運用型広告

Web広告で富裕層向け商材を効果的に宣伝するには?カギはユーザー属性ターゲティング

富裕層をターゲットとしたプロモーション手法はいくつかありますが、Web 広告も有効な選択肢の一つです。リアルタイムでの効果測定もでき、ユーザー情報や検索履歴、位置情報などからユーザー属性をターゲティングできるからです。

本記事では Web 広告が富裕層向け商材のプロモーションにも有効な理由やターゲティングの仕組み、富裕層向けターゲティングによって CPA を2分の1に抑えられた事例を紹介します。後半では Google 広告、Yahoo! 広告、Meta 広告、Microsoft 広告でのターゲティング設定もまとめました。

そもそも富裕層向け商材とは「誰に向けた」「何の商材」か

富裕層向け商材のプロモーションについて説明する前に、そもそもターゲットとなる「富裕層」とはどういった人を指すのかと、「富裕層向け商材」とはどのようなものかを確認しましょう。

「富裕層」は資産額や収入で定義されることが多い

まず、「富裕層」という言葉にハッキリとした資産額、収入額の定義はありません

以下は「三省堂国語辞典 第八版」と「新明解国語辞典 第八版」での「富裕層」の定義ですが、どちらも「経済的に豊かな人々」とするだけで具体的な目安は書いていないことが分かります。

辞書名「富裕層」の定義
三省堂国語辞典 第八版経済的に豊かな人々の層。富裕階級。
新明解国語辞典 第八版財産や所得が多く、経済的に豊かな人々の層。

このように、具体的な目安がないためイメージが固まりづらい「富裕層」ですが、調査機関によって定義されていることもあります。例えば 野村総合研究所の調査では、富裕層を「純金融資産保有額が1億円以上5億円未満」の世帯と定義し、富裕層より年収が上の世帯は「超富裕層」と定義しています。

また、博報堂が実施した「新富裕層“インカムリッチ”生活者調査」では、世帯年収1500万円以上の生活者を「インカムリッチ」と名付け、新たな富裕層として定義しています。

このように、調査機関によるある程度の世帯収入や資産額の目安は存在するので、これらをヒントにしつつ自社の商材に適したターゲットを設定していくのがよいでしょう。

広がりを見せる「富裕層向け商材」

富裕層向けとされる商材やサービスは幅広いですが、代表的なものとして挙げられるのがジュエリーや高級車、不動産、会員権などです。

また、先ほど挙げた「新富裕層“インカムリッチ”生活者調査」では、世帯年収1500万円以上の生活者(インカムリッチ)の消費意識について以下のように記載しています。

【消費意識】

消費に関して、全体とインカムリッチで「節約・倹約意識が高い方だと思う」という意識に大きな差は見られないが、インカムリッチは「今の生活を楽しむためにお金を使いたい」(21.2%)、「自分へのご褒美のために贅沢をしたい」(17.8%)、「新しいお店や場所に積極的に出かけるほうだ」(10.4%)といった意識が高い傾向。

インカムリッチの中でも、特に20~30代女性は「自分へのご褒美のために贅沢をしたい」意識が3割を超え、「ご褒美消費」の意欲がより高い傾向がみられる。

「新富裕層“インカムリッチ”生活者調査」レポート|博報堂

このような内容から、「富裕層向け商材」には上記で挙げたものに加え、上記のニーズを満たすような価格帯の高い飲食物や宿泊施設なども含まれるといえそうです

富裕層向け商材のプロモーション方法は大きく4つに分かれる

富裕層向け商材のプロモーション方法は、大きく以下の4つに分かれます。

  • Web 広告の配信
  • ダイレクトメールの送付
  • メディアの掲載(専門誌も含む)
  • 展示会への出展

ここからは、これらのプロモーション方法のうち Web 広告に的を絞って紹介します。

Web 広告では、富裕層を推定してターゲティングしている

今回の記事で取り上げる「Web 広告」は以下のような運用型広告を対象に紹介します。

運用型広告の種類概要
検索連動型広告Google や Yahoo! などの検索結果にテキストで表示される広告
ディスプレイ広告Web サイト内に画像で表示される広告
SNS 広告X や Facebook などの SNS 上に画像や動画で表示される広告

まず、こうした Web 広告で「高所得者向け」などのターゲティング配信がおこなわれる仕組みについて紹介します。

結論からいうと、Google や Yahoo! などの Web 広告媒体は一人ひとりのユーザーの年収情報を把握しているわけではありません。媒体はユーザーの年収情報を使っているわけではなく、アカウントの登録情報や検索履歴、位置情報などユーザーの行動を見て推定しています

例えば Google では、Google アカウントにサインインしたユーザーの年齢や性別、所在地、過去検索したキーワードなどの情報をもとにユーザーの世帯収入を推定しています。

ユーザーが Google アカウントにログインしている場合は、そのアカウントのステータスに応じて、ユーザーの各種設定に基づくユーザー属性を使用することがあります。ユーザーは、マイ アド センターにアクセスして、ユーザー属性情報を編集できます。このほか、一部のソーシャル ネットワーク サイトなどでユーザーが入力した属性情報が Google に提供される場合もあります。

