広告運用歴が4年目になり、後輩に教える機会が増えました。リスティング広告やディスプレイ広告はもちろん、そのほかの SNS 広告などの基本的な知識は習得したと思っています。
先日、同じチームの後輩がアプリ広告を初めて配信することになり、経験者としてサポートする機会がありました。これまでのアプリ広告の配信経験を活かして問題なく対応できたのですが、「アプリ事業について知っていることがまだ少ないのではないか」とふと思いました。
しかし、アプリ広告の配信をおこなえても、「アプリ事業について知っていることが少ないのではないか」とふと思いました。「アプリ事業への理解があれば、クライアントにもっと寄り添い、同じ課題感を持ってプロモーション展開できるのではないか」と考え、アプリ事業のマーケティング戦略を考える上では欠かせない指標(CPI や MAU、PUR など)を今回の記事ではまとめました。
アプリ広告を配信するときには、インストール数やインストール単価(CPI:Cost Per Install)、イベント数などを指標として計測します。アプリ特有の指標も数多くあるので、最低限覚えておきたいものだけをピックアップしました。
インストール数は、ストアからアプリがインストールされた数を指します。アプリに関する指標の多くは、インストール数をベースにしています。
アプリ事業者は、先月と比べて月間インストール数が維持できているか、昨対比で増加できているかなど定期的に確認し、新規ユーザー獲得の動向を気にしています。
インストール数を見る際の注意点は、初回インストール以外も含むかという点です。インストール数の中には、アプリを1度削除し、再度インストールした数も計上されることがあります。そのため、「インストール数」の定義を計測ツールやデータ集計を担当している方に確認しておくと良いでしょう。
CPI(Cost Per Install)は、アプリインストール1件の獲得にかかったコストを指します。計算には、投下したコストと獲得したインストール件数を用います。
CPI=コスト÷アプリのインストール数
アプリ広告を配信する際は、この投下したコストが広告費にあたります。従って、CPI が安ければ安い程、効率良くアプリのインストール数を獲得できているということになります。
アンインストール数は、アプリをインストール後に、ユーザーがデバイスから完全に削除した数を指します。
継続的にインストールされているのに売上に繋がらない場合、アンインストール数の増加が原因かもしれませんその場合は、アンインストールされてしまった原因を考え、事前にアンインストールされない対策を打ちましょう。
また、アンインストールを防ぐ施策だけでなく、その後で施策の結果があったかをアンインストール率で測るか、アンインストールされるまでの期間で測るかも決めておくと良いでしょう。アンインストール率かアンインストールされるまでの期間かは、アプリの種類(ソーシャルゲームやニュース、SNS など)によって、どちらの指標を選択するか異なります。
ただし、ガチャが存在するゲームアプリでは、最初に好みのキャラクターが出てくるまでインストールとアンインストールを繰り返す「リセマラ(リセットマラソン)」が発生することがあります。そのようなアプリでは、インストール数とアンインストール数が極端に多くなることが予想されます。
イベント数は、インストール後にアプリ内でおこなった特定のアクションの数を指します。計測するアクションはアプリによって異なるため、アプリごとに独自でイベントの計測設定をおこなうことになります。
例えば、計測するイベントには会員登録やチュートリアル完了などが挙げられます。どのイベントを達成したらアプリを継続して使ってくれるか、売上に繋がるかを考えると、計測すべきイベントが見えてくるでしょう。
登録完了数を計測できれば、新規ユーザー率の算出、チュートリアル完了が計測できれば、ゲームの進捗率や頻度などが把握できます。
ユーザーの利用がどこで止まってしまうのか、何がハードルなのかを汲み取ることで、アプリの改善やターゲットとするべきユーザーが見えてくるのではないでしょうか。
PUR(Paid User Rate、課金率)は、インストールしたユーザーの内、どれくらいの割合が課金したかを示す指標です。計算には、課金したユーザー数とインストール数を用います。
課金率=課金ユーザー数÷インストール数
課金ポイントもアプリによって異なりますが、有料会員の登録やアプリ内でのアイテム購入などがよくあります。課金率が高いほど売り上げが伸びやすいため、アプリのみの売上で事業が成立している場合は、課金率を上げるための改善は継続的におこなっていくべきでしょう。
AU(Active User)は、アプリを利用しているユーザーの数を指します。一般的にアクティブユーザー数は、期間を月・週・日単位で区切って数値を確認します。
MAU(Monthly Active Users)は、1ヶ月あたりのアクティブユーザー数を指し、特定の月に1回以上アプリを起動するとアクティブユーザーとしてカウントされます。
MAU の参考値として、SmartNews、タウン Wi-Fi のアクティブユーザー数を紹介します。SmartNews の方が多い理由は、日常的に使われるニュース系アプリという影響が考えられます。
また同様に、週単位は WAU(Weekly Active Users)、日単位は DAU(Daily Active Users)と呼ばれ、アプリによって見るべき指標が変わります。
例えば、お出かけ関連アプリの場合、休日に起動するユーザーが多いと予想されるため、WAU で数値確認していくべきでしょう。一方で、ニュース系アプリや天気予報アプリなどは、毎日のように使われることが望ましいため、DAU でアクティブユーザー数を見ていくべきでしょう。
