Meta 広告で思うような成果が出ない、CPA が高止まりしている、何から改善すればいいかわからない。そんな悩みはありませんか? Meta 広告の成果は、クリエイティブの良し悪しに大きく左右されます。しかし、ただ闇雲にたくさんのクリエイティブを作るだけでは、成果を最大化することは難しいのが現状です。
今回は Meta 広告で CPA を半分以下に抑え、コンバージョン数を伸ばすための戦略的なクリエイティブ作成と検証方法を徹底解説します。
記事の後半では、参加者から寄せられた質問とその回答も紹介しています。あわせてご覧いただくことで、勝ちクリエイティブのヒントを見つける参考になるはずです。
※本記事は、2024年9月26日に開催したセミナー「Meta広告でCPA半分以下に抑える戦略的クリエイティブ検証とは」の内容を、読みやすく文章化したものです。
目次
まず、Meta 広告の成果を左右する要素を整理しておきましょう。Meta 広告は Facebook や Instagram を中心に広告を配信できる媒体で、最大の特徴は機械学習が非常に強いことです。だからこそ、この機械学習をどれだけ上手く活用できるかが、成果を出す鍵になってきます。
そんな Meta 広告の成果を左右する大きな要素は、主に以下の4つです。
なかでも日々の運用は細かい設定の見直しや、適切な編集頻度など、地道なチューニングも成果を安定させるためには大切です。さらに Meta 広告で成果を出す上でクリエイティブは重要で、Meta 広告ではクリエイティブを変えるだけで成果が大きく変わることが珍しくないからです。
実際に、キーワードマーケティングで取り組んだ事例をご紹介します。
ある商材で、4つの広告クリエイティブを配信していた際の CPA は約18,000円でした。そこに新たなクリエイティブを1つ追加したところ、翌月にはコンバージョン数が約100件増加し、CPA はおよそ6,000円まで改善しました。結果として、CPA が従来の約3分の1まで下がるという、大きな成果につながりました。
クリエティブ | CV | CPA |
---|---|---|
追加前 | 36 | ¥180,056 |
追加後 | 118 | ¥6,314 |
もちろん、ここまで劇的な改善は稀ではありますが、CPA が25%削減されたり、半分程度まで下がるといったケースは、比較的よく見られる事例です。
そのため、「勝ちクリエイティブ」を見つけられるかどうかは、Meta 広告の運用において非常に重要なポイントの一つと言えます。
クリエイティブは Meta 広告の成果を左右する重要な要素ですが、運用担当者の方であれば、次のような悩みに一度は直面したことがあるのではないでしょうか。
このような悩みを解消するために、ここからは「効果的なクリエイティブの作り方」と「正しい評価と検証方法」の2つの視点から解説していきます。
効果的なクリエイティブを作るには、いきなり作り始めるのではなく、しっかりとしたステップを踏むことが重要です。まずは、キーワードマーケティングでの「バナークリエイティブの作り方」からご紹介します。
流れとしてはこの4つのステップです。1つずつ確認しながらクリエイティブを作っていきましょう。
まず最初に、市場にいる様々なお客様を、属性や状態によって細かく分ける「セグメンテーション」をしましょう。そして、その分けたセグメントの中から、「今回はこの人たちに広告を届けよう」と「ターゲティング」していきましょう。
例えば、性別や年代といった属性、あるいは車を持っているかいないか、子供がいるかいないか、現在の状態でユーザーを分割します。そして、「この広告は女性の20代で、車を持っていないユーザーに届けよう」といった形で、誰に届けたい広告なのかを明確に決めます。
例えば、ハンバーガー屋さんの例で考えてみましょう。市場としては、「昼食にハンバーガーを食べたい」という考えているユーザーが存在します。これをセグメントに分ける場合、性別や年代、職業、注文方法(来店やテイクアウト、Uber Eats など)といった切り口が考えられます。
そして、今回のターゲットを「男性の30代で、職業はビジネスパーソン、注文方法は Uber Eats」と設定したとします。そのうえで次に「このターゲットに響くクリエイティブはどのようなものかを考えながら検討していきます。誰に届けたいかを意識して設計することで、広告の訴求力はより高まります。
次に、ステップ1で決めたターゲットがどんな「ニーズ」、つまり不安や不満、期待を持っているのかを深掘りします。
例えば、ターゲットが「30代男性、在宅勤務中、Uber Eats アプリ利用」といった属性である場合、彼ら抱えていそうなニーズには、どのようなものがあるでしょうか?想定される例としては、以下のようなものが挙げられます。
このようにターゲットのニーズを洗い出して、今回の広告で特に訴求したいニーズを決めましょう。
ステップ2で定義したニーズを、今度は広告の「メッセージ」に落とし込んでいきます。
例えば、「夏っぽい辛いものが食べたい」というニーズに訴求すると決めた場合、どんなメッセージが考えられるでしょうか?
