雰囲気、躍動感のあるものか落ち着いているものかなどを盛り込まざるを得ないからです。

シニア層を狙っているのにポップすぎたり派手な色使いでは反応が取りにくく、逆に若年層セグメントに対して地味すぎるデザインでは敬遠されてしまうでしょう。

ゆえに、「誰に対して何を届けるのか」を定義するセグメンテーション、ターゲティングが必須になるわけです。

2.広告を見る人の姿勢の変化=インターネットのマス化

昨今の Web マーケティングの重要なテーマの1つとして、インターネットのマス化があります。

テレビ CM をインターネット広告が抜き、マスメディアの主役がテレビや新聞から、完全にインターネットに移行しつつあることを指します。この影響が1番大きく現れているのが、さまざまな規制です。

薬機法や景表法といった法律面の順守が厳しく問われるだけでなく、媒体としてもコンプレックスを煽る広告の禁止など、モラルに配慮した広告が急激に強く求められるようになっています。

テレビ CM にはとても強い審査基準がありますが、インターネットがマス化した以上、同等以上の厳しさが求められるのは当然です。

Web 広告に触れる機会がより多くなり、さまざまな人が広告の評価者になり、今まで以上に法規的にも倫理的にもクリーンな広告が求められるようになっています。

これらの背景から、企業が広告を出す姿勢は、さまざまな方面から厳しい視線を受けるようになっています。

「PDCA をとにかく高速で回し、広告への反応率が良ければどんな広告でも良い」という考え方では、ユーザーから支持を受けにくい時代になりつつあります。

数をとにかくたくさん作るという方針であれば、媒体規制に触れたり、モラルに反したり、企業イメージに合わないものが意図なくとも作成されてしまうかもしれません。

もっといえばクリエイティブに一貫性のない、いい加減な企業と認知されてしまうリスクもあります。

これはセグメンテーションとターゲティングをしっかり設計し、そのバリエーションをいくつか追加するだけで、数十、数百のパターンはいくらでも作ることができます。時代のニーズに合わないクリエイティブが作られてしまうリスクを大きく減らすことが可能になります。

3.Web マーケティングが検索以外の領域に広がっている

2000年代の Web マーケティングというのは、検索広告および SEO が主体でした。そして2020年代になり SNS が大きく台頭した今でも、検索広告(リスティング広告)は、インターネット広告の中で最も大きな市場規模を誇っています。

つまり、今までの Web マーケティングの主体は Google、Yahoo! の検索エンジンマーケティングに他なりませんでした。

検索エンジンマーケティングは、あるキーワードを検索した人のニーズに対して、検索結果で広告かオーガニック領域(SEO)でニーズに答える広告文やランディングページを用意することが最も重要でした。

例えば「引っ越し 単身」というキーワードに対して、「単身者向けの引っ越しメニューがあり、それがどれだけ競合に比べて優位で、申込に対する不安や不満を解消できるか」というメッセージを広告文やランディングページで表現できるかが全てといっても過言ではありませんでした。

「引っ越し」でいえば、検索キーワードの候補としては「引っ越し <地域名>」「引っ越し 比較」「引っ越し 単身」などがあります。

検索キーワードからユーザーの状況を考えると、既にニーズは明確になっているのが分かると思います。

例えば「引っ越し 単身」で検索する人は、1人なので荷物が少ないため、一般的な人よりも安く引っ越したいと思っている可能性が高いでしょう。

そんな時に単身者や趣味嗜好などでセグメント分けやターゲティングをし、クリエイティブを考えたりするよりも、既にある程度反応率が良いキーワード(引っ越し 単身)で、考えられる悩みや不安を広告やコンテンツに反映させて最適化していった方が手っ取り早く済みます。

つまり「セグメントやターゲティング」はキーワードを検索している時点で自動的に決まっていたので、一から考えることがそもそも不要だったのです。しかし今では、検索以外の領域までをも考えなければ Web マーケティングで成果を残すことは出来ません。ユーザーの意図を的確に汲み取り、それぞれにあった方法を取らなければいけないのです。

