運用型広告

はじめて学ぶ機械学習 ー運用型広告で成功する7つのポイントー

2023.11.08

  • -
  • -
  • -

はじめて学ぶ機械学習-運用型広告で成功する7つのポイント

「機械学習」 という言葉。いまでは毎日のようにインターネットで見るようになりました。

機械学習は、わたし達の身の回りで様々なシーンに使われています。例えば、「迷惑メールの判定」、「Amazonのレコメンド」、「AppleのSiri」など。

そんな機械学習はいまや運用型広告に欠かせない手法です。

運用型広告に使われている機械学習のひとつが、入札単価を自動的に設定する自動入札機能。弊社には、自動入札機能を導入してコンバージョン数が5倍以上アップした実績もあります。

ただ、機械学習ブームにのって自動入札機能を導入した結果、逆にコンバージョン数が減った方もいるのではないでしょうか?「とりあえず」で機械学習を使って、コンバージョンをガンガン獲得できるほど甘くはないのですね。

成功するにあたっては、まず「機械学習の基本と使い方」を理解しなければならないのです。

そこで今回は、運用型広告を使う初心者の方を対象に「機械学習のいろは」を、そして、「運用型広告で成功するポイント」について説明します。

※本記事は、2018年に社内カンファレンスで話した内容を編集したものです。

機械学習とは何者か?運用型広告で使う最大のメリットは・・・。

機械学習は、AI(人工知能)を構成する要素のひとつ。

AIを一言で言うと、「人が行う仕事を自動化する技術」だと考えますが、それを実現する手法のひとつが機械学習なのです。

機械学習が人の代わりに特定の仕事をするということは、それ相応のメリットがあるからです。

メリットは、コンバージョン獲得のような目的を達成するための仕事を機械学習が人の代わりにすることで、正確に、適切に、早くするのが可能になることです。

機械学習の「機械」はコンピュータ。「学習」は学ぶことですよね。

機械学習の特徴は、この「コンピュータが学ぶこと」にあります。学んだ情報をもとに、コンバージョンの獲得という結果を出すために働いてくれるのです。

コンピュータが得意なのは反復処理ですが、機械学習の基本的な仕事は、「インプットした大量のデータ」から学習し、「パターン・法則」を見つけ出すことです。

例えば、検索連動型広告の場合、機械学習がインプットするのは、「検索ユーザーが検索したキーワード」、「検索した地域」、「検索するときに使ったデバイス」などのデータです。

これらのデータから学習し、「東京で検索されたときはコンバージョン率が高い」、「スマホで検索したときはPCと比べてコンバージョン率が低い」というパターン・法則を見つけ出します。

そして、パターン・法則をもとに、コンバージョン獲得を目的としたアクションをするわけです。

運用型広告のどこで機械学習が使われているの?

代表的なのは、入札単価を自動的に設定する 「自動入札機能」 と、複数の広告から配信する広告を決める 「配信広告の決定」 です。

自動入札機能は、オークションのたびリアルタイムに、「検索語句」、「検索に使ったデバイス」、「検索した地域」などのデータを考慮し、検索状況に適した入札単価を設定します。

広告グループに複数の広告文があるとき。機械学習は、「検索語句」や「地域」などの検索状況に対して、より良い結果が期待できる広告を優先的に配信します(※1)
※1「広告のローテーション」を『最適化』に設定している場合。

他にも機械学習は、「ショッピング広告に掲載する商品を決めるとき」、「不正クリックを判断するとき」などにも使われています。

機械学習を働かせるのに必要なのはデータ。データを与えるほど働き者になる

機械学習はデータを与えるほど働き者になる

機械学習の好物はデータ。データの質も大事ですが「量」が大事です。

たくさんのデータを与えると、広告を出す目的を達成するために良い仕事をしてくれるのです。

ただ、機械学習がデータから学習し、パターン・法則を見つけ出してアクションしたとしても、イマイチな結果になることもあります。

なぜなら、機械学習が優秀でも100%成功する正確なパターン・法則を見つけ出すことはできないからです。

ただ、人がするより、機械学習がした方が成功する精度を高くすることはできます。

例えば、検索連動型広告の入札単価を設定するとき。

検索状況に適した金額を設定するとなると、「検索ユーザーが検索したキーワード」、「検索した人のいる地域」、「検索した時間帯」、「検索に使ったデバイス」・・・などを考慮して金額を決める必要があります。

