Webサイト制作

サイトのリニューアル時に広告運用者が気にすべき7つのこと

Web サイトからの集客がメインの企業にとってサイトリニューアルは大きなプロジェクトです。マーケティングやデザイン、ライティングの専門家やそれを統括するディレクターまでもを巻き込み、全員が尽力して進めるプロジェクトです。それぞれの専門家が知識を集結させ、リニューアル後にサイトの成果があがる(コンバージョン数の増加する)ことが目的の場合が多いです。

この一世一代のプロジェクトにミスは許されません。しかし、大掛かりなプロジェクトのため、「落とし穴」も数多く存在します。長年広告運用にかかわる中で、「これだけは運用者と言えど意識しておくべき」と感じたことを7つに絞って紹介します。

サイトリニューアルは広告運用者にとっても大きなイベント

サイトリニューアルにあたって実際に手を動かすのは、制作会社やデザイナー、ライターやマーケター、SEO の専門家の皆さんです。しかし、完成した Web サイトに流入させるための広告を運用するのは我々「広告運用担当者」です。つまり、広告運用がはじまり課題に直面するのは我々で、サイトリニューアル時に懸念点や事前に対応できることがあれば積極的に参加していくべきです。

たとえプロジェクトに直接関わることができなくとも、さまざまな局面で「広告運用担当者ならではの知識」を伝えることはできると思います。

実際のところ、サイトリニューアルには複数の視点が必要です。広告の遷移先であるランディングページの URL やその表示、計測用タグなどは、広告運用者が気にすべき事柄でしょう。広告運用担当者にとっても、サイトリニューアルは他人事ではないのです。

サイトリニューアル後は広告の審査落ちの可能性があることを共有しよう

さて、意識すべきことを確認する前に、サイトリニューアルがおこなわれることや完了したことが分かったら、広告が審査落ちする可能性があることをお客様に伝えておきましょう。

基本的に広告の変更ではないので、サイトリニューアル時に審査が必ず入るわけではありません。ただし、サイトを変えると媒体による審査が入る可能性もあります。今まで問題なく運用していた広告クリエイティブやランディングページが突如審査落ちになるケースも考えられます。特に YMYL と言われる、お金や健康に関するジャンルの商品・サービスを扱っている場合には要注意です。

少なからずリスクがあるため、サイトリニューアルの事前事後問わず、広告運用担当者は審査落ちの可能性をお客様に伝える必要があります。そして、リニューアル後しばらくの間、審査落ちしないか普段よりも入念にアカウントの監視をしましょう。

サイトリニューアルでよくある「落とし穴」とその対応

さて、具体的な「落とし穴」の例を挙げながら、広告運用担当者としての対応方法を紹介します。

  1. URL は変更箇所とドメインの廃止に注意
  2. 計測タグは移行と動作の確認をおこなう
  3. 完成したサイトはソースや表示崩れ、スピードをチェック

1. URL は変更箇所とドメインの廃止に注意

サイトリニューアルをする時、必要に応じて URL が変更になる場合もあります。ドメインが変わるケースもあるでしょう。以下、 URL についてサイトリニューアル時に気をつけるべき点をお伝えします。

URL の変更の有無と変更前後の確認

通常、サイトのリニューアルをする場合には、新旧サイトの URL の対照表が作られます。サイトリニューアルがある場合、対照表を作成してもらい、現在広告で使われている URL がサイトリニューアル後も存在するか、使用されるかを確認しましょう。

ページタイトル旧 URL新 URL
トップページ
https://hogehoge.com/

https://hoge-hoge.com/
商品ページhttps://hogehoge.com/item/https://hogehoge.com/itemlist/
会社概要https://hogehoge.com/company/https://hogehoge.com/company/company1/
問い合わせフォームhttps://hogehoge.com/form/https://hogehoge.com/Inquiryform/
サンクスページhttps://hogehoge.com/thanks/https://hogehoge.com/thankyou/
URL 対照表の例

現在広告で設定している URL を変更する場合には、新しい URL で表示するページの準備をします。まだできていない新しいサイトの URL のページを広告のランディングページとして設定すると審査落ちしてしまいます。サイトリニューアルが終わってから設定しましょう。

新旧サイトの URL 対照表がない場合、広告運用担当者からサイトリニューアル担当者に現在広告に使用している URL を伝えて、URL が変更になるものは共有してもらうようお願いします。

