こんにちは、小島です。
私を含め、広告運用担当者という生き物は意外と狭い世界の中で生きています。日々管理画面に張り付いているためにその中での変化しか注目していないのではという危機感から、私は意識的に運用以外のトピックにもアンテナを張るようにしています。
そうして世間に目を向けてみると、今や日常的に「生成 AI」という言葉が使われています。私自身も公私ともに生成 AI を利用していますが、周りの同年代に生成 AI のイメージを聞くとネガティブなものが多いのが現状です。「仕事で ChatGPT 使ってるよ」と言うと冷ややかな目で見られたり、極端な場合はお叱りを受けたりもします。
そんな状況ですが、生成 AI は廃れるどころか、一層使われていくだろうと感じています。そして今後、生成 AI をうまく使える方とそうでない方の仕事の差は、量も質もどんどん開いていくだろうとも。
そこで今回の記事では「なぜ AI、特に現在の生成 AI を使うべき、少なくともキャッチアップしていくべきなのか」についての私見と、広告運用における生成 AI の活用についてお伝えします。
目次
おそらく、この記事の読者の多くが、ChatGPT3.5などの無料で使える生成 AI を一度は試したのではないでしょうか。そして、試したうえで「これは使えないな」と思った方も多いと思います。
かく言う私も2023年の初頭まではそう思っていました。しかし、これは生成 AI に対する認識が間違っているために生まれた「誤解」でした。
ここでは生成 AI を活用するために最初に必ず理解しておきたいことと、生成 AI にまつわる「よくある誤解」を、私の経験をもとに紹介します。
最初にお伝えすると、生成 AI はユーザーであるあなたの「部下」です。それも「ある程度優秀な、仕事が信じられないくらい速い部下」なのです。
「生成」という名の通り、文章をまとめたり意見を返したりと「0から1」を作り出せて、24時間365日休みなく爆速で仕事をしてくれる。一方、検索エンジンのように「集合知をもとに疑問に答える」ことは苦手としている。こうした性質を理解することが、生成 AI を業務で活用する第一歩となります。
注意すべきは、生成 AI が「ある程度優秀な」部下であって「完全無欠の」部下ではないことです。発展途上ゆえ、当然ながらミスや間違いもします。ですが、あくまで生成 AI は「部下」なので、出てきた成果物については「上司」であるあなたが責任を負う必要があります。
なぜ、私が初期の段階で生成 AI を「仕事に使えない」と誤解したのか。それは、そもそも生成 AI の得意なことと苦手なことを分かっていなかったためでした。
生成 AI は文章をまとめたり意見を返したりと「0から1を作り出す」ことが得意な一方、検索エンジンのように「集合知を元に疑問に答える」ことは不得意な傾向にあります。にも関わらず「質問すると答えを返すもの」と誤認して生成 AI を使用していたことで「これでは使えない」と誤解してしまったのです。
ちなみに、この誤解の原因と考えられるのが生成 AI の「入力したものに何らかの答えを返してくれる」性質です。おそらくこの性質が検索エンジンと無意識に混同され、「生成 AI も、文章で質問を入力すれば答えてくれるはず」と誤認してしまったのでは・・・と考えています。
以下は、私が「小島元とはどんな人物か、まとめて」と ChatGPT-4o のプロンプト(指示)を書いた結果の一部です。
小島 元(こじま げん、1883年10月18日 – 1961年11月25日)は、日本の政治家であり、戦前および戦後の日本の政治において重要な役割を果たした人物です。以下に彼の主な経歴と業績をまとめます。
・・・(以下略)
念のため Google で検索したのですが、小島元という政治家が存在していた事実は確認できませんでした。また、他の検索では「X Japan のメンバー」というものもありましたが、これも事実ではありません。
このように、分からないものに「分かりません」と返さず、もっともらしい嘘を返すことを「ハルシネーション」といいます。こうした事象からも生成 AI は「疑問に正しく答える」ことを不得意としていることが分かるかと思います。
以前「広告運用とは?」というテーマで執筆した記事でも触れましたが、広告運用は本当にやるべきことが多い仕事です。
Web マーケティングという比較的曖昧な仕事の一部である広告運用は、その境界線も曖昧になりがちです。そのため、場合によっては「それ広告運用の業務?」というような作業も発生し、時間がどれだけあっても基本的には足りません。