これを人が瞬時に考えて金額を出すのは現実的ではありません。

機械学習は、インプットしたデータの特徴に従い、数学的根拠にもとづいて算出することができるのです。

ですので、検索状況に適した金額は、人よりも機械学習が決める方が精度は高くなるわけですね。

運用型広告で成功する7つのポイント

まずやるべきことは、機械学習が気持ちよく働ける環境を作ること。

そこで大事なのは、次の3つを前提としたアカウントにすることです。

  1. 1つの広告グループに複数の広告を追加
  2. マッチタイプが部分一致のキーワードを追加
  3. 自動入札機能を導入

これらは基本、三位一体。

圧倒的な成果を出すアカウントにはこの前提があるのです。

そして、これらを前提としたアカウントにある特徴がキャンペーン・広告グループがシンプルな構成であること。

ですので、機械学習を使い成功するアカウントにするには、アカウント構成から見直すのが望ましいのです。

以下は、アカウント構成、自動入札機能の導入も含めた運用型広告で成功するポイントです。

ポイント1:最小のキャンペーン、広告グループで構成

機械学習が好むデータを蓄える構成にするとなると、細分化しすぎず、できるだけシンプルな構成にするべきです。

ここで大事なのが、キャンペーンと広告グループを分ける基準を決めること。

オススメなのは、キャンペーンは「広告を出す商材(商品、サービス)が異なるとき」、広告グループは「ターゲットが異なるとき」に分けることです。

例えば、弊社の場合。

養成講座の購入を目的に出す広告と、メルマガの登録を目的に出す広告は、商材が異なるためキャンペーンを分けています。

メルマガの登録を目的に出す広告のターゲットは、「運用型広告を学びたい人」、「売上を上げたい人」など。

これらはターゲットが異なるため広告グループを分けて管理しています。

ポイント2:1つの広告グループに3~4個ほどの広告を用意

広告グループに複数の広告があると、機械学習は、検索語句や地域などの検索状況に対して、より良い結果が期待できる広告を優先的に配信するように動きます。

広告グループにある広告の中で、検索状況に合わせて適した広告を配信するとなると、1つの広告グループに広告は複数あるのが望ましいです。

広告が1個しかないときは、広告を2~3個ほど追加してみましょう。

検索連動型広告の場合、広告は、検索意図に合わせて作るのが基本です。そのため、検索語句を分析し、既存の広告とは訴求が異なる広告を追加してみてください。

ポイント3 部分一致のキーワードを追加

部分一致は、キーワードと関連のある検索でも広告を表示してくれるマッチタイプです。

そのため、部分一致だと結果、インプレッション、クリック数が増え、そしてコンバージョン数が増えることが期待できるわけです。

圧倒的な成果を上げているアカウントには、必ずといっていいほど部分一致のキーワードがあります。コンバージョン数を今の2倍以上と大きく増やしたいときは、部分一致のキーワードが鍵になるはずです。

ただ、部分一致には嫌な思い出がある方もいるかもしれませんね。

意図しない検索でガンガン広告が表示され、無駄な広告費を使ってしまった思い出が・・・。

弊社は以前、ホームページビルダーというホームページ制作ソフトの販売を目的に広告を出していたのですが、そのときは「麻雀」、「将棋ゲーム」などの検索で広告が表示されていました(汗)

ただ、このような部分一致が暴れる現象は、最近ほとんど見ません。

ここから言えそうなのは、検索語句と登録したキーワードをマッチングする機械学習の精度が上がっていることです。

ポイント4:自動入札機能を導入

入札単価の設定を自動にすると、オークションのたび入札単価をリアルタイムに設定します。

オークションごとに、検索ユーザーが検索したキーワード、検索に使ったデバイス、検索した地域などのデータを考慮し、検索状況に適した入札単価を設定するわけです。

こうした検索状況に合わせてリアルタイムに入札単価を設定する作業を手動でするのは、不可能なのですね。

例えば、「東京でのコンバージョン率が神奈川に比べて50%高い」ことが広告配信した結果から分かったとします。

この結果からのアクションは、地域の入札単価調整比率で東京への配信を+50%にすること。入札単価を手動で設定するときによくする対応です。

ただ、実際は「検索するときに使ったデバイス」や「検索した時間帯」など、他にも考慮するべきデータがあるのです。

つまり、「スマホでの検索はPCと比べてどれくらいパフォーマンスが変わるのか?」、「午前10時と比べて午後1時はどれくらいコンバージョンする可能性があるか?」というようなことも考えなければならないのですね。