アクティブ率は、特定の期間内における、アクティブユーザーの割合を指します。この指標によって、アプリを継続的に利用しているユーザーの割合を把握できます。
例えば、「MAU率」は、MAUの数値を利用してアクティブ率を算出します。該当のアプリをインストールしたユーザーの内、月末時点で月に1度以上アプリを起動させたユーザーの割合を指しています。
計算には MAU とアプリをインストールしているユーザー数を用います。同様に、WAU や DAU を用いて、WAU 率、DAU 率を算出することもできます。
MAU 率=MAU÷アプリをインストールしているユーザー数
WAU 率=WAU÷アプリをインストールしているユーザー数
DAU 率=DAU÷アプリをインストールしているユーザー数
NU(New Users)は、アプリを利用しているユーザーにおける新規ユーザー数を指します。アクティブユーザーのように、1ヶ月あたりのユーザー数を指す言葉はありませんが、「先月比や先週比でどう推移したか」というように数値を追っていきましょう。
特に、新規ユーザー数獲得のための施策をおこなっている場合、想定していた新規ユーザー数は獲得できたか、想定の獲得単価で獲得できたかを確認しましょう。
RR(Retention Rate)は、インストールしたユーザーの継続利用率を指します。インストールした日から翌日から起算して、○日後に再びアプリを起動させたユーザーの割合を示す指標です。
また、アプリの起動から○日後に再びアプリを起動させた割合も算出できます。1日後(1 day RR)、7日後(7 days RR)、1ヶ月後(1 month RR)は特によく使われる指標です。そのほかの期間でも、RR を確認できます。
ARPU(Average Revenue Per User)は、ユーザー1人あたりの売上のことで、いわゆる売上単価を指します。ARPU も期間は決まっていないため、アプリごとに売上単価を確認したい期間に合わせて算出すると良いでしょう。
ARPU=売上÷インストール数
インストール数に対して売上が伴っているかを確認し、インストールを獲得するチャネルを変更するべきか、売上を伸ばすような施策をおこなっていくべきか検討します。
ARPPU(Average Revenue Per Paid User)は、課金ユーザー1人あたりの平均売上を指します。ARPU と同様に算出する期間に定義はありません。
ARPPU=売上÷課金ユーザー数
ARPPU は、課金ユーザーを対象としているため、売上に貢献するユーザーの現状を把握できるとともに、課金をより促すための改善施策を検討できます。もちろん ARPPU の底上げも必要ですが、成果最大化には ARPPU を改善する方が効率的と言えるでしょう。
ASO(App Store Optimization)は、アプリストアにおいて、他社のアプリより該当アプリを上位に表示させるための施策を指します。
SEO(Seach Engine Optimization)のアプリ版と考えるとイメージしやすいのではないでしょうか。SEO と同様に、より上位に表示させることで露出を増やし、アプリ詳細ページへの遷移、ひいてはアプリのインストールに繋げることが目的です。
アプリ計測ツールである「adjust」では、「アプリ名にキーワードを入れる」や「スクリーンショットなど効果的な画像を組み入れる」などを ASO を向上させるための主な手段として挙げています。
アプリ自体の改善だけではなく、アプリストアの登録情報のアップデートも ASO 向上に繋がるため、適宜対応していきましょう。
ここまで説明した指標は、それぞれ単体の数値を追うわけではなく、指標同士を連動させて考えることが事業にとって重要です。そもそも企業や組織は、目標達成指標である KGI(Key Goal Indicator)として最終目標をおいています。
そのため、最終目標達成に必要な指標を洗い出し、中間目標として業績評価指標を意味する KPI(Key Performance Indicator) を設定します。その KPI を単体ではなく、それぞれの関係性がわかるように可視化したものが「KPI ツリー」です。KPI ツリーがあることで、それぞれの指標の良し悪しや、ボトルネックの洗い出しが可能になります。
広告経由のアプリインストール数やインストール単価(アプリインストール1件にかかる費用)を目標として、広告を配信しますが、アプリ事業においてその数値さえ良ければ成功ということではありません。事業の上流にある、売上などの目標達成のために何が必要かを理解した広告運用者であれば、よりお客様の力になることができるでしょう。
アプリ広告を初めて担当すると、検索広告やディスプレイ広告では聞いたことがない用語を聞くことがあるかもしれません。そのような場面に出くわして戸惑う前に、予め専門用語をさらっておくと、円滑なコミュニケーションができるようになります。
また、配信準備の段階までできたら以下の記事を参考に、配信設定や計測設定を進めてみてもらえればと思います。
アプリインストール広告とは。GoogleやAppleなど8つの媒体の特徴や配信面、事例をご紹介
アプリインストール広告とは、Google や Yahoo!、アプリストアの検索結果や SNS のタイムラインなどに表示されるアプリインストールを促す広告です。混同しやすい「アプリ内広告」との違いやアプリインストール広告の事例や特徴、8つの代表的な媒体まで細かく説明しています。自社アプリのダウンロードを促すために始めてみてはいかがでしょうか。
マーケティング
2019年4月に新卒で入社後、研修を経て運用チームに配属。toB、toC等の案件を担当した後、セールスチームに異動となる。趣味はお笑いと観賞(研究?)と謎解き。特に好きな芸人は東京03とバナナマン。
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