運用型広告

ベテランが解説!広告運用者でも知っておきたいサーチコンソールの使い方

2008年からキーワードマーケティングに在籍し、以降10年以上広告運用に携わっている小島です。

今回紹介する Google Search Console(サーチコンソール)は、SEO 対策で使うツールですが、広告運用でもパフォーマンス改善に役立てることができます。広告のリンク先が Web サイトである以上、サーチコンソールで確認できる自然検索の流入データは、広告運用にも重要な気づきや改善をもたらしてくれるのです。

この記事では、広告運用担当者でサーチコンソールがよく分からないという方に向けて、広告運用に役立つサーチコンソールの使い方を紹介します。

サーチコンソールを使ってわかる2つのことから広告の改善を進めよう!

広告運用者にとって、サーチコンソールは SEO 施策のツールと思われていることが多いようですが、広告運用でも十分活かすことができます。サーチコンソールを使えば以下の2つが確認できます。

  • 自然検索で流入しているキーワードが分かる
  • サイト読み込み速度の良否が分かる

自然検索で流入しているキーワードは、広告を配信するキーワードの追加や除外の参考になります。結果として、コンバージョン数の改善や広告費の抑制に繋がります。

また、広告から流入したランディングページの読み込み速度を確認し、改善することでコンバージョン率や平均クリック単価の良化にも繋げられます。

そのためサーチコンソールのデータを見ることも広告運用においては大切になってくるのです。ここからは、自然検索で流入しているキーワードを確認してできることや、サイトの読み込み速度を確認してできることを紹介します。

自然検索で流入しているキーワードを見ることで、コンバージョン数や広告費の改善に繋げられる可能性がある

サーチコンソールを使えば、自然検索でサイトに流入した「クエリ(検索クエリ)」を調べることができます。クエリとは、ユーザーが検索したときに実際に使用した単語や単語の組み合わせを指します。Google 広告では「検索語句」、Yahoo!広告では「検索クエリー」と呼ばれています。

検索クエリは「インフォメーショナルクエリ」、「トランザクショナルクエリ」、「ナビゲーショナルクエリ」の3種類に分類されます。

「インフォメーショナルクエリ」、「ナビゲーショナルクエリ」、「トランザクショナルクエリ」の順でコンバージョンのハードルが下がります。

分類定義別名
ナビゲーショナルクエリ特定のサイトを訪問したいという意図の検索クエリ・株式会社キーワードマーケティング
・Google 広告
・案内型クエリ
・Go クエリ
インフォメーショナルクエリ1つないし複数の Web サイトで情報を得ようとする意図の検索クエリ・Web 広告 とは
・Web 広告 はじめ方
・Web 広告 コツ
・情報型クエリ
・Know クエリ
トランザクショナルクエリWeb 上で何かしらのアクションを実行しようとする意図のある検索クエリ・Web 広告 問い合わせ
・Web 広告 資料ダウンロード
・取引型クエリ
・Do クエリ
参考:A taxonomy of web search

サーチコンソールで分かった「クエリ」を、この3種類のどれにあたるかを判断できれば、広告運用にも役に立ちますよね。

クエリを確認することで、コンバージョンに繋がるキーワードを見つけることができる

広告の運用担当者であれば、コンバージョンを増やせるかもしれないアイデアやキーワードを日々探していると思います。

広告の管理画面で「検索語句(Google 広告)」や「検索クエリー(Yahoo!広告)」を見ることでコンバージョン増加に繋がるキーワードが発見できるかもしれません。しかし、あくまで登録したキーワードもしくは登録したキーワードに関連するキーワードしか広告は出せません。

最近では部分一致でかなり拡張されて広告出稿されますが、それでも往々にして自然検索で流入しているのに、広告では流入していないキーワードがあります。

そこでサーチコンソールで確認できるクエリが役に立ちます。クエリの中で「トランザクショナルクエリ」に相当するキーワードで、今まで広告には登録していないものがあればチャンスです。そのクエリを広告配信するキーワードとして追加することでコンバージョン数を増やせる可能性が高くなります。

クエリを確認することで、コンバージョンに繋がらないキーワードを除外して広告費を抑制できる

広告運用時には、広告費を抑制しなければならない局面にしばしば出くわします。そのような場合、サーチコンソールを用いて、優先して広告を停止すべきキーワードのあたりをつけましょう。

