運用型広告

リスティング広告の効果を上げる64のチェックリスト – BtoB事業のGoogle検索広告編

滝井 秀典

代表取締役会長

滝井 秀典

2022.09.09

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この度、株式会社キーワードマーケティングは、BtoB 企業の営業・マーケティング活動のオンライン化を支援する 株式会社才流 と『リスティング広告の効果を上げる64のチェックリスト – BtoB 事業の Google 検索広告編』を 共同発表 しました。

リスティング広告の効果を上げる64のチェックリスト

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ネット広告には様々な媒体・メニューがある中で、なぜ第一弾として Google 検索広告に特化したチェックリストを発表したかといいますと、まずは検索広告から始めてほしいという想いがあるからです。

検索広告は、ネット広告の中でもいまだに群を抜いて早く反応が出て、契約に至る確率が高い客層が多く、客単価が高い傾向がある BtoB ビジネスには相性が最も良い広告メニューといえます。

一般的に、Google と Yahoo! は同時に掲載することが多いのですが、検索エンジンシェアからいえば3倍以上 Google が多く、BtoB 事業とユーザー層も合っているため、まずは Google 広告に集中し、軌道に乗ったらYahoo! に同じ仕組みで展開すれば無駄や機会損失を防ぐことができます。

BtoB といっても、SaaS のような比較的反応を得やすいサービスもあれば、コンサルティングサービスのように容易にはコンバージョンを獲得しにくいビジネスもありますので、その戦略と戦術は複雑多岐にわたります。

しかし、検索広告を展開する上では、BtoB ならではのポイントが確実に存在します。

それをしっかり網羅することで、投下する広告費用を上回る収益をもたらす可能性は間違いなくアップするでしょう。

また、詳しくは後述しますが、このチェックリストは順番がとても大事になります。

下記チェックリストを完遂していく上では、ある程度背景や考え方、前提条件を抑える必要がありますので、下記に項目ごとの解説をしていきます。

配信前に実施すること

実は、BtoB 事業の検索広告を実施する場合、戦術的な広告の設定方法やテクニックよりも、配信前の「事前準備」が極めて重要であり、ここで5割成果が決まるといっても過言ではありません。

なぜなら、

  • 広告を行う目的
  • 広告のターゲット
  • コンバージョンの定義
  • 予算
  • ランディングページの有無
  • 運用方針など

などによって大きく広告の戦略・戦術が違ったものになり、それらの統一性を欠くと成果がまったく上がらなくなってしまうためです。

逆にいえば、これらの事前準備がしっかりしていれば、広告投資のリターンは大きいものとなります。

広告配信前の確認

  • 広告を行う目的を明確になっているか(リード獲得・セミナー誘導など)
  • どのターゲットセグメントに対して配信する広告なのか決まっているか
  • コンバージョンの定義は決まっているか(資料請求、トライアル申し込みなど)
  • コンバージョンタグを設置しているか
  • コンバージョンテストを実施しているか
  • ターゲットセグメント毎の LTV を算出し、許容できる目標コンバージョン単価(目標CPA)を把握しているか
    ※広告代理店に依頼する場合は、運用代行手数料を含める
  • 広告経由の目標コンバージョン数を決めているか
  • 月額予算(もしくは、四半期や年間予算)を決めているか
    ※広告代理店に依頼する場合は、運用代行手数料を含める
  • 月額予算を平均したペースで使っていいか?注力したい期間などあるか
  • 広告目的・キーワードに応じたランディングページを用意しているか
  • Google Analytics(各種計測ツール)のための自動タグ設定をしているか

広告配信前の確認の中でも最も重要なのが「広告を行う目的」です。

ホワイトペーパーダウンロードでリードを獲得するのか、トライアル申し込みをしてもらいたいのか、セミナー申し込みをしてもらいたいのか、資料請求をしてほしいのか、問い合わせをしてほしいかなどが広告の目的です。

当然、「見積依頼」や「診断申し込み」のような成約に近いコンバージョンのほうが売上につながりやすい半面、コンバージョンを獲得する難易度が上がり、コンバージョン数は少なくなります。

一方で、資料ダウンロードのような敷居の低いコンバージョンは、広告反応を取りやすい反面、リストが増えるだけで売上するには長い時間がかかり、広告の効果検証があいまいになりがちです。