多くの人数を投入して人海作戦で乗り切るのも手ですが、人件費もさることながらメンバー間のコミュニケーションコストも莫大になります。一人の広告運用担当者が生成 AI の力を使うことで、 バーチャルな広告運用チームを作り仕事に対応していく未来が広がっていくでしょう。
広告運用とは?具体的な仕事内容や求められるスキルを紹介|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング
広告運用とは、広告を配信する目的や目標の設定から、媒体の選定、ターゲティング方法、広告クリエイティブ(画像や動画、広告文など)作成、成果計測の設定、分析、改善などをおこなう仕事です。
以下の表は、「広告運用とは?」記事にも記載した広告運用の仕事の各フローにおいて、生成 AI が活用できるかどうかと活用シーンの例を簡単にまとめたものです。
フロー | 活用の可否 | 活用シーン例 |
---|---|---|
広告配信の目的や課題の明確化 | ◎ | 課題と解決策のアイデア出し |
調査と分析 | ◎ | 市場環境や競合の調査・収集した情報の分類 |
広告戦略の立案 | △ | ブレーンストーミング ※クリエイティブ作成の際は工夫が必要 |
アカウント取得から 広告の入稿 |
× | – |
配信後の検証 | × | – |
改善策の立案や実行 | ◎ | |
レポート作成や報告、 提案など |
△ | 以下のシーンでは利用可 |
ここからは上の表に沿って、広告運用の業務における生成 AI の活用法を解説します。もちろん、ここに挙げるもの以外にもさまざまな利用方法があると思います。新たな利用法を考えるヒントになれば幸いです。
この段階ではクライアントへのヒアリングなどを通じて情報を得て、「何が課題で、どんな条件をもって解決したいのかを明らかにする」必要があります。
チームで運用する場合はブレーンストーミングで様々な発想を出し、取り入れていくということをしますが、運用担当者が一人の場合は難しいでしょう。こうした「アイデア出し」の場面で、アイデアを無限に出してくれる生成 AI は非常に強いツールとなります。
もちろん「部下」が出したアイデアなので、そのまま使えるレベルのものがあるのは稀です。ただ、何らかのヒントになるようなアイデアを出してくれることが多いと感じています。
また、「これは」と思うアイデアをさらに生成 AI で深掘りしていくのもよいでしょう。
今回は例として ChatGPT、Perplexity AI でブレーンストーミングをした際のプロンプトと回答を掲載します。まず、それぞれに共通して与えたプロンプトは以下の通りです。
▼ChatGPT に記載したプロンプト
あなたは企業分析のスペシャリストです。
以下の企業の売上が低下している原因として考えられることをまとめ、箇条書きにしてください。
その上で、出稿している広告について、課題を10個挙げてください。
——
# 業務内容
・おにぎりの製造販売
# 業務地域
・東京都とその周辺地域
# 今までのターゲット
・働いている方のランチとして
# 今までの広告出稿状態
・Google広告の検索連動型
・東京都内をターゲティング
・夜間や土日は広告を停止
——
# 補足情報
・2023年と比較して売上が20%程度低下している
以下は ChatGPT の回答です。売上が低下している原因として「リモートワークの影響」や「競合の増加」といった市場における要因から、「広告戦略の硬直化」や「ブランドイメージの低下」といった自社の課題まで、広い視点から回答しています。
▼ChatGPT の回答
【売上が低下している原因】
・リモートワークの影響:通勤する人が減少し、ランチ需要が低下。
・競合の増加:同地域での競合他社の増加による顧客流出。
・ターゲット層の限定:主に働く人をターゲットにしており、他の潜在的顧客層を取り込めていない。
︙
・ブランドイメージの低下:消費者にとってブランドの魅力が薄れている可能性。
・広告戦略の硬直化: 同じ広告戦略を続けた結果、新しい顧客層にアプローチできていない。
【広告出稿における課題】
1.ターゲットの限定
働く人だけをターゲットにしているため、学生や観光客などの潜在的な顧客層を取り込めていない。
2.広告の時間帯制限
夜間や土日に広告を停止しているため、休日や残業時における需要に対応できていない。
(以下略)