このようにターゲットのニーズに合わせて複数のメッセージ案を洗い出し、ユーザー心理に響く表現へと変換していく作業をおこないます。
最後のステップは、ステップ3で考えたメッセージを、いよいよ実際のクリエイティブに落とし込んで作成する、という段階です。
今回の例では、画像は共通として、テキスト部分でメッセージを変えたクリエイティブを作成しています。このように、洗い出したメッセージをクリエイティブとして形にし、どのメッセージがユーザーの反応を最も引き出すか検証していくという流れです。
ただし、先ほどのような特定のニーズに尖ったメッセージだけでなく、誰にでも刺さりやすい汎用的なメッセージのクリエイティブも一緒に配信するのがおすすめです。
例えば、「半額クーポン配信中!」のようなシンプルなプロモーション訴求や、商品名をストレートに伝えるような訴求が該当します。複数の切り口でクリエイティブを用意することで、より多くのユーザーにリーチしやすくなります。
これがキーワードマーケティングのバナークリエイティブ作成の基本的な4ステップです。市場のセグメンテーションから始めてターゲットを決め、そのターゲットのニーズを深掘りし、ニーズを響くメッセージに変換し、最後にそれをクリエイティブに落とし込むという流れです。
クリエイティブを作成したら、次はそれが本当に「勝ちクリエイティブ」なのかどうかを正しく評価や検証しましょう。「勝ちクリエイティブ」というのは、一時的に成果が良いだけでなく、目標 CPA を継続的に達成しながら、安定してコンバージョンを獲得できるクリエイティブのことです。
こうした勝ちクリエイティブを見つけるためには、作成したクリエイティブを配信して、その結果を正しく評価や検証する。そして、その結果をもとにまた新しいクリエイティブを作って試す…という PDCA を回していくことが、成果を出すための王道の進め方といえるでしょう。
検証の際には色々なパターンのクリエイティブを同時に配信してみて、「B が一番コンバージョン率が良いみたいだ!」とか「C がクリック単価が低いな」などの結果を確認するケースは多いかと思います。
しかし、この方法では、「なぜ B が良かったのか?」「なぜ C はクリック単価が低かったのか?」といった理由が分からないままになりがちです。
そのため、正しい評価と検証を進めるには、この4つのステップがおすすめです。
特に重要なのが「テストをする目的と要素を明確にする」ことなので、今回はコチラに焦点を当てて解説していきます。
そもそも、「何のためにテストをするのか」と目的をはっきりさせることが大切です。目的設定の動機は、大きく2つあります。
「この商材は、価格と納期のどちらを訴求した方がユーザーに刺さるんだろう?」とか、「商品の写真と使用シーンの写真、どっちが良いかな?」のように、ユーザーが何に反応するのか、どんな訴求が響くのかを考えてみましょう。
「クリック率を上げたいな」「コンバージョン率を上げたいな」「CPA をもっと下げたいな」のように、特定の数値を改善したいという目的。
テストの結果、自分は何が分かれば良いのか、何が改善されれば成功なのかを最初に決めておくと、効果的な検証に繋がります。
そして、テストの際は、複数の要素を同時に変えてテストするのは避けることが基本です。
例えば、「画像は共通でテキストのみ変えたパターンを試す」あるいは「テキストは同じにして、画像内のメインメッセージだけを変更する」といった方法が挙げられます。
要素を1つに絞ることで、「テキストを変えた結果、クリック率が向上した」というように、成果につながった要因が把握しやすくなります。さらにその要因を深掘りし、「なぜユーザーに響いたのか」を考察することで、次回のクリエイティブ制作に効果的に活かせます。
テストできるクリエイティブの要素は、3つあります。
異なるターゲット層に対して同じクリエイティブを配信、あるいはターゲットごとに最適化したクリエイティブを配信して、どのターゲットがより効果的かを検証するテストです。
検証する際には性別ごとに広告を分け、男性向けと女性向けで訴求内容を変えて反応の違いを確認する方法がおすすめです。
ターゲットが抱える様々なニーズに対し、どの訴求が響くかを検証するテストです。