もしサイトリニューアル後に URL 変更を聞いた場合は、広告で使われている URL が全て存在しているか確認します。実際に URL にアクセスすると、存在しているかどうかは分かります。

確認方法は一見簡単ですが、検索連動型広告の場合にのみ注意が必要です。各広告のランディングページの URL だけではなく、Google 広告のサイトリンクオプションと、Yahoo! 広告のクイックリンクオプションのランディングページの URL も存在しているか確認しなければいけないからです。

また、リニューアル後にしか確認できないことですが、広告で使用している URL のページの内容が大きく変わっていないかも確認する必要があります。URL は同じでも、内容が相当変わっていると、「広告の関連性」が下がる可能性があります。「広告の関連性」が下がれば、平均クリック単価が上昇したり、広告の表示が抑えられたりする可能性があります。そのため、キーワードをはじめ、ターゲティングの設定や広告の見直しが必要です。

ただし、サイトリニューアルと同時に広告を変更するのはおすすめしません。リニューアル後効果が出た場合に、それがリニューアルの影響なのか、広告を変更した影響なのか分からなくなってしまうためです。

URL が変更になる場合などは仕方ありませんが、サイトリニューアル自体の効果が判明してから広告変更をおこなうべきでしょう。

ドメインを廃止したら、必ず元のドメインでの広告をなくす

サイトリニューアル前のドメインを廃止した場合は、特に注意が必要です。旧サイトのドメインのURL を広告で使っていた場合、下手すればお客さまを危険なサイトに誘導してしまう可能性もあるからです。

もし利用停止したドメインをすぐに解約・解放した場合、そのドメインがその後どういったサイトに利用されるかわかりません。

通常、ドメインが変更される場合は全ての広告を作り直す必要があるため可能性は低いですが、手違いで旧ドメインの URL を利用した広告やサイトリンク・クイックリンクが残ることのないよう、細心の注意を払う必要があります。

2. 計測タグは移行と動作の確認をおこなう

計測タグの類は、往々にして誰の目にも留まらずスルーされてしまう傾向にあります。サイトが完成した後、まったくタグが入っていないといったこともあります。

また、少し気の利いたサイト制作会社さんだと、リニューアルの際に旧サイトのタグを移植してくれますが、すでに不要になったタグなども含まれていることもあります。せっかくリニューアルするからこそ、タグもしっかりと整備するべきでしょう。

今まで使っていた計測タグが移行されているかの確認

「計測タグ」といっても、さまざまあります。広告運用担当者が一番馴染み深いものは「コンバージョン計測タグ」や「リマーケティング(リターゲティング)タグ」などでしょう。

Google アナリティクスのタグなどは本来、広告運用担当者の責任範囲外かもしれません。しかし、それらツールから得られる情報は、広告運用にとっても重要な役割を果たします。タグがもれなく移行されているか確認しましょう。

その際、可能であれば Google タグマネージャーを使って必要なタグをまとめて実装します。これまでのサイトで使われていたタグ類を整理し、現在使っているツールを選別して Google タグマネージャーに実装します。

もし、わからないタグがあれば関係者に確認を取ります。広告代理店の場合はクライアントさんの担当者さんに、自社運用の場合はサイトの担当者などに確認をとり、現在使用していないツールのタグは Google タグマネージャーに実装しないようにしましょう。

タグ周りの準備ができれたら、あとはサイト制作会社(担当者)に Google タグマネージャーのタグ(スニペット)だけを伝えるだけです。

なお、サイト制作会社が Google タグマネージャーを管理している場合、広告関係のタグ(コンバージョン計測タグとリマーケティングタグ(リターゲティングタグ))を伝え、一緒に移行してもらうようにしましょう。

タグの動作確認

移行が完了し設定できても、タグが動作しなければ意味はありません。サイトリニューアル後に必ず動作確認をおこないましょう。

Google タグマネージャーを使用している場合はプレビューモードで確認した上で、実際に計測できるかサイトでテストするという二段構えがいいでしょう。

もしタグの設定をサイト制作会社などがやってくれた場合も、最低限コンバージョン計測とリマーケティング(リターゲティング)タグが動作しているかは自分で確認しましょう。

