運用型広告

コンバージョンと見込み顧客へのリーチを両立させる「ハイブリッド広告」で成果がでる、予算配分・成果指標・クリエイティブの考え方

滝井です。

前回のブログでは、コンバージョン獲得も見込み客流入も稼げる「ハイブリッド広告」が今後ますます重要になるという話を書きました。

コンバージョンと見込み顧客へのリーチを両立させる「ハイブリッド広告」がさらに重要に。2019年以降の運用型広告を支える新たな広告戦略とは。

Facebook 広告の高精度なターゲティングの台頭から、Google や Yahoo! もそれに追従する形で、10年前には考えられないような高精度で、デモグラ(属性)や興味・関心でのターゲティングができているのにもかかわらず、クリック単価10円以下の割安で広告が出せるようになったことが大きいでしょう。

ハイブリッド広告とは、「コンバージョンも獲得できる上に、クリック単価が低いから流入も稼げる」運用型広告のこと。

主にGoogle広告のカスタムインテント、アフィニティ、コンテンツターゲット、ファインド、DSK、YDN のサーチターゲティング、インタレストカテゴリー、Facebook の興味・関心ターゲティング、Criteo Customer Acquisition などの媒体および広告メニューを指します。

これまでは、クリック単価が50円以下で出せるような広告では、低いCPA を維持することが難しく、どうしても検索広告に比べればかなり高いCPA(顧客獲得単価)になってしまう。あるいは一時期に効果が出ても長続きしない。

露出(インプレッション)はするし、クリック数も莫大に稼げる。しかしコンバージョンが獲得できない。間接効果を計測しようとしても貢献しているかのような数字は出てこない。

それゆえに、チャレンジはするものの、短期間のテスト配信で停止することになってしまう。

その半面、検索広告やリマーケティング、Facebookの類似ターゲティングといった広告は、今すぐコンバージョンを獲得ができて、CPA も低くなることが多い上に、持続的な効果があります。

それゆえに、短期間での採算が合いやすいため、広告投資が偏重して行われてきた経緯があります。

ハイブリッド広告が台頭し、こういった状況が大きく変わろうとしているんですね。

ポイントは「予算配分」、ハイブリッド広告での成功事例

ハイブリッド広告での成功事例をみていきましょう。

重要なポイントは、今すぐコンバージョンの取れる広告以外にどれだけの予算を配分するかというところです。

事例1:法人向けツール(SaaS)の無料登録

検索広告やリマーケティングではほぼ目標のCPA でコンバージョン獲得ができていたものの、売上拡大のために Google のカスタムインテントをターゲティングとしてハイブリッドを狙いました。予算は全体の20%以上と多めに設定。

2ヶ月~3ヶ月のチューニングが必要と思われましたが、初月から検索広告と同等レベルのコンバージョンが獲得できたうえに、検索広告よりも大幅に低いクリック単価で、新規見込み客の流入が増加させることができました。今後の「種まき施策」として機能しそうです。

事例2:イベント集客の申し込み

事例1と同様に、検索広告と動的リマーケティングでは成果を出していたものの、新規顧客の増加と全体の売り上げ増加を目的として、Googleのカスタムインテント、コンテンツをターゲティングし、YDNのサーチターゲティングも追加。予算は全体の15%。

CPA は検索広告よりもやや高いものの、30円以下クリック単価で流入が安定して増加し、リマーケティング広告にも良い影響を与えました。

事例3: 貴金属販売の店舗誘導

検索広告とリマーケティング広告、Facebookの類似ターゲティングで成果を上げていたアカウントで、新規顧客の獲得を狙ってハイブリッド広告へ全体の10%の予算を投下。

Google ファインド広告(ディスカバリー広告)に、検索広告の10%程度のクリック単価で大きく露出し、CPA はかなり良好。

過去サイト訪問者への広告配信はされない設定にしているため、新規見込み客のみ流入が増加し、リマーケティングでの新規顧客獲得に大きく貢献しました。

ハイブリッド広告が機能するようになった4つの理由

さて、このようにハイブリッド広告がコンバージョンを獲得できる広告メニューとして機能するようになったのには明確な理由があります。

理由1:ネット広告の「マス化」

前回のブログでも解説しましたが、2018年にはインターネット広告全体でテレビCMを追い抜く水準にまで市場が拡大し、同時にマス広告として機能しはじめたという背景があります。

ようやくテレビや新聞などのマスメディアとの同等の信用が、インターネット広告に対しても醸成されてきたといえるのではないでしょうか。

逆に言えば、Google、Facebook、Yahoo!、Twitter、YouTube などの、膨大に見えるインターネット上の広告規模も、まだテレビCM という市場ひとつと同等レベルでしかないのです。

今後も伸びしろはまだまだあると考えてよいでしょう。

理由2:スマートフォンの普及による、ログイン時行動データの取得率向上

あまり語られることが少ないですが、パソコンの時代からスマートフォンの時代になって「よりデータが正確に取得できるようになった」という背景が、広告の精度上昇に大きな影響を及ぼしています。

