運用型広告

Web広告の適切な年間予算配分は?広告運用のプロが考え方を丁寧に解説

2019年の日本の広告費でついにインターネット広告費がテレビメディア広告費を超え、2020年の日本の広告費ではマスコミ四媒体の広告に並びました。

参考:2019年 日本の広告費|dentsu
参考:2020年 日本の広告費|dentsu

弊社のお客様でも年々広告費を増やしていただく方も多く、新規のお客様からの「もっと広告費をかけて売り上げをあげたい」といったお問い合わせも増えています。

画像引用元:2020年 日本の広告費|dentsu 

ただ、せっかく予算をかけるのであればなるべく効率よく成果を出したいですよね。成果をあげる方法はさまざまですが、広告の予算配分を工夫するだけでも違った結果になります。

年間予算配分は均等でいいのか、季節商材はいつから配信を強めたらいいのかなどで悩んでいる方の参考になれば幸いです。

年間予算の配分媒体別の配分配信方法別の配分の3つに分けて順に説明します。

なお、ここではすでに予算が決まっている方向けに解説をしていきます。適切な予算の立て方についてはまた別の記事でご紹介したいと思います。

予算配分の考え方

まずは予算配分の考え方について、代表的な3つのケースに分けて解説していきます。

  1. 昨年までのデータで売上の偏りがわかるケース
  2. 年間目標が決まっているケース
  3. 季節に影響を受けるケース

1.昨年までのデータで売上の偏りがわかるケース

来期の広告予算は〇〇円!そんなとき、単純に12か月で割って月ごとの予算を決めてしまってはいないでしょうか。

単純な12等分だと、余分な広告費をかけてしまっていたり、上がるはずの売上を逃してしまったりすることがあります。ではどうやって考えたらいいでしょうか、ここから適切な考え方を例を用いて説明していきます。

これまでに広告配信の実績がある方は年間の配信実績を、配信実績がない方は年間の売上実績を確認してみてください。

特定の時期に需要が増えるような季節商材でなくても、1年間を通して需要が増える月、落ち込む月があるはずです。前年の配信実績や売上を参考に、何月がよく売れて、何月が売れづらいのか知ることから始めましょう。

1年間の需要の変化を見て配分を決める方法

年間予算が決まっている場合の予算配分の考え方についてご説明します。仮に年間で1,200万円の予算があり、前年の実績が以下の場合で考えてみましょう。

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月合計
広告費(万円)1001001001001001001001001001001001001,200
売上(万円)3403004004504003403803603204203404204,470

並べてみると、同じ広告費をかけて1番売り上げが高かったのは4月、低かったのは2月だとわかります。同じ100万円の広告費をかけたにも関わらず、売上に150万円の差が出ています。

売上と広告費から広告の費用対効果を測れるのが ROAS(Return On Advertising Spend)という指標です。ROAS は使用した広告費に対して、どのくらいの売上が出たかを計算するものです。以下の計算で出すことができます。

ROAS=売上÷費用×100(%)

100万円の広告費をかけて450万円の売上がでた場合と、300万円の売上がでた場合のそれぞれを上記の式に当てはめると以下のとおりです。

450万円÷100万円×100=450(%)
300万円÷100万円×100=300(%) 

ROAS が高い450%の方が掛けた費用に対して売上がよいので、効果的であったと判断できます。そこで先ほどの表に各月の ROAS の行を加えて見てみましょう。最も ROAS が高いのは4月、低いのは2月です。

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月合計
広告費(万円)1001001001001001001001001001001001001,200
売上(万円)3403004004504003403803603204203404204,470
ROAS340%300%400%450%400%340%380%360%320%420%340%420%373%

ROAS が低い月の広告費を ROAS が高い月にまわすことで、1年間を通した売上の最大化につながります。なお、商材や利益率などで目標とすべき ROAS は異なるので、一概に〇〇%が高い/低いとはいえません。自社の状況を鑑みて適宜判断しましょう。

2.年間目標が決まっているケース

来期は広告経由で〇〇円の売上を立てたい!と考えている場合も単純に12ヶ月分で総予算を割ってしまってはもったいないです。ひと手間加えるだけで、効率よく配信することができるようになります。

昨年までのデータで売上の偏りがわかるケースに近いのですが、この場合もまずは前年の実績を確認しましょう。

先ほどご説明した ROAS の考え方をもとに効率が良い月、悪い月に分類しましょう。そして、効率が良い月に広告費を投下し、効率が悪い月には無理に広告費をかけず、1年間で売上が最大化するようにしましょう。

目標から逆算して配分を決める方法

前年の実績は先ほどと同様とし、年間の売上目標を4,800万円に設定したとします。4,800万円の売上目標を12か月で均等に割ると、1ヶ月あたり400万円の売上が必要です。

そして、400万円の売上達成に必要な広告費を ROAS もとにして逆算すると下記のようになります。

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月合計
広告費(万円)117.6133.310088.9100117.6105.3111.112595.2117.695.21,307
売上(万円)4004004004004004004004004004004004004,800
ROAS340%300%400%450%400%340%380%360%320%420%340%420%373%

単純に ROAS から逆算すると、売上4,800万円を達成するには1,307万円の広告費が必要そうです。

上記の予算配分を ROAS が高かった月に広告費を回してみるとどうなるででしょうか。仮に ROAS が380%未満の月(1,2,6,7,8,9,11月)の広告費を減らし、380%以上の月(3,4,5,10,12月)の広告費に回したのが、以下の表になります。