サーチコンソールで確認できるクエリの中でクリック率が高く、かつ情報だけ欲しい方が使うであろう「インフォメーショナルクエリ」をキーワードの停止や除外キーワード設定をすると、コンバージョンに大きく影響せずに広告費を下げられる可能性があります。

また、原則広告を出稿した方が良い指名キーワードでも、自然検索でのクリック率が高く、競合が広告を出稿していなさそうなら、広告費を削るために一時的に停止するのも一手です。

指名キーワード(自社の固有名詞)は、ナビゲーショナルクエリの一種です。原則広告を出した方が良い理由などを以下のブログで詳細に解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

機会損失を防ぐ指名キーワードでの広告配信。入札すべき4つの理由とポイントを紹介

指名キーワード(会社名やサービス名)で広告を配信すべき4つの理由と、予算などの関係で一部だけ配信を検討している方に向けた施策例を解説しています。

ランディングページの読み込み速度を見ることで、コンバージョン率や平均クリック単価の改善に繋がる可能性がある

サーチコンソールには、ページの読み込みスピードを早くするためにはどうしたらいいかについてのデータがあります。これを元にサイトを改善すれば、コンバージョン率を上げられる可能性があります。

画像引用元:サーチコンソール > ページ エクスペリエンス

ランディングページの速度を早くすることで、コンバージョン率改善が期待できる

Google 広告のコミュニティに投稿された記事で、ランディングページの読み込み速度がコンバージョン率に与える影響を説明しています。

ランディングページの読み込みスピードが1秒遅くなるだけで、7%もコンバージョン率が下がるという調査結果が出ています。

読み込み時間の 1 秒の遅延は、下記のような悪影響をもたらすとしています。
ページビュー : -11%
コンバージョン率 : -7%
顧客満足度 : -16%

引用元:モバイルサイト表示速度の重要性と高速化の方法|Google 広告 ヘルプ

広告を配信するキーワードや広告文だけでなく、広告から遷移する先のランディングページの速度も改善することでコンバージョン率が変わります。そのため、毎日見ることはせずとも、定期的にサーチコンソールを確認してみても良いかもしれません。

ランディングページの速度を速くすることで、平均クリック単価の改善が期待できる

ページの読み込みスピードが速くなると、Google 広告の品質スコアが上昇する可能性が高くなります。なぜなら、品質スコアの構成要素「ランディングページの利便性」が上がるからです。

品質スコアは、広告オークションにおける評価材料にはなっていません。」と Google は明言しています。そのためランディングページの利便性が上がったとしても、必ずしもリアルタイムの広告ランクが上昇するわけではありません。

しかし、何もやらなかった場合と比較して、広告ランクが上がる可能性は格段に上昇すると考えています。

また、Yahoo!広告の場合は「品質インデックス」になりますが、こちらも同様の考え方です。ただ Yahoo!広告の場合は、もう一歩踏み込んで、ヘルプ内で以下のような文章を掲載しています。

一般に、「広告の品質」が高い場合、広告の掲載順位は上がりやすく、クリック単価が低くなる傾向があります。しかし、「広告の品質」の具体的な数値は確認できないため、品質インデックスを参考値としてご確認ください。

引用元:品質インデックス | Yahoo! 広告ヘルプ

いずれにしろ、やるべき作業はコンバージョン率を上げるつもりで改善を行い、結果的にクリック単価が下がればラッキーくらいに考えておくのが精神衛生上良いと考えています。

広告運用担当者のためのサーチコンソールの使い方

ここまでのサーチコンソールでできることを理解した上で、広告運用者がおこなうべきことは以下の2点です。ここから具体的な操作方法を紹介します。

  • 自然検索でサイトに流入したキーワードを探る
  • ページの読み込みスピードを速くする改善点を探る

自然検索でサイトに流入したキーワードを確認する方法

自然検索で検索されたキーワードを探ることで、コンバージョン数を増やし、広告費を抑制できる可能性があります。まずはサーチコンソールにログインし、左メニューの「検索パフォーマンス」をクリックします。