「いまさらに何を言ってるんだ」と思われるかもしれませんが、「Google アカウントにログインしながら検索をする」「Yahoo! IDでログインしてYahoo! ニュースを見る」というのは、長い年月を経てようやくそれなりの母数を稼げるようになったばかりなのです。

このブログを読んでいただいている方は、日本人全体から見れば極端に IT リテラシーの高い層であって、一般の方々からすれば全然当たり前ではありません。

今でも、Yahoo! JAPAN へのアクセスのうち、ログインをして使っている人は、ざっくり半分程度しかいないのです。

Yahoo! JAPAN媒体資料(2019年5月版) – Yahoo!プロモーション広告 公式 ラーニングポータル

Yahoo! JAPANの概要(PV数/月間アクティブユーザー数)を紹介しています。広告出稿を検討する際の参考としてお役立てください。

Google や Yahoo! といったネット広告の第一世代は、パソコンとブラウザという文化がいまでも根強く残っている半面、Facebook や Twitter などの SNS はそもそも「ログインしないと使えない」媒体なので、「正確なデータ収集」という面で大きくリードしました。

ログイン、非ログイン状態でのデータ収集では、スマートフォンとパソコンを行き来してネット接続する現状では大きな差があるわけです。

さらに、スマートフォンの普及がこれに拍車をかけ、専用アプリの利用とログイン状態で取得したユーザーデータを広告のターゲティングに活かしたのがFacebook広告でした。

実は、2014年から2016年頃は、このターゲティング精度で Facebook が Google を圧倒していたのです(特に属性や興味関心)が、Google も負けじと「いかにログインさせた状態で検索してもらうか」を推進させる方向にずっと動き続けています。

昨年、Google Chrome の自動ログインが機能が物議を醸しだした事件も記憶に新しいところです。

理由3:「購買意欲の高いユーザーへのターゲティング」の登場

「購買意欲の高いユーザーへのターゲティング」を Google よりもはるか以前から注力していたのは Facebook です。

3年ほど前に、シンガポールにある Facebook 本社へ訪問した際に、「Facebook広告の効果が2013年頃から急激に向上したのはなぜか?」という質問に対して、「購買意欲の高いユーザーをリスト化しているから」とはっきりと回答をいただきました。

私なんかはそのターゲットリストの中でも特に重要顧客としてフラグを立てられている自覚がありますが(笑)、要するに広告に対して積極的にクリック(反応)し、コンバージョン(購買)をする確率が高い人は、Facebookユーザーの中に一定数いるわけです。

当然ながら、こういった層に広告を効果的に集中させることでコンバージョン率は良くなっていきます。

この記事を読んでいるあなたも、Facebook 経由でアパレルEC にアクセスし商品を購入した後、アパレルの広告ばかりが Facebook で出てくるような体験をしたことはあるのではないでしょうか。

このように「コンバージョン(購買)しているかどうかまでデータとして長期的に保持できる」というところが最大のポイントで、前述したとおり「ログインしているかどうか」でデータの正確性がまったく違ったものになるわけです。

Google が Chrome(Webブラウザ)でログインしてもらうことにこだわる理由はまさにここにあります。

理由4:AI(機械学習による自動最適化)の眼を見張るような進化

Google や Facebook を中心に、AI 進化の側面はもちろんあります。

一般的に「AI」というと、「今まで人がやっていた仕事を自動的にやる」という「効率化」のイメージだとは思いますが、広告やマーケティングの世界での AI は、そういった側面はごく一部です。

実際に AI が高い効果を生んでいるのは、「人が決して行わないような入札やターゲットへの広告配信でコンバージョンを取ってくる」という「効果」の側面なのです。

例えば、人が過去のデータから考えればこのキーワード(広告グループ)には100円程度の入札しかできないけど、AI(自動入札)が勝手に千円で入札して、しかもコンバージョンを獲得してきているというようなケースです。

こういった AI の眼を見張るような進化、「ネット広告のマス化」「ログイン情報の充実」「購買意欲ターゲティング」と相互に関連して、安いクリック単価で大きく露出を伸ばしながら、適切なCPA でコンバージョンも取れるようになってきたと考えられるでしょう。

ハイブリッド広告のメリット・デメリット

ネット広告の予算が検索とリマーケティングだけに偏重していくのは、他の広告が採算が合わないダメな広告と認識されるからですが、これは明らかな誤解でした。

他の広告メニューがダメなのではなく、検索広告だけが特異な存在なのです(これまでも、今も、これからも)。

2018年、日本のインターネット広告費の内訳では、検索広告が初めて40%を切りました(39.4%)。それでも、ありとあらゆるターゲティングを内包しているディスプレイ広告ですら、検索広告には勝てません(38.9%)。

画像引用元:「2018年 日本の広告費インターネット広告媒体費 詳細分析」~D2C/CCI/電通が共同でインターネット広告媒体費の詳細分析を実施~ | ニュースリリース | 株式会社D2C