4.PDCA を回す至上主義

今現在でも Web マーケティング業界は、インターネット広告を中心に「とにかくすぐに試して、検証してやり直す」という PDCA を高速で回すことが良いものとして扱われることがあります。

例えば Facebook 広告は一定の時間が過ぎると、広告の入れ替えをしないと露出自体も減ってしまうアルゴリズムから、とにかくいろんなバリエーションの画像とテキスト文をたくさん入れ替える、ということが常態化してきました。

簡単にいうと「反応率が良いものであればクリエイティブはなんでも良い」という考え方です。大外れなセグメントやターゲティングでなく、大雑把に決め言語化されていない状態でクリエイティブが量産されてきました。

ただし「量とスピード」を最重視したやり方は必ずしも悪手ではなく、机上の論理を構築する時間があったら、思い付きでもいいからどんどん試した方が成果が上がりやすい側面は今でも確かにあります。

一方で、「成果が出なくても仕事をやっている気になってしまう」や「仮説検証が失敗したクリエイティブはすべて成果に対してマイナス影響」という明らかなデメリットもあります。

セグメント、ターゲット、ポジションを広告クリエイティブに活かす方法

ここからは実際に私の Facebook のタイムラインに出てきたイベントの広告を例に解説します。今回の取り上げるイベントは、東京ドームシティで開催していた「NATURE AQUARIUM EXHIBITION 2021 TOKYO」です。

ネイチャーアクアリウムは、水槽の中に水草や魚、掃除をしてくれるエビなどをバランスよく配置し、小さな生態系を作るものです。水槽それぞれで世界観があり、一つ一つに別の顔があります。

広告を見て興味を持ち、イベントに参加しましたが、緻密かつ幻想的な水槽が芸術的に展示されていて、人が創造する小宇宙世界にとても感動しました。

画像引用元:NATURE AQUARIUM EXHIBITION 2021 TOKYO|TOKYO DOME CITY

ここからは、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング、ペルソナをイベント内容と広告の両面から分析し、解説していきます。

セグメンテーション

今回取り上げるネイチャーアクアリウムでは、年代(学生や30代、40代)、性別、趣味嗜好(熱帯魚好き、写真好き)で分類し、セグメンテーションを切ってみました。

以下のように12象限のセグメント(グループ)ができます。セグメントをいくつ作るかは決まりがなく、ざっくり分けた場合でも通常10個以上のセグメントができるのが普通です。

年代、性別熱帯魚好き写真好き
学生、男性セグメント1セグメント2
学生、女性セグメント3セグメント4
30代、男性セグメント5セグメント6
30代、女性セグメント7セグメント8
40代、男性セグメント9セグメント10
40代、女性セグメント11セグメント12

さらに横軸に利用シーン(カップル/夫婦)や60代以上のシニアを追加したり、縦軸に生態系を小さな箱の中に作るという概念から、ジオラマ好きを追加することもできます。以下はジオラマ好きを追加し、18個のセグメント分けしたものです。

年代、性別熱帯魚好き写真好きジオラマ好き
学生、男性セグメント1セグメント2セグメント3
学生、女性セグメント4セグメント5セグメント6
30代、男性セグメント7セグメント8セグメント9
30代、女性セグメント10セグメント11セグメント12
40代、男性セグメント13セグメント14セグメント15
40代、女性セグメント16セグメント17セグメント18

ターゲティング

セグメントは大きく分けても10個以上存しますが、広告や PR にかける予算は決まっているので、それぞれのセグメントに向けた広告クリエイティブを全て作成することはできません。