自動入札は、デバイスや時間帯をはじめ多数のデータを分析し、最適な入札単価を算出できるのです。

分析に使うデータは、Google曰く数十億種類にも及ぶとのこと。人が、同様に対応して入札単価を決めるのは不可能ですよね。

そんな自動入札機能には、クリック数を最大化させる「クリック数の最大化」、コンバージョン数を最大化させる「コンバージョン数の最大化」などがあります。

オススメな機能は「目標コンバージョン単価」です。

オススメな機能は「目標コンバージョン単価」です。

コンバージョンを目的に広告を出す場合は、基本的に1件あたりの獲得単価になる「目標CPA」があります。

目標コンバージョン単価は、「目標CPAでコンバージョンを最大に獲得すること」を目的に入札単価を設定する機能なのです。

ただし、目標コンバージョン単価を導入するキャンペーンは、過去30日間に30件以上のコンバージョンを獲得できているのが望ましいです。

データが好物の機械学習にとって、過去のコンバージョン実績に関するデータは重要なのですね。

ですので、コンバージョンが少ない場合は、コンバージョンを獲得できるキャンペーンに育てることが大事なのです。

そこで考えたいのが、コンバージョンのポイントを変えること。

例えば、コンバージョンが購入なのであれば、「資料請求」や「メルマガ登録」に変更し、「資料請求した人を購入につなげる仕組みを作れないか?」考えてみましょう。

ポイント5:忍耐力

機械学習の動きで理解しなければならないのは、<学習しながら>という点です。

機械学習が自動で入札単価を設定した結果、悪い結果になることもあるのですね。

ただ、成功モデルを作るには、悪い結果も大事なデータなのです。

悪いデータから、成功に向けた次の一手を考えるわけです。ここから言えるのは、機械学習が学び、成長するのを待つには「忍耐力」が求められるということ。中でも忍耐が求められるのは自動入札機能です。

自動入札機能を導入したら「学習中」になります。

この間は、「別の自動入札機能に変更(目標コンバージョン単価→クリック数の最大化など)」したり、「コンバージョンのポイントを変える」という大きな変更はしない方がよいです。

ポイント6:常識にとらわれない!

目標CPAがあるからといって、自動入札機能を目標コンバージョン単価にすることが正解ではありません。

例えば、「コンバージョン数の最大化」にして結果が劇的に良くなったケースもあるのです。

それから、自動入札機能を導入することが正解でもありません。

今の時代を考えたときに相応しい機能ですが、広告運用を手動でしっかり対応していれば、目標とする結果を出すこともできるのです。

大事なのは、機械学習の時代であっても、手動で広告運用するスキルが不要になることはないということです。

自動入札機能を導入したとしても、そのあと入札を手動に変更することもあれば、特定のキャンペーンは自動入札機能を導入せず手動で運用することもあります。

また、機械学習に頼りすぎると、機械学習での運用に問題が起きたとき、手を動かして問題解決することができません。

そのため、機械学習(特に、自動入札機能)を使うのは、基本的な広告運用スキルを身につけたあとが望ましいと考えます。

ポイント7:アクションするのはGoogle広告から

機械学習を導入して成功しやすいのはGoogle広告です。

アカウントはシンプルな構成が望ましいと説明しましたが、極端な話、Googleは一つの広告グループに登録したいキーワードと広告をすべて登録しても、キーワードに合わせて適切に広告配信してくれるほど機械学習が優秀なのです。

Googleで成功した手法を、Yahoo!プロモーション広告に導入して成功するとは限りません。Yahoo!プロモーション広告は手動のままの方が・・・ということもよくあるのです。