また、同様のプロンプトを Perplexity AI にも記載したところ、以下の回答が得られました。売り上げ低下の原因として「店舗オペレーションの非効率化による顧客満足度の低下」を挙げるなど、ChatGPT とは異なる確度からアイデアを出しています。
▼Perplexity AI の回答
企業の売上低下の原因として考えられることを以下にまとめました:
・コロナ禍後のテレワーク継続による、オフィス街での需要減少
・競合他社の台頭や新規参入による市場シェアの低下
・消費者の健康志向の高まりによる、おにぎりの相対的な人気低下
︙
・店舗オペレーションの非効率化による顧客満足度の低下
・ブランドイメージの低下や認知度の不足
広告出稿に関する課題
1.ターゲティングが東京都内に限定されており、潜在的な顧客層を逃している
2.検索連動型のみの広告展開で、ブランド認知度向上の機会を逃している
(以下略)
この段階では、クライアントやその商品/サービスの調査分析や市場分析、競合分析をおこないます。
私はこの市場環境や競合の調査の段階で Perplexity AI を使用して Web 内の情報をまとめます。その上で ChatGPT などを使ってポイントを絞ったり分類したりしています。
Perplexity を使用しているため比較的情報の正確性が保たれますが、最終的な情報は実際に確認しましょう。Perplexity であれば情報の出典元を示してくれるので、確認の際に活用したいところです。
Perplexity AI に競合調査を依頼してみた結果は以下の通りです。
▼Perplexity AI に記載したプロンプト
あなたは競合調査のスペシャリストです。
都内にあるおにぎり屋さんを5社検索して、それらのサイトの内容を企業情報を中心にまとめてください。
このプロンプトに対する Perplexity AI の回答が以下のものです。「企業情報を中心に」という指示に沿って、業態や本社所在地、資本金、ビジネスの特徴といった情報を収集してくれていますね。
▼Perplexity AI の回答
都内にあるおにぎり専門店5社の企業情報を以下にまとめました:
1. おむすび権米衛(株式会社イワイ)
設立:平成3年3月15日
本社所在地:東京都品川区北品川
資本金: 45百万円
代表者: 岩井健次(代表取締役)
従業員数:正社員115名、パート・アルバイト600名
売上高:4,187,762千円(令和6年3月期)
特徴: 環境保全型農業の推進、日本の食料自給率向上に取り組む。社員全員が契約農家で田植えと稲刈りを行う。
2. COROLY(コロリ)(株式会社なゆた)
業態:おにぎり専門店
特徴:お米事業に特化し、おにぎり、惣菜、弁当を組み合わせた新業態を展開。
(以下略)
この段階では、「ターゲティングの決定」と「クリエイティブの作成」をおこないます。
この場合の「ターゲティングの決定」は、検索連動型のキーワードの選定も含まれます。どのような層をターゲットとし、どのようなメッセージを届けるかを決定するのですが、この段階は運用プロセスの中でもっとも重要かつ難しい段階です。
この段階でも生成 AI を使用したブレーンストーミングは有効です。できればクライアントやその市場、競合の情報を生成 AI に伝えた上で回答を生成させるとよいのですが、この段階でのデータは漏れてはいけない情報も多くあると思います。履歴を残さない、API を使うなど、セキュリティには十分に気を払いましょう。
一方、クリエイティブの制作に生成 AI を使用する場合は、現時点では少し工夫が必要だと感じています。
経験上、理想的なクリエイティブが出てくることはほとんどありません。そのため、テキストや画像のクリエイティブ用のアイデアを数十個出してもらい、その中でピンときたものを抽出して、最終的に人の手を使って作るのが良さそうです。
以下の東洋経済 ONLINE の記事にもある通り、少し前にマクドナルドの CM が話題になっていました。かなり批判的な意見が乱立していたのを目にした方も多いのではないでしょうか。
マクドナルド「AI広告の炎上」が示す嫌悪感の正体 「お~いお茶」や「AQUOS」は許されたのに、なぜ? | 災害・事件・裁判 | 東洋経済オンライン
8月17日に日本マクドナルドが公式X(旧Twitter)上にアップした、マックフライポテトのプロモーション動画が批判を浴びている。この動画は、生成AI(人工知能)を活用して制作されたものだが、X上では、「気持ち悪…