オススメは、決裁者や広告主は、広告運用者から意見を聞きながら、下記のチェックリストに沿って一緒に議論して決定していくことです。

これによって、本来は売上に直結する良いコンバージョンがもっと取れるのに、遠回りのリスト取りに終始して機会損失してしまうような事態を避けることができ、広告効果の確実性をあげることができます。

広告運用方針の確認

  • 顕在層向けのキーワードを選んでいるか※認知獲得系のキーワードは優先順位を下げる
  • 競合企業・競合サービスの固有名詞を除外キーワードで設定しているか
  • 社名・サービス名のキーワードを入稿する場合は、目標コンバージョン単価(目標CPA)を別に設定しているか
  • 社名・サービス名のキーワードを入稿する場合は、自然検索結果で表示されるタイトルと広告表現を別にしているか
  • 配信エリアを対応できるエリアのみにしているか
  • 配信時間をビジネスタイムにしているか
  • 配信日を土日などターゲットセグメントが休みの日を配信停止もしくは入札を弱めているか
  • サービスサイトのモバイル・タブレットからのCV数を確認し、少ない場合はモバイル・タブレットへの配信比率を下げているか
  • 競合が入稿しているキーワードをツールなどで確認し、入稿していないキーワードを追加しているか

この章で挙げた9つのチェックリストは、検索広告を配信するにあたってのより具体的な方針に関わる項目となります。

顕在層向けのキーワードとは、例えば「採用管理 ツール」は採用管理に悩みがあってツールでなんとかしたいというニーズが明らかに顕在しているもので、反対に「認知獲得系キーワード」とは「採用」といったビックキーワードになります。

こういった具体的な方針、前章「広告配信前の確認」における「目標コンバージョン数」や「予算」がしっかり決まっていなければ決めようがないものです。

冒頭で、「このチェックリストは順番が大事」とお伝えしたのはこういうことで、一貫性のある広告の構造が必要なわけです。

また、社名・サービス名といった固有名詞(指名)キーワードを入稿する場合に、自然検索結果で表示されるタイトルと広告表現を別にするといったことは BtoB では売上に直結しやすいとても重要な要素となります。

広告クリエイティブの作成に関してはアカウント準備の後半でするものですが、そもそも自然検索結果ではどのような表記になっていて、広告でどのような違いを出すのかといったことは「方針」として事前に決めておいたほうが無駄な議論を省けます。

同様に、土日配信をするのかどうか、モバイル比率をどうするかといったことはチェックリストにあるように一般論としての解はあるものの、しっかり議論・決定しておけば行ったり来たりがなくなり、広告出稿までスムーズに進みます。

アカウント設定の配信前チェックリスト

ここからは、実際に Google 検索広告の管理画面で設定を進める際に確認したいチェック項目となります。キャンペーン、キーワード、除外キーワード、広告それぞれに BtoB ならではのポイントがあります。

キャンペーン

  • 検索広告キャンペーンのネットワークを選択時に「Google ディスプレイ ネットワークを含める」にチェックをつけていないか
  • 入札戦略は手動の個別クリック単価制(拡張オン)からはじめているか
  • 単価設定は適切か
  • 自動入札に切り替える場合、目標コンバージョン単価制として、配信前確認のCPAを設定しているか
  • 予算設定に間違いがないか
  • ターゲティングとモニタリングの設定は適切か

キャンペーン設定では、手動入札からスタートし、運用開始後に自動入札に切り替えることを前提にしています。

なぜこのような形にするかといえば「不確実性を最小にしたい」ためです。

検索広告で BtoB 向け商材のコンバージョン獲得を狙う場合、ありがちなのが「特定のキーワードに偏る」というケースです。

多品種の商品を取り扱う BtoC の EC サイトなどでは、キーワードの数、バリエーションは複雑多岐にわたりますが、BtoB の場合は特定のサービスに特化して集客することが多いため、前述した「採用管理の手間を効率化するツール」などでは、そもそもコンバージョンが取れるキーワードがわずか数個しかなく、それが全体の50%以上を占めるといったことも起こります。

あらかじめコンバージョンが取れそうなキーワードが予測できてしまう場合は、自動化で機械学習をさせる最適化期間が無駄になりますので、手動入札を前提にした方が BtoB の場合は向いているといえます。