3. 完成したサイトはソースや表示崩れ、スピードをチェック

サイトリニューアル後は、基本的に制作会社などがサイトの確認をおこないます。ただ、確認すべき項目が膨大なため、確認ミスなどで見過ごされてしまうことも考えられます。

広告運用担当者とはいえサイトを利用して広告出稿をする立場にあるため、最低限自分の関わる箇所だけでも確認しましょう。

サイトのソースを確認

広告運用担当者の方で、html のソースを全く理解していない方は少ないと思います。サイトのリニューアルが完成したら、一度ソースも見てみましょう。

ソース確認で発見できる、よくあるミスの1つとして、「noindex/nofollow」が残ったままの状態があります。

通常、サイト制作途中のページを Google にインデックスさせないために、メタタグの「noindex/nofollow」を入れて作業をします。このタグが、確認漏れや何らかの作業ミスでサイト公開後も残っている場合があります。

広告のランディングページとしては、残っていても特に問題はないですが、インデックスされないことで自然検索順位が大幅に落ち、間接的に広告の効果を落とすことにも繋がりかねません。

そのため、ざっとソースを見て、「noindex/nofollow」が残っていないか確認すべきです。Google Chrome を使っているなら「検証モード」で、その他のブラウザでも「ソースを見る」でソースを表示させて、ページ内検索をかければ一発で分かります。

表示崩れなどが起きていないかの確認

サイト制作会社が確認してくれているはずですが、たまに見かけるのが「サイトの表示崩れ」です。サイトの表示崩れがあると情報が正しく伝わらず、サイトの信用度が落ちる可能性もあります。ひいてはコンバージョン率にも影響があるので、何とか避けたいトラブルです。

せめて広告で使用している URL は、おもなブラウザで表示を確認しましょう。PC のみならず、スマートフォンでも見ることが肝要です。

できることなら、Windows だけでなく Mac でも確認し、スマートフォンも iPhone と Android の両方で確認しましょう。手間のかかる確認になりますが、成果に大きく影響するため、ぬかりなくやりましょう。

サイトの表示スピードの確認

最後にサイトの表示スピードも確認しましょう。サイトの表示スピードは、コンバージョン率に大きく影響すると言われています。

読み込み時間の 1 秒の遅延は、下記のような悪影響をもたらすとしています。 
・ページビュー : -11%
・コンバージョン率 : -7%
・顧客満足度 : -16%

引用元 : モバイルサイト表示速度の重要性と高速化の方法 | Google 広告ヘルプ コミュニティ

SEO 支援の会社さんが絡んでサイトリニューアルを進める場合には、コア・ウェブ・バイタル改善の観点から、すでに必要な改善がされているかもしれませんが、そうでない場合は広告運用担当者も確認すべきです。

その際、自分の PC やスマートフォンで表示が早いから大丈夫だろうと判断しないほうが身のためです。なぜなら、キャッシュが残っているために早く表示されているだけの可能性があるからです。広告で使用している URL につき、「PageSpeed Insights」を使って確認するのがいいでしょう。

スピードが遅い(サイトのファーストビューが見えるようになるまで3秒以上かかる)場合には、サイト制作会社などに伝え、改善してもらうようにお願いしましょう。改善策を提案できると1番いいですが、自信がある場合を除いて、専門家に任せた方がいいです。

参考:モバイルサイト表示速度の重要性と高速化の方法 | Google 広告ヘルプ コミュニティ

運用担当者は運用のみをおこなうにあらず

実際のところ、広告運用担当者にはさまざまな役割が期待されています。契約上は「広告の運用」だけかもしれませんが、それ以外のいろいろな役割を期待されていると考えるべきです。

サイトリニューアルの落とし穴ですが、ここに書いてあることだけが全てではありません。プロジェクトメンバーの編成によっては、よりマーケティング的な観点からの意見が必要だったり、SEO 視点でみた意見をすべきだったりもします。

サイトリニューアルを良い機会として、知識を広げ、より必要とされる広告運用担当者を目指しましょう。

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記事を書いた人

小島 元
小島 元

広告運用 コンサルタント

慶應義塾大学経済学部卒業。2008年からキーワードマーケティングに在籍、 以降10年以上、広告運用に携わる。離脱率の低さに定評があり2008年から 運用を続けているクライアントも多い。趣味は音楽、楽器演奏。依頼を受けて プロのバックを務めることもある。愛知県犬山市出身。

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