ここから言えるのは、GoogleとYahoo!で同じアカウントにする必要はないということです。それぞれのアカウントに合わせて広告運用をしましょう。

機械学習を導入して成果が変わらなくてもメリットはある

機械学習を導入して結果が変わらなかったとしても、広告運用の工数を削減できるメリットがあります。

基本的に、キャンペーン、広告グループの数は多ければ多いほど、広告運用がし難いです。

シンプルな構成にすると、キャンペーン、広告グループの数が減ります。すると、機械学習だけでなく、人にとっても分析・アクションしやすいアカウントになるのです。

また、入札単価を個別に調整する作業時間が減るため、それによる工数削減もありますね。

いまは結果が変わらなかったとしても、シンプルな構成は機械学習にとって学習しやすい構成なので、今後、成果が上がることも期待できるでしょう。

機械学習の未来。2019年以降、機械学習の進化により起きることの予測

確実に言えるのは、機械学習は今後も進化することです。すると、機械学習を使う新機能が登場することでしょう。

例えば、最近追加されたのが「レスポンシブ検索広告」です。

スマホが浸透した今の時代。

今後、ユーザーの行動は更に変化し、求める情報も多様化することが考えらます。そんな時代に合わせて登場したのがレスポンシブ検索広告。

レスポンシブ検索広告は、最大で15個の見出しと4個の説明文を入力できる特徴がある広告です。

複数の見出し、説明文を入力すると、機械学習が、見出しと説明文の様々な組み合わせをテストし、検索状況に対して最も効果的なパターン・法則を見つけ出していくのです。

そして、機械学習が進化することで期待できるのは、今は仕様や条件により使えない(使いにくい)機能が、誰もが使える機能になることです。

例えば、スマートディスプレイキャンペーン。予算やCPAを指定するだけで、ターゲティングに入札単価の設定、広告の作成をすべて自動化する機能です。

スマートディスプレイキャンペーンは、現在は導入する条件が過去30 日間にディスプレイネットワークでコンバージョンが50回以上(検索であれば100回以上)とハードルが高いのですね。

ただ、自動入札機能の一つ目標コンバージョン単価も、昔はコンバージョンが100件ほど必要だった時代もあります。

条件が下がった要因として大きいのは機械学習の進化でしょう。そのため今後は、スマートディスプレイキャンペーンも、誰もが使える機能になるかもしれません。

今後、より機械学習の時代になっても、人がやる仕事がなくなることはない

「機械学習の時代となると、広告運用で人がする仕事がなくなるのでは?」と考える方がいるかもしれませんね。

しかし、それはありません。

例えば、広告の作成やランディングページ制作というクリエイティブな仕事。これらは、機械学習よりも人がするべき仕事です。

なぜなら機械学習は、人の感情を理解するにはまだ至っていないから。

広告やランディングページで人を動かすとなると、広告を出すターゲットを理解することは大事ですよね。ターゲットにどんな悩みがあり、どんなことを期待しているのか?機械学習がターゲットを理解できるようになるのは、まだ先のことだと思います。

ですので、ターゲットに共感してもらえる、納得してもらえる、そして、ターゲットを動かすために必要なライティング、画像の作成などは、人が考えてやるべき仕事なのです。

ただ、ターゲットの状況に合わせた入札単価の設定は、機械学習が良い仕事をしてくれます。そのため、機械学習と共に成功するのが理想ということです。

そこでまず理解したいのは、機械学習の基本と使い方。ということで、本記事で説明してきました。

本記事が、みなさんのアカウントに機械学習を導入し、アカウントをさらに成長させるきっかけになると嬉しいです。

メールアドレスをご登録いただけますと、広告・マーケティングの役立つ情報をお届けします。

メールアドレスをご登録いただけますと、広告・マーケティングの役立つ情報をお届けします。
運用型広告で成果を出すノウハウから、ランディングページの改善、マーケティング全般の基本と応用まで学べるメルマガです。
自社やクライアントさんの広告、マーケティング施策に悩みのある方に役立つ情報を配信しています。

メールマガジンの登録はこちら

メールアドレスをご登録いただきますと、ブログの更新情報などをお届けいたします。

メールアドレスをご登録いただきますと、ブログの更新情報などをお届けいたします。
「わかりにくいこと」を「わかりやすく」をモットーに、すべての記事を実際に広告運用に関わるメンバー自身が執筆しています。ぜひ無料のメールマガジンに登録して更新情報を見逃さないようにしてください!

メールマガジンの登録はこちら

広告アカウント診断(無料)も実施中
私たちの分析力・提案力をお試しいただけます

広告アカウント診断(無料)も実施中
私たちの分析力・提案力をお試しいただけます

広告アカウント診断(無料)も実施中私たちの分析力・提案力をお試しいただけます