ある程度コンバージョン傾向がわかった上で、より幅広い獲得機会を求めて、自動化にチャレンジすることはまったく問題ありません。

キーワード設定

  • BtoB ならではの法人向け複合キーワードが網羅されているか(単価、ロット、販促、見積、制作、納期など)
  • 上限クリック単価に間違いはないか
    ※特に桁に間違いがないか単価に迷った場合は 50円 で入札する
  • マッチタイプは正しく設定されているか
    ※ 入札金額の大小として「完全一致 > 絞り込み部分一致 > 部分一致」で設定しフレーズ一致は使用しない

    ▼ マッチタイプについて詳細はこちら
    キーワードのマッチタイプについて – Google 広告 ヘルプ
    https://support.google.com/google-ads/answer/7478529
  • キーワードで不承認になっているものはないか

BtoB 事業向けのキーワード設定では「法人向け」の複合キーワードを網羅することが大事になります。

部分一致で広告を出して、その後に実際の検索語句を確認しながら複合キーワードを登録していってもいいのですが、成果を早く出すためにも、法人ならではのキーワードは網羅したいところです。

除外キーワード

  • 除外キーワードのマッチタイプはフレーズ一致になっているか
  • 除外キーワードリストを使用する場合、キャンペーンに紐づいているか
  • 消費者向け(toC)のキーワードが除外できているか

一般消費者(toC)が使いがちな言葉をサジェストなどで事前に調査し、除外しておきましょう。概念の広い言葉の場合、BtoC の方が検索ユーザーの数はるかに多いので、ここはとても重要です。

例えば、Web サイト制作のサービスで問い合わせを獲得したい場合、「サイト 制作」は法人向けの言葉ですが、「ホームページ 作り方」は個人の言葉の可能性が高いです。

また、近年の自動化の流れから、除外キーワードの登録は、無駄を省くインパクトより機会損失を生むリスクの方が大きくなっています。

「迷ったら除外しない」というスタンスは今後より必要になってくるでしょう。

広告設定

  • 広告の最終ページ URL(広告の遷移先ページ)に誤りはないか
  • モバイル用最終ページ URL を設定(広告の遷移先ページ)している場合、そのURLに間違いはないか
  • 広告を複数入稿しているか
  • 拡張テキスト広告とレスポンシブ検索広告、どちらも入稿しているか
  • 文字数の限界まで広告テキストを入稿しているか
  • 見出し3、説明文2、パス1、パス2まで追加されているか
  • 広告で不承認になっているものはないか
  • 広告文に誤字脱字がないか

広告設定は機械学習と自動化の流れ、検索結果に出てくる要素の拡大により、年々複雑になってきていますので、「誤字脱字のチェック」といった基本はより大切になってきている一方、「広告露出機会を最大にする」という方向性は常に持ちましょう。

なお、拡張テキスト広告とレスポンシブ検索広告をどちらも入稿することは近年では必須となっていますが、広告出稿の初期段階では「仮説の検証」という意味でも複雑化を排して、シンプルに拡張テキスト広告のみでも構いません。

広告のテキスト

  • 一般消費者ではなく法人が対象である表記を入れる
    例:「法人向け」「制作会社様プラン有」「広告代理店様向けメニューあり」「建築業者・設計士向け」「携帯電話販売会社様へ」
  • 法人取引実績があることを入れる
    例:「法人取引実績〇〇件」「 導入社数〇万件超」
  • 強いニーズや不安を解消するメッセージを入れる
    例:「法人取引実績〇〇件」「 導入社数〇万件超」
  • 信用要素を強く入れる
    例:「創業〇〇年」「黎明期からの実績」
  • 対応地域をはっきり書く
    例:「全国対応」「一都三県対応」
  • 製造系であればロットの条件を入れる
    例:「小ロット可能」「一つから注文可」「大量注文お値引き可能」
  • 納期をはっきり書く
    例:「最短翌日発送」「注文後一週間で納品可」「約2週間で納品完了」
  • 導入効果を書く
    例:「導入企業で売上250%達成も」「20%以上の削減効果」
  • 法人担当者が手間が省けるメッセージを入れる
    例:「報告書はそのまま役所提出可能」「10分の1の時間で手続可能」「面倒な手続きは一切なし」

広告のテキスト、広告文の作成は、検索広告のハイライトです。

検索広告はクリック課金であり、できるだけコンバージョンを生まないクリックをできるだけ省きたいところ。

前述した通り、検索キーワードのユーザー内訳は圧倒的に BtoC ニーズの方が多いので、BtoB ニーズに向けた商品サービスであることのメッセージは極めて重要になります。