サーチコンソール

表示される画面に自然検索でサイトに流入したキーワードのリストが表示されます。

サーチコンソール > 検索パフォーマンス

表示される項目は、最大で以下の4つです。

  • クリック数
  • 表示回数
  • 平均 CTR(平均クリック率)
  • 平均掲載順位

グラフの左上にある「合計クリック数」、「合計表示回数」、「平均 CTR」、「平均掲載順位」はクリックすることで、グラフとリスト項目のオン・オフを切り替えられます。

サーチコンソール > 検索パフォーマンス

表示されるクエリのリストの中から、広告を配信するためのキーワードとして登録しておらず、コンバージョンしそうなキーワードや、広告出稿しなくても自然検索で賄えるキーワードを探ります。

サーチコンソール > 検索パフォーマンス

広告を配信するためのキーワードとして登録しておらず、コンバージョンしそうなキーワードを見つけるポイントは、できる限り商品・サービスの購入に繋がる可能性の高いキーワード、つまり「トランザクションクエリ」を見つけることです。

例えば、「サイト制作 会社」などはサイト制作をしてくれる会社を探していると解釈できるので、コンバージョンに近そうなトランザクションクエリと考えられそうです。

対して「サイト制作 コツ」などは、自分でやる時のコツを調べたいクエリと取れるため、インフォーメーショナルクエリとして考えられるのでコンバージョンしにくいクエリです。こういったクエリは、自然検索での流入に任せた方が効率は良い(費用を掛けずに流入を獲得できる)ので、あえて広告に追加はしません。

また、広告費を抑えたい局面において「広告出稿しなくても自然検索でフォローできそうなクエリ」を探すポイントは、自然検索でクリック率と掲載順位が高いキーワードを見つけることです。

広告と自然検索は検索結果でのマーケティングにおいて「両輪」とも言われており、特にトランザクショナルクエリは、自然検索順位が高くても可能な限り広告を出すべきです。

しかし、どうしても広告費を抑えたい時には、一時的に広告を停止もしくは、除外登録することで広告費を抑えられます。

ページの読み込みスピードを速くする改善点を探る方法

ランディングページの読み込みスピードを速くすることで、コンバージョン率を上げられたり、クリック単価を抑えられる可能性があります。

ランディングページの読み込みスピードを速くするには、サーチコンソールの中の「ページエクスペリエンス」の「コア・ウェブ・バイタル」に関するデータを使用します。

まずはサーチコンソールの左メニュー「ページ エクスペリエンス」をクリックします。

サーチコンソール

表示された概要の中で「ウェブに関する主な指標」に「失敗した URL」と記載がある場合には改善が可能です。この「ウェブに関する主な指標」の部分をクリックして、具体的な内容を確認します。

サーチコンソール > ページ エクスペリエンス

以下のサイトの場合は「LCP の問題」が発生しています。

サーチコンソール > ページ エクスペリエンス

「LCP」と「FID」、「CLS」の項目で「不良」や「改善が必要」が出ていた場合は、比較的簡単に読み込みスピードを上げられる可能性が高いです。これらは「コア・ウェブ・バイタル」と呼ばれており、SEO の世界では重要なトピックとなっています。

いずれも読み込みスピードに関する指標です。以下、Google サーチコンソールのヘルプより、それぞれの定義・説明を引用して表にまとめました。

指標詳細
LCP(Largest Contentful Paint)・ユーザーが URL をリクエストしてから、ビューポートに表示される最大のコンテンツ要素がレンダリングされるまでの時間です
・通常、最大の要素となるのは、画像、動画、大きなブロックレベルのテキスト要素です。URL が実際に読み込まれていることが読み手にわかるという点で、この指標は重要です
・レポートに表示される Agg LCP(集計 LCP)は、グループ内 URL へのアクセスの 75% が LCP 状態になるまでに要した時間です
FID(First Input Delay: 初回入力遅延)・ユーザーが最初にページを操作したとき(リンクのクリックやボタンのタップなど)から、ブラウザがその操作に応答するまでの時間です
・この測定値は、ユーザーが最初にクリックした任意のインタラクティブ要素から取得されます
・ページがインタラクティブになるまでの時間を示すこの指標は、ユーザーが操作を行う必要があるページで重要です
・レポートに表示される Agg FID(集計 FID)は、このグループ内 URL へのアクセスの 75% において、FID がこの値以下であったことを示しています
CLS(Cumulative Layout Shift)・CLS は、ページのライフスパン全体で発生した予期せぬレイアウト シフトを対象として、個々のレイアウト シフトの合計スコアを測定します
・スコアは 0 から正数の間で変動します。0 の場合はレイアウト シフトがなかったことを示し、数値が大きいほど、ページ上のレイアウト シフトが大きかったことを示します
・この指標が重要なのは、ユーザーが操作しようとしたときにページ要素が移動すると、ユーザー エクスペリエンスが低下するためです
・数値が高い理由を見つけられない場合は、ページを操作してみて、実際の挙動がスコアにどのように影響しているかを確認してください
・レポートに表示される Agg CLS(集計 CLS)は、グループ内 URL へのアクセスの 75% に対する一般的な CLS の最低値です
引用元:ウェブに関する主な指標レポート | Search console ヘルプ