私見ですが、このマクドナルドの CM 動画は「狙ってやった」のではと思っています。わざと「生成 AI で作っています」とクリエイターの名前まで出して、生成 AI を道具として使ったクリエイターの表現を試したのではないかと。現在の生成 AI のレベルから考えると、もっとリアルかつ自然なものは作れますから。
しかし、結果的には「生成 AI を使って楽をしようとした」などと捉えられ、批判を受けてしまったようです。加えて「AI」への未知ゆえの恐怖が、クリエイティブを「ネガティブなもの」や「奇異なもの」と解釈させてしまったのでしょう。
クリエイティブは「外に出ていくもの」です。そのため作った方の意図だけではなく、受け手側の解釈も非常に重要になってきます。そういった意味でもクリエイティブ、特に画像や動画などのクリエイティブは、まだまだ人が作ったもの、もしくはちゃんと人の手が入った状態のものでないと危険だと感じています。
この段階では、あまり生成 AI は活躍しないでしょう。昔のように CSV 入稿がメインだった時代では CSV データの作成で生成 AI を使えたかもしれませんが、現在は管理画面からのデータ入稿が主になるためです。
ただ、API 経由で Excel や Google スプレッドシートから生成 AI を利用する場合には、何らかの効率アップを図れる可能性もあります。
この段階でも、あまり生成 AI が活躍する場は現時点ではないかもしれません。
しかし、「データのあるべき姿」を策定できる場合には、そのデータとの差異を自動で監視させ、異常を検知するシステムを作る、などといった使用方法は可能かもしれません。
この段階に至ると、実際に広告を動かしたデータが溜まっているため、データを利用して、さまざまな仮説を立てる際に生成 AI を使用できます。
また、溜まったデータが「お客様の声」のような定性データの場合、それぞれのデータのポイントを抜き出し分類整理する、という作業を生成 AI に任せることができます。
ただし、100%の正確性は難しいことを認識しておきましょう。生成 AI の場合、決められたルールから外れるデータも、何とか補完して適当に分類してしまうためです。また、生成 AI の「上司」として、出てきた結果はしっかりと検証しましょう。
以下は、ChatGPT に「お客様の声」の整理を依頼した際のプロンプトとその結果です。ポジティブな意見、ネガティブな意見で分けるだけでなく、表形式でより見やすく整理してくれています。
▼ChatGPT に記載したプロンプト
以下のお客さまの声をポジティブなもの、ネガティブなものに分けて、表にまとめてください。
###
Aさん : いつもできたてのおにぎりが食べられ、とても美味しいです!
Bさん : 個人的な感想ですが、少し高いと思います。
Cさん : 美味しいしボリュームがある
Dさん : お店がたくさんあって助かります。
Eさん : おいしいです
Fさん : 遅くまでやっていて良い
Gさん : 値段が高くて頻繁には買えない
###
▼ChatGPT の回答
以下のようにお客さまの声をポジティブなものとネガティブなものに分けて表にまとめました。
報告、提案の際にもアイデア出しで生成 AI を利用できます。
ただし、繰り返しになりますが、作成されたものはあくまであなたの責任です。報告や提案はクライアントに渡すものですから、あくまでアイデア出しの手助けをしてもらう程度に止めた方が良いと思います。
あとは、作成した文章を生成 AI に校正してもらうといった使い方も良いでしょう。
例として、ChatGPT に文章の校正を依頼してみました。プロンプトに記載した文章はかなりくだけたものでしたが、ChatGPT によってビジネスシーンにマッチしたものに修正されていますね。
▼ChatGPT に記載したプロンプト
あなたは広告のコンサルタントです。
以下の文章をクライアントに提出するよう、丁寧に書き直してください。
###
現在競合がむちゃくちゃ広告投資を強くしているから、競合にお客さんとられてしまっています。
対抗するために、ここは広告投資を強化して、競合をやっつけていきましょう。
###
▼ChatGPT の回答
以下のように書き直しました。
——
現在、競合他社が積極的に広告投資を行っており、それによって一部のお客様が競合に流れてしまっている状況です。このままではさらに競合にシェアを奪われる可能性がありますので、対抗策として、私たちも広告投資を強化し、競合に負けない存在感を示す必要があります。今こそ、広告戦略を見直し、より多くのお客様にリーチできるよう積極的に取り組んでいきましょう。
——
いかがでしょうか?