一般的に BtoC よりも顧客単価が高い BtoB においては、クリック単価上昇のデメリット(クリック率の低下にともなう品質スコアの低下)よりも、狙った見込み客だけにクリックをさせるメリットの方が大きいといえます。

見込み顧客の不安と不満を定義し、その解決策を提示するような内容が望ましいでしょう。

広告表示オプション

  • サイトリンク表示オプションを設定しているか
  • サイトリンクは CTA 誘導、事例、資料請求、など設定するリンク先を指定しているか
  • サイトリンクは説明文まで設定されているか
  • コールアウト表示オプションを設定しているか
  • 構造化スニペット表示オプションを設定しているか
  • 価格表示オプションを設定しているか
  • 電話番号表示オプションを設定しているか
  • サイトリンク、価格表示オプションの最終ページ URL に誤りはないか
  • オプションで不承認になっているものはないか
  • 広告表示オプションがキャンペーンに正しく紐づいているか

広告表示オプションは、検索広告の第二のハイライトともいえるポイントです。

様々な種類があり過ぎて、最初は設定項目の多さに圧倒されてしまうかもしれませんが、できればすべて設定しましょう。

BtoB ならではのニーズとして、事例や資料請求、CTA への誘導(納期を急ぎのニーズに対応)をサイトリンクにしっかり盛り込みたいところです。

オプションの表示は自社の広告表示面積を増やし、ライバルの広告の視認性を相対的に下げる効果もあります。

日々の運用でチェックする項目

  • 検索語句をチェックし、関係ない検索語句は除外設定をしているか
  • ABCD 分析モデルを活用して入札単価を調整しているか

    ▼ ABCD 分析モデルの詳細はこちら
    ABCD 分析を利用した予算配分の概念について | AD EBiS サポートサイト
    https://support.ebis.ne.jp/s/article/3433
  • キーワードごとに分析した際に、200クリック以上で且つ目標 CPA より高いものをリストアップし入札調整しているか
  • クリック率(CTR)が低い広告の停止、差し替えを行っているか
  • 課題が見つかったら、分析4原則を使って分析を行う

    ① ざっくり把握
    媒体単位もしくはキャンペーン単位といった最上位階層の数値を把握する

    ② 最小単位把握
    検索広告なら検索語句レベルで、
    ディスプレイ広告なら広告グループ(もしくは広告)レベル

    ③ 比較
    (ⅰ)Apple to Appleにする
    (ⅱ)数よりも率でみる
    (ⅲ)漏れなくダブりなく= MECE にする

    ④ 時系列チェック
    データを時系列で並べて分析

BtoB の検索広告の日々の運用においては、BtoC ニーズのクリックを省くところは重要になりますので、特に初期段階では検索語句のチェックが必須となります。

ただし、前述のとおり、人が想定し得ない検索語句でのコンバージョンは数年前より増えており、除外キーワードを設定する機会損失のリスクは常に考えたいところです。

弊社では行っていませんが、入札調整に ABCD 入札モデルを活用するのも、運用初心者にはよいでしょう。

入札価格の決定は、統計有意性を考慮しつつコンバージョン率と目標 CPA から逆算してしていくもので、CPA を機械的にカテゴリー分けすることは論理的ではありませんが、わかりやすさや管理のしやすさといったメリットもありますので、検索広告の初心者はこのやり方でも構いません。

なお、入札調整を行うタイミングとして「200クリック」としていますが、ここはルールというより目安やガイドラインとして考えてください。

チェックリストのダウンロードはこちら

なかなか一度ですべてのチェックリストを満たすのは難しいかもしれませんが、どれも BtoB 事業においては重要なポイントです。

一つでも多くのチェックを付けられるよう、ぜひお手元にチェックリストをダウンロードして活用してみてください。※ 個人情報の入力は不要です。

リスティング広告の効果を上げる64のチェックリスト

チェックリストをダウンロードする

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記事を書いた人

滝井 秀典
滝井 秀典

代表取締役会長

2003年、Googleアドワーズが日本でサービスを開始した直後より、検索キーワード広告とランディングページの実践・研究を行い、その成功理論を書籍『1億稼ぐ検索キーワードの見つけ方』で発表、5万部以上のベストセラーとなる。 キーワードマーケティングでは、設立時から延べ千社以上のアカウントを診断およびコンサルティングしており、現在は上場会社や成長率の高いベンチャー企業に対する広告運用代理事業を拡大している。

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