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月合計
広告費(万円)90801201301209011010085125901251,265
売上(万円)3062404805854803064183602725253065254,803
ROAS340%300%400%450%400%340%380%360%320%420%340%420%380%

例年 ROAS が高い(=広告の費用対効果が良い)月に広告費をかけることで、もともとの予算より約40万円少ない予算(1,265万円)で売上4,800万円を達成できる見込みとなりました。

3.季節に影響を受けるケース

昨年までの売上データが偏っていたり、目標が決まっていたりする場合、どちらも広告配信の効率重視で予算配分を決めることをおすすめしました。

ただ季節商材の場合は少し異なり、多少効率が悪くなってでも配信をすべきです。

夏商材のケースだと「だいたい5月から増え始め、8月までは需要が高く9月中旬から減り始める」といった動きがみられるのではないでしょうか。

また、台風の時期に需要が高まるアンテナ修理のような商材であれば天候に左右されます。1年を通して台風がよく発生する時期はおおよそ決まっていますので、あらかじめ広告費をかけておいてよいでしょう。

季節商材であれば、需要が増える前の月くらいから多少効率が悪くなるとしても費用をかけ始めるとよいでしょう。

ただし、気温天候に関してはそのタイミングにならないとわからないものです。5月といえば例年は暖かいのに今年はまだまだ寒い、なんてこともよくあります。その時々で柔軟な対応ができるようにしましょう。

季節商材はピーク時の前の月から配信を強化

暑さが出てくる時期の7月と8月が、需要のピークを迎える夏商材のケースだと以下のようになります。7月と8月の2ヶ月で売上が上がるので、暑いと感じる気候になる5月から徐々に配信を強め、暑さの和らぐ10月頃には配信を徐々に弱め調整していきます。

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月合計
広告費(万円)20203030508012012070402020620

ピークは7月からだとしても、気温が上がってくるタイミングや、残暑でも需要があります。そんなときに機会損失がないよう、前年の動きをよく見て、ピークの前後でも配信を強化しましょう。

ただ冷夏や暖冬といった例外もあるので、細かい予算配分は柔軟に対応できるようにしましょう。

媒体別の予算配分は、媒体の傾向を把握し、成果のよい媒体に寄せる

次に媒体別の予算配分についてです。

1つの媒体のみ扱っている場合は別ですが、複数の媒体で配信をおこなっている場合、特定の媒体に予算を寄せさせるべきか、全ての媒体で均等に予算を使うべきかなど、お客様から質問をいただくことがあります。

繰り返しになりますが、媒体別についても過去の実績があればまずは確認しましょう。そして、成果のいい媒体の配信量を増やすことをおすすめします。

ただし、中には Google 広告だけ配信している方や追加で他の媒体でも配信をしたほうが良いのか悩んでいる方もいらっしゃるかと思います。

実績をもとにいま利用している媒体のなかでうまくバランスをとる方法もあります。しかし現在 Google 広告だけしか配信していなく、サービスのターゲットユーザーが比較的年配の方であれば、Yahoo!広告の配信を検討したほうがよいかもしれません。実際の成果と媒体の傾向を知り、うまく配分していきましょう。

配信方法別の予算配分は、自社のフェーズに合わせて配信する

配信方法は様々あり、検索広告やリマーケティング広告、動画広告、また媒体が独自に保有しているターゲティング方法、これらを広告配信の目的や自社のフェーズに合わせて組み合わせることをおすすめします。

配信目的やステージに関しては、下記のファネル図をもとに説明します。まず売上を立てたい場合であればファネル図上部の、「今すぐコンバージョン」の層からおこないましょう。

運用型広告4つのタイプ

コンバージョンも取りたいけど、新規顧客の獲得にもつなげていきたいといった場合には「ハイブリッド」と呼ばれる層の配信メニューを追加しましょう。

オーガニック検索経由、メルマガ経由などの経路でコンバージョンを獲得できるからなるべく多くの人にサービスを知ってもらい、将来の顧客獲得につなげたい、という場合には「種まき」の層の配信を追加しておこないましょう。

種まき広告には広告費の10%から15%程度、ハイブリッド広告には10%~15%、残りは今すぐコンバージョンを狙うことのできる広告に投資に回すのがバランスが良いと思います。

認知向けの広告については月数10万円程度では効果が出ないため、目安として月1,000万円程度の広告費をかけることを推奨しています。

運用型広告の分類やターゲットごとの配信すべきメニューについて解説した記事は以下になります。こちらもあわせてご確認ください。

コンバージョンと見込み顧客へのリーチを両立させる「ハイブリッド広告」がさらに重要に。2019年以降の運用型広告を支える新たな広告戦略とは。

Facebook 広告の高精度なターゲティングの台頭から、Google や Yahoo! もそれに追従する形で、10年前には考えられないような高精度で、デモグラ(属性)や興味・関心でのターゲティングができているのにもかかわらず、クリック単価10円以下の割安で広告が出せるようになったことが大きいでしょう。

「今すぐコンバージョン」の層は低い獲得単価でコンバージョンを獲得できるメリットがありますが、母数も少なく、何もしなければいつかは枯渇してしまいます。

将来的な事業の拡大を考えるのであれば新規顧客を獲得する施策は必須です。そういったときには少しずつファネル図の上のメニューを試していきましょう。

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この記事を書いた人

そのはた

そのはた

広告運用 コンサルタント

2016年12月に九州の佐賀支社に入社。市役所でアルバイトしてたのに、気が付いたら広告運用を始めて、気が付いたら東京にいた人。新しい施策考えるのがすき、広告作成はもっとすき。絵心皆無のクリエイティブ担当。すきなものはカロリーと寝ること。

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