上記以外にも、Google サービスまたはディスプレイ ネットワークでの行動に基づいて属性が推測される場合があります。たとえば、ユーザーが YouTube またはディスプレイ ネットワークのサイトを閲覧している場合、Google は「Cookie」を使ってそのユーザーのウェブブラウザに ID を格納し、そこでアクセスされたサイトの情報に基づいて、その ID を特定のユーザー属性カテゴリに関連付けることがあります。

ユーザー属性ターゲティングについて|Google 広告 ヘルプ

推定した情報を使用して、年収や職業、興味関心などを細かく設定することで、狙ったターゲットにピンポイントでアプローチできるのです。

CPA を2分の1に抑えられた富裕層向け Web 広告の成功事例

キーワードマーケティングでも富裕層向けにターゲティングしたことで、成果が出た事例があります。ここでは不動産関連の商材で高所得者向けターゲティングをおこない、CPA を2分の1に抑えられた事例を紹介します。

まず、広告配信の概要や媒体の情報は以下の通りです。このケースではマンションがある地域のエリアターゲティングに加えて、地域内でも高価格帯であることや近隣に病院があるという立地条件を加味して、医療従事者をターゲットにして配信しました。

商材マンション
商材の特徴
  • 地域内でも高価格帯のマンション
  • 近隣に病院がある
  • 高所得者向けのターゲティング方法医療従事者をターゲティングに追加
    広告を配信した媒体Meta(Facebook/Instagram)

    上記のターゲティングで広告を配信した際の成果は、以下の通りです。

    ターゲティングエリアターゲティング×医療従事者エリアターゲティング
    クリック単価¥145¥162
    クリック率0.50%0.42%
    コンバージョン率0.98%0.41%
    CPA(顧客獲得単価)¥15,200¥38,200
    実際の配信結果を参考に作成したイメージ

    近隣に病院があるという立地条件と医療従事者に対するターゲティングが上手くかみ合ったことで、クリック率が0.8%上昇しました。また、コンバージョン率は2倍以上高くなり、CPA は2分の1以下に改善しました

    高所得者向け商材で Web 広告を配信するメリット

    先ほど紹介した事例のような数値の良化以外にも、Web 広告にはメリットがあります。

    Web 広告がどのようにして富裕層向けの商材やサービスの集客に役立つのか、その具体的な3つのメリットを紹介します。

    • リアルタイムでの効果測定と調整が可能
    • 少額から始められるのでテストマーケティングとしても利用可能
    • ABテストが実施可能

    リアルタイムでの効果測定と調整が可能

    広告のパフォーマンスをほぼリアルタイムに確認でき、すぐにクリエイティブやターゲティングを調整することで、効果を最大化できます

    専門誌やテレビ CM など、一度作ってしまったら変更できないマス広告などと違い、いつでも変更ができるので、施策の企画から効果検証、改善までをスムーズに進められます。

    少額から始められるのでテストマーケティングとしても利用可能

    Google 広告では1日あたりの広告費を1円から設定できるため、1日数千円からスタートすることも可能です。市場に受け入れられるかどうか分からない新しい商材でも、少額から広告を配信し顧客の反応をすぐに把握できます

    必要に応じてすぐに広告配信を止めることもできるので、これから富裕層をターゲットとしたサービスを始めるのであれば、Web 広告をテストマーケティングとして利用してもよいでしょう。

    AB テストが実施可能

    AB テストとは、ベースパターンとテストパターンを用意して同時に施策を実施し、どちらのほうが成果がでるかを判断するテスト手法です。広告クリエイティブやテキスト、ランディングページ、ターゲティングなどでテストをおこなうことで、成果につながりやすい広告を配信するヒントを得られます。

    ABテストについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、こちらも併せてご覧ください。

    AB テストとは?精度の高いテストをするために必要な準備とポイントを知ろう|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング

    AB テストとは、既存の内容の A と、テストしたい内容の B を用意して同時に施策を実施しどちらのほうが成果がでるかを判断するテスト手法です。テストの際のポイントとや事例までを丁寧に解説しました。ABテストは「新しい A と B を用意して、どちらがいいかを判断するために AB テストするというのは、本来の AB テストの使い方ではありません」。

    高所得者向けのターゲティング設定方法

    Web 広告の主要な媒体である Google 広告、Yahoo! ディスプレイ広告、Meta 広告、Microsoft 広告には、推定の世帯年収や職業などでターゲティングする機能があります。

    ここでは、それぞれの媒体でどんなターゲティングができるのかと、その設定方法を紹介します。

    Google 広告

    Google 広告では、世帯年収でターゲティング可能です。

    まず、広告管理画面左端のメニューバーから「オーディエンス」をクリックしましょう。

    Google 広告管理画面 > オーディエンス

    以下のような画面に遷移したら、「世帯年収」のタブに移動します。

    世帯年収は「上位 10%」「11~20%」「21~30%」「31~40%」「41~50%」「下位 50%」「不明」に分かれており、それぞれに対してどの程度広告配信を強化するかを-90%~+900%の範囲で調整できます。