そのため、どこのセグメントに絞って広告を展開するのかを決める「ターゲティング」をしていくのが通常のマーケティングの流れです。

以下のキャプチャは、実際に私の Facebook のタイムラインに出てきたネイチャーアクアリウムの広告と「この広告が表示される理由」を調べてみたものです。

左:Facebook広告、右:広告が表示される理由
  • Gallarey AaMo(ギャラリーアーモ)は、30歳~49歳の男性にリーチしようとしています。
  • Gallarey AaMo(ギャラリーアーモ)は、主な所在地がTokyo中央区の人にリーチしようとしています。

上記の理由でターゲティングされ、配信された広告ですが、属性が合致しています。さらに趣味嗜好でいうと、使われている素材に「生態系を持つ緻密で美しい水槽の中の熱帯魚」と「明らかに中年以上の男性」が映り、これもまた私に向けた広告だということが明確です。

このことから、上記のセグメント例でいうなら、「熱帯魚好き」であり、「40代以上の男性」のセグメント9をターゲティングして広告配信をしていると考えられます。

年代、性別熱帯魚好き写真好き
学生、男性セグメント1セグメント2
学生、女性セグメント3セグメント4
30代、男性セグメント5セグメント6
30代、女性セグメント7セグメント8
40代、男性セグメント9セグメント10
40代、女性セグメント11セグメント12
「熱帯魚好き」であり、「40代以上の男性」のセグメント9をターゲティング

もしもターゲティングが写真好きなら、広告で使う素材はカメラや写真にフォーカスした画像になるでしょう。学生や20代なら、モデルの男性はもっと若く、全体の色調はもっと明るいものになるでしょう。

ターゲティングでここまで絞って良いのかと思うかもしれません。しかし絞らなければ、「どのような人に向けたイベントなのか」を理解してもらうことが難しくなり、誰にも刺さらない広告が出来上がってしまいます。

絞っても結果として、上記のセグメント以外のお客さんも来るものなのです。実際の来場者には、私のような40代以上の男性や、その他にも大学生のカップルや20代 OL の3人組もいました。

大事なのは、誰に来てほしいかが分かる広告クリエイティブを作ることです。

その意味でネイチャーアクアリウムの広告クリエイティブは、ターゲティングをしっかり絞り、40代以上の中年男性が好みそうなこだわりの重厚感、緻密さや孤独な哲学のようなものまで訴求しているので、誰に向けた広告かが明確になっていて中途半端さがありません。

ペルソナ

セグメントを分け、ターゲットを決めてから、広告で使うバナーの作成やポスターの作成などをおこない宣伝していきます。その際に今回のターゲットの1つである「40代以上」「男性」「中央区在住」がイベントに来てくれるようなクリエイティブを作らなければいけません。

文字だけで伝えるのは難しいので、もっと具体的な人物像(ペルソナ)を作ります。もちろんペルソナがなかったとしても制作することはできますが、より具体的にイメージを共有する目的でも設定したほうが良いでしょう。

デザイナーさんに広告クリエイティブを作成してもらうときに、文字言語だけだとうまくマーケターのイメージが伝わらない可能性があります。

セグメント、ターゲティングで決めた「熱帯魚好き」「40代以上」「男性」だけでは、個人の解釈によってイメージはばらばらになってしまいます。

そのため、ネイチャーアクアリウムが東京ドームでおこなわれることから、「45歳の男性 B 氏。中央区のマンションに家族と住む公務員。自分の書斎があり重厚なムードを好む。熱帯魚を飼っていて写真にも少しこだわりあり」といった架空の人物を想定します。

このペルソナをもとにして、デザイナーさんにはクリエイティブ作成をしてもらいます。ペルソナの設定でターゲットが具体的になり、使う素材や色味なども分かりやすくなるわけです。