なお、今回は皆さんがイメージしやすいよう ChatGPT を例として使いましたが、こうした文章構成を依頼する場合は日本語に強い Claude 3.5を使うのがおすすめです。
生成 AI はその進歩が強烈に早く、日々システムや性能に関する評価も移り変わります。ここまでに紹介した活用例も同様で、1ヶ月後、場合によっては1週間後や数日後にはできることが増えていた・・・ということも珍しくありません。
ですから、日々生成 AI に関するニュースをキャッチアップしていく必要があります。
Perplexity AI に「生成 AI に関するここ一週間のニュースをまとめてください」などと聞けば簡単に情報収集できるので、定期的にチェックしましょう。
ここまでに紹介した通り、広告運用の業務に活用できるほど便利な機能を持った生成 AI ですが、注意すべき点が3つあります。
これらの危険性はニュースなどにもなっているため「やはり生成 AI は危険なんじゃないか」と思っている方もいると思いますが、ちゃんと危険性を把握し対策をすれば特に問題はありません。
今まで述べてきたように、生成 AI は「ある程度優秀な、仕事が信じられないくらい速い部下」である以上、ミスや間違いもします。
ただ、生成 AI が起こすこれらのミスは生成 AI が「知らない情報」の処理を求められた結果です。そのため、生成 AI に適切に情報を与えられれば、危険性を減らすことができます。
また、前述した「知ったかぶり」をして嘘の情報を返す「ハルシネーション」と呼ばれる現象を起こすこともあります。これについてはプロンプト(生成 AI に対しての指示)を工夫することで、ほぼ避けられます。
例えば「小島元とはどんな人物か、まとめて。」とただ質問するだけでは、以下のようにハルシネーションが起きてしまいます。
小島 元(こじま げん、1883年10月18日 – 1961年11月25日)は、日本の政治家であり、戦前および戦後の日本の政治において重要な役割を果たした人物です。以下に彼の主な経歴と業績をまとめます。
・・・(以下略)
しかし、これに加えて「分からない場合は「分からない」と答えてください。」と付け加えると以下のような回答へと変わるため、「これは生成 AI(今回は ChatGPT-4o) が知らない情報なんだな」と分かります。
現在のところ、「小島元」という人物に関する信頼性のある情報が見つかりませんでした。そのため、具体的な詳細については分かりません。質問内容や検索条件の見直しなど、別の方法でお手伝いできることがあれば教えてください。
見方を変えれば、知らないことに対しても「何とか回答しよう」と話を作ってまで答えてくれる優秀な部下なんです。ですから、上司であるあなたが「うまく指示を出せなかった結果」と受け止め、プロンプトを改善すべきなのです。
また、さらに今後は、「検索」と連動した生成 AI が主流になってくるでしょう。2024年7月28日現在でも生成 AI の一種である「Perplexity」がありますし、OpenAI が検索と連動した生成 AI「SearchGPT」をプロトタイプとして発表しています。また Google も「AI Overview」を出しています。
こういった Web などの情報と連動した生成 AI が主流となれば、多少プロンプトが雑であっても、ちゃんとした回答を返してくれるようになると思われます。ただし、いずれにしろ、部下である生成 AI の不始末は上司であるあなたの責任です。そのため、ファクトチェックなど生成 AI の回答のチェックは必須でしょう。
会社の方針として「生成 AI の使用禁止」となっている場合、この情報漏洩リスクを懸念しての方針であることが多いと思います。2023年、韓国の電子メーカーであるサムスンが、重要なソースコードが漏洩したとして ChatGPT の使用を禁止した事例も記憶に新しいでしょう。
サムスン、従業員の生成AI利用を禁止-ChatGPT経由でデータ漏れる – Bloomberg検索
韓国のサムスン電子は「ChatGPT(チャットGPT)」といった人気の生成人工知能(AI)ツールを利用しないよう従業員に指示した。
現在の生成 AI のほとんどはネットを通じてサービスを利用するため、データを送る過程でどうしても情報漏洩のリスクが生じます。
ただ、そのリスクは徐々に減少していくと考えます。なぜなら Amazon や Google、Microsoft などが同様のリスクをはらみつつも、こうしたリスクをどんどん克服して普及しているからです。
しかし、生成 AI 特有のリスクもありますので、その点はしっかりと認識して使いましょう。例えば以下のような対策を講じることで、情報漏洩のリスクを減らすことができます。
近い将来、各自のパソコンでオフラインでも使用できる生成 AI が普及していくでしょう。そうなれば、情報漏洩のリスクは PC を盗まれるなどの物理的なものを除いてほぼなくなっていくと思います。
