運用型広告

広告運用マネージャーが陥りがちな課題。キーワードマーケティングで実践している4つの取り組み

滝井です。

広告運用や Web マーケティングを組織的に発展させようとすると、マネジメントの課題がでてくるかと思います。多くの場合、マネージャーはプレイングマネージャーとして業務をこなしつつ、部下のサポートをするので、常にリソース不足に悩まされるのではないでしょうか。

弊社でも社員数が増え、それに伴いマネジメントに携わるメンバーも増え、このような問題は当然起きています。

そこで今回は、この問題が起こる背景と、明日からでも実践できる取り組みを弊社で上手くいった例を基に解説していきたいと思います。

広告運用や Web マーケティングにおけるマネジメントが難しい3つの理由

広告運用はもちろん、SEO や SNS マーケティング、Web 制作なども同じだと思いますが、Web マーケティング業界のマネージャーはとても困難な状況に置かれています。

一般的に他の業界と大きく異なるのが変化のスピードが早すぎる点です。これが起点となって以下の3つの理由でマネジメントの難易度が上がっていると言えます。

  1. 最新情報を把握しておくためにプレイングマネージャーにならざるを得ない
  2. 自分の案件と部下のサポートのバランスを取るのが難しい
  3. 優秀な人がマネージャーになるので、常時リソース不足

まずは問題の起こる背景となっている3つの理由を説明していきます。

1.最新情報を把握しておくためにプレイングマネージャーにならざるを得ない

マネジメントは現場の細かいことを知らなくてもできるのが基本ではありますが、全くその世界のことを知らずにできるほど甘くはないですよね。

広告運用や Web マーケティングはとにかく変化が早い世界です。Google や Yahoo!広告などを含む運用型広告は、つい半年前の知識が古くなってしまうような世界観です。

情報のアップデートは自身で手を動かし、一次情報を取得しなければいけなく、ヘルプページやリリース情報を追っていれば安心できるほどの甘い業界ではありません。

広告運用の今を知らずに部下の教育、サポートをするのは極めて困難といえます。ゆえに、自分で案件を持ちつつ、部下のマネジメントもおこなうプレイングマネージャーにならざるを得ないわけです。

私は60人程度の会社のトップであり、現場は5名以上のマネージャーに任せていて、自分で入稿やチューニングはおこないません。

それでも何か特定の案件に対して日別で数値を追ったり、管理画面を開いて様子を見るということをしないで、チーム全体の方針を決めることはできません。

数年前どころか、数か月前の知識も役に立たないことがあるので、常にほんの少しでも現場に足を突っ込んでないと、適切な判断がしにくいと感じています。

2.自分の案件と部下のサポートのバランスを取るのが難しい

プレイングマネージャーは自分の案件を持ちつつ、チームメンバーのマネジメントもしなければなりません。

自分の案件で新規構築に集中したい時や、トラブル発生時などでは、マネジメントに時間を割けません。とは言え、マネジメントを放棄するわけにはいかないので、常に時間に追われる状況になってしまいます。

どれくらい部下のサポートに時間を割くべきか、バランスを取るのが難しいわけです。

3.優秀な人がマネージャーになるので、常時リソース不足

どこの業界でも昇格する人は優秀な人です。優秀なメンバーには当然難易度の高い案件や、規模の大きい案件が集中し、教育を任せられたり、講師を依頼されたり、採用のモデルになったりと常に大忙しです。

そんな環境下でマネジメントの時間を捻出するので、常にリソースが不足します。

一方で広告運用者には、マネジメントはさせずに、案件に集中させた方がよいのではないかという意見もあるかと思います。もちろんそれも一理あります。

しかし、現代の広告運用はとても範囲が幅広く、検索広告やディスプレイ広告、データフィードを使った広告、SNS 広告といった媒体の種類が多いだけでなく、自動化への対応や、クリエイティブ、ランディングページ の最適化など、とても1人ですべてをカバーすることはできません。

どれだけ経験が豊富な広告運用者でも、必ず苦手分野や全く知らない広告メニュー、経験のないビジネスモデルがあり、それらをカバーするためにチームで教育をしながらお互いに成長をしていく仕組みが必須なんですね。

なので、キーワードマーケティングではすべての広告運用者にマネジメントを経験してもらっています。

広告運用の技術や経験だけを積んでも、いずれは現役でいることは難しくなります。それよりも若いうちからマネジメントに関わることで、将来のキャリアアップに繋がりやすくなります。