ポジショニング

最後にポジショニングですが、ネイチャーアクアリウムの場合は、下記分布になるのではないかと考えられます。

縦軸が「こだわりー万人受け」、横軸が「小型施設ー大型施設」です。ネイチャーアクアリウムは、家族連れでわいわいと来るような万人受けするものではありません。

こだわりのある趣味人が静かに鑑賞するものなので「こだわり」と定義し、さらに施設の規模も小型なので、左上にポジショニングされます。

正反対のポジションとしてはゴッホやルノワールのような絵画展や恐竜科学博でしょうか。話題の名画を国立西洋美術館で見たり、パシフィコ横浜で開催されるような恐竜科学博のようなイメージです。

ポジショニングマップでの横軸と縦軸は差別化が必要になるため、他の絵画展や恐竜科学博と比べた時に競合優位性を見いだせるもので考えます。

今回の例で挙げているネイチャーアクアリウムは、家族連れが多く来場し、騒がしいのが苦手な人にとって魅力的なイベントですからね。

このようにして、ネイチャーアクアリウムは、セグメンテーションからターゲティングの決定、ポジショニングを分けて広告を考えていたのではないか思います。

日々のクリエイティブ作成こそ意識すべき

ここまで説明した広告クリエイティブの作成ですが、画像や動画を作成するデザイナーを含むクリエイターは、マーケターやクリエイティブディレクターから制作を依頼されたときに、セグメンテーションやターゲティング、あるいはペルソナを指定されなくても制作をすることができます。

例えば広告バナーであれば、「ランディングページを見て、数案作ってほしい」や「既存の画像にこのメッセージに変更したバージョンも作ってほしい」のような依頼があります。

しかし、クリエイティブは基本的には「誰に、何を、どのような形で届けるか」という視点がなく作られることはないので、デザイナーやクリエイターは、自ら頭の中で「誰に、何を」というイメージ作りを必ず脳内でおこないます。

デザイナーを含むクリエイターが定めるセグメンテーションやターゲット、ペルソナが間違っているわけではないですが、そもそも商品やサービスを売りたいと思っているマーケターが牽引して定めてクリエイティブ作成をおこなうべきでしょう。

しっかり設計することでプロジェクトにかかわるメンバーの共有意識を持つことができ、一貫性のあるクリエイティブを効率的に多く作ることが可能になります。日々のクリエイティブ作成こそ、意識していきたいですよね。

新規事業・提案での活用を!

新規事業や提案時に、広告代理店がお客様(広告主)に向けてセグメンテーションやターゲティング、ペルソナ、ポジショニングの整理をおこなうのが一般的な使われ方でしょう。

新規事業の場合、セグメンテーションとターゲティング、ポジショニングの3つを使っておこなう STP 戦略は必須です。

例えば、SaaS 事業を立ち上げようと考えた場合、最終的には幅広い層に使ってもらうことを計画するとしても、予算は限られているので、立ち上げ時には必ずセグメントを絞る必要があります。

類似サービスがない市場はほとんど存在しないので、ポジショニングマップを使ってどのような差別化を図るか、訴求ポイントを何にするかを決めていくことが重要になります。

またペルソナまで細かく作成する場合は、新規提案の中でもおそらく半年で10億円以上の広告予算を使うようなときでしょう。インターネット広告だけでなくテレビ CM や交通広告なども幅広く使い、関係者が増加することもあるため、より具体的な人物像(=ペルソナ)が必要になってくるわけです。

セグメンテーション、ターゲティング、ペルソナ、ポジショニングという言葉の概念を理解し、ぜひ新規提案や新規事業の企画を成功に結び付けてみてください。

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この記事を書いた人

滝井 秀典

滝井 秀典

代表取締役/広告事業部長

2003年、Googleアドワーズが日本でサービスを開始した直後より、検索キーワード広告とランディングページの実践・研究を行い、その成功理論を書籍『1億稼ぐ検索キーワードの見つけ方』で発表、5万部以上のベストセラーとなる。 キーワードマーケティングでは、設立時から延べ千社以上のアカウントを診断およびコンサルティングしており、現在は上場会社や成長率の高いベンチャー企業に対する広告運用代理事業を拡大している。

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