「情報漏洩リスクがあるから使わない」のではなく、うまく対処して積極的に生成 AI を利用していくことが重要です。
生成 AI が作り出すコンテンツ(特に画像や動画、音楽)については著作権の侵害リスクについても注意が必要です。日本の場合、かなり生成 AI に寄り添った考え方になっているのですが、それでも生成 AI が作り出したコンテンツについては通常の人が作成したものと同様の制限を受けます。
AI を利用して画像等を生成した場合でも、著作権侵害と なるか否かは、人が AI を利用せず絵を描いた場合などの、 通常の場合と同様に判断されます。
令和5年度 著作権セミナー「AI と著作権」|文化庁
こうした背景からも、生成 AI が作成したものは念入りに確認することをおすすめします。
ここまで読んでいただいて、生成 AI に興味を持っている方は「こんな場面で使えるかな」などと考えていらっしゃると思います。
仕事に限らず、生成 AI はとりあえず使ってみることが重要です。しかし、いざ使おうとすると、アプリなどの導入と比べてハードルが高い部分があると思います。
最後に、以下の2つの導入ハードルと、その解決策について紹介します。
実際に使用してみると分かりますが、生成 AI はプロンプトを作成するのにコツが必要となります。
生成 AI は優秀なので、適当な文章のプロンプトでも何となく返答を返してくれます。しかし期待していた返答と違うものが返ってくる確率が高くなってしまうのも事実です。上司と部下の関係でも同じことですが、指示は「具体的に、分かりやすく」記載しましょう。
以下はプロンプトを作成する際の4つのポイントと例です。これをもとに「習うより慣れろ」の精神でまずはさまざまなプロンプトを作成することをおすすめします。
ポイント | 実際のプロンプトの例 |
---|---|
生成 AI に「役割」を与える | あなたはプロのコピーライターです。 |
どのような目的で作るのか、どのような形式でなど、できる限り具体的に指示を与える | おにぎり屋さんの春のキャンペーンに使う20文字以内のキャッチコピーを10個作ってください。 |
できれば、参考となる資料なども提示する | 例:(昨年使用したキャッチコピー) |
補足すべき情報があれば、それも記載する | 補足:店舗は全て商店街の中にあります。 |
もし生成 AI の回答が良くない場合は、プロンプトが悪かったと自身に責任を感じてプロンプトのブラッシュアップに励みましょう。そして、良い結果が得られたプロンプトについては次回以降も使えるよう、定型化して蓄えていきましょう。
こちらは、組織で生成 AI の利用を進めていきたい場合にハードルとなると思います。
基本的に現在のアプリは 文字ベースではないため、文字ベースのプロンプトで動く ChatGPT などはどうもとっつきにくく感じるのではないでしょうか。そのため、組織的に生成 AI を使う場合は何らかのアプリケーションを作り、その裏側で API 経由で生成 AI が動くようにする必要があります。
Excel で VBA を使って実装する、Google スプレッドシートで GAS を使って実装など、やり方はさまざまです。自由度は一気に落ちますが、業務の効率化という点から考えるとこの方法が一番手っ取り早いと感じています。
思い返せば私が学生の頃、今から40年近く前にも「第二次 AI ブーム」というものがありました。小学生の頃からコンピュータに興味があり、中学に入ってすぐに PC を購入して色々いじっていた私にとって、「AI」という言葉の響きは強烈に魅力的でわくわくするものでした。
しかし、当時の「AIブーム」はその後挫折します。しばらくの間は「AI なんて夢物語」とバカにされる時代が続いたのです。それが現在、技術の発展を背景に、一気に開花しようとしています。
私のように「AI」に夢を抱き続けてきた人間にとってはリベンジに似た思いも抱えつつ、一方では「また冬の時代に戻るのでは」という不吉な予感を頭の片隅に、今を見ています。
現在、インテルは PC 単体で AI を動かすことを前提に企業活動を加速しています。インテルに限らず、世界の才能やお金が一気に AI 周りに集まっている現状を見ると、今回こそは生活に AI が入ってくるという壁を超えられるのではないかとも思えるのです。
ですから、あえて今こそこの言葉を心に刻みたいと思います。
「乗るしかない、このビッグウェーブに」
広告運用 コンサルタント
慶應義塾大学経済学部卒業。2008年からキーワードマーケティングに在籍、 以降10年以上、広告運用に携わる。離脱率の低さに定評があり2008年から 運用を続けているクライアントも多い。趣味は音楽、楽器演奏。依頼を受けて プロのバックを務めることもある。愛知県犬山市出身。
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