広告運用や Web マーケテイングができて、マネジメントもできる人材というのはとても希少価値があり、どこからでも引っ張りだこになるでしょう。

他の仕事をすることになっても、マネジメントスキルは応用が効くので、キャリアを考えると得ておきたいスキルと言えるでしょう。

広告運用や Web マーケティングのマネジメントにおける4つの取り組み

このようなプレイングマネージャーが抱える課題をどのように解決していけばいいのでしょうか。長年、組織をまとめてきた経験から、明日からでも実践できる4つの取り組みをお伝えします。

1.限られた時間で、部下の現場情報を把握し続ける方法

まず限られた少ない時間で、自分のチームメンバーの案件の状況を把握する方法です。これを部下からの報告に任せていたら、責任は果たせません。

しかし日々忙しい中で、自分から情報を把握しにいくのも面倒ですよね。これは毎朝、少しの時間ミーティングを設定するだけで解決してくれるでしょう。

自分のチームメンバーに毎朝1人ずつ来てもらって、案件の状況、今日のタスクなどを報告してもらいます。必要に応じて気を付ける点や、優先順位などのフィードバックをします。

チームメンバーがたくさんいたら時間がかかってとても毎日なんて無理と思うかもしれませんが、早ければ数分で終わります。

例えば、4人部下がいても30分以内に終わります。自分がものすごく忙しいときはフィードバックなどをせずに聞くだけであれば15分くらいで終わることもあります。

込み入った相談などは時間がかかることはありますが、それでも20分以上になることは稀です。

マネージャーが苦労するのは、部下の相談を受けた時に、その案件の状況をヒアリングして把握するのにとても時間がかかって手間がかかる点ですよね。

これはいきなり情報を受け取るから起こるのであって、毎日少しずつでも情報をもらっていれば、自分が想定していない状況であることなんて起こりえません。

毎日部下から報告をもらう時間を設けているので、報告する時間がなかったという言い訳をさせない環境をつくることはマネージャーの義務とも言えます。

また、報告する部下としても、毎日決まった時間に会話が短時間でもできることは、心理的安全性に繋がりやすく、言いにくいことも伝えやすくなるメリットもあります。

私自身も、マネージャーが抱える案件の重要なものは、毎日パフォーマンスを報告してもらっています。これで現場情報から離れなくて済むわけです。

部下は報告事項があっても急ぎでない場合は翌日にまとめておこなえるので、チーム全体のコミュニケーション効率が上がるわけです。

2.部下に確認が必要なことはツールで自分にリマインド

部下に報告を任せていると、視座の違いから部下が大事な問題を予測できず、トラブルを未然に防ぐことができないことがあります。

フィードバックや指示した内容が、その後どうなったかを報告するのは部下の義務なのですが、未熟さゆえにこれが漏れてしまうことがあります。

上司は「あの件のあの課題どうなった?」と聞く義務がありますが、これを全て覚えているのは正直大変です。なのでツールを使って自分自身にリマインドを飛ばします。弊社では私や COO を含めメンバーの一部も todoist というツールを使っています。

▼タスク管理やtodoistの使用についてはこちら

例えば朝のミーティングで、「クライアントに機会損失があるから予算追加を相談してみて」と部下にリクエストします。

この進捗は、翌日以降の朝ミーティングで報告を聞くわけですが、部下からするとクライアントと連絡が取れなかったり進捗がない場合、報告しなくてもいいと判断することがあります。

一方で上司からするといつ報告が来るのかわかりません。この場合、上司であるマネージャーは面倒でも、「あの件どうなった?」と聞いて確認する必要があるわけです。

ただ、これをいちいち覚えておくのは大変ですよね。なので、リクエストや指示をしたその場で、「〇〇君の〇〇の相談の件」と入力して必要な日時にタスクが立ち上がるようにして、毎朝のプチミーティング時に確認するわけです。

このような細かい詰めをマネージャーがすることによって、部下の成長につながり、トラブルを未然に防ぐことができます。

3.マネジメントにかかるリソース配分はその上司が決定

毎朝ミーティングとツールを駆使することで、かなり効率的なマネジメントができるようになりますが、それでも「マネジメントにかける時間配分」は明確に決めておいた方がよいでしょう。

時間配分に関しては、マネージャーであれば自分の上司である部長や局長、場合によっては社長に決めてもらうのが良いです。マネージャーのリソース配分を決める責任と権限は、マネージャーの上司にあるからです。

キーワードマーケティングでは、人数に応じたマネジメントリソースの配分を明確に決めています。

部下が1人につき最大10%で、2人なら20%、5人なら50%が目安です。チームメンバー5人で50%もかけるのは多いと思われるかもしれませんが、これはマネージャーの経験値アップや部下との付き合いが長くなると短縮することができるようになります。