いまだに、検索広告は「ネット広告のキング」なのです。

短期間で継続的にコンバージョンが獲得でき、採算も合い、顧客の質もよい。そんな夢のような広告が山ほどあるわけがありません。

ハイブリッド広告が検索広告並みにコンバージョンを獲得できるといっても、まだまだ長期安定性などには課題があります。

これからご紹介する、メリット・デメリットをしっかり把握しておくことが肝要です。

ハイブリッド広告のメリット

ハイブリッド広告の最大のメリットは、とにかくクリック単価が10円~50円程度ととても安価なことにあります。

クリック単価が低いことで、コンバージョン率が低くとも CPA は合ってきます。

さらには、コンバージョンが出ないクリックも、リマーケティングの対象になり、購買意欲が低い顧客が時間の経過によって購買客となる「種まき」の効果が十分に見込めるわけです。

検索広告の最大の欠点は「意図的にクリックを増やせない(検索される回数に限度がある)」ことですから、この欠点をカバーしつつコンバージョンが獲得できるのならやらない手はないということなんですね。

ハイブリッド広告のデメリット

まさに夢のようなハイブリッド広告ですが、デメリット(課題)ももちろんあります。

昔から言われていることですが、検索広告のように明確な意図を持って広告をクリックしているわけではない「見込み客層」が当然多勢を占めますので、当然、検索広告と比べれば、EC(物販)なら客単価が低くなったり、法人向けの無料アクション(サンプル請求、無料登録、見積もり依頼、問い合わせなど)ならば成約率が低くなったり、課金率が低かったりします。

要するに「お客様の質があまり良くない」と言われることが多いんですね。

これはある意味当然のことなので、「まだホットではない新規のお客様を育てる」「明らかに見込み違いの顧客には広告クリックさせないようにする」といった工夫が必要です。

また、今のところハイブリッド広告や種まき広告で成果が出やすいのは、「ある程度広い市場(マーケット)の商材・サービス」です。

わかりやすい例でいえば、語学、旅行などですね。ディスプレイ広告が中心になるため、「コンテンツの面が多い」必要があるんですよね。ただしBtoB(法人向け)でも成果が出るケースもあるので、チャレンジはしていくべきでしょう。

予算配分・成果指標・クリエイティブの考え方

予算配分

ハイブリッド広告をはじめるにあたって最も重要なのは「予算配分のバランス」です。

スタンダートなやり方としては、検索広告(ショッピング広告なども含む)とリマーケティングに加えてハイブリッド広告へ予算を投下していきます。

その予算比率としては、種まき施策に5%~10%、ハイブリッド広告に10%~15%、残りは今すぐコンバージョンを狙うことのできる広告に投資していくことが、良いバランスであることがある程度わかっています。

ただし、閾値の問題があるので、各広告メニューには20万円程度はかけたいことを考えると、ハイブリッド広告や種まき広告を開始するには、全体の予算規模として100万円~200万円以上は欲しいところです。

逆に言えば、これ以上の予算があったり、月に1,000万円以上の広告を投下しているような状況ならばハイブリッド広告や種まき広告をやらないのは大いに機会損失している状況といえるでしょう。

※上記の予算配分バランスについては、あくまでも目安になります。商品サービスや予算規模、コンバージョンポイントなどによっても様々に変化させる必要があると思われます。

成果指標(KPI)

ハイブリッド広告はやり始めてすぐに効果が出ることはありますが、前述したとおり、検索広告に比べると顧客層のミスマッチを起こす確率は高いといえます。

この間に「コンバージョンは取れるけど客層が合わないからやめよう」という軽率な判断をしないためにも、コンバージョン数や CPA だけではない別の指標が必要です。

私のおすすめは「滞在時間」です。

ハイブリッド広告からの流入が、例えば平均1分近い滞在時間があるとするならば、多少コンバージョンの客層が合っていなかったり、CPA が悪くても、数カ月後にコンバージョンが生まれてきたり、リマーケティングの効率が上がったりといった成果につながりやすいです。

逆に、滞在時間が10秒以下であればよほど種まきをしたい時以外はやめる判断をしてもよいでしょう。

クリエイティブ

前述のとおり「見込み客層であること」「いままでとは違う新規顧客層であること」の可能性が高いため、クリエイティブはこれを念頭に置いて作成する必要があります。

明らかに見込みが薄いコンバージョンが増加した場合などは「無料」というメッセージを弱めたり、法人客をターゲットにしているのに個人客が多い場合は「法人向け」とはっきり記載したりという手を打つ必要があります。

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この記事を書いた人

滝井 秀典

滝井 秀典

代表取締役/広告事業部長

2003年、Googleアドワーズが日本でサービスを開始した直後より、検索キーワード広告とランディングページの実践・研究を行い、その成功理論を書籍『1億稼ぐ検索キーワードの見つけ方』で発表、5万部以上のベストセラーとなる。 キーワードマーケティングでは、設立時から延べ千社以上のアカウントを診断およびコンサルティングしており、現在は上場会社や成長率の高いベンチャー企業に対する広告運用代理事業を拡大している。

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