ランディングページは広告にとって切り離せない重要なものです。前述のとおり、ランティングページの読み込みスピードが早くなれば、コンバージョン率が上昇するというデータもあります。

多くの方にとって、上記の表の説明では内容がよく分からないと思います。しかし、理解できなくても大丈夫です。それより、実際にランディングページの読み込みスピードを改善する方が重要です。

上記のように、サーチコンソールのページエクスペリエンスからは、「ランディングページの読み込みスピードが遅い」というアラートを確認することができます。

もっと詳しく内容を調べたい場合には、「PageSpeed Insights」を使って対応することもできますが、ここでのアラートは以下の2つの改善をランディングページに施せば、かなり改善されるケースが多いです。

  1. 画像のデータサイズを軽くする。
  2. 画像の幅・高さ(width、height)をしっかり指定する

画像のデータサイズの軽減は、画質を落としたり、jpg や gif の画像を png や WebP に変換することで実現できます。また、WordPress を使用したサイトの場合は、画像を軽くするプラグインもあるので、試す価値はあります。

画像の幅や高さの指定は、ランディングページ内にある画像全てで表示するサイズ(画像の幅と高さ)を指定することを意味します。指定することで、画像の読み込みが終わる前にランディングページのレイアウトを固定することができます。

この2点を、サイトを制作された方や会社にお伝えし、改善していただくことで、読み込みスピード改善に繋がる可能性が高いです。その結果、コンバージョン率の改善やクリック単価を下げられる可能性が出てきます。

なお、サイトのスピードアップには、上記2点以外にも、Web フォントの停止、CSS や JavaScript を軽量化するなどの方法があります。また、WordPress で制作されたサイトであれば、プラグインで簡単にスピードアップを図れる場合もあります。この辺りはサイトを制作した会社に相談してみてください。

サーチコンソールが使えるだけで広告運用の幅が広がる!

運用型広告は今や群雄割拠状態です。競合もあの手この手でパフォーマンスを上げようと必死になっています。

そんな中、一般的な広告運用者がやらないことをやることで一歩抜けられる可能性があります。

また、Google サーチコンソールは、SEO にとっては大前提のツールで、実は相当に奥深いものです。もう少し突っ込んで勉強をして、SEO の基礎的な知識をつけるのも、今後の広告運用にプラスになるはずです。頑張りましょう!

サーチコンソールそのものの基本的な使い方や設定方法に興味があれば、弊社の別記事で説明しています。

【画像で解説】Googleサーチコンソール(Search Console)とは?登録・設定方法や使い方を紹介

Search Console(サーチコンソール)とは登録しているサイトの検索流入やキーワードごとの平均掲載順位、検索結果のクリック率を知ることができたり、サイトの問題を検出して通知してくれたりする無料の解析ツールです。SEO目的で使うことも多いこのツールは、広告運用でも活かすことができます。登録方法から活用までを余すところなくお伝えします。

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記事を書いた人

小島 元
小島 元

広告運用 コンサルタント

慶應義塾大学経済学部卒業。2008年からキーワードマーケティングに在籍、 以降10年以上、広告運用に携わる。離脱率の低さに定評があり2008年から 運用を続けているクライアントも多い。趣味は音楽、楽器演奏。依頼を受けて プロのバックを務めることもある。愛知県犬山市出身。

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