私の実感では、半分まで圧縮可能で、10人の部下がいても優秀なメンバーだったりマネジメントに慣れることによって半分以上、マネジメント以外の仕事にあてることができるようになります。

ここでいうパーセンテージの配分は時間を指しています。1日の勤務時間が8時間だったら480分なので、10%は48分ですね。

また、この配分は毎日おこなわなくてもよく、マネジメントが数%しかない日が数日続いた後、手厚くマネジメントに時間を振る週があるという形でも OK としています。

このようにマネジメントにかける時間をしっかり定義することで、自分の案件にも集中できるようになるわけです。

4.業務的な課題はマネージャー、それ以外は別部門が教育

広告運用であれば、Google 広告と Yahoo!広告との違い、クリエイティブの作り方、チューニングの方法など、マネージャーとしてメンバーへのフィードバックは常に欠かせないものでしょう。

一方で、教育という観点では、マネージャーは広告運用とは直接関係のない、勤務態度や仕事への取り組み方を教えたり、ルール違反者への注意などもしなければなりませんよね。

特に若手の場合は、タスクの管理ができなかったり、挨拶やマナーができてなかったりしてこれを是正するためにマネージャーの業務範囲は際限なく広がってしまいます。

この問題の解決の1つとして、「業務以外の教育は総務部門に委託する」という方法があります。

キーワードマーケティングでは「マネジメントサポート(マネサポ)」と呼び、総務が担当しています。

例えば、新卒の A 君にタスクの期日忘れミスが続いたとします。これは広告運用の技術的な問題ではないので、管理部の総務に依頼をして、A 君のタスク期日忘れがなくなるまで教育を依頼するわけです。

総務は1か月、A 君のタスクの期日忘れをゼロにする目標を本人とすり合わせ、毎日の目標にしてもらいます。ゼロが達成できたら完了として、総務はマネサポの仕事を終わらせます。

このように業務の指導とは別の一般的な教育は、マネージャーがやらなくても良く、社会人経験があれば極論誰でもできるので、このような委託が可能なのです。

経営層は環境整備と方針決定を!

最後はマネジメント層を束ねる経営層についてです。

マネージャーは現場案件を回し、さらにメンバーの教育や品質管理を実践するので、経営層はそれができる環境整備をしていく必要があります。

マネージャーが現場の仕事に集中できるように、かつマネジメントも機能させるようにするために、知恵を絞らないといけないわけです。

また、日々の仕事に追われているとなかなかできない、「チーム全体の方針出し」というのも経営層の仕事です。

例えば、「今四半期は攻めの姿勢でセミナー登壇やブログ本数を増やして認知度アップにも貢献しよう」とか、「今月と来月までは徹底的にミスを防止して、品質アップをおこなう」といったものですね。

こういった類のものは我々代表含む、経営層が舵取りをしていくべきでしょう。

マネジメントは忙しいだけでなく、学びも多い

広告運用という職人気質の仕事をしながら、マネジメントに向き合うのはハードモードと言えます。はっきり忙しくなることは間違いありません。

しかし、マネジメントというのは、「部下の面倒を見る仕事」と捉えるのではなく、「チーム(複数人)でより大きな成果を上げるための技術」と捉えるべきものです。あらゆる職種、業種で応用が効く、とても社会的需要の高い仕事なのです。

自分の力だけでなく、自分のリーダーシップで一人ではなしえなかった高い成果をあげる喜びは、一度味わうと病みつきになるくらいの楽しさがあります。ぜひ若手にはマネジメントに早くから挑戦することをおすすめしたいです。

また、経営層は、マネージャーに仕事を投げっぱなしにするのではなく、マネージャーが業務に専念できる環境づくりに心血を注ぐ必要があります。

社会人としての基本的なスキルアップを組織内で外注する仕組みなどは、やろうと思えば実現は難しくありませんので、ぜひ取り組んでみてほしいです。

一人でも多くの、マネージャーが楽しみながら成長できる環境を皆でつくっていきたいですね。

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この記事を書いた人

滝井 秀典

滝井 秀典

代表取締役/広告事業部長

2003年、Googleアドワーズが日本でサービスを開始した直後より、検索キーワード広告とランディングページの実践・研究を行い、その成功理論を書籍『1億稼ぐ検索キーワードの見つけ方』で発表、5万部以上のベストセラーとなる。 キーワードマーケティングでは、設立時から延べ千社以上のアカウントを診断およびコンサルティングしており、現在は上場会社や成長率の高いベンチャー企業に対する広告運用代理事業を拡大している。

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