    ただし、自動入札を使っている場合は「クリック数の最大化」以外で入札単価調整が機能しないのでご注意ください。

    Yahoo! ディスプレイ広告

    Yahoo! ディスプレイ広告では個人年収、世帯年収でターゲティング可能です。

    ※こちらは Yahoo! ディスプレイ広告のみの機能です。

    まず、広告管理画面右上の「ツール」から「オーディエンスリスト」に移動します。

    次に「オーディエンスリストを作成」から「組み合わせ」のボタンをクリックすると、「オーディエンスリスト(組み合わせ)を作成」画面が開きます。

    「共通オーディエンス」タブに移動し、「属性・ライフイベント(顧客層を指定したアプローチ)」をクリックしましょう。以下のようにプルダウンが開き、その中に「個人年収」と「世帯年収」が出てきます。

    Yahoo! 広告管理画面 > ツール > オーディエンスリスト > オーディエンスリストを作成 > 組み合わせ > 共通オーディエンス

    個人年収は「1,000万円以上」「800万円以上1,000万円未満」「600万円以上800万円未満」の3つから、世帯年収であれば「1,500万円以上」「1,000万円以上1,500万円未満」「800万円以上1,000万円未満」の3つから選択可能です。

    Meta 広告

    Meta 広告では役職や職業、業界でのターゲティングが可能です。年収ターゲティングは米国の郵便番号に基づくものしか利用できず、日本では使えません。役職や職業、業界でのターゲティングは、広告セットの詳細ターゲット設定でおこないます。

    広告セットの「編集」ボタンをクリックし、広告セットの設定画面を開きましょう。

    遷移先の画面をスクロールすると、下部に詳細ターゲット設定が出てきます。

    詳細ターゲット設定の検索窓に直接入力するか、検索ウィンドウ横の「おすすめ」または「参照」をクリックし、一覧からターゲティング項目を選択すると詳細ターゲット設定が可能です。

    広告セット > 編集 > 詳細ターゲット設定

    今回経営者、社長関連でいくつかピックアップしましたが、弁護士や医師、会計士なども選ぶことができます。かなり多くの項目がありますので、ぴったりなターゲットがあるかを探してみてください。

    Microsoft 広告

    Microsoft 広告では、LinkedIn のプロフィール情報を使ったターゲティングの方法を紹介します。直接的な年収でのターゲティングではないものの、うまく機能する可能性も秘めているので、Microsoft 広告を配信している場合はぜひ覚えておきましょう。

    管理画面左端の「キャンペーン」から「ユーザー属性」をクリックすることで、「会社名」「業界」「職種」が出てくるので、それぞれで設定が可能です。ここでは例として「会社名」の設定をします。

    Microsoft 広告管理画面 > キャンペーン > ユーザー属性

    「会社名」のタブに移動したら青色の「+追加」をクリックしてください。

    Microsoft 広告管理画面 > キャンペーン > ユーザー属性 > 会社名

    青色の「+追加」をクリックするとキャンペーンを選択する箇所に移動するのでターゲティングを設定するキャンペーンを選択してください。

    Microsoft 広告管理画面 > キャンペーン > ユーザー属性 > 会社名 > キャンペーンを選択

    キャンペーンを選択すると会社名を入力する検索窓が表示されますので、任意の会社名をローマ字で入力し、ターゲットにしたい会社名を選択したら最後に保存してください。

    Microsoft 広告管理画面 > キャンペーン > ユーザー属性 > 会社名 > キャンペーンを選択 > 会社名を入力

    高所得者向けのターゲティングを使ってWeb広告でも効果的にアプローチしよう

    Web 広告が高所得者をターゲティングする仕組みから 高所得者向けのターゲティングの成功事例、高所得者向け商材で Web 広告を利用するメリット、ターゲティングの設定方法について解説しました。

    高所得者向けの商材を扱っていて、まだ Web 広告で集客の経験がない方はもちろん、一度試してダメだったという方も、今回のターゲティングや事例を参考にぜひトライしてみましょう。

    また、成果を出すにはターゲティングだけでなくクリエイティブも重要です。キーワードマーケティングではクリエイティブに関する記事も多数執筆しているので、ぜひこちらも参考にしてみてください!

    広告クリエイティブ|キーマケのブログ|キーマケのブログ|株式会社キーワードマーケティング

    広告クリエイティブ作成で重要になるのは、顧客と準顧客の一次情報です。

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    記事を書いた人

    大内 裕介
    大内 裕介

    広告運用 コンサルタント

    2023年入社。新卒で大手グループ会社の経理職を経験し、その後WEBマーケティング会社に転職。BtoBからBtoCまで幅広い業種、サービスの広告運用を担当。特に検索連動型広告が好き。趣味はコテンラジオを聴くこと、ランニング、ポケモンGO。

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