先ほどのハンバーガーの例のように、「野菜不足を解消したい」「がっつり食べたい」「辛いものが食べたい」といったニーズごとに異なる広告クリエイティブを用意し、それぞれの反応を比較するアプローチが挙げられます。
画像やイラスト、テキスト、CTA ボタンの色など、クリエイティブの見た目や表現方法を変えて比較するテストです。これは比較的細かな要素に着目した検証です。
ほぼ同じ構図の画像で一部だけ異なるバージョンを用意、あるいはテキストの言い回しを変えて比較します。
これらのテストは、セグメント分けやニーズの見直しなど大きな要素のテスト「大枠のテスト」、テキストやイラストなど細かな要素のテストを「細部のテスト」と位置づけて難易度を考えてみましょう。
大枠のテストで成果が出ると、全体に与えるインパクトも大きくなります。一方で、細かな要素のテストのみによって劇的な改善を生み出すのは、相対的に難易度が高くなります。
テストをする際は「何をテストするのか(要素)」と「何を目指すのか(目的)」をきちんと整理することが大切です。何をテストし、その結果として何を明らかにしたいのかを、事前に明確にしておくことが、効果的な検証につながります。
テスト結果をしっかり振り返り、次のアクションに繋げるために、以下のようなシートを作って整理するのもおすすめです。
たとえば、クリエイティブ A、B、C、D を用意した場合、それぞれの「狙い」や「意図」をあらかじめ記録しておくと検証がしやすくなります。
「このクリエイティブは価格訴求を目的としている」「こちらは工数削減をアピールしている」といったように、制作時の意図を明文化しておくことで、結果の分析に活かしやすくなります。
クリエイティブの評価と検証を進める上で、いくつか注意しておきたいポイントがあります。特に重要なのは、クリエイティブの「数」と「追加や編集のタイミング」です。
Meta 広告は、1つの広告セットあたりクリエイティブは2件の登録が推奨されていますが、実際には検証を重ねて最適な構成を見つけることが重要です。検証を重ねたところ1広告セットあたりおよそ6件前後のクリエイティブを設定した際に、最も成果が出やすい傾向がありました。
これは、クリエイティブの数が多すぎると配信データが分散し、1件あたりの学習量が不足して機械学習がうまく働かなくなるためです。その結果、パフォーマンス評価が難しくなり、最適化が進みにくくなります。
一方で、クリエイティブの登録数が2件のみなど極端に少ない場合は、十分なバリエーションが確保できず、ユーザーごとの最適化に必要な柔軟性が失われてしまうため、クリエイティブの数は「多すぎず少なすぎず」を心がけましょう。
なお、最適な件数はアカウントの予算規模によっても変わります。予算が大きくデータが集まりやすい場合は6件以上でも問題ありませんが、予算が限られている場合は、件数を絞った方が効果的なケースもあります。
もう一つ注意したいポイントが、新しいクリエイティブを追加したり、既存のクリエイティブを編集したりするタイミングです。Meta 広告は機械学習が強い一方で、変化に敏感な媒体でもあります。少し変更を加えただけで、いきなり成果が悪化してしまうこともあるため、運用時には慎重な判断が求められます。
成果が安定しているときはあえて触らずに慎重に、改善の余地があるときは積極的にテストを実施するというスタンスで対応するのが効果的です。
ここからは、実際のクリエイティブ検証事例をいくつかご紹介します。
これは、ウェビナーの申し込みをコンバージョンポイントとした事例です。3種類のクリエイティブでテストをおこなったところ、文字数が少なく、登壇者の画像が大きいシンプルなクリエイティブが、最も CPA を低く抑えて獲得できました。
画像 | ![]() | ![]() | ![]() |
CV 数 | 432 | 53 | 33 |
CPA | ¥5,275 | ¥9,504 | ¥9,699 |
CTR | 0.32% | 0.29% | 0.36% |
こちらは、はじめて広告代理店に運用をお願いする人向けで資料請求をコンバージョンポイントとした事例です。2種類のクリエイティブでテストしました。
左のクリエイティブはシンプルな構成でしたが、右のように文字情報を多く含んだクリエイティブの方が成果につながりました。CPA は約8,300円と良好な結果でした。
画像 | ![]() | ![]() |
CV 数 | 11 | 20 |
CPA | ¥15,296 | ¥8,358 |
CTR | 0.70% | 0.65% |
この事例から商材やサービスの理解度がまだ高くない場合は、クリエイティブに情報量を増やすことがおすすめです。また事例1の事例とは違った見た目のクリエイティブで配信したため、商材の特性などによって最適なクリエイティブが異なることもお分かりいただけるかと思います。
最後に、キーワードマーケティングの自社セミナー集客の事例で、サブテキストの検証をした結果を紹介します。
サブテキストのパターンを比較した結果、「平均クライアント数5.1社」と記載したものが最も成果につながりました。
画像 | ![]() | ![]() | ![]() |
CTR | 1.02% | 0.74% | 0.64% |
CPC | ¥180 | ¥272 | ¥185 |
そこで、次回の同様のセミナー広告では、この「平均クライアント数5.1社」をメインコピーとして採用しました。
画像 | ![]() | ![]() | ![]() |
CTR | 1.05% | 0.65% | 0.59% |
CPC | ¥182 | ¥244 | ¥315 |
結果として、「5.1社」という数字が入ったクリエイティブが、CTR や CPC が最も良い結果になりました。やはり、お客様やユーザーは「クライアント数」といった数字に信頼感を抱いてクリックする、ということが改めて確認できたといえるでしょう。
このように、適切な手順でクリエイティブ検証をすると勝ちクリエイティブを見つけ出し、CPA を大きく改善できる可能性が十分にあります。そのためには、正しい作り方と、目的や要素を明確にした評価と検証が鍵になります。
最後に、セミナー開催時に参加者からいただいた質問と、それに対する回答を紹介します。(質問、回答はいずれも読みやすいように編集しています。)
リソースがない場合、クリエイティブの変更頻度は最低どれくらい必要でしょうか?
目標 CPA を達成できているのであればそこまで高頻度でクリエイティブを変更する必要はないという考え方もあります。あえて触らない「勇気」も必要かもしれません。
ただし、目標を達成できていない状況であれば、早く勝ちクリエイティブを見つけるためにも最低でも月に1回くらいはクリエイティブを変更し、テストしていくのが良いかと思います。
勝ちクリエイティブに配信が偏ってしまう場合、どうやって他のクリエイティブも検証すればよいのでしょうか?
たしかに Meta 広告は勝ちクリエイティブに配信が寄ってしまいがちですよね。どうしてもほかのパターンも検証したいということであれば、キャンペーンや広告セットを分割して、意図的に予算を割り当てるという方法があります。
こうすることで、ほかのクリエイティブにも強制的に配信量を割り当てて検証することができます。
クリエイティブのテスト期間はどう決定していますか?
テスト期間はお客様に求められているスピード感によって調整することもありますが、基本的には20件以上のデータが集まった段階で判断します。
私はよく直近1ヶ月のデータと直近3ヶ月のデータ、両方を考慮してクリエイティブの評価や停止を判断するようにしています。一つの期間だけで判断せず、複数の期間のデータを見て総合的に判断するのがおすすめです。
Meta 広告の運用において、クリエイティブは本当に重要です。そして、目標達成できる「勝ちクリエイティブ」を生み出すためには、正しい作り方と正しい評価や検証が必要不可欠になります。
特に評価やうえでクリエイティブを作成し、同じ条件で配信し、結果を分析して次のアクションを検討するという流れが、成果を出すための基本になります。
本記事の内容が、Meta 広告運用において「勝ちクリエイティブ」を見つけ出し、成果を伸ばす一助となれば幸いです。
広告事業部 マネージャー
2021 年に新卒入社。中学生の時から理系科目が得意で、そのまま理系大学に入学。今までは「できること」を優先してきたが、仕事は「やりたいこと」を優先したいと思い、Web 広告業界を目指すことに。そろばんを習っていたことから計算が得意。趣味はゲームで、誘われたら必ずやる。
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